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アイスランドが生んだ奇跡の歌声、アウスゲイル来日インタビュー

2014-03-20
アイスランドの人口わずか40人ほどの町から誕生したシンガーソングライター、アウスゲイル。その美声が話題を呼び、本国では全人口の10パーセントが所有するほど大ヒットしたデビュー・アルバムの英語盤『In the Silence』が、年明けにここ日本でもリリースされた。

MTV Newsでは、2月に初来日を果たしたアウスゲイルにインタビュー。素顔はシャイな弱冠22歳の若き才能に、そのバックグラウンドや音楽性を語ってもらった。7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '14」で再び来日することが決定している。



—今回が初来日だそうですが、初めての日本はいかがですか?

日本の全てがとても気に入ったよ。食べ物はおいしいし、人は優しいし。昨日は渋谷を歩いて、あの有名な交差点に行ってきた。こんなにいろんなことが起こっている街なのに、ニューヨークのような他の大都市と比べると、とてもリラックスできるし静かに感じる。それにすごく清潔だね。

—アイスランドのとても小さな町出身だそうですね。

アイスランド北西部にある小さな町、ロイガルバッキの出身なんだ。僕は100人も住んでいない小さな島で生まれたんだけど、両親が教師だったから、仕事の都合で引越しが多かった。最終的に9歳か10歳でロイガルバッキに引越して、そこが僕の故郷となった。

—ロイガルバッキはどんな場所ですか?

4、50人しか住んでいなくて、住民の多くは引退した老人なんだ。川が流れていて、夏は釣りで人気なんだよ。僕は釣りには興味がなくて、そこにかかっている橋から友だちと飛び込んでは釣り人の邪魔をしていたけどね(笑)町の反対側には丘や山があって、フィヨルドを眺めることができる。美しい町だよ。

—今はどこを拠点に活動しているのですか?

今はレイキャビクを拠点にしているよ。家族は今もロイガルバッキに住んでいて、車で2時間ほどだから、ときどき帰るんだ。レイキャビクには16歳の時に進学のために引越したんだけど、最初の2年間は毎週末ロイガルバッキに帰っていた。レイキャビクはうるさいし、車や人が多すぎて耐えられなかったんだ。

—レイキャビクは大都市なんですね。

いや、そうでもないんだ。最近になって、レイキャビクが小さい町だったということに気づいたよ(笑)ものすごくリラックスした町だと思う。でも当時の僕は小さな町出身だったから、レイキャビクでもトゥーマッチだったんだ。ロンドンやニューヨークといった大都市を経験したら、今ではレイキャビクでもリラックスすることができるけどね。

—ご両親もミュージシャンだったそうですね。音楽に囲まれて育ったのですか?

母はミュージシャンとして仕事をしていて、オルガン奏者なんだ。それに教師でもあって、歌やピアノを教えている。父はアイスランド語の先生で、詩や文章を書いていたんだけど、アコーディオンやピアノを趣味で弾いている。それに姉が1人いて、僕らは音楽学校に通っていたんだ。僕は6歳でクラシックギターを始めて、19歳まで弾いていた。ピアノやドラムは独学で覚えた。

—初めて買ったレコードを覚えていますか?

ニルヴァーナの『Nevermind』だよ。6歳の時に母が買ってくれた。母は合唱団を引き連れていろんな場所に行っていて、僕はニルヴァーナについて知ったから、買ってきてほしいと頼んだんだ。それから出張に行く度にCDを買ってきてくれるようになった。

— 6歳児にとって、ニルヴァーナはどんな風に聴こえましたか?

6歳のくせに、僕はものすごくはまってしまったんだ(笑)10歳くらいまでとてもはまっていたよ。子どもの頃はロックが大好きだった。9歳で初めて参加したバンドはロックだったんだ。でも自分以外、他の誰も楽器を弾けなかったから、全ての曲を自分で書くしかなかった。あとは他のみんなが何を弾くべきか妄想しただけで、僕らはバンドになりきっていただけだけどね。

— 9歳で曲作りを始めたなんてすごいですね。当時の曲の音源は残っていますか?

