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ヴァンパイア・ウィークエンド、新作『Modern Vampires Of The City』を語る

2013-05-15
ヴァンパイア・ウィークエンドが、約3年ぶりとなる待望のニュー・アルバム『Modern Vampires Of The City』をついにリリースした。全米1位、全英3位を獲得し、2作連続で全世界累計100万枚以上のセールスを記録した前作『Contra』に続く通算3作目の今作で、彼らは初めて外部プロデューサーを迎え、ニューヨークを飛び出して西海岸でレコーディングを行った。MTV Newsでは、2月に開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」で来日したバンドから、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)とクリス・バイオ(B)にインタビュー。よりオーガニックでシンプルなサウンドが印象的な新作について、2月の時点で語れることを語ってもらった。夏にはアルバムを引っさげて、「FUJI ROCK FESTIVAL '13」で再び来日する予定だ。



—今回は2010年の単独公演以来の来日ですね。日本のファンは今回のライブも楽しみにしていると思います。

ロスタム: また来日できてうれしいよ。

クリス: ニュー・アルバムも既に完成しているから、良い気分だね。

ロスタム: 今回のステージ(註:2月に開催されたHostess Club Weekender)では、新曲を1曲か2曲披露する予定なんだ。でも、みんなにはライブよりも先にレコードを聴いてもらいたいんだよね。それは重要なことなんだよ。特別なサプライズやワクワク感を保ちたいから。

—新作から4曲のサンプラーを聴かせていただきました。前作『Contra』から3年が経っていますが、ニュー・アルバムを制作するまでは、どのように過ごしていたのですか?

ロスタム: アルバム以外に、いくつか他のプロジェクトも手掛けていたんだ。でもここ1年はアルバムに集中していたよ。

クリス: 2011年2月に南アメリカに行って、『Contra』を引っさげたツアーが終わった。長いツアーだったよ。ツアー後はファースト・アルバムの時よりも息抜きすることができて、それは良かったと思う。ファースト・アルバムのツアーの後は、すぐにセカンド・アルバムの制作を始めたからね。今回はもっと休む時間を取った方がいいと思ったんだ。

ロスタム: ツアーが終わって少し息抜きしたけど、新作のソングライティングは『Contra』が完成するよりも前から始めていた。僕らはいつもいろんなアイデアを考えていて、それらを集めて、さらにそこから派生するアイデアを考えて…そういった作業は常に行っているんだ。アルバムはゴールではあったけれど、特に締切りがあったわけではない。“いつぐらいまでに作りたい”という、ざっくりとした考えはあったけど、最終的にはそれよりも時間をかけることになったんだ。でもそれが重要だった。今作では、最終的に収録されなかった曲もたくさん書いたよ。大体50曲くらいから始めたんだ。

—すごいですね。毎回アルバムを作る時はそんなにたくさん書くんですか?

ロスタム: 今作はこれまでよりも多かったね。過去の作品では、途中まで書いてしっくりこないから止めた曲はあったけど、数曲だけだった。今回は自分たちにより厳しく進めたんだ。十分に良い曲だと感じられなければボツにしたし、良い曲だけど、自分たちが決めたサウンドやテーマに合わないという理由でボツにしたものもある。自分たちの作り上げていた世界観に合うかどうか、厳しく判断することにしたんだ。

—コンセプトやテーマは先に決めてあったのですか?

ロスタム: 最初はある程度幅を持たせて、制作が進むにつれて焦点を定めていった。アルバム全体を聴いてもらうと、各曲にコネクションを感じられると思うよ。

—今作を制作するにあたって、マサチューセッツ州のマーサズ・ビニヤード島へ曲作りの旅に行ったそうですね。

ロスタム: 僕らはいろんな形で集まっていたし、バンドとしても曲を書いていたし、さまざまなインスピレーションからアイデアを得ていた。そして昨年4月、僕とエズラ(・クーニグ、Vo/G)は楽器やレコーディング機材をヴァンに積み込み、マーサズ・ビニヤード島まで行ってみたんだ。

—ニューヨークから飛び出して、曲作りに集中しようと?

ロスタム: うん、まさに。オフシーズンで使われていなかった友だちの別荘を借りて、その場しのぎのスタジオを構え、新しいアイデアを作ることに集中した。僕らのメソッドとしては、まずエズラが散歩に出てリリックを書き、僕が家で音楽を作り始める。作った音楽をエズラに聴かせて、彼がそのサウンドに合わせて歌うんだ。ほとんどの場合、エズラは1度音楽を聴いただけで、それに合わせて歌っていたよ。ほぼ全ての場合、最初のテイクで生まれたメロディーが最終的に使用されているんだ。一部のリリックもね。向こうで6曲を作り始めたんだけど、その内の3曲はアルバムに収録されているよ。

クリス: 「Don't Lie」と「Hudson」と「Everlasting Arms」だよね?

ロスタム: そう、その3つ。それに、クリス・トムソン(Dr)とエズラが手掛けた別の曲の要素も取り入れたりした。だから、複数の曲を1つにしたという感じだよ。でも最終的には、ちゃんと1つの曲として聴こえるんだ。

—マーサズ・ビニヤード島にはどのくらい滞在したのですか?

ロスタム: 4、5日だよ。その間に6曲を作り始めたんだ。

—ニューヨークとは違う島の環境は、今作のオーガニックなサウンドに影響していると思いますか?

