カーペンターズは永遠に。リチャード・カーペンター氏にインタビュー!

29 1月 2019
カレン・カーペンターの没後35年、デビュー50周年を目前に控え、カーペンターズのニュー・アルバム『カーペンターズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』が、2018年12月に全世界同時リリースされた。フル・アルバムとして発表されるのは、2001年に未発表音源を収めてリリースされた『Rainbow Connection - As Time Goes By』以来17年ぶりとなる。
 
このアルバムは、カーペンターズのオリジナルのヴォーカルとインストゥルメンタル・トラックに、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音されたロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による新しいオーケストラ・サウンドが加えられている。
 
このアルバムの収録にあたり、編曲およびオーケストラの指揮を務めたのは、カーペンターズのリチャード・カーペンター。このアルバムのプロモーションのため、2018年12月に来日した彼へのインタビューが実現した。
 

――ようこそ日本へ! 本日はよろしくお願いいたします。MTVには若い世代の視聴者もいるので、かなり基本的な質問をしてしまうかもしれませんが、お許しください。来年がデビュー50周年ということで、記念すべき特別な新録アルバムについて伺いたいと思います。まず、どのようにしてこのコラボレーションが実現したのでしょうか?

ユニバーサルミュージックのヘッドから電話が来たんだ。エルビス・プレスリーとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のコラボレーションアルバムの話を例に出して、このような取り組みをカーペンターズの楽曲でやってみるのはどうかという提案を受けた。僕は少し検討させてと伝えて、関連作品をいくつか聴いてみたところ、これは良い組み合わせになるかも?と思えた。なぜならカーペンターズのほとんどの曲は既にオーケストラアレンジが加わっているものが多いし、ロイヤル・フィルの演奏もすばらしかった。僕たちの楽曲に1曲ずつアレンジを加えていくプロセスは、極上のスイーツをひとつひとつ味わうような素敵な体験になると思った。それで、この提案を受けることに決めたんだ。

――アルバムが完成するまでに、どのくらいの時間を費やしましたか?

時間はかかったよ。何週間も、何か月もかかった。でも僕はそのすべての瞬間をエンジョイすることができたよ。

――レコーディングの裏話を教えてください。

色々な解釈をイメージしながら、いくつかの核となるような要素に変更を加えることや、ホルンやストリングスの変わったアレンジなど、思いつく全てをリストアップして取り組んだ。さらに自分でロイヤル・フィルの指揮もしたんだ。このプロジェクトで得た最大の喜びは、想像した通りの音色が実際に演奏され、それをこの耳で聴くことができたこと。感情的で心を震わせる音楽を実現することができたことだね。実際の音は、以前同曲をレコーディングした時とそんなに大きくは違わないんだ、そこにちょっとしたアレンジを加えたことで、素晴らしい結果を得ることができたよ。

――わくわくするような"Overture"から始まるこのアルバムですが、楽曲のチョイスや曲順になにかこだわりや理由はありますか?

どの曲を収録するか、少し時間をかけて考えた。全てではないけど、ちょうどいい分量のヒット曲と、アルバムのなかで僕が思う人気曲を選んでみたよ。その中でも"Yesterday Once More"がこのアルバムのオープニングにふさわしいと思ったんだ。"Overture"は"Yesterday Once More"を中心に、"Close To You"と"We've Only Just Begun"の一節がマッシュアップされているんだ。そこにスタジオ・シンガーのコーラスを加えた。「All my best memories come back clearly to me…♪」まるで以前のように、僕を笑顔にしてくれるフレーズをね。その流れで2曲目としてお馴染みのピアノのイントロとカレンの歌声で"Yesterday Once More"がはじまる。まさにこの楽曲のメッセージと同様に、あの日のことがまざまざと蘇って懐かしく思い出す、このアルバムの全てに共通するメッセージのような、これから1曲ずつ振り返っていく以降の収録曲すべて、そしてこのアルバムのまさにイントロダクションとなる1曲になったかなと思ってるよ。

――当時からカーペンターズの大ファンである私の父親はこのアルバムを聴いて「あの頃聴いたものとまったく同じように聴こえると同時に、何だかとても新しく聴こえる」という感想をくれました。私も同感です。長年聴きなれた人にとっては、まるで旧友と再会するような安らぎ、それでいてどこか新鮮な印象を与えてくれる1枚。新しいリスナーにとっても、どこか懐かしく、時代や世代を超えて届く特別な1枚となっているように思います。アレンジの際に特に気を付けたことはありますか?

