2018-02-09
ケンドリック・ラマーが手がける最新作『Black Panther: The Album』配信スタート、気になるその中身とは……

先日開催された第60回グラミー賞で5部門受賞、さらには本日“FUJI ROCK FESTIVAL '18”への出演が発表されたケンドリック・ラマーが手がけた最新作『Black Panther: The Album』が配信開始となり、早くも話題となっている。同作はマーベル・スタジオ最新作『ブラックパンサー』にインスパイアされて制作されたもので、ケンドリック・ラマーと彼のレーベルであるTop Dog Entertainment(トップ・ドッグ・エンタテインメント)のCEOである“トップ・ドッグ”ティフィスが全面プロデュースした作品だ。

1作品内に多数のオリジナル楽曲を起用するのはマーベル・スタジオも初の試みだという。そんな中でも今最も重要なアーティストでもあるケンドリック・ラマーを起用し、さらにはシザ、カリード、ザ・ウィークエンド、トラヴィス・スコットなど、近年の音楽シーンを大いに賑わせたアーティストが目白押しである。これは、2016年の『スーサイド・スクワッド』、2017年の『ワイルド・スピード ICE BREAK』のように、映画音楽だからこそ出来るアルバムなのかもしれない。

『Black Panther: The Album』は合計14曲収録されているが、細かく刻まれたハイハットの音や深い重低音のベースが特徴的なトラップの曲が中心となっており、映画の舞台でもあるアフリカの大地を想像させるような心を揺さぶるビート、そして民族楽器の音や動物の鳴き声を織り交ぜた楽曲もいくつか印象的だ。ところどころ昨年発売されたケンドリック・ラマーのアルバム『DAMN.』を思い出させる箇所もあり、映画音楽としてだけでなく1枚の音楽アルバムとしてでも楽しめる作品である。

ケンドリック・ラマーのみの名義である表題曲「Black Panther」からスタートすることも相まって、まさに映画が始まっていくような雰囲気が漂う。そしてM-2はミュージックビデオが公開さればかりのシザとの共演曲「All the Stars」。ケンドリックのラップからは物語の主人公の幼少時代の思いと重なり、またシザの歌声がまるで母親のような優しさで問いかけているようだ。何度も歌っている“All the Stars”というリリックは、映画のストーリーでは何を意味するのか非常に興味深い。

儀式が始まるかのような掛け声から始まるM-9「King’s Dead」は、ダークな雰囲気のトラップの音楽に乗ってケンドリック・ラマーが中心となって始まる。冒頭のジェイ・ロックは緩慢な声な印象であったが、次第にシャープなラップになっていき、終盤での畳み掛けるラップに驚かされる。同じフレーズを繰り返すラップがリズミカルで聴き心地がとても良い。この曲の最も特徴的な箇所は、最後のケンドリック・ラマーのラップであろう。ジェイ・ロック、フューチャーと続き、ケンドリックのみのコーラスパートが終わったら曲に大きな展開がある。突然不安に駆られるようなジェイムス・ブレイクの歌声から曲の暗黒さが一気に増して、ケンドリックのラップが始まるのだ。おどろおどろしいベースが這ってくる中に同調のビートに乗せたラップが、ベースとビートどちらにも支配されること無く独特なリズムの取り方で放たれており、聴いていてゾクゾクした気持ちになっていく。

このアルバムの最後を飾る曲は、ザ・ウィークエンドとケンドリック・ラマーによる「Pray for Me」だ。この2人による楽曲は、2016年に発売されたザ・ウィークエンドのアルバム『Starboy』に収録されている「Sidewalks」以来である。同楽曲では比較的ゆったりとした曲調で織り成される掛け合いであったが、今回の「Pray For Me」は地面を踏みしめるような強いビートの曲調である。このビートに合わせてのウィークエンドの訴えかけるようなストレートな歌声、そして緊張感に包まれるケンドリックのラップ。この2人の掛け合いからは、何かと戦いそして何かに立ち向かっているという印象を受けるのだ。これは『ブラックパンサー』の物語上でも大きなテーマとなっているのか、それとも歌うことに関して彼らがそのようなスタンスでいるのか、また新たな関心が生まれた。

『Black Panther: The Album』は本日2月8日より各ストリーミングサイト及び配信サイトでデジタル盤がリリース。国内盤は2月28日に発売される。映画はもちろんだが、現代アメリカで最も重要なアーティストであるケンドリック・ラマーが手がけた最新作、彼が映画から何をインスパイアされ、作品として昇華したのかを感じとって欲しい。

MTV NEWS

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