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クリストファー・オウエンス、ガールズ脱退とソロ活動を語る

2013-01-09
「僕はガールズを脱退します。今のところ個人的な理由と言っておきます。前進するにはしかたがなかったことです。曲を書いたりレコーディングをしたりすることは続けます。すぐにいろんなことを明らかにしていきます。これまでのすべてのことに感謝します」

そんなメッセージを残して、クリストファー・オウエンスがガールズからの脱退を発表したのは2012年7月のこと。あれから半年、彼は早くもソロ・アルバム『Lysandre』を発表した。ガールズでのツアーと、ツアー中に出会ったリサンドレという女性との恋について綴った今作は、ソロ作品としてふさわしい、驚くほど私的で素直なアルバムだ。

突然の脱退発表やソロ活動のスタートなど、結果的に多くのファンを驚かせてしまったオウエンスだが、本人にとっては至って自然な流れの上での出来事だったようだ。2012年11月、完成したばかりのソロ・アルバムを携えてプロモーション来日した彼に、ソロ活動開始までの経緯や現在の心境を聞いた。



—今回はたくさんのニュースと一緒に来日しましたね。

クリストファー・オウエンス(以下、クリストファー): かなり盛りだくさんだね(笑)

—前回の来日から1年くらい経っていますが、新作を聴く限り、ハッピーな日々を過ごしていたのではないかと推測しています。

クリストファー: うん!忙しくしていたけど、作るのが楽しいレコードだったよ。とてもハッピーなんだ。

—そのようですね。多くの日本のファンは、ガールズ脱退のニュースに驚いていました。いつ頃、脱退を決めたのですか?

クリストファー: 決めたのは6月。でも、その半年ちょっと前から脱退について考えていたんだ。だから僕の中では突然ではなく、しばらく頭の中にあったことなんだよ。大きな決断だったからね。

—そうだったんですね。多くのファンにとって、ツイッターでの突然の発表はサプライズでした。

クリストファー: そうだろうね。ほとんどの人はライブやメディアの記事しか知らないし、ポジティブなことしか表には出ないからね。だから、理解し難かったんだろうなって思うよ。でも、僕はしばらくやってみて、ガールズは絶対に自分が望んでいるようなバンドにはならないということに気づいたんだ。ガールズでは常にメンバーがそれぞれの理由で出入りしていて、僕はその状況にも慣れていた。去る者は追わなかったよ。そして、ソロ・アーティストとして活動する方が自分のためになるし、その機会を生かそうと考えるようになった。ある意味、新しい1章を始めたんだ。僕にとって、とても良い決断だったと思っているよ。

—JRはクリストファーの決断に対して、どのような反応を示しましたか?

クリストファー: 構わないと言ってくれた。JRはかねてからレコードのプロデュース業をやりたがっていたんだ。僕が脱退する1ヶ月前に、彼から7月は他のバンドをプロデュースするって言われていた。それもあって、僕はあのタイミングに脱退したんだよ。JRも他のプロジェクトで忙しくしていたからね。そして、それが終わっても彼には他の作品をプロデュースできるだろう。今回の決断は僕ら2人にとって辛いものだったけど、それと同じくらい良いことだったと思っている。

—その決断を経て、素晴らしいソロ・アルバムを完成されたわけですが、収録曲は全て1度に書かれたそうですね。1曲目の「Lysandre's Theme」は、ガールズのファースト・アルバム『Album』の直後、2008年に書かれたのだとか?

クリストファー: うん、書いてから数ヶ月間、ちょこちょこ楽曲をいじっていたけどね。それで2009年の頭に、あのツアーについての作品を書こうと決めた。それにリサンドレとの出会いについてね。あの2週間の小旅行について書こうと心に決めたら、全てはかなりのスピードで進んだよ。その時に全ての曲の作詞を行ったんだ。ほとんど一晩で書き上げたんだよ。

—一晩!すごいですね!

クリストファー: でしょ?(笑)

—以前にお話しした時に、常に曲を書いていると言っていましたよね。今作はガールズの活動中に書かれたわけですが、最初からバンド以外のプロジェクトになると分かって書いていたのですか?

