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トミー・ゲレロ 来日ロング・インタビュー Part 2

2012-11-09
前回に引き続き、米サンフランシスコを拠点に活躍するストリート・カルチャーのアイコン、トミー・ゲレロの来日ロング・インタビューをお届け。Part 2では、10月に全国6都市で開催されたジャパン・ツアーを、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにて開催された東京公演の写真と共に振り返る。また、トミーがかつて所属していた伝説のスケートボード・チームについてのドキュメンタリー映画『ボーンズ・ブリゲード』(12月1日公開)について、当時の思い出も交えて話してくれた。

インタビュー Part 1はこちら>>



―今回の来日ではニュー・アルバム『No Mans Land』を引っさげてジャパン・ツアーをまわられて、今夜が最終日ですが…

トミー・ゲレロ(以下、TG): 今夜が最終日だ(ため息)

―名古屋、金沢、静岡、京都、大阪、さらには朝霧ジャムとプレイしてきて、各地の日本のファンからの新曲への反応はいかがでしたか?

TG: 素晴らしいよ。すごくポジティヴな反応を得られている。新作を全曲最初から最後まで演奏しているからね。確か12曲かな。13曲かも。それから昔の楽曲を再訪しているんだ。15年間の年月に及ぶ楽曲陣だよ。『Loose Grooves and Bastard Blues』は1997年に発表したから、ちょうど今年で15年になるんだ。

―15年間を振り返ってみて、どんな気分ですか?

TG: いまだにあの作品が1番気に入っている気がするよ(笑)ナイーブな作品だし、販売しようと思って作ったわけでもないし、作品集としてCDにしようと思っていたわけでもないからね。自分が作ったスケートビデオとか、いろんなビデオのために作った音楽だったんだ。ただ好きだからやっていただけで、まさか15年後にここで君と話すことになるとは思っていなかったよ(笑)



―新曲をライヴで披露してみて、いかがですか?

TG: 楽しいよ。レコードと全く同じにすることは絶対に不可能だから、ライヴでは楽曲に新たな命が吹き込まれるんだ。一部の楽曲ではギターを4、5本使っていたりするしね。だから、どのパートが楽曲にとって不可欠で、バンドの誰がどのように演奏するべきか、考える必要がある。ギタリストのビン・ジ・リンはニューヨーク在住だから、来日前にサンフランシスコまで来てもらって、リハーサルをする必要があった。全ての新曲を練習するのに、丸1日しかなかったんだよ。だから正直ちょっと怖いよ(笑)今のところは良い感じで演奏できていると思う。でも、毎晩少しずつ変わるんだ。俺はいろいろ試したいタチで、即興をしがちだからね。今夜のライヴもこれまでのショーとは何かが違うと思うよ。

―そこがライヴの魅力ですよね。

TG: ああ、俺にとってはエキサイティングだけど、他のメンバーは気が狂いそうになるんじゃないかな(笑)



―今回のツアーのハイライトは?

TG: 朝霧ジャムだね。ウォー!あれはクレイジーだった。1万2000人も観客がいたんだ。ステージに立って、「一体何が起きているんだ?」って見渡したよ。素晴らしかった。俺たちの演奏も良かったし、観客の反応も良かった。みんな超はまってくれたし。天気も素晴らしくて、夕暮れ時に演奏を始めて、ライヴ中に夜になっていったんだ。本当にマジカルな状況だったよ。山の中のああいった環境で、すごく遠くまでテントがたくさん張られているのが見えて、とても非現実的な景色だった。

―いま聞いただけで鳥肌が立ちました。

TG: ああ、俺も(笑)素晴らしかったよ!







―また、12月1日には映画『ボーンズ・ブリゲード』が公開されますが、今作はどのような経緯で実現したのですか?

TG: 俺が80年代に所属していたスケート・チームについての作品なんだ。主軸となっているのはチームのマネージャーであり、パウエル・ペラルタ(スケートボードブランド)のオーナーでもあるステイシー・ペラルタ。メンバーの1人、ランス・マウンテンが、チームについてのドキュメンタリーを作るべきだとステイシーに持ちかけたんだ。でも、あまりにも大切で私的な題材なだけに、当初ステイシーは映画を製作したがらなかった。

そしてまた1年が経過し、ランスはどうにかしてステイシーに作らせようと説得を続けていた。そこでステイシーが俺たち残りのメンバーに連絡してきて、意見を求めたんだ。俺たちはみんなランスと同意見で、「作るべきだ」と言ったよ。それで俺たちはロサンゼルスでミーティングをして、全員が同じ気持ちで今作に参加することに同意し、そこから全てが始まったんだ。思い出の品々や映像、歴史や情報量の膨大さを考えると、映画の製作は極めてスピーディーに進んだ。かなり大急ぎで全てをまとめてくれたんだ。

―世界各地の映画祭や試写会等で上映してきて、観客の反応はいかがですか?

