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祝オスカー2冠!『ジャンゴ 繋がれざる者』クエンティン・タランティーノ監督 来日会見レポート

2013-02-26


『レザボア・ドッグス』から『イングロリアス・バスターズ』まで、誰にも真似のできないユニークな作品の数々を発表してきたクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』が、3月1日に全国で公開される。映画は南北戦争前のアメリカ南部を舞台にした西部劇。解放奴隷のジャンゴがドイツから来た賞金稼ぎのDr.キング・シュルツに導かれ、奪われた妻を取り戻すため、農園の領主カルヴィン・キャンディに立ち向かう姿が、監督ならではの骨太なアクションと共に壮大なスケールで描かれている。

ここでは、公開を目前に来日したタランティーノ監督の記者会見の一問一答を紹介。大好きな日本で終始ハイテンションだった監督が、今作の魅力や裏話をたっぷりと語った。映画は日本時間2月25日に発表された第85回アカデミー賞で、脚本賞(タランティーノ)と助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)を受賞。2人の受賞スピーチもあわせてお楽しみください。



クエンティン・タランティーノ監督(以下、監督): みんなに会えてうれしいよ!

—監督は脚本も手掛けられていますが、なぜ今の時代に西部劇を撮ろうと考えたのでしょうか?

監督: 実は映画製作を始める前から、いつか西部劇を作りたいと思っていたんだ。過去の作品にも西部劇の要素は取り入れていたしね。あのウォルター・ヒルでさえ、西部劇の要素を取り入れた作品を作り続けて、ようやく『ロング・ライダーズ』を作るに至ったと語っていた。僕は『パルフ・フィクション』を“ロックンロール・マカロニ・ウェスタン”と呼んでいたし、日本のサムライ映画やショウ・ブラザーズのカンフー映画の影響を受けている『キル・ビル Vol. 1』に対して、『キル・ビル Vol. 2』はマカロニ・ウェスタンの影響を受けているんだ。『イングロリアス・バスターズ』だって、特にオープニング・シーンは西部劇的な作りになっている。そして今回ようやく自分自身の西部劇を作る機会を得られたのさ。でも、奴隷制度のような、通常の西部劇では扱われないような題材を選ぶことで、僕は僕流の西部劇を作った。西部劇をこれまでとは違った獣にできると思ったし、普通の歴史映画とは違ったものにできると思って、このテーマを選んだんだ。

—レオナルド・ディカプリオが初の本格的悪役に挑むということが発表された時から、日本では大きな話題でした。彼を冷酷な領主カルヴィン・キャンディ役に抜擢した1番の理由は?

監督: おかしなことに、あの役はもっと年上の設定で書いたんだ。そしたら突然、「レオナルドが脚本を読んで、君に会いたがっている」と連絡を受けた。僕らは前からお互いのファンだったから、彼は僕が脚本を書き上げたらすぐに読んで、何か自分に演じられる役がないか探してくれたようだ。彼がカルヴィン・キャンディについて話したがっていると聞いて、「カルヴィン・キャンディだって?」と思ったよ。60歳くらいの男をイメージして書いた役だったからね。実際に彼と会って、作品や登場人物について話すうちに、キャンディを若い設定にするという彼のアイデアが気になってきたんだ。帰ってからよく考えて、確かにキャンディは“悪の帝国の悪い王様”というよりも、南北戦争前の南部におけるルイ14世のような、手に負えない王子のような存在にした方が、強いキャラクターになると考えた。ものすごく面白いアイデアだと思ったよ。



—実際に悪役に扮したレオナルド・ディカプリオの演技を見ての感想を教えてください。

監督: 彼の演技は素晴らしいというだけでなく、本当に見事な性格描写だったと思う。彼は言うまでもなく世界有数の映画スターであり、主演俳優だ。でも、有数の性格俳優でもあるんだ。登場人物に埋没して、レオナルドが見えなくなるんだよ。キャンディの性格描写は、僕がこれまでに作ってきた登場人物の中でも最高だった。劇中で彼がハンマーを手にするシーンは本当に恐ろしかったよ。それは彼の見事な演技のおかげなんだ。

—ジャンゴ役のジェイミー・フォックスとDr.キング・シュルツ役のクリストフ・ヴァルツのコンビがとても良かったです。監督から2人にどのようなディレクションをしたのですか?

監督: 脚本の時点から、ジャンゴとシュルツはとても大切なキャラクターだった。ジェイミーとクリストフは、人としても役者としても考え方も、これ以上ないくらい全く違うタイプなんだ。でも、ジャンゴとシュルツにも同じことが言える。リハーサルも面白かったし、現場での撮影も面白かったけど、デイリー(1日に撮影したものを上映する)を観るまで、自分が金塊を掘り当てたことには気づいていなかった。あの2人の間には魔法があったんだ。彼らは『明日に向って撃て!』やテレンス・ヒルとバッド・スペンサー以来の最高の西部劇コンビだと思う。

—2人の演技の見どころは?