クリストファー: それは全く分かっていなかったよ。僕はいつも目的が分からないまま、ただひたすら書くんだ。今回の楽曲はガールズのアルバムに収録しても良かったんだけど、ソロ・アルバムとしての方がつじつまが合うと思った。これは僕の個人的な経験だし、ソロ・アーティストとして最初に作る作品としても良いと思ってね。音楽的にも新しい方向性だし、何よりもガールズに居た頃の気持ちを歌っているから。それはバンドを去った後にやるべきことなんじゃないかと思ったんだ。

—2009年に書いた楽曲を、ようやくアルバムとして完成したわけですが、今の率直な気持ちは?

クリストファー: すごく良い気分だよ。新しいアルバムを完成させるって、何よりも最高の気分なんだ。それに、音楽的に新しいことにも挑戦できた作品だし、収録曲の全てに関連性がある楽曲を録音するという経験もできた。僕にとってはその全てが、これまでにやってきたこととは違う、新しい経験だった。良い作品にできたことに大きな安堵感を得られたし、今後も続けていく上での励みにもなったよ。

—ガールズのアルバムでは各曲にそれぞれのストーリーがありましたが、今作はアルバムを通じて1つの物語が展開して、ある意味ミュージカルのようですね。それは意図的にそうしたのですか?

クリストファー: まさしくミュージカルのような作品だよね。意図的にそうしたんだよ。あの旅について書くと決めた時点で、各曲が1つの章になって、次の曲に続くことになるだろうと思っていたし、全ての収録曲をつなげたかったんだ。だから繰り返す音があったりするんだよ。全ては僕の計画だったのさ(笑)

—今作を発表するにあたっての声明文には、“突然ツアーに出ることになった、かつては自宅で曲作りをしていた男の物語”だと書いてありましたが、それは実際にどのような経験だったのですか?

クリストファー: まさにアルバムに書いたとおりだよ。エキサイティングでもあり、怖くもあって、僕はナーバスだったし、同時にとても満足していた。バンド活動を通じて自分の人生で何をしたいかが分かって、とても意味深い経験だったよ。それまで知らなかった新しい環境に飛び込んだわけだけど、最終的にそれはとても良いことだった。

—期待以上の経験でしたか?

クリストファー: そうだね、ていうか、何を期待していいかも分かっていなかったよ(笑)全ては本当に素晴らしかったし、それは今でも変わらないんだ。今でもとてもエキサイティングだよ。

—そういったエキサイティングな感情が詰まった曲もあれば、「Love Is In The Ear Of The Listener」では舞台に上がることへの恐怖について歌っていて、聴いている方にもドキドキ感が伝わってきますよね。アルバムでここまで素直な気持ちを歌うことは怖くなかったのですか?

クリストファー: そうでもないよ。僕はいつも素直に曲を書いているから。少しずつ、これが自分のやり方なんだって感じられるようになってきた。自分がむき出しで傷つきやすく感じることもあるけれど、でも、それは良いことだと思うようにしている。価値のあることをしているんだ、とね。もし赤裸裸な気持ちにならなかったら、それは自分が何も与えられていないということだと思うんだ。逆に今ではむき出しの自分を感じるよう求めるようになっているよ。そういった感情が得られれば、自分が正しい方向に進んでいると思える。



—ガールズでの曲作りとソロ・プロジェクトでの曲作りで、何か違いは感じましたか?

クリストファー: それがバンドの作品であれ、自分の作品であれ、僕は同じプロセスで曲作りをするんだ。だから大きな違いは感じなかったよ。音楽的には少し違ったけど、作詞のプロセスには大きな違いはなかったな。

—音楽的には、なぜAのキーに決めて作曲したのですか?

クリストファー: 僕にとって歌いやすいキーなんだ。それに「Lysandre's Theme」をAで書いたから、同じキーにすることで、全ての曲に共通点を生み出したかった。アルバム全体にまとまりを出して、聴いた時にまるで1つの曲を聴いているかのように感じられるようにね。

—今作ではミュージックビデオを制作する予定はありますか?映画を制作できそうですよね。

クリストファー: 映画を作れたらステキだけど、作るとしたらフィルムメーカーが必要だし、まだ誰もそういった話をしてきていないんだ。でもミュージックビデオは作るよ。今回も友人たちと一緒に自分の意見も出しつつ作ると思う。でも、映画を作る心の準備はできていないな(笑)

—ガールズの作品も手掛けたダグ・ボームをプロデューサーに選んだ理由は?