TG: 試写会では毎回、上映後に質疑応答を行っているんだけど、圧倒的な反応を得ているよ。しかもスケーターだけじゃないんだ。興味深いことに、あの映画は多くの母親たちに影響を与えているんだよ。スケートだったり、音楽だったり、絵を描くことだったり、夢中なことしかやりたがらない子どもの母親たちさ。親は子育てにおいて、「一体どうしたらいいんだ?」と頭を抱えていたわけだけど、今作を観て、自分の子どもが何を考えていたのか理解することができたんだ。母親たちが涙を流しながら俺のところにやってきて、映画のお礼を言われたよ。「いやいや、俺はただスケボーしてただけで、影響を与えようとか、世の中を変えようとかはしていたわけじゃないから」って感じだった(笑)興味深いよね。

―良い話ですね。

TG: ああ、とてもね。



―トミーのお母さんは映画をご覧になりましたか?

TG: つい最近観てくれたよ。とても楽しかったって言ってくれた。母は昔から超協力的だったからね。

―本編を観る前にトレーラーを観ただけで、うるっと来てしまいました。

TG: 実際にたくさんの人が泣いていたよ。大の男でさえ、え~んって(笑)俺は泣いてないよ。泣きそうにはなったけどね(笑)

―メンバーとはずっと連絡を取り合っていたのですか?

TG: スティーヴ・キャバレロとランス・マウンテンには時々会っていたけど、マイク(・マクギル)やトニー(・ホーク)には、あまり会っていなかった。でも最近は今作のプロモーションで頻繁に会っている。あいつらと再びつながることができて、良い感じだよ。

―再結成みたいですね。

TG: ああ、間違いない。バンドが再結成したって感じだ。

―2005年に、ステイシー・ペラルタをはじめとするZ-BOYSとドッグタウンを題材にした映画『ロード・オブ・ドッグタウン』が公開されましたよね。あの映画を観た世代は今作を観て、「これがあのステイシーか!」と思うかもしれません。

TG: 実は俺はあの映画は観たことないんだ。ドキュメンタリー(註:ペラルタの1作目『DOGTOWN & Z-BOYS』)の方が好きでね。今後の懸念事項は、きっと誰かがボーンズ・ブリゲードをハリウッドで映画化したいって言ってくるんじゃないかということ(笑)


ライヴにもボードを持参、来日中もオフはスケートパークへ行くなど、今でもスケートは生活の一部。

―トミーはボーンズ・ブリゲードに何歳の時に加入したのですか?

TG: 確か…17歳?17歳くらいだと思う。

―チームを取り巻く環境を映画で拝見すると、ティーンエイジャーにとってチームに所属することは、かなりエキサイティングだったのではないかと思うのですが、実際にはいかがでしたか?

TG: そうだね、その時は夢中で楽しかったし、ある程度はのぼせ上がっていたかもしれない。でも俺たちのほとんどは、あのような名声の中に居ても地に足が着いていたよ。幸いにも、みんなとてもしっかりしていたしね。(映画は)まるで他人の人生を観ているかのようだった。あまりに昔のことだし、映画で昔の映像をいっぱい観て、「うわ、あんなことが実際に起こったなんてクレイジーだな!」って思ったよ。

―ボーンズ・ブリゲード時代の心に残っている思い出は?

TG: 選ぶのは難しいけど、とにかく友だちとみんなでスケートすることが楽しかった。それと同時に、チームの知名度のおかげでクレイジーなことが起こったこともあった。想像もしていなかったような状況や立場に置かれるようなことがね。たとえば、ザ・ビートルズのジョージ・ハリソンの城に行って、彼と過ごしたこととか。ジョージ・ハリソンの庭の芝生に転がって、彼とビールを飲むことになるなんてね!または、ニューオーリンズのマルディグラのパレードで、他のメンバーと一緒にフロート(山車)に乗ってビーズを投げていたり。「俺たち一体何やってんだ!?」って感じでさ。そういった、かなり奇妙な出来事がたくさんあったよ。

―日本の若い世代のファンの中には、ミュージシャンとしてのトミーは知っていても、あんな風にスケートする姿を見たことはない人もいると思います。そんな世代にとっても、今作はエキサイティングかもしれないですね。

TG: うん、そうかもね!音楽活動を通じて俺を知った若いファンが日本にいるということは、俺にとってはすごく嬉しいことなんだ。普段は逆(スケーターとして知られている)だからさ。

―息子さんには映画を見せましたか?