ロスタム: ある意味、答えはイエスだ。でも僕らは、そもそもオーガニックなサウンドを今作の主軸にしようと思っていたんだよね。後から手を加えたパートがあったとしても、その源となる音は生でオーガニックなものにしたかった。テーマやコンセプト、アルバムのタイトルやアートワークが、まるで家が建つように少しずつ決まっていったんだ。

—先日はインターネットで偽物のアートワークが出回っていましたね。あっという間に広まって、本物だと思った人も多かったようです。

クリス: ニューヨークの大学院に通う学生が、いたずらで作ったらしいよ。偽物のアートワークは、アルバムが完成したことを僕らが発表する前に作られたらしいんだ。僕らがそれまでに発表したいくつかの曲のタイトルに、でっちあげたタイトルを追加してね(笑)

ロスタム: あのアートワークは好きになれなかったな。アートワークとしてもあまり良くないし、本物を見たら、あのジャケットがどれだけ奇妙なものか分かると思うよ。でも今回のことで、インターネットでは間違った情報でも、ものすごい速さで広まるということがよく分かったよね。

—そうですね。ある意味、ヴァンパイア・ウィークエンドの新作への期待の高さも感じました。話は戻りますが、マーサズ・ビニヤード島への旅を終えてから、どのくらいの期間で全ての曲を書き上げたのですか?

ロスタム: 実は、曲作りは旅の前に終わっていたんだ。あの旅は曲作りの最後に行ったんだよ。多くの曲はさっき言ったようなやり方で、エズラと僕が作り始めたんだけど、中にはエズラがリリックとメロディを書いて、それを元に音楽を作り上げたものもある。従来の方法で、コードやメロディを作ることから始めた曲もあるしね。そこからアレンジして、ハーモニーを追加したりして、いかにして面白い世界観を作るかを考えることもあるんだ。

—エズラは『Contra』リリース時のインタビューで、西海岸のカルチャーから影響を受けたと話していましたが、今作のリリックはどのようなことからインスピレーションを得ましたか?

ロスタム: かなり幅広く、あらゆることからインスピレーションを得ているよ。でも曲の内容に関しては、実際にアルバムを聴いてもらってから話したいと思う。先入観なしに新鮮なマインドで聴いてもらった方が、曲がより意味深くなると思うんだ。

—エズラが今作について、「よりダークな内容」と語っているインタビューを読みました。

ロスタム: うん、そうだね。たとえば「Diane Young」は、リリックをよく聴いてもらうと分かると思うけど、死について歌っている。サウンド的にはアップビートなんだけどね(笑)


写真左から=クリストファー・トムソン(Dr)、クリス・バイオ(B)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、エズラ・クーニグ(Vo/G)

—レコーディングでは、今作で初めて外部のプロデューサーを迎えたそうですね。

ロスタム: 理由の1つとしては、僕らは長いこと曲作りに集中していたから、レコーディングをする段階になって、第3者の意見が欲しくなったんだ。アリエル(・レヒトシェイド)はもともと僕の友だちで、過去にも一緒に仕事をしたことがあった。既にとても仲が良かったし、アルバム完成後の今でも仲良いよ。だから、決して最初から外部プロデューサーを迎える予定ではなかったんだけど、結果的にこうなって良かったと思っている。曲作りを経て、僕らにはプロデューサーが必要だったんだろうね。

—彼はアッシャーやメジャー・レイザー、ウィー・アー・サイエンティスツなど、幅広いアーティストと仕事をした経験があるそうですね。

ロスタム: アリエルは、全てを生演奏でテープに録音するという手法でアルバムを制作したことがあるんだ。僕らが今作のサウンドに求めていたことの1つがテープだった。ほぼ全てのドラム演奏やベースの一部分は、テープに録音したんだよ。僕らはその音源をコンピューターに取り込んで、さらに手を加えたというわけ。

—実際に外部プロデューサーを迎えてのレコーディングはいかがでしたか?

クリス: とても楽しかったよ。新しい環境に入ると、おじけづいたり、ギクシャクしたりすることもある。それに僕は他のメンバーほどアリエルのことは知らなかったんだけど、今回はとても楽しかった。彼は一緒に仕事しやすい人で、最高だったよ。

ロスタム: アリエルはカリフォルニア出身で、20年ほど音楽制作をしているんだ。15歳の頃はバンドをやっていて、ヒット曲もあったんだよ。

クリス: ザ・ヒッポズ(The Hippos)っていうバンドなんだ…これ言ったら怒られるかな(笑)

ロスタム: 僕は高校の頃、彼のバンドのレコードを持っていて、いつも聴いていたんだ。14歳の頃にアルバムを持っていた人と一緒に仕事するなんて、不思議な気分だったよ。

クリス: 高校生の頃にバンドをやっていて、解散後に音楽制作を始めたんだよね。

ロスタム: 僕が初めてアリエルに会ったのは、『Contra』を完成した直後だった。共通の友だちを通じてね。その時、アリエルに『Contra』を聴いてもらって、「良くできたかどうか自信がないんだ」と言ったら、「冗談だろ、すごく良いよ」って言ってくれた(笑)それで連絡を取るようになって、どんどん仲良くなって、好きな音楽のこととか、いろいろ話すようになったんだ。

—また、今作はニューヨークではなくロサンゼルスでレコーディングしたそうですが、西海岸でのレコーディングはいかがでしたか?

ロスタム: 最高だよ。LAは大好きだし、ニューヨークを出ることができたのも良かった。さっきも言ったように、曲作りに長い時間をかけたからね。その多くは冬のニューヨークで書いたから、そこから飛び出すのは悪くなかったよ。とはいえ、アルバムには自分の家でレコーディングしたピアノのパートもあれば、マーサズ・ビニヤード島でレコーディングしたギターのパートも入っている。ある意味、レコーディング・セッションが僕らと一緒に旅をしていたようなものなんだ。ロサンゼルスでテープにレコーディングしたものもあるしね。

そういったさまざまな音を積み重ねて、レイヤーを増やしていくうちに、サウンドにより多くの色彩やテクスチャーが加えられた。より深みのある音を作ることは、僕らにとってとても重要なんだ。それはファースト・アルバムの頃から変わらないよ。クリス・トムソンの家で、「Cape Cod Kwassa Kwassa」や「Oxford Comma」の一部をレコーディングした頃からね。

—なるほど。いろいろな場所で生まれたアイデアやレコーディングした音が、1つに合わさって曲が生まれるわけですね。

ロスタム: そういうこと。僕らは2週間スタジオ入りしてアルバムを完成させるようなバンドには、絶対になれないと思うよ。そんなの無理だと思う(笑)いつか試してみるべきかもね。

—サウンド面では、今作で新たにトライしたことはありますか?

