その後2016年12年にグループを脱退すると、米<Epic Records>とソロ契約を結び、2017年にデビュー。ソロになったことで、作曲からミキシングまでと制作作業全体を通して携われるようになり、本気で好きなことをやれるチャンスを掴んだカミラは、DJやプロデューサーとして活躍しているディプロや、チャーリーXCXなど多数のアーティストとコラボをし、ソロデビュー曲となったシーアと共同制作のクラブポップ「Crying In The Club」はUKトレンディング・チャートで1位を獲得し大きな話題を呼んだ。
また、この時期にはソロデビュー・アルバムの制作にも注力。当初は『The Hurting, the Healing, the Loving』と名付けられたデビューアルバムだったが、生まれ故郷ハバナの名前を冠した先行シングル「Havana feat. ヤング・サグ」が各国のチャートで首位を獲得しプラチナ認定されるなど、世界中で大ヒットを見せたことで自信をさらにつけることが出来たため、ソロデビュー作の制作スケジュールを良い意味で一旦リセット。『Camila』とアルバムタイトルを改め、キャッチーでハッピーな曲が詰まったデビューアルバムを2018年1月にリリースした。
"フィフス・ハーモニーのカミラ"から"情熱の歌姫カミラ"へと変貌を遂げ、世界中のリスナーたちからますます愛されるシンガーに成長したカミラは、2018年の「MTV Video Music Awards」で「最優秀ビデオ賞」「最優秀アーティスト賞」の2冠に輝くと、今年開催された<第61回 グラミー賞>では「最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞」と「最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞」の2部門にノミネートされ、同授賞式で「Havana」をパフォーマンスし会場を盛り上げ、さらに多くの人々の心を掴んだのだった。
その間には、後に「人生初の恋だった」とカミラ本人が称した、恋愛コーチのマシュー・ハッシーとの交際が報じられ、今回リリースとなったセカンド・アルバム『Romance』のアイデアをかき集めていくようになる。恋とは、また愛とは何なのか――究極の疑問について想像を巡らせながら制作したソロデビュー・アルバム『Camila』から、実際に心が揺れ動く恋愛を体験しその真意へと迫ったセカンド・アルバム『Romance』へ。その過程として、今年の6月にはマシューとの破局がメディアで報じられ、人生初の失恋を経験したことも影響したようで、『Romance』には「Cry For Me」や「This Love」といった失恋ソングも収録されている。
もちろん、今作は悲しい失恋ソングだけが並ぶわけではない。2015年に初コラボシングル「I Know What You Did Last Summer」を共に発表したことがきっかけで熱愛説が囁かれるようになったショーン・メンデスと、2019年6月にリリースした「Señorita」で再びコラボ。「「I Know What You Did Last Summer」の頃からショーンには恋心を抱いていた」と話すカミラは、「Señorita」の制作中に改めてショーンに急接近しその気持ちを再燃させると、同じように長年カミラに片想いをしていた(と、本人は思っていた)ショーンと晴れて恋仲となったのだった。
お互いを大切に思うからこそ、そして時間をかけて愛を育むため、しばらくは公の場では交際を否定していた二人。しかし、世間やメディアからの好奇の目にも負けずその確かな絆を秘密裏に確認し合った二人は、遂に公の場に出てくることを決意。今年の8月に開催された「2019 MTV Video Music Awards」にて、地上波では初めて揃って「Señorita」をパフォーマンスし、二人の間に生まれた"ケミストリー"を視聴者に見せつけた。
またその後も、破局後にすぐさま気持ちを切り替え新しい恋人をさっさと作ってしまった元恋人に対する怒りを歌った「Cry For Me」、そして欠点を含むありのままの自分を愛してくれる相手への感謝を歌った「Easy」を立て続けに10月に公開。11月に入ると、最愛の人に触れられる時に感じる、官能的な喜びについて綴った「Living Proof」をリリース。カミラが自身の人生というフィルターを通して様々な角度から見た"ロマンス"を赤裸々な歌詞に乗せて描写している。
最も重要なのは、新作『Romance』は、恋に溺れる一人の女性が制作した単純なアルバムというわけではない点だろう。同作からの先行シングルがリリースされる前の8月29日、「What Do I Know About Love?(私は愛について何を知っているか?)」と題された、『Romance』のティーザー動画が公開された。