全編を通して、以前から、わずかだけど変更を加えたいと思っていることがあったんだ。いくつかの音声とストリングス、"Superstar"にちょっとしたファゴットの音節を加えたアレンジとか、"Goodbye To Love"の終盤に加えたピッコロ・トランペットのアレンジなど、ここをもっとこうしたらいいかも?と思っていたことを実践してみた。楽曲の良さを壊さないように気を付けながら、本来の楽曲を好きでいてくれる人が聴いたときに、これは変え過ぎだと違和感を覚えないようにすることに留意しながら。ほとんどのことは変えずに、本当に少しだけ変えたんだ。まさに君が言うように、オリジナル音源とまったく同じようにも聴こえるし、とても新鮮にも聴こえる。まさにそれが僕が目指したところさ。それが実現できているといいんだけど。

――間違いなくそれが実現できていると思います。今作で特にお気に入りの1曲を教えてください。またその楽曲のアレンジのこだわりなどがあれば教えてください。

元々好きだった楽曲もいくつかあるけど、今回の取り組みでさらに好きになった曲もある。その例として"Superstar"はパーフェクトな例だと言えるだろう。いくつかの理由があるんだけど、間奏のフレンチホルンのパートで、技術的な理由で理想的な表現を実現できていない箇所があったんだけど、それを今回実現することができた。さらに最初のコーラスのサビ終わり「I really do…♪」と歌った後、イントロと同じようにオーボエのメロディが入る箇所、そこに音を足してアレンジを加えた。カレンが2番を歌い始める前の間奏に、ホルンだけじゃなく、トロンボーンとチューバを足したことでレトロっぽい雰囲気が増した、さらにファゴットのラインも加えたんだ。
 
もう1つ、僕が前からやりたかったこと、曲の終盤でカレンが「I really do」と最後に歌う箇所のあと、ストリングスの伴奏が途切れて一瞬無音になる、そこからピアノの低音、そしてハープ、Cmコード。まさにこれが、前から僕がやりたかったことだ。このプロジェクトのなかでは、この楽曲と、あとは"Rainy Days And Mondays"の2曲は特に仕上がりに満足している曲と言えるよ。



――活動当時、楽曲の制作や編曲はどのように行っていたのですか? たとえば、"Yesterday Once More"の制作秘話などがあれば教えてください。

たとえば"Top of The World"は、紙切れに書かれたその言葉を見た時に「I'm on the top of the world~♪」というメロディが頭に浮かんだ。どんどんその先のメロディが浮かんで、ソングライターのジョン・ベティスと一緒に詞を作って組み合わせていった。そんなふうに、タイトルから生まれる曲もあった。"Yesterday Once More"はアルバム『Now and Then』のB面の1曲目として作ったんだけど、1973年のことだね、ディスクジョッキーが進行するラジオ番組のようにオールディーズの名曲のメドレーで構成したアルバムで、「When I was young I'd listen to the radio~♪」という歌い出しがまさにそのメドレーへ導くような役割を果たしている。アルバムは「When I was young I'd listen to the radio~♪」のメロディを少し変えたバージョン"Yesterday Once More (Reprise)"でブックエンドのように締めくくる構成になっているよ。

――日本では音楽の教科書にカーペンターズの曲が載っていて、授業であなたの歌を習います。私は小学生の頃、授業で"I Need To Be In Love"を習ったことが印象に残っています。今思うと、切ない恋の歌を小学生が合唱するのは少しユニークな状況ですね。そんなふうに多くの日本人の心にカーペンターズの音楽が根付いています。当時、カーペンターズの楽曲がこのような存在になることを予想していましたか?