ロスタム: 「Obvious Bicycle」では、エズラが歌うコーラスのメロディがあって、そこに僕が歌う別のメロディが入ってくるんだ。ボーカルのメロディが曲の中で絡み合うのは、僕らにとって初めての試みじゃないかな。あれはいろんな要素を追加したり削ったりと、納得するまでに長い時間をかけた曲で、僕にとっては新鮮に聴こえるし…まあ、どの曲も全部そうなんだけどね(笑)

クリス: 僕にとっては、テープにドラムをレコーディングしたことが新鮮な試みだったな。それによってリズム・セクションにもっと温かみが生まれて、同時に特有の歪みも感じられる。最初の2作よりもディープなレコーディングだったと思うし、極端なサウンドを押し広げるのは良いことだと思うんだ。今作ではそれが達成できたように思うよ。

ロスタム: 僕らの音楽では、ある意味、パーソナルで親密な体験ができると思うんだ。僕らの演奏には、一生懸命保とうとしたたくさんの人間的なクオリティが詰まっていると思う。

クリス: 今作はよりディープなサウンドのアルバムになったよね。

—ファースト・アルバムでいきなり大きな注目を集めて、セカンド・アルバムではさらにメインストリームになった印象でしたが、サード・アルバムを制作するにあたって、特に何か意識したことはありましたか?

ロスタム: アルバムを制作してライブで披露できることを、僕はとてもうれしく思っているんだ。だから今作を制作する上でも、自分たちに再びチャレンジを与えることができるな、と思った。

クリス: 僕らは有名になる前から自分たちに厳しかったんだ。いろんな角度から考えることができるけど、自分が作っているものをたくさんの人が聴いてくれるということは、ポジティブなことだと思っているよ。

—アルバムを聴くのを楽しみにしています。今後の予定は?

ロスタム: アルバムをリリースしたらツアーに出るよ。日本にも夏に戻ってきたいと思っているんだ。

クリス: 日本のフェスは楽しい思い出だよ。2008年にサマソニ、2010年にフジロックに出演して、どちらも本当に素晴らしかった。だから、またフェスに出演できたらいいね(註:その後、FUJI ROCK FESTIVAL '13への出演が決定)。

—最後に恒例のメッセージをお願いします。

ロスタム: みんな大好きだよ!

クリス: 日本では必ずメッセージを聞かれるよね(笑)僕らは日本のファンが大好きだよ!

ロスタム: 僕はツナおにぎりも大好きだよ(笑)

Interview + Text: Nao Machida
Photo: Alex John Beck




ヴァンパイア・ウィークエンド:
米ニューヨークのコロンビア大学在学中に知り合ったエズラ・クーニグ(Vo/G)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、クリス・バイオ(B)そしてクリストファー・トムソン(Dr)によって、2006年春に結成。直球で、スマートで、ダンサブルでちょっとアフロっぽい実験的ポップ・サウンドが売り。楽曲のクオリティーとライブの評判の良さが話題を呼び、争奪戦の末XLレコーディングスと契約。2008年ファースト・アルバム『Vampire Weekend』で一気に全世界的なブレイクを果たし、2010年1月に待望のセカンド・アルバム『Contra』をリリースすると、全米1位、全英3位を記録。UKのインディペンデント・レーベル所属のアーティストとしては初の快挙を成し遂げ、今や現在のロック・シーンを代表するバンドとして注目を浴びている。




『Modern Vampires Of The City』
01 Obvious Bicycle
02 Unbelievers
03 Step
04 Diane Young
05 Don't Lie
06 Hannah Hunt
07 Everlasting Arms
08 Finger Back
09 Worship You
10 Ya Hey
11 Hudson
12 Young Lion
13. YA HEY ('PARANOID STYLES' MIX)※
14. UNBELIEVERS ('SEEBURG DRUM MACHINE' MIX)※
※日本盤ボーナストラック

日本オフィシャルサイト>>
『Modern Vampires Of The City』全曲試聴実施中!

12:55

元ザ・ミュージックのロブ・ハーヴェイが語る、新プロジェクトThe D.O.T.

2013-04-30
2000年代のUK音楽シーンを代表するザ・ミュージックのフロントマン、ロブ・ハーヴェイと、ザ・ストリーツことマイク・スキナーが、それぞれのバンド/プロジェクトを終了させて始動した新たなプロジェクト、The D.O.T.。昨年の「FUJI ROCK FESTIVAL '12」では、アルバム発売前にして7000人の音楽ファンを盛り上げた彼らが、ついに今月(4月24日)フル・デビュー・アルバム『Diary』をリリースした。MTV Newsは先日プロモーション来日したThe D.O.T.のロブ・ハーヴェイにインタビュー。ザ・ミュージック脱退の理由からThe D.O.T.の結成秘話、マイクとのコラボレーションについてなど、じっくり語ってもらった。



—お久しぶりです。今回で来日は何回目ですか?