TG: ああ、息子も観に来てくれたよ。でもまだ8歳だから、幼な過ぎて、ちゃんと理解してないんじゃないかな(笑)

—以前の来日の際にインタビューした時に、息子さんにスケートを教えているのか聞いたら、「スケートは危なすぎるから、息子にはキックボードがお似合いだ」って言っていましたよね。

TG: 最近はいつも一緒にスケートしているよ!息子もすごくはまっているんだ。今日も電話で話したんだけど、スケートしているって言っていたよ。



―今年は震災チャリティ・アルバム『We Are You Are Us』をリリースされるなど、常に日本のファンを勇気づけてくださっていますが、トミーにとって日本とはどのような存在ですか?

TG: 日本は俺にとってのサポート・システムなんだ。これまでずっと、俺の全ての活動を非常に寛大にサポートしてくれている。だから、長年のサポートに対して「ありがとう」と言うために、何かしたかったんだ。チャリティ・アルバムは、たとえほんのわずかでも日本を支援するための、1つの方法だった。いまだに人々が俺の来日公演に足を運び続けてくれることに、びっくりしているよ。いつかは「もう彼は終わった!」なんて言われるんじゃないかな(笑)

―そんなことないですよ!毎回ライヴの度に観客が増えているような気がします。前回の来日公演なんて、インストなのにパンク・ロックのライヴのような盛り上がりでしたよね。

TG: 今夜も期待しててよ(笑)今回のツアーでも、確か金沢公演ではモッシュピットが起こっていたよ。最後の方は本当に激しく、ワーッ!って。すごかったよ!あれはものすごかった。最高だ(笑)

―今後の予定は?

TG: 帰国したら、『ボーンズ・ブリゲード』の全米公開まではプロモーションが続く予定。他にもいろんなことをやっているよ。また音楽制作も一から始めるつもりさ。

―新しい音楽ができたら、また来日してくれますか?

TG: ぜひそう願うよ。

―日本のファンにメッセージをお願いします。

TG: 長年にわたって応援し続けてくれて、どうもありがとう。みんなが俺の活動を信じていてくれることを、本当に感謝しているよ。ありがとう!

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida




『No Mans Land』
01. the loner
02. phantom rider
03. specter city
04. sticks of fury
05. hombre sin nombre
06. handful of hell
07. the last stand
08. the viper
09. loco's lament
10. the man from califas
11. el bandito
12. the gunslinger
13. duel in the dust
14. los dias del oro
15. the stranger




『ボーンズ・ブリゲード』

70年代にスケートボード界に革命を起こし、ストリートカルチャーの発信源ともなったチーム、Z-BOYSの一員でもあり、その後、映像作家として自伝的ドキュメンタリー『DOGTOWN & Z-BOYS』を発表、世界的な成功を収めたステイシー・ペラルタが、10年以上の時を経て、再びパーソナルな題材に挑んだ最新作。80年代、低迷期に入ったスケート業界を救った、ペラルタ自身が作り上げた伝説的チーム、BONES BRIGADEを主軸に、若い野心的な若者たちのスケートボードに対する情熱、スキル、友情、不可能を可能にする信念が、いかに現在では莫大な金額を動かす巨大産業へと発展し、スケートボード業界の礎を築いていったのか。当時のスケートキッズを熱狂の渦に巻き、現在でも世界的知名度を誇るBONES BRIGADEの主要メンバーたちのインタビューと貴重なアーカイヴ映像を織り交ぜ、輝きと刺激に満ち溢れた80年代のストリートカルチャーの真実を浮き彫りにするー。

監督:ステイシー・ペラルタ
出演:ロドニー・ミューレン、スティーヴ・キャバレロ、トミー・ゲレロ、マイク・マクギル、トニー・ホーク、ランス・マウンテン、ほか
シネマライズにて、12月1日(土)ロードショー!
(C)2012 UNION AVENUE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.

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トミー・ゲレロ
ウェストコーストから世界のストリート、カルチャー、アートに影響を与える真のカリスマ・アーティスト。 1980年代に伝説のスケートボード・チームBones Brigade最年少メンバーとして活躍。 98年にトーマス・キャンベルが運営するgalaxiaより『Loose Grooves & Bastard Blues』をリリース。 その後も独自のポジションを築きながらミュージシャンとしてコンスタントにリリースを重ね、アルバム・リリースの度に来日公演を行っており、東日本震災後にはチャリティCDのリリースや日本を元気づけるためのツアーも行っている。

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トミー・ゲレロ 来日ロング・インタビュー Part 1

2012-11-08
米サンフランシスコを拠点に活躍するストリート・カルチャーのアイコン、トミー・ゲレロが、10月に最新アルバム『No Mans Land』を引っさげ、約1年ぶりとなる来日を果たした。滞在中は全国6都市をまわる来日ツアーを敢行し、12月に公開される映画『ボーンズ・ブリゲード』のプロモーションもこなすなど、超過密な日々を過ごしたトミーが、ツアー最終日となった東京公演の直前に、MTVのインタビューに答えてくれた。

MTV NEWS BLOGでは、人気番組「MTVラボ」でオンエアされたインタビューをノーカットでお届けする。今回紹介するのはロング・インタビューのPart 1。9月にリリースされた約3年ぶり、7枚目のアルバムの制作秘話をたっぷりと語ってもらった。



―アルバム完成おめでとうございます。ようやくリリースした今の気分は?

