2013-02-26
第85回アカデミー賞 『ライフ・オブ・パイ』が4冠、作品賞は『アルゴ』に


Photo: Kevin Winter/Getty Images
現地時間24日、米ロサンゼルスにて第85回アカデミー賞授賞式が開催され、アン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』が監督賞を含む最多の4冠に輝いた。作品賞はベン・アフレック監督の『アルゴ』、主演男優賞は『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイス、主演女優賞は『世界にひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンスが受賞した。
 
(写真=プレゼンターを務めたジャック・ニコルソンから作品賞を受け取った、『アルゴ』のベン・アフレック監督)
 
授賞式の最初に発表された助演男優賞は、クエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』に出演したオーストリア人俳優のクリストフ・ヴァルツに贈られた。ヴァルツはタランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』で、2010年にも同賞を受賞していた。
 
「僕は今作で演じたDr.キング・シュルツに感謝しきれません。つまり、それは彼と今作の荘厳な世界を創りあげたタランティーノ監督に感謝しきれないということです」と壇上で述べたヴァルツは、「僕らはヒーローの旅に同行しました。ヒーローとは、クエンティンのことです」として、「勇敢な君は登頂に成功した。勇敢な君は竜を倒した。そして価値を信じて炎をくぐり抜けた。今のはキング・シュルツの言葉です。ごめんね、借りずにはいられなかったよ。ありがとう」と監督に感謝の言葉を捧げた。
 
『レ・ミゼラブル』のファンテーヌ役で長かった髪をばっさりと切り落とし、美しい歌声も披露したアン・ハサウェイは、助演女優賞を受賞。初めて獲得したオスカー像を見つめると、「夢が叶ったのね」とつぶやいた。キャストやクルーを含む関係者に感謝の意を述べたハサウェイは、客席で見守る最愛の夫に対し、「私の人生における断トツに最高の出来事は、あなたと出会った瞬間よ。本当に愛しているわ」とコメント。「賞をありがとうございました。そう遠くない未来に、ファンテーヌのような不幸な人々が物語の中でしか見つからない世の中になることを願っています」とスピーチを締めくくった。
 
『世界にひとつのプレイブック』で夫を亡くして心に傷を抱えたヒロインを見事に演じ切り、弱冠22歳の若さで主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンスは、ステージに上がる階段でつまずくというハプニングに見舞われた。オーディエンスからスタンディング・オベーションを受けると、「転んじゃったから立ってくださったのよね、ごめんなさい、すごく恥ずかしいわ」と会場を笑わせた。そして、受賞したことを信じられない様子で、同部門にノミネートされていた他の女優陣に感謝すると、「皆さんと知り合えたことは、本当にアメイジングでした。とても良くしてくださって、皆さんのおかげで忘れられない経験となりました」と興奮した様子で語った。
 
主演男優賞は、多くの予想通り『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイスが獲得。『マイ・レフト・フット』(1989)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)に続き、3度目の受賞となった。
 
イギリス人でありながら、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンを熱演したデイ=ルイスは、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で昨年の主演女優賞に輝いたメリル・ストリープからオスカー像を受け取ると、「奇妙なものだな、実は3年前、僕がマーガレット・サッチャーを演じることが決まっていて、スティーヴン(・スピルバーグ監督)はメリルをリンカーン役の第1候補に挙げていたんだ」とジョークを飛ばし、「そのバージョンが観てみたいね」といたずらっぽい笑顔を見せた。
 
最多の4冠に輝いた『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督は、「映画の神様ありがとう。この賞を映画に関わった3000人のスタッフ全員と共有したいです」と笑顔を見せた。また、客席にいる同作のパイ少年役で俳優デビューを果たしたスラージ・シャルマに「君は奇跡だ」と語りかけると、「出演したすべてのキャストに感謝するには時間が足りないけれど、みんなは僕の心のオスカー像だよ」とコメントした。
 
ベン・アフレックが監督、主演、製作を務めた『アルゴ』は、監督賞のノミネーションこそ逃したものの、作品賞で見事にオスカー像を勝ち取った。監督賞にノミネートされなかった作品が作品賞を受賞するのは、実に23年ぶりだという。アフレックにとっては、『グッド・ウィル・ハンティング』で受賞した脚本賞以来、15年ぶり2度目のオスカー受賞となった。
 
「何年か前にここに立った時、僕は自分が何をしているか全く理解していませんでした。皆さんの前に立った僕は、本当にただの子どもでした。まさかここに戻って来ることになるとは思っていなかったけど、アカデミーや、何も得することはないのに僕を助けてくれたたくさんの素晴らしい人々のおかげで、こうして戻って来ることができました」とアフレックは受賞スピーチで振り返った。
 
「仕事が得られなかった僕を助けてくれた人々と、彼らからの教えに感謝しています。それは、自分ができると思う以上に努力しなければならないということ。人を恨んではならないということ。難しいことだけど、恨みを抱いてはならないのです。人生では必ず打ちのめされるような時が来るものですが、それは問題ではないということ。大事なのは、立ち上がるということです」
 
“映画と音楽”をテーマにした今年の授賞式は、ライブ・パフォーマンスも満載だった。アデルは歌曲賞に輝いた『007 スカイフォール』の主題歌「Skyfall」を、ノラ・ジョーンズは『テッド』の主題歌「Everybody Needs a Best Friend」を披露。『007』シリーズのトリビュートではシャーリー・バッシーが登場し、『007/ゴールドフィンガー』(1964)の主題歌を熱唱した。また、『レ・ミゼラブル』のメインキャストが集結し、感動的なパフォーマンスを披露した。
 
第85回アカデミー賞の受賞作品はこちらのページでチェック。監督賞を受賞した『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督の来日インタビューはMTV NEWS BLOGで公開中。
 
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