ロブ・ハーヴェイ(以下、ロブ): 多分15回目くらいだと思うな。日本は大好きなんだ!今朝もホテルの窓から東京の街を眺めて、すごく良い気分になった。前回は2012年のフジロックだったよ。

—ザ・ミュージックでもフジロックは常連でしたよね。

ロブ: 全部で6回くらい出たんじゃないかな(笑)

—前回のフジロックからはザ・ストリーツのマイク・スキナーと新ユニット、The D.O.T.として来日したわけですが、どのような経緯でスタートしたプロジェクトなのですか?ザ・ストリーツの最後のアルバム『Computers and Blues』(2011)にゲスト参加されていましたが、そのことがきっかけになったのでしょうか?

ロブ: 僕らは10年間くらい、マネージャーが同じだったんだ。だからいろんな場所で顔を合わせていたし、お互いの作品もチェックしていた。それでマイクがザ・ストリーツの最後のアルバムに誘ってくれて、僕はチャンスに飛びついたんだ。彼の作品を長年に渡ってリスペクトしていたからね。

—その時に初めて一緒に作業したんですか?

ロブ: うん、初めて一緒にスタジオ入りした。それをきっかけに、とても自然に始まったプロジェクトなんだよ。僕らはどんどん音を作り始めて、スタジオで一緒にプレイしているうちにできた最初の曲がすごくエキサイティングだったから、そのまま続けることにした。

—その曲は昨年のプレ・デビュー・アルバム『And That』に収録されているのですか?

ロブ: 実は新作に収録されているよ。「Most of My Time」っていう曲さ。

—あの曲なんですね!既にザ・ミュージックとして成功を収めていて、マイクもザ・ストリーツとして活躍していたわけですが、なぜその全てを辞めて、新たなプロジェクトを始めようと思ったのですか?ザ・ミュージックは日本でも大人気だったので、解散には多くのファンが驚いていました。

ロブ: 僕らはパーソナルな決断をしなければならなかった。正直に言うと、ザ・ミュージックで長く活動してきて、その時点で僕らはあまりハッピーではなかったんだ。バンドを始めた時はとても親しくて、いつも一緒に遊んでいた。でも成功と共に、それぞれがバラバラになっていったんだ。家を買ったり、彼女ができた者もいれば、別の友人グループと遊ぶようになったりもして。人生が変わるにつれて、責任も増えてきて…人はそうやって変わっていくものだよね。僕らも成長するにつれて、少しずつ離れていったんだと思う。だからバンドは辞めたんだよ。

よりポジティブな視点で考えると、僕にはチャレンジが必要だった。あの頃の僕は、自分が音楽活動を続けたいかどうかも分からなかったからね。でもマイクと音楽を作ることで、僕に自由が与えられたんだ。プレッシャーなしに音楽活動に戻ることができたんだよ。壁もなしに…過去もなしにね。ザ・ミュージックだと、曲を作る度に「どうして「Getaway」のようなサウンドじゃないんだ」と言われたりしていた。僕は曲を書いた当時と同じではないのにね。そんなプレッシャーを振り払うことができたのも良かったよ。それにマイクとの音楽作りは最高なんだ。彼はとてもクリエイティブな人だからね。

—そうだったんですね。そんなマイクと結成したThe D.O.T.では、1年で60曲も書いたそうですね。

ロブ: 70曲以上だよ。たったの1年半でね!その多くはかなり狂っていたんだけど(笑)、その中で最高なものをアルバムに収録したんだ。

—ザ・ミュージックやザ・ストリーツのファンは、そのどちらとも違ったThe D.O.T.のサウンドに良くも悪くも驚くかもしれません。そういったことを理解した上で、新たな方向に進むのはどんなお気持ちでしたか?興奮しましたか?それとも怖かったですか?

ロブ: その両方の感情が同じくらいあったように思うよ。個人的にはとてもエキサイティングだった。作品を人に聴かせると考えると、ちょっと怖かったけどね。でも僕はこのプロジェクトに心を注いでいるんだ。これはザ・ミュージックでもザ・ストリーツでもないけれど、僕の心が注がれたプロジェクトなんだよ。

—実際にザ・ミュージックのファンからの反応はいかがでしたか?

ロブ: 日本とイングランドでは少し違うんだよね。日本のファンは忠誠心が強いように思うから、とてもうれしいよ。イングランドでは気に入ってくれた人もいるけど、「ノー、こんなの嫌だ」っていう人もいるよ(笑)でも、それはフェアな意見だよね。僕らは他の人を喜ばせるためでなく、自分たちに作る必要があって作っているわけだから。音楽は僕にとって唯一の自己表現の手段なんだ。僕はシンガーになることを選んだわけではない。ただ歌うことしかできなかったんだよ。歌うことでしか自己表現できないんだ。

—シンガーになることを夢見ていたわけではないんですか?

ロブ: 違うんだ。尊敬しているシンガーはいたけれど、サッカー選手にも憧れていたし、でもそこまでうまくないからさ(笑)サッカーではちゃんと自己表現できないから。

—なるほど。今回のアルバムについて、ツイッターでは日本語で発表していましたね。

ロブ: 僕は日本語が話せないけど、日本のファンのために、できる限りのことはしたいと思って。ツイートなら簡単にできるからね。

—ファンは喜んでいたと思います。日本のファンがたくさんリツイートしたんじゃないですか?

ロブ: うん、そうだったらいいな。でも僕はフォロワーが少ないから、60リツイートくらいかな。マイクは20万人くらいフォロワーがいるんだよ。僕は5000人くらい(笑)



—前作『And That』はよりダンス色が強かったですが、今回リリースする『Diary』にはオーガニックなサウンドの楽曲が多いですね。

ロブ: 意識的にそうしたというのもあるし、一部の曲は書いたタイミングによってそうなったんだ。書いた時に感じていたことや聴いていたもの、夢中になっていたものによって、サウンドは変わってくるからね。『And That』に収録したエレクトロニックな楽曲は、より実験的でペースも速いし、意識的な考えも少ない。僕らは今回の『Diary』でジャッジされると分かっていたから、より強い楽曲を作りたいと考えたんだと思う。

—あなたもマイクもそれぞれ素晴らしいソングライターですが、2人はどのように楽曲を作るのですか?

