2017-06-08
インタビュー:ニュー・アルバム『REACHING INTO INFINITY』リリース!プロモーション来日中のドラゴンフォース、ハーマン(Gt)フレデリク(B)に直撃取材を敢行



2014年と2015年のLOUD PARKに2年連続出演を果たし、15年に行われたスペシャル・ショーケースのファイナル公演の模様はMTV LIVE in JAPANでオンエアした。昨年はベスト・アルバム『KILLER ELITE』をリリースし、渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた単独ライヴも大成功を収めている。この事実が示しているとおり、は日本においても長く愛され続け今もなお熱烈な支持を集めている。5月17日にリリースした7枚目のスタジオ・アルバム『REACHING INTO INFINITY』は、これぞドラフォ!と呼ぶべきスピード感と壮大なメロディ、パワフルでテクニカルなプレイがふんだんに味わえると同時に、フレデリク・ルクレール(B)が多くのソングライティングを手がけていることによって、ドラフォ・サウンドの幅を押し広げている。6月には東名阪でジャパンツアーを開催する彼らだが、3月にプロモーション来日をしていたフレデリクとハーマン・リ(Gt)の2人にインタビューを敢行した。

-新作『REACHING INTO INFINITY』の完成おめでとうございます。6月に来日公演がひかえていますが、今回はどのような目的で来日したのでしょうか?(取材日3月8日)

フレデリク・ルクレール(以下F):スシを食べにきたのさ(笑)。っていうのは冗談で、アルバムのプロモーションだよ。もちろん熱燗とスシも食べるけどね。

-滞在を楽しんでくださいね。何か楽しみにしてることはありますか?

ハーマン・リ(以下H):日本には友達がたくさんいるから、この機会になるべくたくさん会えたらいいなと思うよ。あと、日本に来ると必ずたくさん食べちゃうんだよな(笑)。

-日本の料理はイギリスの料理よりもおいしいですか?

F:イギリスは多民族だから多国籍料理はおいしいんだけど、日本料理とか中華料理はてんでだめなんだよ(笑)。本当は俺がイギリスに移住したほうがバンドの活動がスムーズになるんだろうけど、そうしないのは食が理由なんだ(笑)。今もパリに住んでるよ。

-美しい街ですよね。パリもかなり多国籍な街という印象です。

F:いやーそんなに美しいってわけでもないよ(笑)。まぁイギリスほどじゃないけど多国籍だね。ロンドンパブに行ってもイタリア訛りの人が多かったりするし。もう慣れたけど。

-2014年、2015年とラウドパークに連続来日し、一昨年はスペシャル・ショウケースも行いましたね。そのショウにMTV JAPANのカメラが入り独占ライヴ放送を行ったのですが、その時のことを覚えていますか?

H:ああ!覚えてるよ。赤坂だよね。MTV用に音をミックスしたんだ。ドラゴンボールのTシャツを着てライヴをやったな(笑)。

-大盛況だったようですね。ドラゴンフォースのファンベースは日本においても強固だと感じます。2014年にBABYMETALとコラボレーションしたことも大きなニュースになりましたが、当時あなたたちはBABYMETALがこんなにビッグになると予想していましたか?

H:BABYMETALのスタイルやパフォーマンスには特別なものがあると思っていたよ。そもそも俺たちはあんまりコラボレーションをするバンドじゃないんだけど、特別なものを感じたからこそコラボレーションしてみようと思ったし。でもさすがに、こんなにも世界を席巻するとは思ってなかったよ(笑)。

-日本ではふだんメタルを聴かないような人たちもファンになっています。フランスやイギリスでも人気の高さを実感しますか?

F:フランスはもともと日本のカルチャーが人気なんだよね。”JAPAN EXPO”っていう大きなイベントもあるし、アニメとかゲームとか日本のカルチャーの一環としても広く知られてるんだと思うよ。

H:他のヨーロッパの国に比べると、イギリスではかなり有名なんじゃないかな。ウェンブリーアリーナでやるくらいだからね。



-ウェンブリーアリーナといえば、日本のバンドX JAPANも公演を行ったのですが、彼らのことは知っていますか?