クリストファー: プロデュースは自分がよく知っている人にお願いしたかったんだ。今作では周りの状況が大きく変わったから、そこは安心できる部分にしておきたかった。ダグは前作でも一緒に仕事がしやすかったからね。それで聞いてみたらスケジュールも空いていて、お願いできることになった。ダグは僕の仕事のしかたや、僕が何を求めているかを既に分かってくれていたから、やりやすかったよ。とても良い決断だったと思う。

—レコーディングはいかがでしたか?

クリストファー: レコーディングはロサンゼルスで行って、2、3週間で終わったよ。ミキシングとか全ての行程を合わせても1ヶ月で完成したんだ。ミュージシャンは全員素晴らしかったし、とても良いレコーディングだった。予想よりも楽にできたよ。

—サンフランシスコ以外でレコーディングしたとは意外でした。

クリストファー: ああ、普段はツアー以外でサンフランシスコを出ることはないんだけど、ダグがLAに住んでいるから、僕が向こうに行った方が安いし楽だったんだ。

—最初にサンフランシスコに引越した時は、中国人の一家の家を間借りしていたそうですね。まるでホストファミリーみたいに(笑)

クリストファー: うん、そんな感じだった。今でもたまに会いに行くよ。ここ数ヶ月は行かれていないんだけど、ときどき花を持って顔を見せに行くんだ。

—アルバムを持って行ったり?

クリストファー: アルバムは渡していないんだ。年配だからね。子どもたちが大きくなって、家を出てしまったからさ。おばあちゃんとお母さんしか残っていないから、僕の作品は聴きたくないかも(笑)おばあちゃんは英語もほとんど喋れないんだけど、何とか交流しているんだよ。

—クリストファーが世界ツアーをするミュージシャンになったことは知っているんですか?

クリストファー: 多分知らないと思う。理解できないんじゃないかな(笑)僕が音楽を演奏することは知っているけど、ただの趣味だと思っているよ、きっと。

—アルバムの話に戻りますが、最後の曲「Part of Me」は、リサンドレとの遠距離恋愛がうまくいかなくなってから、2010年に書かれたそうですね。リサンドレには今作について伝えましたか?

クリストファー: うん。今でも彼女とはよく話すんだ。今作も送ったら、気に入ってくれたよ。別れた後も彼女とは何度も会っているんだ。ガールズがツアーでフランスに行った時にね。何度も会っているけど、もう恋愛関係ではないんだよ。

—アルバムの中で特に気に入っている曲や私的な曲はありますか?

クリストファー: 1曲ではなく、アルバム全体が気に入っている。今作はそういうアルバムだからね。僕にとって、今作は今でも1つのパッケージとしての作品なんだ。今作について思う時はアルバム全体について思うし。まるで1つの大きな曲のようにね。

—ファンには今作をどのように楽しんでほしいですか?

クリストファー: みんながリリックやストーリーをよく聴いて、アルバムのコンセプトを理解してくれるといいな。曲ごとに日を追って綴られたストーリーのような作品だからね。それに音楽も楽しんでほしい。ステキなサウンドだと思ってくれたらうれしいし、楽曲に詰まった感情に共感してくれたらいいよね。

—また、今作のアートワークはライアン・マッギンレーが撮影したそうですが、彼とは友だちだったんですか?

クリストファー: ああ、ずっと前から友だちで、以前にも一緒にいろいろやったことがあった。今作のアートワークはポートレートにしたいって決めていたから、誰かに撮影を頼もうと考えていて、彼に頼んだんだ。友だちと一緒に仕事をする方が安心できるよね。相手をよく知っているとストレスも少ないし、ナーバスにもならないで済む。うまくいったよ。



—それから、サンローランとモデル契約もしたそうですね?

クリストファー: そうなんだ(照れ笑い)

—どのような経緯で?