監督: 僕が気に入っているシーンは、「I Got a Name」が流れるモンタージュ・シークエンス。初めて自由の身になったジャンゴが、キング・シュルツと一緒に賞金稼ぎとして、馬に乗って雪山を歩いて行くシーンだよ。あれは劇中で最も感動的なシーンだと思う。チームとしての2人の対等な関係が描かれているんだ。今こうして説明しているだけで、涙が出てくるよ。



—『イングロリアス・バスターズ』に続いて出演したクリストフ・ヴァルツについて。

監督: クリストフは現場における一服の清涼剤だった。今作は現代のアメリカに生きる僕らがいまだに社会的犠牲を払っている、奴隷制という史実を描いた物語なんだ。お察しがつくように、現場では白人と黒人の間にピリピリした空気が流れていた。題材が題材だからね。クリストフはアメリカ人ではなくオーストリア人で—彼をドイツ人と呼んだらダメだからね—オーストリア人だからこそ、一人だけピリピリしていなかったんだ。これは彼の国でもなければ、彼の問題でもなく、彼の恥でもないわけだから、現場のピリピリ感を流すことができたんだよ。「どうでもいいじゃん、とにかく始めようよ。映画を作ろう。そんなこと忘れなよ」ってね。「150年も前のことなんだから、物語を伝えることに集中しよう。もう十分だろ!」ってさ(笑)

僕が怖じ気づいた時もクリストフに心境を伝えたら、「『イングロリアス・バスターズ』の時に言ったじゃないか。ドイツ人にあの映画は作れなかったよ。君はドイツ人や第2次大戦の側面は気にしていなかっただろう?『イングロリアス・バスターズ』は君にしか作れなかった。『ジャンゴ』で自分自身の足かせになってはダメだ。自由に作れよ」って言ってくれた。「そのとおりだ!」って思ったよ。

—カルヴィン・キャンディの執事スティーブン役を演じたサミュエル・L・ジャクソンの演技が最高でしたが、彼にはどのようなリクエストをしましたか?

監督: サムには僕も圧倒されたよ!スティーブン役のサムを演出するのは、シェイクスピアがDNAに流れている俳優に『ハムレット』の演出をするようなものだ。あのようなレベルの高い、かつ誇張されたような演技は、彼の血に流れているんだ。初めての読み合わせが終わった時、クリストフが「サム・ジャクソンには驚いたよ」と言っていた。「インスパイアされたと同時に驚異を感じたよ。あの男は演劇界の獣だ!」とね。

確かに僕はサムを演出したわけだが、思い出せないくらい微細なものだった。演出というよりも、一観客として彼の演技を味わって、楽しんで、極微細な調整をするという感じだ。毎日公開初日に最前列でサムの演技が観られるというような、光栄な立場を味わわせてもらったよ。



—ご自分も脇役で出演されていますが、最初から自分が演じるつもりで書いたのですか?

監督: あの役は僕が演じるために書いたわけではないんだ。あれは最後に撮影したシーンで、その時点で僕らのスケジュールは大幅に遅れていた。最初はあの役もキャスティングしてあったんだけど、撮影を延期し続けたおかげで、役者を失ってしまったんだ。別の人をキャスティングしても、さらなる延期で失ってしまって。それにどうやって撮影しようか実際に考えた時点で、ものすごく危険を伴うシーンだと分かったから、役者にお願いする気になれなくてね。たとえばサム・ワーシントンに爆薬を背負わせるなんて、できっこないだろう?(笑)だから僕が自分でやったんだ。たとえもし死んでも、自分の映画だから問題ないし!

—今作にはラブストーリーの要素も含まれていましたが、それは最初から決めていたことですか?

監督: ほぼ最初から、ジャンゴがブルームヒルダを救いに行くという物語を描こうと思っていた。最初からロマンスとして書き始めたんだよ。ジャンゴが報復するという西部劇的に楽しいシーンもあるけど、ただの血まみれの銃撃戦ではなく、誰もが理解できるような要素を追加したかったんだ。ジャンゴには復讐の旅ではなく妻を救うためのロマンスを求める旅に出てほしかった。さらに、おとぎ話のような要素を取り入れようと考えた。つまり、ブルームヒルダは悪の帝王により高い塔にとらわれたお姫様で、それを救うヒーローがジャンゴなんだ。

ご存知かもしれないが、僕は『仁義なき戦い』シリーズの深作欣二監督と友だちだった。これもご存知かもしれないが、「仁義」という言葉は英語に訳せないんだ。「名誉」のようなものだけど、それ以上の言葉で、「人間性」のようなものだけど、それ以上の言葉だと思う。ある時、欣二に彼の考える「仁義」の意味を聞いてみた。すると彼は、「仁義とは、この世の終わりまでしたくないけれど、必ずしなければならないもの」と答えた。今作に照らし合わせると、ようやく一人の男として自由になったジャンゴは、愛するブルームヒルダを救うために自分が逃げてきたはずの地獄に戻る。彼女があと1分でも長く奴隷でいるようでは、彼は生きていけないからだ。それこそが「仁義」なんだ。