トミー・ゲレロ(以下、TG): う~ん…さまざまな感情が入り乱れているんだ。ひとまず、ようやく完成して嬉しい。でも同時に、俺は常に音楽制作を続けたいんだよね。曲を構築し続け、変更を加え…といった感じで。だから、ある時点でストップして手放すのは辛いんだけど、そうせざるをえない。細かいところがちょこちょこ気になって、いつまででも楽曲を見直したい気分になるんだ。でも(発表できて)嬉しいよ。ようやくライヴで演奏できるのも嬉しいね。この作品のようなフォーマットはとてもユニークだから。

―制作にはどれくらいの時間を要したのですか?

TG: 6、7ヶ月かな。俺にとっては割と早い方なんだよね。いつもいろんなことをやっていて忙しいから。だから、今作はかなりの早さで完成したよ。

―前作から3年ぶりの今回のソロ・アルバムは、これまでよりダークでメランコリックなサウンドですね。アルバムを制作するにあたって、テーマやコンセプトはあったのですか?

TG: テーマはなかったけど、「The Gunslinger」を今作のために最初にレコーディングして、あの曲がアルバム全体のトーンを決めたんだ。アルバムのダークな部分は自然に生じた。だから、そのまま進んで行くことにした。

―そういったダークなサウンドは、何によって引き出されたのだと思いますか?

TG: 過去1年半の間に、自分の取り巻く環境に変化があったんだ。私生活でいろいろあったから、多分そういったことが自分のムードやアルバムへのアプローチに影響したんだと思う。俺にとって、音楽はすごくエモーショナルなもの。どんな感情であれ、自然に出てきてしまうんだ。それは俺の制作活動における素直な側面だよ。アルバムを制作するまでの6ヶ月間、俺はブルーな日々を送っていたんだ。

—アルバムのタイトル『No Mans Land』の意味は?

TG: 制作が進むにつれて、アルバムの正体や、それがどのような方向に進んでいるのかが明らかになってきた。終盤になって、今作はマカロニ・ウェスタンのようなスタイルの作品だと気づいたんだ。俺の楽曲は全てインストでリリックはないわけだし、タイトルに意味を与える代わりに、今作では初めて何か変わったことをしようと思った。ランダムなタイトルをつけようとね。だから、曲のタイトルはどれも西部劇風なんだけど、いずれも架空の西部劇のタイトルなんだよ。アルバムのタイトルも架空のマカロニ・ウェスタンのタイトルなんだ。最終的にはそれが俺のアプローチとなった。



―実際に今作はマカロニ・ウェスタンのサウンドトラックのようなサウンドでしたが、制作中にマカロニ・ウェスタンの映画をたくさん観るようなことはしていましたか?

TG: いいや、観てはいないんだ。とにかく自然にこうなったんだよ。そういった方向性に気づいてから、改めてマカロニ・ウェスタンの世界を再訪したり、ネットでいろんな映画のタイトルを調べたりしてみた。ああいう映画の音楽がどれだけ素晴らしかったかを再認識したよ。

―子どもの頃からマカロニ・ウェスタンを観ていましたか?

TG: もちろん、クリント・イーストウッドの映画は全て観ていたよ。他の作品もね。『続・夕陽のガンマン』は、マカロニ・ウェスタン史上最高の傑作の1つだと思う。あの口笛なんかも含めて、全てが素晴らしいよ。

―他にもお気に入りの作品はありますか?音楽的な面も含めて。

TG: 『荒野の用心棒』とか、クリントの作品は全て名作だよ。それにイタリア映画にも、とても風変わりな作品がたくさんある。最近もいくつか観たけど、とにかく奇妙なんだ。リー・ヴァン・クリーフが出演している作品もたくさんあるよね。クリントをはじめ、いろんな役者が活躍していた。

―先ほど『荒野の用心棒』(原題:A Fistfull of Dollars)を挙げていましたが、収録曲の「Handfull of
Hell」はそこからインスパイアされているのですか?

TG: その通り!正解だよ(笑)

―自分がつけた架空の西部劇風のタイトルの中で、特にお気に入りは?