クリストファー: エディ(・スリマン、サンローランのクリエイティブ・ディレクター)とも友だちだったんだ。彼は過去に僕の写真を何度か撮影していて、サンローランの仕事が決まった時に連絡してきた。ちょうど僕がガールズを脱退した後で、彼はソロ・アーティストになった僕を一個人としてとらえたんだ。キャンペーンにも合っていたんじゃないかな。ガールズ時代は、バンド全員でああいった活動をするのは難しかったけど、個人で活動していると楽だよね。僕らは友だちだったから一緒にやっただけだよ。

—素晴らしい写真ですね。

クリストファー: ああ、彼はすごく才能豊かなんだ。とても良い視点を持っている。頼まれた時点で、僕には彼が何か素晴らしいものを作るだろうと分かっていた。自分はとても恵まれていると感じているよ。

—モデルの仕事はいかがでしたか?音楽とは全く別の表現方法ですよね。

クリストファー: 大きく違うよね。でも、僕にはとても楽にできることなんだ。カメラの前でシャイに感じることもあるんだけど、エディのことは既によく知っていたから楽にできた。クルーも多くなかったし、ヘアメイクもいなかったし、全てはとても自然に感じられた。僕はただ現場に行って、服を着替えて、写真を撮られただけさ。僕らは2日間、彼の家でケイティ・ネッシャーと過ごしただけ。彼女は経験豊富なプロのモデルだから、僕にも助言してくれたよ。僕はただ彼女の後について行けばよかった。とても楽しかったよ。

—ガールズ時代はアートワークも手掛けていて、今回はモデル業に挑戦して、今後は他に探求したいことはありますか?前回の来日では葛飾北斎の小さな画集を買っていましたよね。

クリストファー: 現時点では音楽活動で十分だよ。とても忙しいしね。家では詩を書いているし、将来的には本を書いてみたいとも思っている。でも今は音楽活動に集中しているよ。

—既に今作をライブでも披露したそうですが、ライブではアルバムを丸ごと演奏するのですか?

クリストファー: そうだよ。バラバラでもいいんだけど、せっかく物語になっているんだから、あえて曲順を変える必要もないよね。レコードと同じように演奏するんだ。とても楽しいよ。サンフランシスコとニューヨークで演奏したけど、オーディエンスの反応も素晴らしかった。これからロンドンとパリとリズボンでもライブを行うんだ。そして1月にアルバムをリリースしてから、本格的なツアーを行う予定だよ。日本にも来られたらいいな。

—パリ公演にはリサンドレも来るんですか?

クリストファー: うん、来てくれると思うよ。

—みんなが客席でリサンドレ探しをしそうですね(笑)

クリストファー: そうだね(笑)誰も彼女の邪魔をしないといいんだけど。

—今後はしばらくソロ活動を続けますか?

クリストファー: うん。今でも他の人と一緒に演奏はしているけど、これからは楽曲を自分の楽曲として発表していきたい。自分の書いた曲だからね。

—最近はどのようなことからインスピレーションを得ていますか?恋はしていますか?

クリストファー: ああ、恋をしているよ。しばらく前からね。実は彼女はアルバムでバックコーラスを歌っているんだ。僕はエディやライアンのようなアートを作っている友だちにインスパイアされているし、他の人の音楽からもインスパイアされている。でも曲作りの上での主なインスピレーション源は日々の生活だよ。自分の経験さ。

—今後はソロ・アーティストとしてどのように成長していきたいですか?

クリストファー: 今は今作を引っさげてのツアーに集中したい。でもワクワクしているよ。ナーバスな気持ちはあまりないんだ。ライブもうまくいっているし、興奮している。次の作品に関する具体的なアイデアはないから、今は多くは語れないけど、今後は今以上にエキサイティングな作品ができるといいね(笑)みんなに気に入ってもらえるような。僕は音楽活動をとても楽しんでいるから、この先も長く続けられるといいな。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

クリストファー: 日本でアルバムをリリースする機会を与えてくれてありがとう。みんなが気に入ってくれるとうれしいよ。早くみんなに会えるといいな!