—今作はアメリカの各地で撮影されたそうですが、映画製作において、監督の考える時間とお金の効率の良い使い方を教えてください。

監督: プロデューサーや映画会社に聞いたら、その質問は他の人に聞くべきだと言うだろう(笑)監督にとって最も重要なのは、自分が求めていることが分かっていること。それがちゃんと脚本に書かれているということ。考えたことを強要するのではなく、オープンな気持ちで撮影に臨む必要があるが、何を求めているかは明確であるべきだ。監督の仕事は決断することだから、優柔不断な監督がいるということが理解できないよ。

残念ながら、10年、20年、30年と残るような素晴らしいアクションを撮りたかったら、それには時間がかかる。サム・ペキンパーだって、1週間で『ワイルドバンチ』のラストを撮ったわけではないだろう。時間がかかったことは、作品を観れば分かる。会話のシーンはリハーサルどおりにできるし、当日のみんなの緊張さえ乗り越えれば、それは可能なんだ。でもアクション・シーンでは、どれくらい時間がかかるか予測するのは難しい。素晴らしいアクションには時間がかかるし、素晴らしいアクション、イコール日数だと思う。

—『レザボア・ドッグス』から20年が経ちましたが、今作はどのような思い入れのある作品となりましたか?

監督: 今作はとても特別な作品なんだ。ずっと作りたかった西部劇だし、アメリカの奴隷制についても、かねてから描いてみたかった。うわべだけでなく包み隠さず、でも同時に、映画として楽しい作品としてね。僕にとっては『キル・ビル』が1番の大作なのだが、それと同じくらい壮大なスケールで描けたと思う。

それに僕は今作が肝の座った作品になったことを誇りに思っている。危なっかしい作品で、たくさんの危険な試みをしたんだ。悪い評価を受けたり、拒否されたりするかもしれないというリスクを、僕らはあえて大作にかけてみた。たくさんの時間とお金を費やした作品だし、商業的にも芸術的にも自分たちを破滅させかねなかったんだ。でも結果的にそうはならなかったようだし、僕は今作をとても誇りに思っているよ。この仕事を20年来続けてきたが、今でも僕はリスクを恐れず、常に自分のアソコを差し出すようなつもりで映画を撮っているんだ(笑)



<第85回アカデミー賞受賞スピーチ>
クエンティン・タランティーノ/脚本賞:
僕の脚本に関しては、素晴らしい演技をしてくれた役者たちに感謝したいと思う。僕がここに立っているのは彼らのおかげなんだ。最高のキャスティングをするチャンスは1度しかない。キャラクターに息吹を与え、息の長い存在にするためには、ぴったりの人選が必要なんだ。今回はバッチリだったよ。それに脚本部門も脚色部門も豊作だったから、特に今年受賞できたことを光栄に思う。今年はライターの年だよ!じゃあな!


Photo: Mark Davis/WireImage

クリストフ・ヴァルツ/助演男優賞:
どうもありがとう。同じ部門にノミネートされたアーキンさん、デ・ニーロ さん、ジョーンズさん、ホフマンさんに敬意を表します。僕は今作で演じたキング・シュルツに感謝しきれません。つまり、それは彼と今作の荘厳な世界を創りあげたタランティーノ監督に感謝しきれないということです。僕らはヒーローの旅に同行しました。ヒーローとは、クエンティンのことです。(監督に向かって) 勇敢な君は登頂に成功した。勇敢な君は竜を倒した。そして価値を信じて炎をくぐり抜けた。今のはキング・シュルツの言葉です。ごめんね、借りずにはいられなかったよ。ありがとう。


Photo: Kevin Winter/Getty Images




『ジャンゴ 繋がれざる者』

南北戦争勃発直前のアメリカ南部。奴隷のジャンゴが、元歯科医のキング・シュルツに銃の手ほどきを受け、賞金稼ぎで荒稼ぎ!へんてこなコンビが涼しい顔して、お訪ね者を次々と殺しまくる。ジャンゴの目的は、ただひとつ。彼の自由と妻ブルームヒルダを奪った白人に復讐し、妻を取り戻すこと。妻が農園の領主カルヴィン・キャンディの元にいることを突き止めたジャンゴ。だが、キャンディは部下のスティーブンと、奴隷たちを鍛え上げ、互いに闘わせて楽しむ極悪人だった。妻を取り戻すための“生きるか死ぬか”の壮絶な闘いが始まるー。

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ほか
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2013年3月1日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー

オフィシャルサイト>>

<関連ニュース>
2/26: 第85回アカデミー賞 『ライフ・オブ・パイ』が4冠、作品賞は『アルゴ』に

Text: Nao Machida

14:33

超能力者 VS 科学者の頭脳戦『レッド・ライト』ロドリゴ・コルテス監督に聞く

2013-02-14


ロバート・デ・ニーロがカリスマ超能力者に扮し、超常現象の嘘を暴こうとするシガーニー・ウィーバーとキリアン・マーフィー演じる科学者チームと頭脳戦を繰り広げる謎解きスリラー『レッド・ライト』が、2月15日より全国で公開される。メガフォンを執ったのは、棺桶に閉じ込められた男を描いた究極のワンシチュエーション・スリラー『リミット』を手掛けた、スペイン出身のロドリゴ・コルテス監督。今作では超能力者と科学者チームの対決を通じて、観客のマインドを最後の最後まで絶妙にコントロールしている。MTV Newsでは、初来日したコルテス監督を直撃。『レッド・ライト』誕生までの経緯や、現場で起きた奇妙なエピソードなど、作品の裏話を教えてもらった。



—『レッド・ライト』は最後まで予測不可能な展開で呆然としました。映画が終わった後も何だか気になって、眠る前にストーリーを思い返してしまいました。

ロドリゴ・コルテス監督: そう言ってくれてとてもうれしいよ。僕は最後まで終わることを抵抗するような映画が好きなんだ。脳内から出て行ってくれないような作品がね。多くの場合、観客は映画が終わるとすぐに忘れ始める。でも中にはどういうわけか、頭の中に留まる作品があるんだ。時間をかけて消化する必要があるような作品だよ。観客は全ての答えを得たと思っていても、次の瞬間、自分が間違っていたことに気づく。疑問を持たせるのはとても大切なことだから、そのような感想を聞くとうれしいんだ。

—前作『リミット』は世界的な成功を収めましたが、今作を制作するにあたって、どのような気持ちで挑みましたか?

監督: 僕は鈍感だから何のプレッシャーも感じなかった。おかげでいつも助かっているよ。知性のなさは意外と便利なものだ(笑)

—『レッド・ライト』のような映画は知性がないと作れませんよ!

監督: それが作れちゃったんだよ(笑)実は『レッド・ライト』の脚本は『リミット』を作る前に書いたものなんだ。だから、作品を選ぶ上で特に迷いはなかった。僕は自分のキャリアにとって何が都合が良いかは考えず、単純に伝えたいことがあるから素直に伝えているだけなんだよ。もしかしたら多少のプレッシャーを感じるべきだったのかもしれないけど、できる限り最高の作品を作ることに専念することにした。少なくとも、その方が健康的だよね。

—『レッド・ライト』はネタバレせずに話すのが難しいタイプの作品ですが、カリスマ的な超能力者と、超常現象のペテンを見抜こうとする科学者チームの対決というアイデアは、どのように浮かんだのですか?

監督: アイデアは一瞬でひらめいたようなものではなく、自然な流れで広がっていった。最初はでっちあげられた超能力について考えるところから始めたんだ。2つの相反するコンセプトが1つになっている。1つは超能力、つまりは魔法、説明できないもので、それは映画にとって完璧なバックグラウンドになる。もう1つはでっちあげ、つまりは人間のつく嘘だ。それにより、触れられる、物質的で具体的なものが生まれる。科学的なアプローチができるんだ。僕はその点に魅了された。

—監督自身、脚本を書く前は超能力などに対して懐疑的だったのですか?

監督: リサーチを終えた今の方が懐疑的な気がするよ(笑)懐疑的ということは、疑問を持つということだからね。自分を懐疑的だと言う人の多くは、実際には否定論者なんだと思う。彼らはただ否定するだけなんだよ。でも本来は懐疑的というのは疑問を持つことであって、何も知らなかったかのように、物事をゼロから熟考することなんだ。そうすれば、物事に対してとてもクリーンなアプローチができる。状況を再評価する必要があるんだ。

—相当のリサーチを要した作品だと思われますが、撮影前にはどのような準備をしたのですか?

監督: 1年半かけて、「超能力者や信者」と「懐疑論者や否定派」の両側からリサーチをしてみた。すると、どちらの“チーム”もとても似たような行動をとっていたんだ。みんな自分たちにリスクを及ぼすことは否定するんだよ。人間は誰しも自分に都合の良いことだけを信じようとすることに気づいた。

—リサーチ中は実際に超能力者に会ったのですか?

監督: ああ、多くの人に会ったよ。彼らについて学び、インタビューもたくさん読んだ。でも目を見張るようなものは何もなかった。僕が目にした全てのことは、単純なマジックのトリックで説明できたんだ。超能力が本当に存在するのかは分からないけど、超常現象を信じるかと言われたら、僕の答えはノーだ。自然を超越することはできないと思うからね。でも超能力は別の問題だ。なぜなら、世の中にはいまだに解明されていない現象があるから。たとえばラジオの高周波は、16世紀には超能力だと考えられていたんだよ。だから、ふさわしいツールに辿り着くまでは、解明できないこともある。

—科学者側の言い分についてはどう思われますか?