ロブ: 「Make It Your Own」はマイクが音楽を作って、僕がボーカルをやった。他の2人のミュージシャンが作った曲もあるし、マイクがひとりで作った曲もあるし、「Makers Mark」はマイクと僕ともう1人で作った。「Left at the Lights」は僕が家で書き始めて、それをマイクに送ったら彼がビートを作って、コーラスは2人で作った。「Left Alone」も他の2人のミュージシャンと一緒に、最初のセッションで作った曲。「What Am I Supposed to Do?」はマイクが書いた…そんな感じで、いろんな形で作ったんだよ。作曲はコラボレーションが多いね。作詞は僕が書いたものか、マイクが書いたものか、まあ2人で書いたものもあるけど。

—2人で作詞ってどのような作業なんですか?

ロブ: 時に相手を信用する必要があるんだ。リリックにおいて、僕はマイクを信用している。彼はとても良い作詞家だ。だから作詞をする時、彼に何か提案されると、信用しているからトライしてみようと思える。それが時に功を奏するんだよ。マイクに提案されると、ほとんどの場合は僕のリリックがより良いものになる。それはメロディでも同じことだ。逆に僕の方が、マイクが思いつかなかったようなメロディを考えることもある。共同作業では信用と柔軟性が大切なんだ。それにお互いをクリエイティブにさせることがね。マイクはプロデューサーで僕はシンガーだから、僕らの役割分担はうまくいっていると思う。2人とも曲を書くけど、難しかったことはない。自然にできるんだ。

—ライターという仕事柄、誰かと一緒に書くってとても興味深いです。

ロブ: 僕らだって何か一緒に書けると思うよ!一緒に書く相手次第だと思うんだ。柔軟性があればあるほど、よりパワーがあるということで、柔軟性のある人が2人いれば、それは相当パワフルになる。

—視点が増えるわけですね。

ロブ: そういうこと!僕が1つ文章を書いて、相手が1つ文章を書いて、相手の文章によって、また次の文章を考えて…ってそんな感じにね。とてもシンプルなんだよ。時にはトラックが先にあって、歌いながら言葉を入れていく場合もある。とにかくお互いを信用することが大切なんだ。

—アルバムのタイトル『Diary』の由来は?

ロブ: 僕らのオフィシャルサイトに「Diary」って動画コンテンツがあるだろう?ぴったりだと思ったんだ。今作は僕らの人生に置けるこの時期を集めたアルバムだったから。

—そもそもなぜユニット名はThe D.O.T.なのですか?

ロブ: それは秘密なんだ。どんなに検索しても、理由は出て来ないはずだよ。誰にも言ったことがないんだ。みんなに聞かれるんだけど、絶対に言わないんだよ。

—すごく気になります!

ロブ: (笑)

—セッションで生まれた楽曲を1枚のアルバムに集める上で、こだわったことはありますか?

ロブ: ユニークな作品にしたかったんだ。マイクはザ・ストリーツでコンセプトを決めて作品を作っていた。だから、僕らは逆に、意識的にあまりコンセプトを決めないで作品を作ることにした。より自由に感じられるようにね。物語を決めるのではなく、楽曲それぞれに語らせるようにしたかった。

—「How We All Lie」をリード・シングルに選んだ理由は?

ロブ: マイクの歌も入っているし、バンドのイントロダクションとしてとても良い曲だと感じた。

—マイクの歌を聴くことができたのは、うれしい驚きでした。

ロブ: だよね!

—「Under the Ladder」はマイクですよね。

ロブ: ああ、「Under the Ladder」は素晴らしい楽曲だ。「What Am I Supposed to Do?」や「Wherever You May Be」もマイク。それに「How We All Lie」などでバックボーカルを歌っているよ。

—マイクはThe D.O.T.でもラップすると思っていた人もきっと多いですよね。

ロブ: うん。でも、それではザ・ストリーツ過ぎるからね。

—それにロブのボーカルも、ザ・ミュージックの時とはまた違った側面が感じられて新鮮でした。特に「Most of My Time」とか。意図的に新しい歌い方に挑戦したのですか?

ロブ: 「Most of My Time」は、これまでよりソウルフルに歌っている。これまでも同じように歌ってはいたんだけど…ある意味、ジャケットのようなものなんだ。すごく痩せていても大きなジャケットを着れば、自分を大きく見せることができる。ザ・ミュージックはある意味、大きなジャケットだったんだと思う。誰もジャケットの下に何があるか見ていなかった。でも今は、ちゃんとサイズの合ったジャケットを着ている…すごい変な説明だね(笑)僕は昔からモータウンとかが大好きだったんだ。個人的にはそういう曲が好きだったんだよ。でも実際にそれを試すことができたのは、今回が初めてなんだ。

—特に気に入っている楽曲は?

ロブ: 「Blood, Sweat and Tears」。この曲を歌うとものすごい満足感を得られるんだ。

—エレクトロニックな前作から、よりソウル/ロックな今作まで、The D.O.T.にはさまざまなエレメントが含まれていますが、マイクとのコラボレーションで得た最大の発見は何だと思いますか?