残っていないことを願うよ!1曲は「俺に近づくな」っていうリリックだったことを覚えている。グランジの影響が強い、暗い曲さ(笑)ギターをかき鳴らして叫んでいるような。あの頃の僕は毎日曲を書いていたんだ。

—今のあなたの作品を聴く限り、グランジの影響はあまり残っていないようですね(笑)今回のアルバム『In the Silence』を制作する上で影響を受けたアーティストはいますか?

今回のアルバムを制作する前に、初めてエレクトロニック・ミュージックにはまったんだ。子どもの頃は、音楽は楽器で演奏するべきで、コンピューターで作るべきではないと思っていたから、大嫌いだったんだよ。でもジェイムス・ブレイクを聴いて、初めてエレクトロニック・ミュージックに魅了された。彼をきっかけに、マウント・キンビーとか他のアーティストの作品も聴くようになって、制作中は大きな影響を受けたよ。

あとは以前から親しみのあったフォーク・ミュージックだね。アルバムの大半の曲はアコースティック・ギターで、フィンガーピッキング・スタイルで書いたんだ。ケリー・ジョー・フェルプスとかザ・トーレスト・マン・オン・アースといったギタリストには、クリエイティブな面で影響を受けた。他にもボン・イヴェールとかフリート・フォクシーズとか、好きなアーティストはたくさんいるよ。

—今作は当初はアイスランド語でリリースした作品だったそうですね。

曲は全く同じで、歌詞がアイスランド語だったんだ。ボーカルだけ英語に変えてレコーディングしなおしたんだよ。英語にするのは最初は変な感じで、慣れるのにしばらく時間がかかった。満足いくまでに何度か試して、結果にはとても満足しているよ。

—歌詞の内容は全く同じなのですか?

ほぼ忠実に訳してあるよ。アメリカ人のミュージシャン、ジョン・グラントが翻訳を手伝ってくれたんだ。英語にした時にナチュラルに聴こえるように、言い回しや言葉を変えたりはしているけれどね。

—今作における最大のインスピレーションは何だったと思いますか?

2、3年にわたって書かれた作品だから、何か1つということではないんだ。その間、僕も変わったし、それぞれの曲が全く違うからね。あまりに幅広いから、最初にレコーディングを終えて聴いた時は、アルバムという感じがしなかったくらいだよ。でもみんなの反応を聞いたりしているうちに、ようやく1つの作品と感じられるようになった。

—アイスランドでリリースされたデビュー・アルバムは、国民の10人に1人が持っているくらい大ヒットしたそうですね。

信じられないよね。普段は仲良い友だちと慣れた場所にしか行かないから実感がないんだ。でもダウンタウンに行くといろんな人から写真を撮ってと言われたりして、びっくりしちゃうよ。

—ここ日本でもシングル「King and Cross」がFMチャートで1位になるなど大人気ですが、世界中で大注目を集めていることについてはどう思われますか?

かなりクレイジーだよ(笑)特に日本でも人気が出たことには驚いている。アイスランドの小さな田舎町から出て来た人間にとって、これは理解するのが難しい状況だ。でも僕はあまり考えないようにしているよ。こんなに成功して、みんなに音楽を聴いてもらえて、とにかくハッピーなんだ。だけど、いつも地に足をつけておかなきゃって思っているよ。


Interview + Text: Nao Machida


アウスゲイル:
アイスランドの人口40人余りの集落、ロイガルバッキ出身のシンガーソングライター。2012年9月にリリースした自身のデビュー・アルバム 『Dyrdídauðathogn(ディールズ・イ・ドィーザソッグン)』が数々の記録を更新し、アイスランド史上最速で売れた国内アーティストによるデビュー・アルバムとなる。2013年にはアイスランド音楽賞主要2部門(「最優秀アルバム賞」、「新人賞」)を含む全4部門受賞したほか、ノルディック・ ミュージック・プライズ(北欧版英マーキュリー・プライズ)にノミネートされるなど、一躍国内音楽界のスター・シンガーソングライターとなり、今では21歳という若さにしてアイスランドの全人口の10人に1人が彼のアルバムを所有している売り上げを誇る。 2014年1月、英語バージョンのアルバム『In the Silence』をリリース。2月にはHostess Club Weekenderで初来日を果たした。