監督: 科学は常に進化している。1世紀前には科学的に証明ができなかったことが、今はできている場合も多々ある。科学は進化し続け、証明できることは増えて行くだろう。一部の人にとって、科学は宗教のようなものだ。結局のところ、多くの場合、全ては信念に基づいているんだと思う。人間にとって、自分が信じていることが最も重要なんだ。先に結論が決まっていて、その結論を支えるセオリーを求めたがる。人間の脳みそはそのようにできているんだ。


物理を信奉するマーガレット・マシスン博士役はシガーニー・ウィーバー。

—ロバート・デ・ニーロ、シガーニー・ウィーバー、キリアン・マーフィーなど、今作ではそれぞれの登場人物を描く役者の演技力が際立っていました。どのようなプロセスでキャスティングしたのですか?

監督: 今作のキャスティングについて考えると、もしかしたら超常現象は存在するのかもしれないと思うよ(笑)どうやってこんなキャスティングが実現したのか、説明がつかないからね。多かれ少なかれ、最初はいつもと同じように、理想のキャストのリストを作るところから始めた。それぞれの登場人物に対し、観客が感情移入できるような役者を第1希望から第10希望くらいまで挙げるんだ。常識的に、第7希望くらいが実現すればいいなと考える。第1希望はダメ元で、絶対に無理だろうけど、念のためトライしてみるんだ。でもどういうわけか、今作では第1希望の役者がみんな参加してくれたんだ!

—彼らはどのような理由で出演を決めたのですか?

監督: 誰もがキャラクターや会話、それにたくさんの層からなる綿密な脚本に強い反応を示してくれた。デ・ニーロとはシシリアで、シガーニーとはニューヨークで、そしてキリアンとはロンドンでミーティングをしたんだ。まるで世界ツアーだったよ。どれもとても素晴らしいミーティングだった。お互いを探り合ってね(笑)そして数ヶ月後、みんなで撮影をしていたんだ。本当に何が起こったんだか、訳が分からないよ(笑)

—70年代生まれとのことで、デ・ニーロやシガーニーが出演している作品を観て育ったのではないかと思いますが、スクリーンを通して観ていたスターたちを演出するのはどんな気分でしたか?

監督: それを考え出したら自分に不利になるから、現場では忘れるように心がけていた。最初はまさに“生きる伝説”が目の前にいるわけだけど、2分も経てば、彼らだって同じ人間だと分かる。撮影現場では、彼らの偉業については考えないようにするんだ。もし考え出したら押しつぶされてしまうからね。でもみんなとても温かくてフレンドリーな人たちだったよ。デ・ニーロは40年もトップの俳優でいるにもかかわらず、今でも脚本に書かれた自分のキャラクターを表現ことだけに集中しているんだ。それは感動的だったし、気持ちが少し楽になったよ。

—今作のテーマは観客にたくさんの論議をもたらすと思います。現場ではみんなで超能力について話し合ったりしましたか?

監督: その箱は開けたくなかったんだ(笑)キャラクターに集中してほしかったからね。役者にはそれぞれの登場人物の背景を理解する上で知っておいてほしい情報だけを与えた。与えた情報は役によって全く違ったんだ。シガーニーにはある本を読むように勧めて、キリアンには別の本を勧めた。デ・ニーロとは撮影に入る前に、信じられないかもしれないけどスカイプで話し合ったんだよ(笑)超能力者だけでなく、政治家や心霊治療者、牧師など、さまざまな人たちの声やジェスチャーなどについて話したんだ。テーマに対する個人的な意見は置いておいてね。

—物語の主軸でもある助手のトム・バックリーを演じたキリアン・マーフィーは、特に役にピッタリでしたね。不思議な目力が印象的でした。

監督: 彼はパワフルであり、同時にエレガントでもある、アメイジングな役者だと思う。2つの特性を持った珍しい人だ。演技では時にとても純粋な面を見せる。まるでボーイスカウトのような、幼い表情を持っているんだ。だが、一瞬にして、とても不穏な人物に変身できる。ものすごくダークで、この役に完璧な一面だった。彼はラブコメを一瞬でホラー映画にできるような役者。それはとてもパワフルな素質だと思う。普段はとてもフレンドリーで楽しい人だよ。



—ホラー映画の現場では超常現象が起こったりするとよく聞きますが、『レッド・ライト』の現場で奇妙な出来事はありましたか?