Photos: Ryan McGinley
Interview + Text: Nao Machida


『Lysandre』
01. Lysandre's Theme
02. Here We Go
03. New York City
04. A Broken Heart
05. Here We Go Again
06. Riviera Rock
07. Love Is In The Ear Of The Listener
08. Lysandre
09. Everywhere You Knew
10. Closing Theme
11. Part Of Me (Lysandre's Epilogue)



クリストファー・オウエンス
米サンフランシスコのロックバンド、ガールズの元フロントマン&ソングライター。リヴァー・フェニックス他も所属していたカルト教団、チルドレン・オブ・ゴッドのヒッピーの子として生まれる。幼児期には、日本を含む世界中を旅し、外界から保護され、プレイヤー(祈り)・セッションに出席するという生活を送ってきた。16歳の時に教団から脱走。テキサス州に流れ着き、アマリロのパンク・シーンに没頭した後、サンフランシスコに移る。同地でアリエル・ピンクや彼のプロジェクトであるホーリー・シットとギグをするようになり、最終的にチェット JR ホワイトと出会い、ガールズを結成した。2009年にアルバム『Album』でデビュー。その後、EP『Broken Dreams Club』とセカンド・アルバム『Father, Son, Holy Ghost』をリリースし、2012年7月に脱退した。

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レーベル・オフィシャルサイト>>

14:49

注目の女性DJ、ハヴァナ・ブラウンに直撃

2012-12-27
2012年最後のMTV NEWS BLOGに登場するのは、11月に初来日を果たしたオーストラリア出身のハヴァナ・ブラウン。ブリトニー・スピアーズやレディー・ガガ、リアーナらのツアーに同行した経験を持つ、注目の女性DJです。11月に開催された「URBAN GROOVE」出演のために来日した彼女は、とにかく太陽のように明るい人。会った人みんなを笑顔にしてくれそうな、とてもパワフルな女性でした。冬の寒さも吹っ飛ぶような、元気な彼女のインタビューをお楽しみください。



—日本へようこそ!

ハヴァナ・ブラウン(以下、ハヴァナ): ありがとう!とても楽しんでいるわ。初来日なんだけど、以前に1度だけ、オーストラリアからロンドンに行く途中に日本で乗り継ぎをしたことがあったの。一晩過ごしただけで、日本が大好きだとすぐに確信したわ。空港の外には行かなかったのだけれど、日本の人はとても親切で、礼儀正しくて、素晴らしいなって思ったの。

—今回が本当の意味での初来日なのですね。第1印象はいかがですか?

ハヴァナ: 第1印象は変わらないわ。日本が大好き!本当に大好きなの。日本の人は素晴らしいわ。本当に礼儀正しくて、エレガントで、女性はすごくキュートで愛らしいし、美しいと思うの!

—常に飛び回っているようですが、今回はどこからいらっしゃったのですか?

ハヴァナ: 自宅はロサンゼルスなんだけど、今回はマレーシアから来たの。来日の直前にマレーシアでショーをやったのよ。

—世界中のパーティーを盛り上げているんですね。

ハヴァナ: 常にツアーしているわ(笑)

—DJになったきっかけは?

ハヴァナ: とても長い話になるわよ(笑)私は昔からずっと音楽が大好きで、DJはロンドンに住んでいた6年前に始めたの。DJ業が波に乗って、ブリトニー・スピアーズやクリス・ブラウン、リアーナ、レディー・ガガ、プッシーキャット・ドールズといった、ビッグネームのツアーのサポートをするようになった。最近ではピットブルとかね。

—すごい面々ですね。

ハヴァナ: そうなの!私はとても恵まれていると思うわ。それがDJとしての私の経歴。そして1年半前には、オーストラリアでファースト・シングル「We Run the Night」をリリースして、それから世界リリースしたの。それがヒットしたから、今ではDJだけではなく、アーティストとしても活動するようになった。私がライヴをする時は、DJとパフォーマンスを同時にやるのよ。

—オーストラリア出身だそうですが、どのようにして音楽に目覚めたのですか?子どもの頃から音楽は好きでしたか?

ハヴァナ: ええ、間違いないわ。5歳くらいの時にテレビでジャネット・ジャクソンを観て、「ママ、私もああなりたい」って言ったの。それが全ての始まり。オーストラリアは白人が多い社会で、テレビに出ているのはほとんど白人だった。私は肌の色が少し濃いから、ママは「う〜ん、あなたがテレビに出れるようにがんばってみるけど…」って困っていたわ(笑)それで6歳の時に私をダンスと歌のクラスに入れてくれたの。私はすぐに夢中になったわ。それからずっと音楽を続けているのよ。

—ずいぶん幼い頃に始めたんですね。きっかけを与えてくれたお母さんは、今のあなたを見て喜んでいるのではないですか?