TG: 「Sticks of Fury」は気に入っている。ボンゴのリムをスティックで叩いたからね。それに、ブルース・リー『ドラゴン怒りの鉄拳』(原題:Fist of Fury)を連想させるだろ?ガキの頃、ブルース・リーの大ファンだったんだ。その2つの要素を合わせた感じかな。それにあの曲のスティックを使った打楽器的な一面が気に入っていてね。

―それってカンフー映画ですよね(笑)

TG: ああ、カンフー・マカロニ・ウェスタンだよ(笑)



―今作には制作までの6ヶ月間の日々が反映されているとのことですが、多くのバンドはインスピレーションをリリックに書くものですよね。インストの場合はどのようにインスピレーションを注ぎ込むのですか?

TG: 俺は音楽に自分のソウルを注ぎ込むんだ。感情的に、自分が抱いている全てを注ぎ込む。そういったものが曲を聴いた人の心に響くんだと思う。リリックというのは時にうまく通じないこともある。誰もが同じ言葉で話しているわけではないからね。それだけでなく、ポップ・ミュージックが伝えようとしていることなんて、俺にとってはどうでもいい。全くどうでもいいんだ。型にはまった陳腐な筆運びで、つまらなく感じるよ。ああいったものは俺には必要ないんだ。良い作詞家であると同時に、良いシンガーでもある人は、とてもレアなんじゃないかな。

―言語の壁がないことも、日本のファンがトミーの音楽を気に入る理由の1つかもしれないですね。

TG: ああ、世界中の人から言われるよ。ヴォーカルがないからこそ、誰もが理解できるんだ。問題は感情的なインパクトだからね。

―ご自身の人生が今作の主なインスピレーションとなったようですが、他にもインスパイアされることはありますか?

TG: もちろん。全てのことにインスパイアされるよ。音楽家だろうが、アーティストだろうが、ライターだろうが、他の人からもね。それに色だとか、アートだとか、どんなことでも。でも、芸術作品を観て楽曲を書くというような直接的なことではなく、創造性をかき立てられるんだよ。俺は超クリエイティヴな、世界に何か特別なものをもたらしてくれる人たちに感心している。アーティストは俺たちみんなのために、世界をずっと良い場所にしてくれていると思う。彼らの存在によって、俺もインスパイアされて良いものを作りたいと思うんだ。

―いつも一人でアルバムを作っていると思うのですが、今回もそうでしたか?

TG: ああ、唯一1曲だけ、マット・ロドリゲスがコンゴを演奏した曲があるんだ。「Hombre Sin Nombre」だよ。

―全てを自分一人でやる理由は?

TG: 必要に迫られて(笑)一緒に演奏するバンドを探すのは難しいし、スタジオを探すのも難しい。俺はレコーディングの機材や必要な楽器を全て持っているんだ。みんな忙しいから、演奏しに来てもらうのも大変だしね。だったら自分でやろうかな、と。もちろん、本当は自分よりずっと上手いキーボード奏者やベーシストに演奏してもらうことだってできるけど。でも、ソロで制作する上で良いことの1つは、最終的に自分の名前が記される時に、ほぼ全てを自分で成し遂げたんだと感じられること。作品を聴いた人には、俺の人となりや音楽へのアプローチが、かなり明確にわかってもらえると思う。



―どちらかというと一人で作るのが好きなのかと思っていました。スケートも一人でやるものだし。

TG: 成り行きでこうなったんだ(笑)俺はいつも一人だし、旅をしているし、バンドを組むことはできない。スケートも同じこと。常に一人なんだ。音楽も同じで、どうせなら一人でやろうかな、と。他の人に頼るのは難しいからね。

―アルバムのジャケットも完璧に音と合っていますね。

TG: ジャケットはデイヴ・キンジーというアーティストの作品なんだ。彼もスケーターで、シェパード・フェアリーとかと仲が良くて、彼らは以前、「ブラック・マーケット」というチームで活動していたんだよ。そのデイヴが4ヶ月ほど前にサンフランシスコで個展を開いたんだ。彼の作品についてはずっと前から知っていたけど、当時はもっとグラフィティをベースにした具体的な作品だった。でもこの個展を見たら、もっと抽象的で、すごく気に入った。俺は観たままの具体的すぎるアートは好きではないんだ。その時の個展は素晴らしくて、彼にとっても新たなステップで、新たな方向性を示していた。それでいろいろ考えて、彼に相談したんだよ。作品自体はキャンバスに描かれた完成していたもので、俺のためにテキスト等を加えて、グラフィックデザインをしてくれた。

―彼が音楽を聴いてから描いた作品かと思いました。

TG: 違うんだ。俺もあの作品を見て、「これはうまく行くかも!」と思ったよ。今作の音楽を反響していると思うんだよね。

―前回のソロ作品から3年が経過していますが、今作で何か新しいアプローチはしましたか?