『In the Silence』
1. Higher
2. In the Silence
3. Summer Guest
4. King and Cross
5. Was There Nothing?
6. Torrent
7. Going Home
8. Head in the Snow
9. In Harmony
10. On That Day
11. Lupin Intrigue*
12. Soothe This Pain*
13. Going Home (Acoustic Version)*
14. Summer Guest (Acoustic Version)*
15. On That Day (Acoustic Version)*
*日本盤ボーナス・トラック

日本公式サイト>>
FUJI ROCK FESTIVAL '14>>

14:55

祝ソニックマニア出演決定!モグワイが語る最新アルバム『Rave Tapes』

2014-03-12
スコットランド・グラスゴーが誇るポストロック・バンド、モグワイが、約2年ぶり通算8作目となるスタジオ・アルバムを完成した。『Rave Tapes』と題された今作は、前作『Hardcore Will Never Die But You Will』に引き続きポール・サヴェージをプロデューサーに迎え、グラスゴーのホームスタジオで制作された後、ロンドンのアビー・ロード・スタジオにてマスタリングされた。

MTV Newsは先日開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」のバックステージにて、メンバーを代表してバリー・バーンズに話を聞いた。その轟音ライブで多くのファンを魅了するモグワイは、8月15日に千葉・幕張メッセにて開催される「ソニックマニア」への出演が決定している。



前作のリリースから3年が経過していますが、その間はどのように過ごされていたのですか?

フランスのテレビ番組のサウンドトラックを手掛けていたんだ。それに前作をリリースしてから2年はライブが続いたからね。だから、2年間はライブ活動をして、残りの1年はテレビ番組とニュー・アルバムのための音楽作りをしていた。

そもそも、なぜゾンビについての番組の音楽を手掛けようと?

なぜダメなの?(笑)僕らは全員、ああいうジャンルのフィルムが好きなんだ。あの作品に関しては典型的な昔ながらのゾンビではなく、アイディア自体が気味悪かった。彼らは気味悪い音楽を作ってほしいと依頼してきたんだよ。僕ら以上に気味悪い音楽を作れる人なんていないだろ(笑)

モグワイの作品のタイトルはいつもユニークで意味深な印象ですが、今作はなぜ『Rave Tapes』と名付けたのですか?

僕らはいつもジョークを言い合っていて、最も内輪ウケしたものがタイトルになることが多いんだ。本当に深い意味はないんだよ(笑)今回は20くらい候補があって、その中で1番面白かった『Rave Tapes』に決めたんだけど、その理由の1つは、今作でシンセサイザーを多用したことだと思う。誰かが「テクノのレコードみたいだ」ってジョークを言い出して、テクノからレイヴっていう言葉が連想されたんじゃないかな。でも実際は全然テクノっぽいサウンドじゃないから、おかしいよね。

―収録曲のタイトルで特に気に入っているものはありますか?

1曲目の「Heard About You Last Night」(=昨夜の君のこと聞いたよ)だね。スコットランドでは、酔っぱらって何か恥ずかしいことをした人に言う台詞なんだよ。その人を指さして「昨日の夜のこと聞いたよ」ってね。飲み過ぎて何したかも覚えてないような時にさ。

―モグワイのソングライティングのスタイルについて教えてください。メンバー全員が曲作りに参加するのですか?

全員で一緒に書くのではなく、1人ずつ書くんだ。普段は4人が書くんだけど、今回はベースのドミニクに赤ちゃんが生まれて休んでいたから、ジョンとスチュアートと僕だけ。僕らは個々にベースとなるものを書いて、お互いにデモをMP3で送り合い、それからグラスゴーで4週間だけ集まってリハーサルした。その時点で曲は完成していなくて、曲が形になるのはスタジオでレコーディングする段階なんだ。

今作はこれまでになくエレクトロな要素が多く含まれている印象でしたが、どのような方向性を狙っていたのですか?

新作ごとに新しいサウンドが生まれる大きな要因は、新しい機材を導入するからなんだ。今回僕らはアナログのシンセサイザーを組み合わせて、世界に1つしかないモジュラーシンセサイザーを手に入れた。それをアルバムの全曲で使用したんだ。ドミニクもシンセを買って、普段だったらベースで弾く部分もシンセを使って作ったんだよ。

―作品毎に新しい機材を選ぶかと思いますが、機材選びのポイントはありますか?

