エアロスミス (1982)

 1970年から活動するアメリカンロックの代表的バンド。ジョー・ペリーのブルージーでパワフルなギターと、スティーブン・タイラーのきらびやかなステージアクションが持ち味。英国ビート的なセンスをアメリカらしくハードかつファンキーに昇華し、70年代中盤に『Toys in the Attic』『Rocks』などのヒットアルバムを送り出す。80年代中盤にはお決まりのドラッグやメンバー間の確執で低迷するが、オリジナルメンバーを呼び集めて再起を図る。そのタイミングでRUN DMCが「Walk This Way」のカバーをヒットさせ、連鎖反応的にエアロスミスにも注目が集まり『Permanent Vacation』『Pump』といったアルバムがヒット。シーンの最前線に奇跡的な復活を果たす。2002年にはMTV ICONに選ばれるなど、現在でも世界中のロックキッズから尊敬されるモンスターバンドであり、ロック界のリビングレジェンドとして君臨している。

ビースティー・ボーイズ (1986)

 パンクとヘビーメタルとHIP HOPの融合というコンセプトで、Def Jam第2弾アーティストとしてデビュー。雑多な音楽を見事にミックスするセンスだけでなく、素行の悪さや悪趣味なステージングがキッズの共感を得て、86年にリリースした『Licensed To Ill』でビルボード1位を獲得。
 92年の3rdアルバム『Check Your Head』では自分たちで楽器を演奏。オルタナティブかつクールなサウンドを披露して、大きくイメージチェンジを果たす。90年代には自身のレーベルから多くの後進アーティストを送り出したほか、雑誌の発行、アパレルブランド"X-LARGE"への経営参画、チベタン・フリーダム・コンサートの主宰と、抜群の嗅覚でストリートカルチャーを先導する存在として君臨している。

ブレット・マイケルズ / ポイズン (1988)

 世界中を席巻したLAメタルのムーブメントに乗って86年にアルバム『Look What the Cat Dragged In』でデビュー。ポップでルックス重視、女にだらしなさそうなイメージは70年代のグラムロックを極端にデフォルメしたもので、特にボーカリストのブレット・マイケルズはその派手な化粧で大きな衝撃を与えた。
 メタル原理主義者からは軽く見られがちな存在だったが、明るいキャラクターとキャッチーな楽曲が大受けして、80年代後半から90年代前半にかけてミリオンヒットを連発。グラム&ハードロックに影響を受けた楽曲は確かなセンスを感じさせる内容だ。90年代以降、LAメタルシーンが衰退して多くのバンドが解散に追い込まれていった中で、このバンドは現在も活動を続けている点がすごすぎる。

コートニー・ラブ (1993)

 1965年生まれの彼女はロックカルチャーの影響を強く受けて育ち、90年に女性4人組のオルタネイティブバンド、ホールを結成。デビューアルバム『Pretty on the Inside』で重厚で骨太なサウンドを生み出し、折からのグランジブームの追い風を受けて人気は拡大していった。92年にはニルヴァーナのカート・コバーンと結婚するが、ロックスター同士の結婚生活はメディアに追い回されドラッグに悩まされる日々が続き、最終的にはカートが自殺してしまうという悲劇的なものとなってしまった。カートの死後は徐々に女優としての活動を増やしていき、96年の映画「ラリー・フリント」の好演でハリウッドでも確固たる地位を確立。音楽活動も2004年のソロアルバム『America's Sweetheart』をヒットさせるなど、近年は充実した活動ぶりをみせている。

デュラン・デュラン (1988)

 80年代の英国バンドとして、世界規模で最も大きな成功を収めたバンドが彼らだろう。80年代初期のニューロマンティックのブームに乗ってシーンに浮上。抜群のルックスとファッショナブルなセンスで話題を集め、特にベースのジョン・テイラーは女性からの支持が高かった。それだけに硬派な音楽ファンからは軽く見られがちだったが、ポップなメロディーをダンサブルに昇華するセンスには卓越したものがあり、実際に当時のディスコでは「Girls On Film」「Is There Something I Should Know?」「The Reflex」といった彼らの12インチシングルがヘビープレイされまくっていた。また彼らはミュージックビデオへのこだわりを持った先駆的な存在で、映像的な美しさとストーリー性の高さを持ったビデオを作っていた。黎明期のMTVが彼らの作品を頻繁にオンエアしたことが、その人気を大きく高めるのに一役買っていたといえるだろう。

ガンズ・アンド・ローゼズ (1987)