H:一週間くらい前だよね。彼らのことは前から知ってるよ。なんだか嬉しいことだよね。日本のファンも来てくれるし。

F:ああ、俺も知ってるよ。彼らはとてもクールだ。X JAPANの解散前のライヴ映像を見たことがあるんだけど、ステージに大きなロゴがあるヴィジュアルもかっこいいよね。新宿に行ったときに、元ベーシストのバーにも行ったことがあって、そこでも映像を見せてもらっていろいろ教えてもらったんだ。

-なぜX JAPANの名前を挙げたかというと、フィジカルの限界、極限に挑んでいるバンドなんですよね。スタイルは違えどドラゴンフォースとシンパシーを感じる部分もあるのではないかな?と思ったんです。

F:確かにそうかもしれないね。彼らもすごいよ。特にドラムだ。ホントニスゴイデス!!俺たちもステージを走りまわったりして全力でショウをするけど、それもエンターテイメントの一環だね。何もかも空っぽにしてライヴをやるんだ。

ドラゴンフォースのライヴはとてもエネルギッシュで、テクニカルな演奏とエンターテイメント性に圧倒させられます。テクノロジーが進化した現代においては音源だけでバンドの実力を判断することは難しく、疑心暗鬼なリスナーが増えていく中でライヴの重要性がますます大きくなっていますが、ドラゴンフォースが長く愛され続けているのは、ライヴに来ている人たちを確実に熱狂させ強烈な体験を与えてきたということが大きな理由ではないでしょうか?

H:本当にそのとおりだね。ありがたいことに、俺たちには長く応援してくれてるファンがたくさんいる。彼らは俺たちがまだBABYの頃から知ってるってことだから、リアルな人間味も知ってくれてる。俺たちとファンはライヴを重ねるごと一緒に成長してると思うんだ。技術的な意味でもBABYだったけど(笑)。

F:昔はステージで酒を飲んだりもしたけど、世界中をツアーしてる内にそれはだめだって気付いたんだ(笑)。まぁ今でもミスすることはあるけど、完璧にやる為に座ってプレイするくらいだったら走り回って全力でやった方が楽しいしね。それがエンターテイメントに繋がってると思う。

-それでは『REACHING INTO INFINITY』についてお訊きします。このアルバムの多くの楽曲はフレデリクが書いたそうですが、どういう経緯があったのでしょうか?

F:ぜんぶで8曲作ったよ。『The Power Within』(2012年リリース 6thアルバム)でサムと1~2曲コラボしてみて、それがすごく良かったからその後も一緒に作ってきた。だから今回もそうしようかと思って、実際にバリにいた俺のところにサムが来て一緒に曲を書き始めたんだけど、なんとなく今回はピンとこなかったんだ。じゃあ各々に書いて完成させようってことになって作業してたんだけど、俺は俺でアイディアがどんどん溜まっていったんだよね。「Ashes Of The Dawn」(Track.2)に関しては、俺がほぼ全部のパートを書いてる。でも、サムもスタジオに来て様子を見ていたし、ハーマンにも聞かせたら”こうしたほうがいいんじゃない?”って口を出してきたし、最終的なアレンジは一緒にやったよ。バンドにとってアレンジこそ最も重要なんだ。

-全体像のイメージの幅が広がっていてドラマチックでテーマ性を強く感じる曲もあり、尚且つエピックでスピード感にあふれるヘヴィネスというドラゴンフォースらしさも存分に堪能できるアルバムですね。

H:歌詞の内容については、君が言うとおり壮大で勝利感にあふれていて高揚感があるパワフルなスタイルだ。それはドラゴンフォースらしいといえるだろうね。

F:でも、ぜんぶっていうわけじゃないんだよな。例えばバラードの曲では自殺のことをテーマに歌ってるから、いつも通りの誇大妄想っぽい歌詞にはできないし。

-その曲は「Silence」(Track.6)でしょうか?