ロブ: マイクの仕事のやり方は僕とは大幅に違うから、根気を持つことや作品を再考することといった意味で、学ぶことは多かった。昔の僕は何かを作ると、「もうこれでいい」っていう感じだった。でもマイクは「いや、もっと改善の余地があるはずだ」って。だからリリックをひねったり、メロディをもっと深く考えたり、これまでとは違うことを試したりすることを学んだ。それに曲の何かが違うと思ったら、全てを捨てて最初からやり直したりね。僕はどちらかというとパフォーマーなんだ。ライターというよりも、ライブ・シンガーなんだよ。でもマイクとの仕事によって、これまでよりもライターとして成長できたように思う。

—アルバムを聴く限り、とても楽しんで制作されたのだろうなと思いました。

ロブ: なかなかうまくいかない時もたくさんあったし、壁にぶち当たることもあった。でも、それを再考して、新鮮な目で見つめることができた。たとえば曲を書いて、それからフジロックに行って、7000人の前でライブして帰ってくると、ものの見方が変わるんだ。そういった経験が視点を変えることもあるんだよ。とにかくいろんな側面があるから、ここで1日中でも話していられるよ(笑)

—フジロックのレッド・マーキーに7000人集まったときは、どんな気分でした?

ロブ: ビビったよ(笑)完全に圧倒されたね。ぶったまげた。

—6月にはアルバムを引っさげて、単独来日公演を行うそうですね。

ロブ: フジロックのようなライブになるけれど、もっと自信もあるし、集中して、よりエネルギッシュなステージを届けられると思う。

—来日ツアーで最も楽しみにしていることは?

ロブ: 1曲目が始まる瞬間。とにかく僕らの音楽が好きな人のためにプレイできることを楽しみにしているんだ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ロブ: フジロックで盛り上がってくれてありがとう。ニュー・アルバムを気に入ってくれることを願っているよ。6月のライブに来てね。応援ありがとう!


Interview + Text: Nao Machida




The D.O.T.

ザ・ミュージックのフロントマン、ロブ・ハーヴェイと、ザ・ストリーツことマイク・スキナーによる、ニュー・プロジェクト。2012年7月に出演したフジロックのレッドマーキーでのステージは、アルバム発売前にも関わらず7000人を越える超満員の観客を熱狂させた。同年10月に世界初リリースとなる、プレ・デビュー・アルバム『And That』を発売(CDは日本国内のみの発売)。そして2013年4月、遂にThe D.O.T.としてのフル・デビュー・アルバム『Diary』をリリースした。




『Diary』

1. Make It Your Own
2. Don't Look at the Road
3. Blood, Sweat and Tears
4. How We All Lie
5. Under a Ladder
6. Makers Mark
7. Left at the Lights
8. Left Alone
9. Wherever You May Be
10. Most of My Time
11. What Am I Supposed to Do?
12. How Hard Can It Be?

日本オフィシャルサイト>>
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The D.O.T. JAPAN TOUR 2013
6月11日(火)大阪 Club Quattro
6月12日(水)名古屋 Club Quattro
6月13日(木)東京 Liquidroom

00:00

リバース・クオモとスコット・マーフィーの“邦楽”ユニット Scott & Rivers日本語インタビュー

2013-04-18


あのウィーザーのリバース・クオモと、邦楽のカバー・アルバムでも知られるALLiSTERのスコット・マーフィーが、最近「日本語で歌う外国人」として話題です。彼らの名はScott & Rivers。3月に全曲日本語のファースト・アルバム『スコットとリバース』をリリースし、先日は東京と大阪でライブを行いました。会場では「洋楽じゃないよ」と書かれたバッジも販売されるほど、とことん“邦楽”にこだわったユニットなのです。

1度聴くとクセになる日本語ロックが気になって、MTV Newsは東京公演を翌日に控えた彼らに取材を依頼。すると2人から、「日本語でインタビューしてほしい」という要望が返ってきました。驚くほど流暢に日本語を話すスコットさんと、そんな彼に時折質問の意味を確認しつつ、一生懸命答えてくれるリバースさんに感心させられっぱなしだった今回のインタビュー。2人のアメリカ人ミュージシャンは、なぜ日本語で音楽活動を始めようと思ったのか?その全てを聞いてきました。日本語で。



—今日は日本語でよろしくお願いします!

スコットとリバース: よろしくお願いします!

—リバースさんは最近、日本語専用のツイッター・アカウントもお持ちですね。ときどき「寂しい」って書いてあって気になります。大丈夫ですか?

リバース: 今は大丈夫です。いつも…真ん中?

スコット: あ、夜中?

リバース: うん、夜中に、たくさんプロモーションした後で…家族がいません。寂しいです。

—そうだったんですね!気になっていたんです。

リバース: ありがとう。



—初めてテレビでScott & Riversを観た時は本当に驚きました。それからアルバム『スコットとリバース』を聴かせていただいたのですが、まるで日本人が歌っている邦楽のように、自然に楽しませていただきました。そもそも2人はどのように出会って、なぜ日本語で音楽活動をしようと思われたのですか?

リバース: 2006年に結婚した後で、家内は毎日、日本の音楽番組を観ていました…家内は日本人です。(日本の番組は)ロスでも観れますし、熊本でも(註:奥さまは熊本県出身)。だから、私はちょっとうらやましかったです。それで(日本語の音楽活動を)やりたいと思いました。でも日本語まだ難しいから、パートナーを探して、スコットさんに連絡しました。

—日本の音楽はアメリカの音楽と比べて違うものですか?

リバース: うん。全然違います。日本の音楽はアメリカの音楽より、もっと…コンプレックス?

—複雑ですか?

リバース: うん、フクザツです。コード進行やメロディ、転調が複雑です。アメリカの音楽は、もっと繰り返す。だから、ちょっと興味がない。つまらないです。日本の音楽は私に自由をくれます。

—日本の音楽が自由を!そうなんですね。スコットさんは以前から邦楽をカバーされていましたが、最初はどのようなきっかけで日本語の音楽に興味を持ったのですか?

スコット: 10年くらい前にALLiSTERで日本に来た時に、スピッツのアルバムを聴いてすごく好きになって。その時はあまり日本語しゃべれなかった…全然しゃべれなかった(笑)でも、どんどん日本語を勉強して、好きな日本のアーティストが増えて、やっぱり自分でも日本語で歌ってみたいなと思いました。

—とても流暢にお話しされていますが、日本語のレッスンを受けたのですか?