友だちから「これすごく良いから試してみなよ」と勧められたり。あとは普通に雑誌のレビューを読んだり(笑)

狙っている音があって機材を選ぶというより、偶然に出会った機材から音が生まれることの方が多いのですか?

そうそう、機材ありきなんだ。たとえピアノで曲を書いて、それをシンセで再現したところで、本質的なものは音があって、初めて生まれるものだと思うんだ。シンセでもどのエフェクトを使うかが重要で。自分が作ったシンセのパートを聴いて、リヴァーブやディレイといったエフェクトを外してみたら、それはひどい音だったよ!機材から出る独自の音があってこそ、特徴が出てくるんだと思う。

「Blues Hour」のシンガーは誰ですか?

スチュアートだよ。2つのパートがあるから、ライブでは僕も一緒に歌わないといけないんだけどね。僕にとっては恐ろしい悪夢だ。緊張で震えちゃうよ(笑)

歌がある曲とない曲はどのように決めるのですか?

メロディーが物足りないと感じて、楽器ではそのメロディーをうまく出せないと感じたら、ボーカルを試す。もしボーカルでもダメだったらお蔵入りさ。

では、最初は全てインストとして作っているのですか?

いつもそうだよ。最後の曲以外はね。あの曲はボーコーダーがきっかけで、そこから作ったから。

―「Repelish」には悪魔崇拝や「Stairways to Heaven」についての語りがフィーチャーされていますが、なぜあの語りをサンプリングしたのですか?実際に「Stairways to Heaven」を逆回転で聴いてみましたか?

あのサンプリングの元ネタは、アメリカで聞いたキリスト教のラジオ番組だったんだ。1時間ほどの番組だったかな。明らかにちょっとクレイジーな男が「Stairways to Heaven」について話していた。彼がラジオであの曲を逆回転でプレイして、悪魔崇拝だって言うんだけど、何の意味もあるようには聞こえないんだよ。頭の中で作り上げた話をしているだけでさ。だから、彼の話をサンプリングしたら面白いと思った。権利の問題があるから、語りの部分を知り合いに語ってもらって、録音しなおしたものを、さらに逆回転したんだよ。

―今作が8枚目のアルバムとなりましたが、モグワイのサウンドはこれまでにどのように進化してきたと思いますか?

良い質問だな、うーん…非常にオーガニックな進化だったと思う。レディオヘッドが『Kid A』を作ったように、完全に違う音楽性を試すようなことはしていないし。僕らは少しずつゆるやかにここまで来たように思うよ。でも振り返ってみると、とにかく楽しむこと、自分たちが楽しい音楽を作ることが最も大切だった。僕らは音楽に関してはシリアスに向き合うけど、他のことに関してはシリアスじゃないんだ。それに人間としても一緒に成長してきたように思う。ちょっとした奇妙な家族って感じ。女のいない変な家族さ(笑)

―90年代から今まで続けてきて、バンドを続けるコツみたいなものはありますか?

友だちだっていうことだね。自分たちを素晴らしいバンドとは言わないけど、僕らはバンド活動が得意なんだと思う。それにお互いがやりたいことをよく理解しているんだ。言葉を交わさなくてもお互いを信用しているから、どこを目指すべきか感覚的に分かるんだよね。

モグワイのライブでは、その轟音に魅了されるファンも多いと思います。バンドにとって音量にはどのような意味があり、どのような役割を果たしていると思いますか?

とても重要だよ。音量があることによって、音楽に何か新しいものが加わると思うんだ。とてもパワフルな何かがね。ライブ音楽は最高だ。バンドとしてもコンサートで演奏することの方が、レコーディングよりも楽しい。それに僕らの音楽はレコードよりもライブで聴いた方がずっと面白いと思う…残念ながらね。みんなそれには同意してくれるんじゃないかな(笑)

―モグワイは作品をCD、ダウンロード、アナログ盤でリリースしていると思いますが、音楽はどのようなフォーマットで聴くのが好きですか?

普段は移動が多いからiPodを使っているけど、家ではもっぱらアナログ盤を聴いているよ。日本では分からないけど、UKではモグワイのアルバムは、他のどのフォーマットよりもアナログ盤が売れているんだよね。もちろんダウンロードも売れているけど、僕らのファンは手に持てる大きなものを好むようだね。

ずっと前から『Rock Action』のアナログ盤を探しているんですが、なかなか手に入らないです。

探すの不可能でしょ?多分僕も持っていないよ!がんばってね。

―何度も来日されていると思いますが、必ず行く場所ややることはありますか?