 1985年にロサンゼルスで結成。87年にリリースしたアルバム『Appetite For Destruction』が1800万枚という爆発的セールスを記録し、「Welcome to the Jungle」などのシングルも軒並み大ヒットとなる。LAメタル隆盛だった当時のシーンに、“本物”の凄みを感じさせるストレートなサウンドで殴り込みをかけた彼らは多くのキッズに支持された。一方で、ボーカリストであるアクセル・ローズの破天荒な行動と発言、ドラッグの噂など、スキャンダルも絶えることはなかった。96年にはバンドの要であったギタリストのスラッシュが脱退。アクセル以外のオリジナルメンバーも相次いで辞めてしまい、長い低迷期に突入した。現在はメンバーを一新して活動しており、2007年には実に14年ぶりとなる単独来日ライブを敢行したが、長らく制作を噂されているアルバム『Chinese Democracy』は今のところリリースの目処が立っていない。

ジャネット・ジャクソン(1986)

 ジャクソン・ファミリーの秘蔵っ子として82年にソロデビューするも、しばらくはセールス的に不遇な時期を過ごす。86年、3rdアルバム『Control』をプロデュースしたジャム&ルイスは、彼女のためにボトムヘビーなR&Bサウンドを構築。これが彼女のシルキーな声の魅力を引き立たて、見事に全米No.1を記録し最終的に500万枚を売り上げた。この作品以降は続々とビッグセールス作をリリースしている。
 兄のマイケルと同様に、繊細な声質と細部までこだわったダンスが売り物だが、より上品でフェミニンな作品にまとめ上げるセンスは卓越したものがある。R&Bシーンの多くの後進アーティストがほぼ例外なく彼女へのリスペクトを表していることからも、その存在の大きさがわかるはずだ。

マライア・キャリー (1993)

 幼少期から音楽に親しんでいたロングアイランド生まれの彼女は、レコード会社の社長に偶然見出されて90年にデビューを果たした。デビュー曲「Vision of Love」がいきなり4週連続全米No.1、デビューアルバム『Mariah Carey』も1800万枚という大ヒットを記録。7オクターブともいわれる広い声域を駆使した天賦のボーカルは、特にどこまでも伸び上がるような美しい高域に大きな特徴があり、R&Bシーンに大きなインパクトを与えた。その後もコンスタントにヒットを飛ばしながら、徐々にHIP HOP寄りのアプローチを展開するようになるなど、時代に即してスタイルを進化させている。今年4月には、ジャーメイン・デュプリやウィル・アイ・アムなど当代きってのトラックメイカーを迎えたアルバム『E=MC2』をヒットさせると同時に、俳優のニック・キャノンとの結婚も発表し、公私ともに充実ぶりを見せている。

メタリカ (1986)

 1981年にアメリカのロサンゼルスで結成。ポップなLAメタルの全盛期に、超硬質で圧倒的なスピード感を持ったスラッシュメタルを確立し、シーンにインパクトを与える。特に86年にリリースした3rdアルバム『Master of Puppets』は、その後のスラッシュメタルだけでなくハードコアパンクや後のミクスチャーロックにも大きな影響を与えるが、ツアー中にベーシストが事故で死去。その悲しみを乗り越えて91年にリリースした『Metallica』で1,500万枚という驚異的セールスを記録し、ロックシーンの頂点に登り詰める。

オアシス (1995)

 リアム&ノエル・ギャラガー兄弟を中心にマンチェスターで活動スタート。ビートルズなどの王道UKロックに多大な影響を受けたメランコリックなメロディと、ボーカリストであるリアムの強烈なキャラクターが人気を集め、94年のデビューアルバム『Oasis』が全英1位のヒットとなる。他のバンドをこき下ろしてものともしない労働者階級出身らしい毒舌ぶり、ステージでの暴動騒ぎなど、多くのスキャンダルを巻き起こしながらも、その音楽性は常に高く評価されており、95年にリリースした2作目のアルバム『Morning Glory?』は、2000万枚近いビッグセールスを記録。90年代中盤以降のUKロックシーンでも頭ひとつ抜けた存在となった。この10月には3年ぶりとなるオリジナルアルバム『Dig Out Your Soul』のリリースが予定されており、その内容に大きな期待が集まっている。

ポーラ・アブドゥル (1991)