監督: 超常現象は禁じられていたよ(笑)通常は1日あたり10〜12カットを撮影するところを、僕らは40カットも撮影しなければならなかったからね。だから、他のことを考えているわけにはいかなかった。でもおかしな出来事はあったよ。ある晩、オフィスで翌週の撮影の準備をしていたんだ。すると窓に何かがぶつかる大きな音が聞こえた。それは窓にぶちあたった鳥で、死体が床に落ちていた。まるで今作のワンシーンのようにね。脚本は既にできていたから、興味深い偶然だと思った。そして翌日、そのことをキリアンに話したら、同じ時間に彼のホテルの窓にも鳥が突っ込んでいたことが分かった。ストーリーは2つ増え、鳥は2羽減ったといったところだ(笑)

—ついに超常現象を信じる気になりましたか?(笑)

監督: 説明はできないけど、あれは“レッド・ライト”(赤信号、警告)かもね。でも僕らの現場の雰囲気はとても良くて、笑いが絶えなかったよ。時にストーリーがダークであればあるほど、現場の空気は明るいんだ。常にジョークが飛び交っていたし、キャストとの仲も良かった。でも僕が「アクション」と言うと、全てのムードが一変して、ものすごく張りつめた空気になるんだ。

—ベテラン揃いですが、現場でのキャストたちの様子は?

監督: みんなおもしろかったよ。シガーニーはとても皮肉っぽいシャープなユーモアのセンスの持ち主なんだ。デニーロはとても温かい人柄で、シャイというわけではないけれど、口数は少ない。彼が3つ言葉を発すると、それは倍の意味を持つような素晴らしい人だよ。キリアンもとても面白い人だ。僕らはまるで同じ車を運転している相棒のようだった。

—デ・ニーロは出てきた瞬間から、カリスマ超能力者サイモン・シルバーにしか見えませんでした。

監督: 素晴らしいよね。彼には人を引きつける存在感があるんだ。彼を一目見ると、史上最高の超能力者だと信じてしまう。何を演じても史上最高になれる人だよ。何しろロバート・デ・ニーロだからね!

—日本の映画ファンには、どのように『レッド・ライト』を楽しんでほしいですか?

監督: 僕が保障できるのは、観客は自分自身を疑い始めるはずだということ。映画が始まった時点では安心していて、自分で自分の考えをコントロールできると信じている。でも、だんだんその感覚を失っていくだろう。自分自身の知覚を信用できなくなる瞬間が来ると思うよ。自分が理解していると確信していても、必ず裏切られるんだ。

—これから映画を観に行く人に、何か一つ注意を払うべきヒントをあげるとしたら?

監督: 注意を払うのではなく、チケットにお金を払ってほしいな(笑)それは冗談で、僕は何にも注意を払ってほしくないんだ。今作はマジックのトリックだから。どこに注意を払っても、それは間違っていると思うよ。

—まだ全ての答えを得られていないような気分です…もう1度観て、1度目に見逃した全ての“レッド・ライト”を見つけたいです。

監督: 多くの場合、疑問は答えよりも大切なんだ。2度目に観ると、1度目に見逃したたくさんのディテールを発見するだろう。そして、全ての“レッド・ライト”が最初からそこにあったことに気づくんだ。どれをどのように解釈するべきか、自分が何を探していたのかが分からなかっただけでね!



『レッド・ライト』

物理学を信奉するマーガレット・マシスン博士とジョシュのトムは、科学力によって数え切れないほどの超常現象のペテンを見抜き、イカサマ超能力者の嘘を暴き出してきた。そんな彼らの前に、恐るべき強敵が出現する。30年以上も姿をくらませていた超能力者サイモン・シルバーが表舞台に復帰したのだ。やがてマーガレットは因縁あるシルバーの呪いに襲われたかのように倒れ、トムは奇妙な現象に悩まされながらもシルバーの調査に身を投じていく。はたしてシルバーの超能力は本物なのか。そしてシルバーが復活を遂げた真の目的とは…。

監督/脚本/編集/製作:ロドリゴ・コルテス
出演:キリアン・マーフィー、シガーニー・ウィーバー、ロバート・デ・ニーロ、ほか
配給:プレシディオ
2013年2月15日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー!
©2011 VERSUS PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS S.L.(NOSTROMO PICTURES) / VS ENTERTAINMENT LLC

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Interview + Text: Nao Machida

10:34

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』アン・リー監督 来日インタビュー

2013-01-25


『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー監督賞に輝いたアン・リー監督の最新作『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』が、本日(1月25日)より全国で公開中だ。原作はブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー小説「パイの物語」(ヤン・マーテル著)で、海で嵐に見舞われ、ただ一人生き残った少年パイが、一頭のトラと共に小さな救命ボートで大海原を漂流した227日を描いている。

映像化不可能と思われた奇想天外な物語を3Dを駆使して見事にフィルムに収めたリー監督が、「パイは全ての人を表している」と語るとおり、今作の圧倒的な映像美の奥には、多くの心を揺さぶるであろう哲学的なメッセージが織り込まれている。公開を前に来日した監督がMTV Newsの取材に応じ、作品の見どころや撮影秘話を明かした。映画は2月に発表される第85回アカデミー賞で、作品賞、監督賞を含む計11部門にノミネートされている。