スコット: 受けてないです。独学で。

—すごいですね!ペラペラですね。

スコット: いやいや、そんなことないです。



—リバースさんがスコットさんに連絡をして、最初に会ったのはいつですか?

スコット: うちらが出会ったのは、いつだっけ?3、4年前かな。

—海外で音楽活動をしてきたアーティストが、共に日本語で活動したいと思うって珍しいことですよね。最初に会って話をした時から、2人が目指していたものは同じだったんですか?

スコット: そうですね。ロスで会って、なんか日本の話で盛り上がって。ぜひユニット組んでみようって。で、わりとすぐやり始めました。

—2人で最初に作った日本語の曲は、アルバム『スコットとリバース』に収録されていますか?

スコット: 1番最初にレコーディングしたのは「HOMELY GIRL」です。で、4年間でちょっとずつレコーディングして、やっぱり2人ともその間に(日本語が)上達していたんです。最後の方にアルバムとして聴いたら、うちらの日本語があまりうまくない状態だったから、録り直しました。だから「HOMELY GIRL」は、最初でもあり最後でもある曲です。



—邦楽に挑戦した2人にとって、日本の楽曲のどのようなところが1番の魅力ですか?リバースさんは2009年のフジロックで「君が代」を歌っていましたよね。

リバース: うん。メロディが大好きです。すごくきれい、神秘的。感動する。日本っぽい。それに、毎日うちで子どもの歌を聴いています。♪サッちゃんはね~♪

—童謡を聴いているんですね。「サッちゃん」のメロディも日本っぽいと思いますか?

リバース: うん。日本っぽい!

—日本の童謡って、子ども向けなのにどこかちょっと切ない感じがありますよね。

スコット: そうだね。「たいやきくん」とか、すごい切ない曲じゃないですか(笑)

リバース: (英語で)メロディ?それともリリック?

スコット: どっちも。

—1番最初に夢中になった日本のアーティストは?

リバース: ユミ・アライ。

—ユーミンの初期の曲が好きなんですか?

リバース: うん、70年代。ユミ・アライです。

—それも奥さまの影響で?

リバース: お姉ちゃん。義理のお姉ちゃんです。阿蘇に運転しながら、ずっとユミ・アライのベストを聴きました。

—1番好きな曲はどれですか?

リバース: 「翳りゆく部屋」です。

—ちょっと切ない感じの曲がお好きなんですね。

リバース: うん。



—日本の音楽に詳しいスコットさんが、最初にはまった邦楽は?

スコット: 最初はスピッツとかサザンオールスターズを聴いて、それから椎名林檎さんのアルバムを聴いて、すごい感動しました。彼女の声とか、独特な日本っぽいメロディで、でもいろんな楽器を使っているところとか。アメリカにはない感じの音楽です。

—そして今回、Scott & Riversの邦楽アルバム『スコットとリバース』がリリースされたわけですが、最初からこのユニットでアルバムを作ろうというゴールはあったのですか?

リバース: 何?

スコット: アルバムを作ることは僕らのゴールだった?

リバース: あー!紅白をしたい。

—紅白歌合戦に出演することがゴールなんですか?

リバース: うん。毎年観ています。

—そうなんですね(笑)今回のアルバムでは、2人はどのようなプロセスで曲作りをしたのですか?

リバース: 最初は私が英語で歌を作って、音楽を作曲してスコットに送りました。

スコット: で、それを見て、イメージして日本語の歌詞を書きました。ほとんど全部の曲をその形で書きました。

—翻訳をしていると、ぴったりと来る言葉が見つからなくてモヤモヤすることもあると思いますが、日本語で作詞をする上で1番難しいのはどんなところですか?

スコット: 1番難しかったのは、日本の詞はあんまり韻を踏まないこと。やっぱり英語で歌詞を作る時に必ず韻を踏むので、どうしても韻を踏まないと気持ち悪いんです。それに僕の日本語は完璧じゃないから、本当に言いたいことがあんまり言えなくて。

—アルバムを聴く限り、日本人が作詞したみたいに完璧でしたよ!たとえ言葉が話せても、作詞はさらにレベルの高い難しいことだと思うので、とても感心しました。

スコット: ありがとうございます。



—たとえば、英語で「切ない」の意味を説明しようとして、言葉が見つからなくて困ったことがあるのですが、そういう言葉ってありますか?

スコット: 難しいよね!結局何にした?

—いろいろ説明したんですけど、お互いモヤモヤしたままだった気がします(笑)リバースさんは「切ない」って分かります?

リバース: 分かります!(急に英語で)僕はfoot(足)とleg(脚)が両方“あし”なのが、いつも納得いかないんだ。人体における全く異なる部位なのに!

—なるほど。先ほどリバースさんは、日本語の音楽に自由を与えられたとおっしゃっていましたが、日本語を覚えたことや、日本語での音楽活動を通じて、考え方が変わったことはありますか?

リバース: アメリカで芸術家は大切な人。テレビであまりからかわれない。でも「スッキリ」で、加藤(浩次)さんはちょっとからかいました。でも面白いし、多分いいことだと思います。日本では謙虚な気持ちになります。芸術家は普通の人だから。

スコット: 僕は(日本語の)学校に行っていないから、大体会話で勉強していて、「この言葉=この言葉」という風には考えていないんです。日本語をしゃべる時は日本語の考え方にしています。

—頭の中で切り替えるんですか?

スコット: そうそう、切り替える。だからリバースから「その言葉って英語で何て言うの?」って聞かれると、逆にすごい難しい。

—リリックでも「HOMELY GIRL」の“目が一重、二重”とか、とても日本的ですよね。「I NEED SOMEBODY」の仕事に追われる日々の描写や、「ほどけていたんだ」の“毎日電車に乗って”という部分など、2人が歌っているのに日本の風景が浮かんできました。そういった日本っぽい要素は、リバースさんが書いた英語詞に入っていたのですか?