TG: 主にやったことは、自分のリハーサルスペースでギターのアンプを通じて爆音で演奏すること。かなりボリュームを上げてね。アンプを通じて爆音で演奏することでしか得られないテクスチャーが大好きなんだ。60年代半ばの古いアンプを使ったんだよ。とてもユニークなサウンドや個性のあるアンプで、ものすごくユニークなトレモロがついているんだ。とにかく素晴らしいトーンが出せる。あのアンプのトーンもアルバムの方向性を決めた要因の1つだと思う。

―使ったギターもこれまでとは違うんですか?

TG: 大半ではフェンダーのテレキャスターを使った。今夜使うやつと似ているものだよ。うん、ほとんどテレキャスターだね。



―日本にはたくさんのファンがいますが、今作をどのように楽しんでほしいですか?

TG: ファンには超感謝しているよ。今作は長いドライブとか長い電車の旅で聴くと、どこか他の場所に連れて行ってくれるような作品だ。それもまたインストの良いところで、リリックのように何か特定なアイデアや考え、テーマに聴く人を縛りつけることはしないからね。インスト音楽は聴く人を空想の世界に連れて行ってくれる。その人ならではの映画のような情景にね。

Part 2に続く)


Part 2では、来日ツアーや12月1日公開の映画『ボーンズ・ブリゲード』について語ります。

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida




『No Mans Land』
01. the loner
02. phantom rider
03. specter city
04. sticks of fury
05. hombre sin nombre
06. handful of hell
07. the last stand
08. the viper
09. loco's lament
10. the man from califas
11. el bandito
12. the gunslinger
13. duel in the dust
14. los dias del oro
15. the stranger



トミー・ゲレロ

ウェストコーストから世界のストリート、カルチャー、アートに影響を与える真のカリスマ・アーティスト。 1980年代に伝説のスケートボード・チームBones Brigade最年少メンバーとして活躍。 98年にトーマス・キャンベルが運営するgalaxiaより『Loose Grooves & Bastard Blues』をリリース。 その後も独自のポジションを築きながらミュージシャンとしてコンスタントにリリースを重ね、アルバム・リリースの度に来日公演を行っており、東日本震災後にはチャリティCDのリリースや日本を元気づけるためのツアーも行っている。

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17:48

デス・キャブ・フォー・キューティーのベンジャミン・ギバードがソロ・アルバムを語る

2012-10-17
全米チャートで首位を獲得し、グラミー賞受賞経験もある、米ワシントン州出身の人気ロック・バンド、デス・キャブ・フォー・キューティー。そのフロントマン、ベンジャミン・ギバードが、自身初となるソロ・アルバム『Former Lives』を完成した。過去8年間に書きためてきた楽曲を収録したという今作には、曲を書いたその時々のベンの視点が詰め込まれており、デス・キャブとは違った独自の世界観が楽しめる。

ここではアメリカ・ロサンゼルス在住のベンがMTV Newsのために答えてくれた、貴重な電話インタビューをご紹介。ソロ・アルバムの制作秘話から、日本盤ボーナス・トラックとして収録された「イチローのテーマ」まで、じっくりと語ってくれた。



—まずはソロ・アルバムの完成おめでとうございます。今作に収録されたのは過去8年間に書きためてきた作品だそうですが、バンドとしての楽曲よりも私的な作品のように感じました。このタイミングでソロ・アルバムとしてリリースしようと決めた理由は?また、楽曲を書いた時点で、いつか発表しようと考えていたのでしょうか?

ベンジャミン・ギバード(以下、ベン): 別に(ソロ・アルバムのリリースを)計画していたわけじゃないんだ。気付くとレコード1枚出せるくらいの曲が溜まっていて。で、レコーディングしようって決めて、そこからアルバム1枚作れれば、と思ったんだよ。

—デス・キャブ・フォー・キューティーとして15年前から活動してきたわけですが、他のメンバーは『Former Lives』を聴いて、どのような感想を言っていましたか?あなたのソロ活動について応援してくれていますか?

ベン: みんな応援してくれているよ。誰かが何か気に入らないと、大抵はしばらく避けられたりするもんだけど、今のところ周りはみんなこのレコードの話をしているし、楽しんでくれていると思う。だから、気に入ってくれているんじゃないかな。

—8年という長い月日の間に書かれた楽曲ということで、特定のコンセプトやテーマが感じられるバンドのアルバムとは異なり、それぞれの楽曲に異なる世界観を感じました。それぞれの曲に書きたい想いを込めるという作業はいかがでしたか?バンドのアルバム用の曲作りと比較して、自由に取り組めましたか?