—今回は『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』を携えて来日してくださって、どうもありがとうございます。

アン・リー監督(以下、監督): 喜んで!日本に来るのは大好きだよ。

—今作は視覚的にも精神的にも得るものの多い作品でしたし、まるでパイとトラのリチャード・パーカーと共に、自分もボートに乗って漂流しているような気持ちになりました。

監督: どうもありがとう、それはうれしいね。

—原作を読んだ時に映画化は不可能だと思ったのですが、見事に映像化されていて感動しました。よく「子どもと動物とは仕事をするな」と言われますが、今作には子どもや動物に加えて、大量の水や宗教問題、さらには3D技術と、難しい要素が詰まっています。監督はなぜ今作に挑もうと思ったのですか?

監督: この物語のとりこになってしまったんだ。僕自身、原作を読んだ時は、映画化は到底無理だと思った。それなのに映画化の依頼を受けてから、気になって仕方なかったんだ。取りつかれてしまったんだよ。できれば忘れたかったし、「僕の邪魔をしないでくれ!」という気分だった(笑)でも、なぜか考えるのを止められなかった。今作には難題がぎっしり詰まっているけれど、僕はある日、もし別の次元を使ったら可能性が広がるのではないかと考えた。3Dなら可能かもしれない、とね。僕はときどき、そんな風にひらめくんだ(笑)

—そのような難題の詰まった作品において、最も大変だったことは何ですか?

監督: 最も難しかったことは、どのように物語をまとめるかだったように思う。特に最後のシーンで、観客が映画の世界から冷めることなく、彼にどのように物語を語らせるか、という部分がとても難しかった。原作の本質は、人間が持つ想像力の素晴らしさにあると思う。しかしフィルムメーカーとしての僕らは、感情的な要素や映像に頼ってしまいがちだ。だから今作はある意味、非常に映画向きではない作品なんだと思う。僕は最後のシーンで長いこと行き詰まってしまった。何度か撮り直しをしたぐらいだよ。書き直しではダメなんだ。それよりも、俳優を使っていろんなことを試す必要があった。

全ては彼らの演技のおかげだよ。役者が台詞にいかに没頭しているか、どのように台詞を話すか…それはとても難しいことなんだ。パイは全ての人を表しているから、役者は万人のために哲学的な台詞を代弁しなければならないわけだからね。彼は指導者のような話し方はしないし、とても一般的に話をするんだ。でも、映画であるからには感情を表現し、人格化しなければならない。僕はもう少しで今作を完成できないところだったよ(笑)だが、あるテイクを観た時に「これだ」と思ったんだ。台詞の言い方も完璧だったし、全てが完全だった。スラージ・シャルマが素晴らしい役者であるということだけでなく、たくさんのオプションを試すことが必要だったんだ。トライ&エラーの繰り返しだよ。3Dに関しては誰からもアドバイスをもらうことができなかったし、とにかく試し続けるしかなかった。


3000人以上の中から選ばれたスラージ・シャルマは演技初体験。当時は高校生で、撮影セットで18歳の誕生日を迎えた。

—3Dや視覚効果といった最新技術はもちろん素晴らしかったですが、おっしゃるとおり、今作では役者の演技力が本当に素晴らしかったです。特に今作が演技初体験だという16歳のパイを演じたスラージ・シャルマさんが印象的でしたが、何か撮影中に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

監督: 僕は彼に会った瞬間、パイだと感じたんだ。それが彼を抜擢した最大の理由だよ。当初、僕の中にはパイの具体的なキャラクター設定がなかったのだが、スラージに会って、どのように映画を作っていくべきか分かった。彼は深い瞳の持ち主で、ソウルフルなルックスをしている。プロの監督として、カメラ映りも良いだろうと思った。そこでテストをしてみたところ、役者としても天才肌だと分かった。ある状況を与えられると、そこから抜け出せなくなるような貴重な才能の持ち主なんだ。彼の思い込みの能力はとてつもないものだよ。パイが独白するシーンの台本を読ませると、最後には泣き出し、震え出した。僕は金山を掘り当てたのだと確信したよ(笑)

特に印象的だったのは最後の3ヶ月。僕にとって、それは非常に特別な体験になった。スタントは使わず、全てのシーンに映っているのは他の誰でもない彼だ。彼は弱音も吐かず、ケガもせず、病気にもならなかった。もしケガでもしていたら撮影できなかったわけだが、彼はとても頼りになる役者だった。最後の3ヶ月は順撮りしたから、パイの旅と並行して、彼はどんどん痩せていった。現場では誰にも彼と話をさせず、わざと孤独にした。彼は少しずつスピリチュアルになっていき、頬はこけ、目は落ちくぼんで、内なる狂気と闘っていたよ。それは17歳の少年にとって、とても大きな試練だった。クルー全員、撮影全体が彼を頼っていたからね。