いつも泊まるホテルの隣にある小さな店で、ギョウザとスタミナ丼を食べるんだ。僕らはいつもそこに行くんだよ(笑)前回の来日では妻も連れて行った。UKでもギョウザを食べたことはあるんだけど、あの店に連れていったら「最高!」って喜んでくれたよ(笑)



Interview + Photo (Barry Burns): Kenta Terunuma
Text: Nao Machida


モグワイ:
1995年にスチュアート(G)、ドミニク(B)、マーティン(Dr)、バリー(Vo, G, Key)、ジョン(G)で結成されたポストロック界で最も影響力を持つ重鎮バンド。1997年のデビューから現在までに7枚のスタジオ・アルバムを発表。「FUJI ROCK FESTIVAL '06」でのトリや、「メタモルフォーゼ'10」では圧巻のステージを披露し、大きな話題を呼んだ。2011年2月の単独公演では2公演をソールドアウトにし、また同年のフジロックではグリーンステージに出演。変わらぬ人気の高さを証明している。



『Rave Tapes』
1. Heard About You Last Night
2. Simon Ferocious
3. Remurdered
4. Hexon Bogon
5. Repelish
6. Master Card
7. Deesh
8. Blues Hour
9. No Medicine For Regret
10. The Lord Is Out Of Control
11. Bad Magician 3 ※
12. Die 1 Dislike! ※
※日本盤ボーナストラック

オフィシャルサイト(英語サイト)>>
「ソニックマニア」オフィシャルサイト>>

14:55

ノエル・ギャラガーやジョニー・マーも絶賛、テンプルズがデビュー作を語る

2014-02-05
ノエル・ギャラガー、ジョニー・マーらが大絶賛する英ミッドランズ出身の注目新人サイケ・ロック・バンド、テンプルズが、待望のデビュー・アルバム『Sun Structures』をリリースした。フロントマンの実家の物置部屋でレコーディングしたという今作は、低予算でいかにジャック・ニッチェ(名作曲家)のようなプロダクションに仕上げられるかを目指したといい、独特のサイケデリックなサウンドが詰まっている。

MTV Newsでは、昨年11月に開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」のバックステージにて、ジェームス・バックショー(Vo/G)とアダム・スミス(Key/G)にインタビュー。初来日ライブ後の感想を含め語ってもらった。



ー初来日おめでとうございます。2月のデビュー・アルバム発売を前に、既に日本の音楽ファンの間でも注目を集めているテンプルズですが、メンバーはどのようにして出会ったのですか?全員ケタリング出身ですよね?

ジェームス: 同じ町の出身なんだけど、知り合いではなかったんだ。でもアダムがミュージシャンだということは知っていたよ。

アダム: 僕も。お互いがミュージシャンだということは知っていたよね。

ジェームス: テンプルズを始めるきっかけとなったのは、僕とトム(ベーシスト)が作った曲をレコーディングし始めたこと。それをネットにアップしたら、2ヶ月ほどでライブのオファーが来たんだ。

―「Shelter Song」ですよね?

ジェームス: そうだよ。ライブをするためには、バンドを組む必要があった。アダムの曲は以前からオンラインで聴いて気に入ってたし、彼が僕らのバンドにぴったりだと分かっていたんだ。サム(ドラマー)とはもっと前から知り合いで、週末に一緒に飲んだりしていた。サムも僕らのドラマーとしてぴったりで、そうやってバンドを結成したんだよ。

ーケタリングはどんな町なのですか?

アダム: ロンドンから電車で北に1時間ほど行ったところにある小さい町だよ。あまり面白いことは起こらないけど、まあ良い町だ。

ジェームス: みんな進学で1度はケタリングを出たんだけど、戻ってきたんだ。全員違う学校に行っていたんだけど、ちょうど良いタイミングに戻ってきた。僕らは今もケタリングをベースに活動しているよ。

―バンド名をテンプルズにした理由は?

アダム: トムが思いついたんだよね?