ベン: (バンドとソロの)ソングライティングのプロセス自体はあんまり変わらないな。僕はソングライターだから、常にプレイして、曲を書いてる。いつでも曲を思いついたら、それを形にする、っていう。だからどんな場合でも、ソングライティング自体はほとんど同じなんだ。実際、今回のアルバムの曲は、その当時作っていたデス・キャブのアルバムにはうまくはまらなかった曲なんだよ。曲として良くなかったっていうんじゃなく、デス・キャブのアルバムにはまらなかった曲だね。



—アルバムタイトル『Former Lives』に込められた意味は?あなたにとって、このソロ・アルバムはどのような存在なのでしょうか?

ベン: デス・キャブのアルバムとは違って、このレコードはもっと長いスパンから生まれてきたレコードだから、このタイトルを付けることで、それぞれの曲世界を一つにくくれるような気がしたんだ。それぞれの曲は僕の人生の違う時期の視点を提示しているからね。その時に辿り着いた場所、その時に歩いていた道、その時に出会った人たち。だから…それを説明するようなタイトルじゃなく、全体を暗示するようなタイトルにしたかった。それと、やっぱり全体を繋ぐような感じが気に入ったんだ。

—過去の日記を読むといろいろな感情がわいてくるものですが、過去に書いた楽曲をアルバムとして発表するにあたって、当時のことを振り返ったりしましたか?ハードディスクにはもっと私的な発表したくない楽曲も詰まっているのでしょうか?

ベン: 書いた曲のことはあまり考えないようにしているんだ。もうかなり前に、自分がどれだけ曲をストックしているかも考えなくなった(笑)

—アルバムの資料を読んだ時には、さまざまな時期に書かれた楽曲集で、“カウポークをベースにマリアチバンドの1人として歌った曲”もあるなど、全く異なるサウンドのミックスになるかと想像していました。でも、全体を通して聴くと不思議な統一感が感じられたのですが、アルバムを制作するにあたって、過去に書いた曲に手を加えたりしたのですか?

ベン: 今回サウンド的に比較的統一感があるのは、やっぱりほとんどが同じスタジオでレコーディングされたからだろうな。同じプロデューサーでね。だから曲としてはいろんな時期に書かれていて、ある数ヶ月間に集中して書かれたわけじゃなくても、レコーディングが同時期だったから統一感がある。それぞれの曲を、それぞれが書かれた時期にレコーディングしていたら、たぶんアルバムとしてはうまくいかなかったと思う。中にはかなり古い曲もあるし…でも同時期にレコーディングしたことで、サウンド的に同じパワーがあるものとして提示されていると思う。



—アーリマートのアーロン・エスピノーザとのレコーディングはいかがでしたか?全ての楽器を演奏したそうですが、バンドの作品を制作するのと違った苦労や楽しさはありましたか?

ベン: アーロンとは90年代からの知り合いだから。もちろん今回のレコーディングでもっと親しくなって、ほんとに楽しかった。彼のスタジオでレコーディングしたんだけど、本当に素晴らしいスタジオなんだ。完全に設備が整っているんだけど、普通の生活スペース風で、プロフェッショナルなレコーディング・スタジオっていう雰囲気じゃないんだよね。だから、リラックスしてクリエイティヴになれると同時に、ちゃんとレコーディング・スタジオにいる気持ちになれる。僕はそういう場所が好きなんだ。

—リード・トラックに「Teardrop Window」を選んだ理由は?この曲はロサンゼルスに移ってから書かれた、シアトルをインスピレーションにした曲だと思いますが、どのような想いを綴ったのですか?

ベン: シアトルにはスミス・タワーっていう建物があって。1914年に建てられて、30年代までは西海岸で一番高い建造物だった。ニューヨーク・シティ以外では唯一の高層建築だったんだ。建物としても本当に美しいんだよ。堂々としていて威厳があって、スペース・ニードルができるまでは、シアトルのスカイラインにおける宝石的な存在だった。今はシアトルと言えばスペース・ニードルで、映画でシアトルが出てくる時は絶対にスペース・ニードルが映されるんだけど。みんなが『シアトルと言えばスペース・ニードル』と思っている。もちろん、あれもいいんだけど、僕としては個人的にずっと愛してきたスミス・タワーについて曲が書きたかった。見過ごされてきた素晴らしいものについてね。

—エイミー・マンとのデュエット「Bigger Than Love」はとても素敵なラブソングですが、この曲のインスピレーションは?エイミーとデュエットすることになった経緯も教えてください。実際に一緒に歌ってみていかがでしたか?