僕が彼に伝えたのは、「言うとおりにやればいい、でも、いつでも応じられる準備はしておいてほしい」ということ。毎日現場入りしたら、パイを演じる準備をしておいてほしい、とね。見事にやり遂げた彼を見て、本当に感動したよ。彼は素晴らしい若者だ。撮影前の3ヶ月間の訓練で、僕は彼に演技の個人指導をした。それにデリーで育ち、1度も海を見たことのなかった彼は泳げなかったから、水泳のレッスンも必要だった(笑)決して最も自制心の強いタイプというわけではないが、映画人としての素質が感じられる。現場に入るとアドレナリン・ラッシュを感じて、ハイになるんだ。天才肌だよ。

彼を演出していると、まるで小さなブッダのようで、僕は彼が前世で経験したたくさんのことを思い出させているような感覚になった。彼との撮影は素晴らしい、有意義な体験となったよ。彼を通じて、そもそもなぜ自分たちが映画を作りたかったのか、初心に立ち戻ることができた。彼の母親は僕を先生と呼んでいたのだが(笑)、彼に教えることで、僕も多くを学ぶことができた。

—彼は今後も俳優業を続けるのでしょうか?

監督: ああ、映画製作に関わる仕事がしたいと言っているよ。俳優でも監督でもいいから、とにかく映画製作の現場にいたいそうだ。


海上のシーンは、波を作る機能を備えた水量640万リットルの巨大なタンクで撮影された。

—MTVを観ている多くの人は、劇中のパイと同世代だと思います。日本では長引く不況もあり、若者が夢や希望を抱くのが容易ではない時代が続いているのですが、日本の若者には今作からどのようなことを感じ取ってほしいですか?

監督: 希望と想像力を失わないでほしい。それに、生身の人間と交流すること。パソコン上の交流は、どちらかというと見せかけだと思うよ(笑)僕はたとえどんな状況でも、証明できないことに対して希望や信頼を抱くことは大切だと思っている。それはとても重要なことだ。それに、クリエイティブであること。そうすることによって、辛い状況からも自分を見出せるはずだ。



—哲学的なメッセージがたくさん含まれた作品だと思いますが、監督自身が今作から得た最も大きなメッセージは何ですか?

監督: これはさまざまな方向に解釈できる作品だと思っている。僕は観客があらゆる角度から観ることになるだろうと念頭に置いて、今作を作っていた。それと同時に、とてもシンプルな冒険物語でもあるわけで、この映画は本当に難しい作品だった。

僕自身の考えに絞るとすると、今作の最も大きなメッセージは、物語を伝える力の素晴らしさだろう。人生は筋の通ったものではなく、我々は自然を理解するには小さ過ぎる存在だ。しかし、人は想像力や物語を伝えることによって、正気を保つことができる。長い物語を語っている時、人はあまり孤独を感じないものだ。たとえそれが空想だったとしても、物語を伝える力は、とても必要なものなんだと思う。

だから僕は証明できないことを大切にしたいと思っている。自分にとって、それは盲信なんだ。もちろん、僕はスピリチュアルに考えがちだ(笑)神が外的な存在なのか、内なる存在なのか、それを証明するものはない。それでも僕は、神とコミュニケーションを図ることは大切だと考えているよ。



『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
1960年代初めのインド・ポンディシェリで生まれたパイは、父親が経営する動物園でさまざまな生き物と触れ合い、勉強や初恋に一喜一憂する少年だった。ところが1976年、16歳になったパイの人生は根底からひっくり返ってしまう。カナダへの移住を決めた両親、動物園の動物たち、そしてパイが乗り込んだ日本の貨物船が、洋上で嵐に見舞われて沈没したのだ。生き残ったのは、必死の思いで救命ボートに避難したパイと、足を折ったシマウマ、ハイエナ、オランウータン、そしてベンガルトラのリチャード・パーカーだけだった。まもなくシマウマらが相次いで命を落とし、パイは体重200キロを超すトラとともに、果てしなく広大な太平洋をさまようことになる。わずかな非常食で当面の飢えをしのぎ、家族を亡くした悲しみと孤独にも耐えるパイは、どのようにして腹を空かせた獰猛なトラの襲撃をかわし、この絶望的な極限状況を生き抜いていくのか。今では大人になったパイがカナダ人のライターに語って聞かせたその先の物語は、まさに事実は小説より奇なり、227日間にも及ぶ想像を絶する漂流生活が待ちうけていた…。

監督:アン・リー(ブロークバック・マウンテン/グリーン・デスティニー)
出演:スラージ・ジャルマ、イルファン・カーン、ジェラール・ドパルデュー、ほか
原作:ヤン・マーテル「パイの物語」
配給:20世紀フォックス映画
2013年1月25日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国公開 <3D/2D同時上映>
© 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM

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Interview + Text: Nao Machida

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