ジェームス: うん、僕らはバンド名をつけるより前に、曲がたくさんできていたんだ。バンド名には映画的で、かつシンプルな名前を探していた。“シネマティック・デザート・オブ・ユース”とか、そういう長ったらしいのは嫌だったんだよね(笑)シンプルでかっこいい名前が良くて、“Temples”は字面も良かった。それに、エルサレムの城壁を描いた、僕らのお気に入りの絵画があったんだ。レコード契約がもらえるかも分からない頃、自分たちのEPのアートワークとしてその絵を使ったんだけど、ジャケットとしても良かったし、テンプルズという名前が絵を象徴しているように思えたんだよね。

―「Shelter Song」をインターネットにアップして一気にブレイクしたわけですが、あの曲はトムとジェームスが初めて書いた曲なのですか?

ジェームス: うん、他にも3曲あったよ。アルバムに収録されている「The Golden Throne」も初期の曲なんだ。「Keep In The Dark」と「The Guesser」もね。何回かライブをしていくうちに、もっとペースが早くて、バンドの実験的な一面を表現できる曲が必要だと考えたんだ。それで書いたのが「Sun Structures」で、ライブでも演奏し始めた。他の曲はそれより後に書いた曲だから、どれも新しいよ。

ーライブ活動を始めた頃は、オリジナルの曲が少なかったわけですね。

ジェームス: 4曲だけ(笑)カバー曲を練習する時間もないままライブ活動を始めちゃったから、5曲のセットで何とか時間をもたせていたんだ。今はセットリストに入れる曲の選択肢があってうれしいよ。

アダム: 本当に!

ジェームス: 1時間10分とかライブできるんだからね。

ー「Shelter Song」を公開した時は、バンドも存在していなかったということですが、今こうして日本にいるなんて想像できましたか?

ジェームス: 全然(笑)良い曲ができていたし、いつかはライブしたいとは思っていたんだ。でも、音楽が自分たちをどこへ連れて行ってくれるかは、全く想像できなかったよね。すごいことだよ。3分半の音楽が、こうして僕らをここまで連れて来たくれたんだから。

アダム: そうだね(笑)

ートムとレコーディングを始める前は、どんな仕事をしていたのですか?

ジェームス: 日本にもあるか分からないけど、僕は失業手当をもらっていたんだ。1年半ほど手当をもらって仕事を探していたんだけど、工場とかではなく、音楽関係の仕事に就きたかった。でもケタリングには音楽業界もスタジオもないから難しくてね。

ー他にもロック・バンドはいるんですか?

ジェームス: あんまりいない。シーンもとても小さいんだ。

ーデビュー・アルバムにはテンプルズの独特なサイケデリック・ロックが詰まっていますが、メンバーはどのような音楽に影響を受けてきたのですか?

アダム: 決してサイケデリックな音楽を聴いて育ったわけではないんだよね。

ジェームス: 僕らの両親でさえ、ザ・ビートルズやキンクス、ストーンズは聴いていたかもしれないけど、サイケデリックな音楽を聴いていた世代ではない。もし両親があと5歳上だったら、そういった音楽も理解できたのかもね。

アダム: うちも。僕は自分で自分の好きな音楽を開拓するしかなかった。不思議なことに、僕らは一緒に育ったわけではないのに、みんな似たような音楽が好きだったんだ。

ーサイケデリック・ミュージックはある程度大きくなってから開拓したのですか?

アダム: うん。子どもの頃はヒップホップをよく聴いていた。

ー意外ですね、ラップしていたんですか?

アダム: 子どもの頃はラップしていたよ(笑)UKのアンダーグラウンドのヒップホップが好きだったんだ。

ジェームス: 僕は自分の部屋にエルヴィスの写真を飾っていた。まだ7歳で、彼のことはよく知らなかったんだけどね。それからソングブックをもらって、「Love Me Tender」とかシンプルな曲が載っていたのを覚えている。その年のクリスマスに初めてギターをもらったんだよ。

ー7歳のクリスマスに?

ジェームス: うん、ウクレレだったけどね。それでずっと遊んでいた。その2年後にハーフサイズのギターをもらって、もらってから20分で1曲マスターしたよ。

ー初めて覚えた曲は覚えていますか?