ベン: エイミーとは友だちなんだ。あの曲は最初からデュエットだったんだけど、それを誰と一緒に歌えるか考えた時に、最初に浮かんだのがエイミーだった。で、彼女が来てくれて。本当に素晴らしかったよ。自分がずっと昔から聴いていた彼女の声が、僕が書いた曲を歌っているんだから。スピーカーからそれが聞こえてきて…ほんとクレイジーだったな。素晴らしい仕事をしてくれた。



—「Something’s Rattling (Cowpoke)」はマリアチバンドの一員として歌ったと読みましたが、カウポークをベースに楽曲を作るというアイディアはどのようにして生まれたのですか?

ベン: あれはLAに住んでいた時に作った曲なんだ。スタン・ジョーンズが書いた“カウポーク”っていう曲、カウボーイのヨーデルの曲が気に入って、それに僕が新しい歌詞を付けたんだけど。実は書いた後に著作権をクリアしなきゃいけなくて…馬鹿な話なんだけど、それをしなきゃいけないって気付いたのが結構遅くて。著作権を持っている人を追跡して、許可をもらうのにしばらくかかって、ちょっと緊張したんだよね(笑)で、あのコーラスはトリオ・エラスっていう女性三人のマリアッチ・バンドに頼んだんだ。僕が彼女たちの前でギターで歌って、「君たちのライヴでこれをやるとしたらどんな感じ?」ってやってもらったら、もうすぐにあのコーラスになった。ほんと、すごくいい仕事をしてくれたよ。

—アルバムの中で特に思い入れのある楽曲はありますか?また、常に曲作りをしているとのことですが、今後も(たとえばまた8年後に)、楽曲が集まった時点でこのようなソロ・アルバムを発表することを考えていますか?

ベン: 特に好きな曲っていうのは…ないかな。その時々によって違うし。それぞれが自分の人生のある時期から生まれた曲だしね。今はソロ・アルバムをまた作ろうとか、そういう気持ちはないけど、これからもずっと曲を書いていくだろうし、いい曲をたくさん作りたいとも思っている。だから、そこから例えば8年後にはまたソロ・アルバムとして何枚かリリースできていればいいな、っていう感じかな。それを目指すっていうよりは。

—ボーナス・トラックとして元シアトル・マリナーズのイチロー選手に捧げた「Ichiro’s Theme(イチローのテーマ)」が収録されていて、日本のファンは大喜びすると思います。この楽曲は彼がマリナーズ在籍中に書かれたのですか?
 
ベン: うん、2年ほど前に書いた曲なんだ。彼がまだマリナーズにいた頃に。僕はLAに住んでいて、ちょっとシアトルに対してホームシックみたいな気持ちになっていて。それで彼のテーマ曲を書いたんだけど、今は彼もヤンキースだからね。ニューヨークでの活躍を願っているよ。

—このアルバムを引っさげてツアーをまわるそうですが、ソロのステージはどのようなものになりますか?

ベン: ソロのアコースティック・ライヴは前にもやったことがあるからね。ギターとピアノとかで。今回もそうなると思う。

—日本にもたくさんのデス・キャブ・ファンがいるのですが、ソロとして来日する予定はありますか?今後の予定は?

ベン: 日本にも(ソロのライヴで)行きたいよ、もちろん!スケジュール的にうまくいけば。日本でプレイするのはいつだって楽しいからね。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ベン: 日本のファンのサポートには、長年本当に感謝してる。僕らみんな、日本に行くのはいつも楽しみにしているんだよ。僕にはものすごく親しみが感じられる場所なんだ。第二の故郷って言えるくらい。だから、日本に行くチャンスがあるたびにほんと感謝しているし、楽しみにしているよ。



ベンジャミン・ギバード

1976年生まれ。米ワシントン州べリンガムで結成された4人組のロック・バンド、デス・キャブ・フォー・キューティーのフロントマン&ソングライター。デス・キャブ・フォー・キューティーは現在まで7枚のアルバムをリリース。メジャー移籍後の3枚のアルバムは全てグラミー賞にノミネートされ、6枚目のアルバム『ナロー・ステアーズ』は全米アルバム・チャートの1位を獲得している。また、ジミー・タンボレロとのデュオ、ザ・ポスタル・サーヴィスでも知られ、2003年にリリースされたアルバム『ギヴ・アップ』は全米でゴールド・ディスクを獲得している。『Former Lives』は、ベンがここ8年の間に書いた楽曲からなるアルバムで、長年の友人でもあるアーリマートのアーロン・エスピノーザによってレコーディングされた自身初のソロ・アルバムとなる。ゲストとして、エイミー・マンやスーパーチャンクのジョン・ウースター他が参加。

日本オフィシャルサイト>>
『Former Lives』全曲試聴実施中!

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