 NBAのチアリーダーも務めていた本格的なダンサーだった彼女は、88年にリリースしたアルバム『Forever Your Girl』でデビューを飾る。当時はまだ新鋭だったベイビー・フェイスらをトラックメイカーに起用したR&Bサウンドは、彼女の陽性キャラクターを生かしたポップな風合いで、じわじわとチャートを上がっていき、最終的にはビルボード1位獲得、セールス1,000万枚という大ヒット作品となる。91年の『Spellbound』は彼女のダンス力を生かすために、楽曲もよりダンサブルな内容にクローズ。その後はヒットに恵まれず不遇な時代を過ごすが、近年になってアイドルオーディション番組「American Idol」の審査員を務めたことから、アイドルを目指すティーンたちの支持を集めて人気が再燃。この夏にはなんと13年ぶりとなるオリジナルアルバムをリリースするというから、楽しみなところだ。

REOスピードワゴン (1984)

 60年代から活動しているアメリカンロックバンド。メンバーチェンジを繰り返しながら、長い不遇の時期を送っていたが、80年リリースの『Hi Infidelity』が15週連続全米チャート1位という爆発的ヒットを記録してシーンに浮上する。このアルバムからカットされた「Keep On Loving You」は、ケヴィン・クローニンの美しく伸びるハイトーンを活かしたバラードで、ラジオやテレビなどで今でも頻繁に流れる名曲だ。このヒット以降、80年代初期は『Good Trouble』『Wheels Are Turnin'』などのアルバムも好セールスを記録するが、あまりにアクのないメロディと歌詞のセンスから、口の悪いメディアからジャーニーらと並べられて"産業ロック"などと揶揄されることもあった。しかし、彼らの作曲能力やサウンドプロダクションは、長い下積み時代のライブサーキットによって培われたものであり、そういう意味では骨太な叩き上げロッカーといえる。90年代に1度解散したが、その後に再結成して現在もマイペースで活動中。

スティング (1982)

 先日再結成してワールドツアーを敢行したポリスのシンガー兼ベーシスト。パンクムーブメントの冷めつつあった78年に、シングル「Roxanne」で衝撃的なデビューを果たす。シンプルな3ピースの編成ながら、お互いの隙間を巧みに埋める抜群の演奏力、そして彼自身の透明でどこまでも伸びるような声でUKロックシーンに衝撃を与える。ポリスは「Message in a bottle」「Every Breath You Take」などの世界的ヒットを飛ばして84年に活動停止。その後のスティングは「Fragile」「Englishman In New York」などのソロ作品をヒットさせる一方、映画「ブルー・タートルの夢」などへの出演でも話題を集める。85年にバンドエイドに参加するなど、早い時期から人権問題や環境問題に取り組んでおり、特に森林保護活動への取り組みは有名。その音楽性やルックスのイメージと相まって、理知的なミュージシャンとして多くの後進たちから信奉されている。

ホイットニー・ヒューストン (1985)

 母がゴスペルシンガーのシシー・ヒューストン、従姉妹がディオンヌ・ワーウィックという芸能一家に生まれ、10代からモデルとして活動。幼少期から聖歌隊に属していたことからシンガーとしても注目を集め、85年にアルバム『Whitney Houston』でデビュー。このアルバムからのシングルは、「Saving All My Love For You」などの3枚がチャートNo.1となり、新人にしていきなりグラミー賞を獲得する。R&Bシーンで確固たる地位を築いた後は、92年にケビン・コスナーと映画「ボディガード」で共演しこちらも大成功。サントラの「I Will Always Love You」もヒットし、1998年のアルバム『My Love Is Your Love』リリースまではしばらく映画中心の活動を展開するようになる。2000年にはドラッグ中毒を告白。その後はリハビリに注力しており、21世紀に入ってからは目立った活動をしていないが、現在はニューアルバムを制作中だと噂されているので復帰も間近いだろう。

ウィル・スミス / DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス(1988)

 HIP HOP DJの基本ワザであるトランスフォーマースクラッチを世間に広めたDJジャジー・ジェフと、現在は俳優ウィル・スミスとしてハリウッドでも活躍するフレッシュ・プリンスによるHIP HOPユニット。80年代からフィラデルフィアで活動を開始。持ち前の陽性キャラで、それまでアンダーグラウンドだったHIP HOPをポピュラーにしていった功績は大きい。
 2ndアルバム『He's the DJ, I'm the Rapper』ではHIP HOPアーティストとして初のミリオンセールスを記録し、グラミー賞も受賞。わかりやすい大ネタをざっくり使うジャジー・ジェフのセンスと、フレッシュのパーティー調の切れの良いラップは相性抜群。彼らの名曲「Summertime!」は、今年の夏も多くのクラブでプレイされるに違いない。




text: Hidetoshi Tatsumi
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