リバース: 私はたぶんアメリカのイメージを使います。そして、スコットさんは日本っぽいイメージを書きます。



—音楽面では「おかしいやつ」をはじめ、ウィーザーのアルバムに収録されていてもおかしくないようなサウンドが満載で、でも日本語で歌われているので、とても不思議な体験でした。

リバース: いつも歌を作る時、目標がない。私の座右の銘は「神のみぞ知る」です。だから、たぶんこの歌はウィーザーのCDにも似てる。

—そうですね。似ている部分もあるんですけど、その一方で「朝が近い」とか「遠く離れても」の特にイントロ部分などは、とても邦楽っぽく感じました。日本語の曲だからあえて冒険してみた部分はありますか?

リバース: 「朝が近い」を作った時、目標がなかった。実は日本人の作曲家と作りました。でも、日本のアーティストにあげましょうとか、ウィーザーのCDに出ますとか、他のプロジェクトとか…目標が…I had no idea(何に使うか決めていなかった)。神のみぞ知る。実はいつも、いろいろなスタイルに興味があります。アメリカで、ときどきラップを作っています。

—リバースさんがラップするんですか?

リバース: うん。いま習っています。

スコット: ラップって習うものなの?(笑)

—(笑)じゃあ今度はぜひ日本語でもラップに挑戦してください。

リバース: 日本語で!? グッド・アイデア!

—ようやく2人で作ったアルバムが完成して、最初に聴いた時はどう思われましたか?

リバース: ほっとする。

スコット: やっぱり4年間がんばって作った作品なので、子どもみたいに思えて、みんなに聴いてもらえるようになって、すごいうれしい。

—リバースさんは奥さまの影響で邦楽に興味を持ったとのことですが、奥さまはアルバムを聴いて何とおっしゃっていましたか?

リバース: 家内は音楽はあまり興味がない。若い時、音楽が大好きでした。今は音楽の情報だけ読んでいます。毎日毎日インターネットで読んでいます。でも音楽は聴きません。

—でも『スコットとリバース』は聴かれたんですよね?

リバース: 聴きました。たぶん好きです。あまり(感想は)言いませんでしたけど、彼女は…(英語でスコットに)何ていう言葉だっけ?

スコット: 応援?

リバース: うーん…プロモーションをプッシュする?

—もっとプロモーションするべきだと?

リバース: うん。



—それから、アルバムでは木村カエラさんの「Butterfly」をカバーされていて、とてもユニークな選曲だと思いました。なぜあの曲を選んだのですか?

スコット: このアルバムは春のリリースだったから、春っぽい曲がいいなと思って。木村カエラさんの「Butterfly」か松任谷由実さんの「春よ、来い」にしようと。いろいろ考えたんだけど、結局あの曲がすごく良くて。

リバース: すごく複雑。たくさん転調。

—日本的な曲だと思いますか?

リバース: うん。

—子どもの頃、意味も分からずに聴いていた洋楽の内容を、大人になってから知って驚いたことがあるのですが、日本語の曲でそういうことってありますか?

リバース: まだ(日本語が)2歳の子どもみたいだから、分かりません(笑)

スコット: 僕は1番最初にカバー・アルバムを出した時、その時はあんまりしゃべれない頃だったから音で歌詞を覚えて、何の意味かよく分からなかった。けど今歌うと、「あ、そういう意味だったんだ!」って。そういう発見をすると、すごい面白いです。

—Scott & Riversのライブでは、アルバムの楽曲を日本語で披露されるわけですよね。外国語で歌うのは簡単なことではないと思いますが、ライブにはどのように挑みますか?

スコット: 完璧にカンペ(笑)覚えにくい言葉はメモって。覚えるのは大変ですね。

リバース: 本当はスコリバと演奏するのは簡単です、ウィーザーより。他の(自分以外の)フロントマンがいるから。(スコットは)よくしゃべっています。

スコット: それは悪い意味?(笑)

リバース: プレッシャーが下がります。楽になる。




4月4日に行われた東京・渋谷CLUB QUATTRO公演には、くまモンがサプライズ出演!

—リバースさんは、日本語の歌詞は大丈夫ですか?


リバース: (ため息)…はい、本当はすごく難しいです。

—アルバムも発表して、ライブも行って、たくさんのファンを魅了されていますが、将来的にScott & Riversとして、また新しいアルバムを作る予定はありますか?

リバース: はい。

—今後もご活躍を楽しみにしています!最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

スコット: このアルバムはすごいがんばって作った作品なので、みんなにぜひ聴いてもらいた
いと思います。これからどんどん面白いことやりたいと思うので、よろしくお願いします。

リバース: スコリバのライブに行ってください。すごく楽しみですね。



Interview + Text: Nao Machida
Photos: Tetsuro Sato
Make-up: Megu
Live Photos: Taku Fujii




Scott & Rivers
LAのオルタナティブ・ロックバンドweezerのG,Voのリバース・クオモとシカゴのポップなパンクバンドALLiSTERのB,Voのスコット・マーフィーが共通の友人であるエンジニアを介して意気投合!リバースの念願だった日本でオリジナル日本語楽曲デビューを果たす。そして2012年末の大型ロックフェスで初お披露目し、早くも話題に。



『スコットとリバース』
01.BREAK FREE
02.HOMELY GIRL
03.FREAKIN’ LOVE MY LIFE
04.おかしいやつ
05.朝は近い
06.終わりのないこの詩
07.遠く離れても
08.I NEED SOMEBODY
09.はじける
10.ほどけていたんだ
11.Butterfly
12.君と二人で

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