ジェームス: 確か「If I Had A Hammer」だったと思う。初心者用のギター本を持っていたんだ。初めて覚えたコードはEmだった。

アダム: (笑)

ジェームス: 簡単だよね(笑)

ーアダムは何か楽器を習っていましたか?

アダム: 僕は何も習っていなかったよ。15歳までサッカーをやっていたんだけど、ひざを痛めてしまったんだ。それで「ギターでも買うか」って、音楽を始めた。15歳くらいから曲を書いているけど、初めて書いた曲がいまだに最高の出来だよ(笑)

ー「Shelter Song」はどのように誕生したのですか?

ジェームス: 最初に僕がリフを思いついて、それからトムが参加して、2人で一緒に基本を作っていったんだ。それにドラムのサウンドもね。モータウンっぽいリズムセクションを書いて。そこから僕の頭の中に浮かんだアイデアを出して、それをトムと一緒にまとめていった。決して長時間考え込んだわけではなく、とても早く出来上がった曲なんだ。インスピレーションは何だったんだろうな…

アダム: ラブソングだろ?

ジェームス: 歌詞は曲ができてから書いたんだ。曲に合わせて言葉を書いていった。

アダム: 良い歌詞だ。

ー「Shelter Song」をレコーディングした時点では、ジェームスとトムが全ての楽器を演奏したのですか?

ジェームス: その通り。アダムとサムが加入する前だからね。今回のアルバムは僕の実家で作ったから、レコーディングのスペースも限られていたし、2人が加入前の曲でも、そのままのサウンドで良いものは録りなおさなかった。でも次のアルバムは違う場所で作るよ。

ーHeavenly Recordingsが、あなたたちのライブ・パフォーマンスを観る前に契約したというのは本当の話ですか?

ジェームス: うん。

アダム: クレイジーだよね。

ジェームス: すごく驚いたよ。その時点では僕らの写真すら出回っていなかったし、詳細な情報もなかった。さっき話した絵を使ったアートワークしか世に出ていなかったんだよ。でもそれが逆に良くて、みんな先入観なしに音楽を聴いてくれたんだ。年齢も見た目も知らないままね。

ーもしかしたら70歳かもしれないのに。

ジェームス: そうだよね(笑)

アダム: ほんとだよね(笑)でもHeavenlyは素晴らしいレーベルで良かったよ。

ージョニー・マーが「Shelter Song」を「今年最も良い曲のひとつだ」と言ったり、ノエル・ギャラガーがテンプルズを「世界最高のニューカマーだ」と言ったりしたと話題になっていますが、こうした現状をどう思いますか?

ジェームス: 分からないな。

アダム: 彼らはクレイジーだよ(笑)

ー実際にお会いしたことはありますか?

アダム: うん、良い人たちだったよ。ジョニー・マーには、「マンチェスターでライブをすることがあったら、うちで洗濯していいよ」って言われた(笑)

ジェームス: ノエルには、「君たちのサウンドは、俺がオアシスでの20年で得ようとしたのに得られなかったサウンドだ」って。

―それはすごいですね!注目のデビュー・アルバムは2月にリリースされますが、ようやく完成してどのような気分ですか?

ジェームス: 興奮しているよ。ライブの合間をぬってレコーディングしてきたから、完成した今、ようやくライブに集中できて最高だ。もちろん、最近でも好きな時に曲作りはするけど、レコーディングのことを心配する必要はない。2014年はこのアルバムを引っさげてツアーするんだからね。

ー「Shelter Song」を書いてから、どれくらいの時間が経ったのですか?

ジェームス: あれは2012年の7月か8月だったかな。まだそんなに経っていないよ。最後に書いた曲「Fragment's Light」は、アルバムの締切りの3週間前に書いたんだ。

アダム: ほんの2ヶ月前のことさ。

ジェームズ: 「Mesmerize」も書いてから半年くらいしか経っていないしね。

ーアルバムのタイトルに『Sun Structures』を選んだ理由は?

アダム: 本当はアルバムのタイトルを『Prisms』にしようと思っていたんだ。そしたらケイティ・ペリーが『Prism』っていうアルバムをリリースしたから、ダメになっちゃったんだよ!