F:そう。”救済を求めてもっといい人間になりたい”っていうテーマだから、少し味わいが違うかもね。基本的なコンセプトは俺が決めて、ヴォーカルのマークと相談しながら歌詞を書いた。これまでのドラゴンフォースは悲しいテーマの曲でも最終的にハッピーエンドにするような感じだったけど、今回はシリアスにまとめてみない?って。たまたま俺の友達が自殺してしまったという経緯があって、そのことについて真剣に語ったんだ。だから無理やりハッピーに持っていくことはしなかった。まあ、マークとその会話をしたのはタイのストリップクラブだったんだけど(笑)。悲しいことがあっても人生は続いていくんだ。サムの曲は今までと同じく壮大で勝利感にあふれてるよね。そういう曲が少し雰囲気の違う俺が書いた曲に囲まれるとより際立つんだ。それがインパクトを増幅させてるんじゃないかな。



-トーンの違いが明確なのでそれぞれの曲の特徴が際立っていますよね。また、「Silence」での表現力豊かな歌をはじめ、全体的にマークのヴォーカルがパワーアップしているように感じました。

F:今回は曲作りの幅が広がったから、それに伴ってマークのヴォーカリストとしての幅が広がったんだと思う。俺は昔からマークに大きな可能性を感じてたんだけど、今回はネクストレベルで頑張ってもらったっていう感じかな。例えば「The Edges Of The World」(Track.10)ではでデスヴォイスを披露してるし、「WAR!」(Track.8)はアグレッシヴでスラッシュメタル的だし、「Ashes Of The Dawn」(Track.2)や「Curse Of Darkness」(Track.5)では攻撃性とソウルが共存しているような歌い方になってるんだ。マークは歌詞の意味をよく把握して曲の雰囲気や内容を深く吸収して歌ってる。『REACHING INTO INFINITY』は、ヴォーカルが今までと違うっていうところが大きな特徴じゃないかな。

H:どんなに高いキーや低いキーを歌っても限界はあるし、出せる声域の中でいかにトーンを広げて幅をもたせるかっていうこと、表現していくっていうことを追及したんだ。こういうジャンルのヴォーカルってあまりこういうことをしないから、かなりハイブリッドになったんじゃないかな。いろんな要素が詰まってるんだよね。

-フレデリクとハーマンはどういうことを意識してレコーディングしましたか?

H:最近はギターパートだけじゃなくて全体像を捉えることを重視してる。10年前はギターパートだけのこだわりが強かったけど、ギターソロっていうのはどんなに頑張って弾いても他のパートがちゃんと鳴っててくれなきゃだめなんだ。だからバンド全体としての成長を感じると思う。

F:俺も結果的にバンド全体のサウンドに満足できたよ。今回は曲を多く書いてるのが俺だから、細かいニュアンスのこだわりが多くていろいろ指摘したけどね。個人的には「Our Final Stand」(Track.11)のソロは思い描いていたとおりの仕上がりになって嬉しかったな。ハーマンたちが入れてくれたソロも素晴らしくて予想以上のかっこよさになったし。「The Edge Of The World」のスロウなソロも気に入ってる。ドラゴンフォースらしくないといえばらしくないんだけど、ピンク・フロイドを思わせるような雰囲気。決して難しくはないんだけど、ああいう感触を出せたことは成功といえるだろうね。

-日本盤にはZIGGYの「GLORIA」のカヴァーが収録されていますね。日本のハードロックを代表する曲ですが、カヴァーしてみていかがでしたか?

H:ドラゴンフォースとまったく違うスタイルの音楽をドラゴンフォースらしく仕上げるっていうのはカヴァーの醍醐味だし楽しかったよ。原曲の良さに敬意をはらって、重要な要素はそのまま残してる。フィーリングとかキャッチーなメロディをどう生かすかってことを考えるのは難しいんだけど、やり甲斐を感じる。今までカヴァーってあんまりやったことがなかったし、バンドにとっていいチャレンジになったと思うな。

ドラゴンフォースサウンドにマッチしていて、とてもかっこよかったです。6月の来日公演でも聴くことができたら嬉しいです。

F:うん、みんなが気に入ってくれるといいいな。6月のライヴも楽しみにしててね!



Photo:Kentaro Chiba
Interview+Text:Kaoru Sugiura