曲を作った時は、もちろん予想していなかったよ! いつだったかこのことを聞かされて、すごく驚いたよ! これは日本独特の現象で、他の国では聞いたことが無いんだ。 おそらく僕らの楽曲は、カレンの発音がすごくクリアで、カレンの歌声が際立つようなトラックになっているから、ひとつひとつの単語が聞き取りやすく理解しやすいようになっていて、英語の教材としてちょうど良かったのかなと思う。"Yesterday Once More"と、あと"Top of the world"も教科書に載ってると聞いたことがあるよ。"I Need To Be In Love"を教わったという話は初耳だな。あの曲もすごく流行ったからね。とてもうれしいよ!

――ミュージックビデオ専門チャンネルであるMTVらしい質問をさせてください。我々がカーペンターズの当時の活動を振り返るにあたって、テレビなどで目にする、たとえば"Superstar"や"Top of The World"、"Only Yesterday"など、1981年にアメリカでMTVが開局する前の時代に制作された、とてもアイコニックな映像作品が印象的です。このような映像はどのような経緯で制作されたのですか? ディレクションなどはしましたか?

あれはテレビ番組に出演した際の映像を繋いだもので、もともとミュージックビデオとして制作されたものではないんだ。当時はプロモ・フィルムと呼んでいて、日本も含む海外でのプロモーション用に作られていたんだ。アメリカでは色んな番組に出ていたけど、海外でテレビに出る機会は少ないから、僕たちを知ってもらうための名刺代わりのようなものだよ。いまテレビなどで紹介されている映像は、当時僕らがやっていたレギュラー番組や他の番組にゲスト出演した時の映像を組み合わせたものだよ。当時は、曲を作って、レコーディング、それから宣材写真の撮影や、本国でのテレビ出演、コンサートツアーなど目まぐるしくて、そんなに多くは作れなかった。カレンが早くに亡くなったから、"Yesterday Once More"のプロモ・フィルムも作れなかった。MTVの登場は80年代前半だから、いわゆるミュージックビデオを作るという機会はなかったね。

ディレクションのようなことは特にしてないね。でも当時、大人達はアメリカの社会情勢と関連付けて、僕らのイメージを勝手に作り上げた。誰かが僕らについて物知り顔で語り、商業的に扱われることはあまり気分の良いことじゃなかったな。僕らはただ音楽が好きな若い兄妹で、それ以上でもそれ以下でもなかったんだ。

――現在活動しているアーティストで親交のある方や、いいなと思っている歌手やミュージシャンはいますか?

特にいないかな、しばらくアクティブに新しいアーティストを探したりしていないけど…、実は近い将来そういうことも始めてみようかなって思っていたところだよ。

――コラボレーションなどを考えているということですか?

そうだね。現代の音楽は、かつて僕らがやっていた音楽とはかなり違ってるし、簡単ではないかもしれないけど、積極的にリサーチして、いい人がいたら一緒に音楽を作ってみたいと思っているよ。

――コラボ相手に選ばれた方はとてもラッキーですね! 楽しみにしています。それでは最後に、長らくカーペンターズを愛してきた日本のファンへ、音楽好きのMTVファンへ、メッセージをお願いします。

Hello! そしてThank you! 大人の方たちへ、リチャード・カーペンターです。カーペンターズの。何年もの長い長い間、僕たちのファンでいてくれてありがとう。音楽を愛してくれてありがとう。僕も皆様もお互いこれからも何年も何年もずっと健康で音楽を楽しんで過ごせるように願います。そして、若い人たち、MTVを見ている人たちへ、Hello! ぜひ、僕とカレンが作った音楽を聴いてみてください、気に入ってもらえると嬉しいな。どうもありがとう。

――ありがとうございました!

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カーペンターズ VideoSelects

2月4日(月)19:00-19:30ほか

アルバムの詳細はこちら:
レーベル公式サイト
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