ジェームス: 『Prism 2』にしても良かったんだけどね(笑)でも、バンドの作品として映画的なタイトルを探していて、『Sun Structures』は好奇心をそそる言葉の組み合わせだと思ったんだよ。

―実家でレコーディングしたそうですが、すごく理解のあるお隣さんだそうですね。

ジェームス: そうなんだよ(笑)60歳くらいの庭師なんだけど、僕が生まれた頃からうちの隣に住んでいるんだ。本当に良い人で、1度も騒音について苦情を言われたことがない。「君が作っているのは音楽で、決して騒音ではないよ」って。とても優しいんだ。父親には電気代でちょっと文句を言われたけどね(笑)でも基本的には、親たちも僕らの音楽活動を応援してくれているんだ。

ーアルバムをセルフプロデュースした理由は?

アダム: その方がよりコントロールできるし、好きなだけ時間を費やせるから。それに、既に良いサウンドができていたから、高いお金を払って他のプロデューサーを雇う理由がなかったよね。

ジェームス: プロデューサーの名前のためにね。僕らは自分たちでプロデュースしたサウンドに自信を持っているんだ。

ー将来的に一緒に仕事をしてみたいプロデューサーはいますか?

アダム: ブライアン・イーノ。

ジェームス: 特にこの人っていう人は思いつかないかな。一緒に仕事をしたいプロデューサーはみんな死んでいると思う。ジャック・ニッチェとかさ。フィル・スペクターはまだ生きているけど、刑務所にいるしね。

ーデビュー・アルバムを制作する上で、バンド内でのこだわりはありましたか?

ジェームス: 新鮮味に欠けるサウンドにならないようにすること。過剰なプロデュースは避けたかったんだ。アルバムを通じて、その時点での自分たちが表現できるような一連のサウンドを作りたかった。

ー「Hostess Club Weekender」での日本での初ライブは、かなり盛り上がっていましたね。既にたくさんの日本のファンを獲得しているようでした。

ジェームス: ああ、オーディエンスは最高だったよ!すごく良かった。

アダム: 日本のファンもすごく盛り上がってくれてうれしかった。

ジェームス: プレゼントもたくさんもらったよ!イラストを描いてくれた人もいて、うれしかった。

アダム: 素晴らしかったね。

ー滞在中に日本でトライしたいことはありますか?

アダム: 今日の午後はオフだから、神社に行くつもりだよ。

ジェームス: 僕はワサビが食べたい。ワサビって日本のものだよね?イングランドにワサビ味のマメがあっておいしいから、何かワサビ味のものが食べたいんだ。

ー2013年は大きなターニングポイントになったかと思いますが、振り返ってみてどのような1年でしたか?

ジェームス: 良い年だった。

アダム: 早かったし、長くもあった。

ジェームス: 9時5時の仕事をしていたら、きっと毎日同じことの繰り返しだろう。僕らも毎日ライブをやっているわけだけど、行く先々で新しい体験が待っている。だから、あっという間のように感じるけど、たくさんの経験をして充実しているんだ。

アダム: 全体を通して最高の年だったね。

ー最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

アダム: ありがとう。みんなのことが大好きだよ。これ以上ないほどに歓迎してくれて、素晴らしい時を過ごせたよ。

ジェームス: アリガトウ。絶対にまた来日したいよ。明日にでもね!


Interview + Text: Nao Machida


テンプルズ:
英ミッドランズ出身の4人組サイケデリック・ロックバンド。12年に発表した「Shelter Song」が反響を呼び、英「NME」誌の“ベスト・ニュー・バンド・オブ・2013”リストに選出。ノエル・ギャラガーやジョニー・マーが彼らのライブを絶賛し、ミステリー・ジェッツのオープニング・アクトにも抜擢される。アルバム・デビュー前からHostess Club Weekenderにて初来日を果たし、満員の観客を熱狂させたことも記憶に新しい。いま最も注目されるUKロックのニュー・カマー。




『Sun Structures』
1. Shelter Song
2. Sun Structures
3. The Golden Throne
4. Keep In The Dark
5. Mesmerise
6. Move With The Season
7. Colours To Life
8. A Question Isn’t Answered
9. The Guesser
10. Test Of Time
11. Sand Dance
12. Fragment’s Light
13. Shelter Song - Society Remix*
14. Mesmerise - Time and Space Machine Remix*

*日本盤ボーナストラック

オフィシャルサイト(英語サイト)>>

15:00

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