ハヴァナ: うん、とっても!いつも応援してくれるわ。両親は私が幼い頃から、いろんなことをして私の夢を支えてくれたの。

—最初にインスパイアされたのがジャネット・ジャクソンとのことですが、他にはどのようなアーティストの音楽を聴いていましたか?

ハヴァナ: ジャネット・ジャクソン以外には、アリーヤをよく聴いていたわ。幼い頃はR&Bをよく聴いていたの。でも高校生になる頃には、音楽の趣味が2年ごとに変わっていたわ(笑)グランジに超はまって、ベン・フォールズ・ファイヴやニルヴァーナを聴いていたこともあったし、2年ぐらいマリリン・マンソンにはまっていた時期もあるのよ!

—ゴスだった時期があるのですか!?

ハヴァナ: 短い間だけどね(笑)今でも彼らの音楽は好きだけど。それからテクノに移って、R&Bに戻って、そこからポップに行って…長年に渡って、趣味が変わっているの。でも、そのことがDJとしての私を特徴づけてくれたんだと思っているわ。おかげであらゆる音楽をプレイできるもの。私はみんなが踊れる限り、何でもプレイするっていうスタンスなの(笑)

—今までに挙がった中ではアメリカのミュージシャンが多いですね。

ハヴァナ: 確かに、最も人気の高いポップ・ミュージックはアメリカ発のものが多いよね。でもダンス・ミュージックは世界中に広がっているわ。オーストラリアのものもあれば、ヨーロッパのものもあるし。ヨーロッパには素晴らしいプロデューサーやDJがたくさんいるよね。私はオランダのプロデューサーの曲をよくプレイするのよ。

—DJを始めた頃はロンドンに滞在していたとのことですが、留学していたのですか?

ハヴァナ: 実はロンドンに行ったのは、音楽グループに所属して、大手レコード会社と契約したからなの。3人の男の子と私で、フージーズのようなフィーリングの音楽をやっていたわ。でも、ファースト・シングルが出る前に解散しちゃった(笑)あれはがっかりだったわ。アルバムを完成して、大手レコード会社と契約したあげく、それが全部パーになってしまって、「私はどうしてここにいるんだろう?」って思った。そして、「ここまでやったんだから、私がここにいることには何か理由があるはずだ」って思ったの。そして6年後の今、私にはその理由がようやく分かるような気がする。私はDJをやるためにロンドンに行ったんだと思うわ。それが私が歩むべき道だったんだと思う。

—グループ解散後もロンドンに残ったわけですね。

ハヴァナ: グループが解散した後、私はあまりに落ち込んでしまって、毎晩クラブ三昧だったの(笑)とにかく出かけて、音楽を楽しんで踊っていたかった。音楽の世界を感じていたかったの。それからDJを始めたんだ。だから、ロンドンに行って、一文無しになって、苦労して、努力して、孤独を感じて…そういった全てには理由があって、私にとって、それは今こうして夢のような人生を歩むためだったの。

—結果オーライですね!

ハヴァナ: ええ、その通りよ!今は本当に幸せ。

—日本ではまだまだ女性DJが多くはないのですが、女性DJとして苦労したことはありましたか?

ハヴァナ: 最初の頃、仕事を探しに行くと、みんな私を見て笑いはしなかったけど、「冗談だろ?」って感じだった。「マジで言ってんの?」って。誰も私を真剣に受け取ってくれなかったわ。彼らは私がふざけていると思って、女性だからって、きっと下手だろうと先入観で考えていたの。あなたが言ったように、女性DJは多くないからね。でもある夜、当時の私はCDをプレイしていたのだけど、自分が持っているCDを全部持って行って、「5分だけ回させて」って頼んだの。「ダメだと思ったらいつでも追い出していいし、その後は2度と口を聞かなくてもいいから」って。それで渋々了解してくれて、結局私は1時間くらいプレイしたのよ。それがきっかけで、初めてのレジデンシーの仕事をロンドンでゲットしたの。

その後、いくつかの仕事をゲットしたのだけど、オーストラリアに帰って、またゼロから全てを繰り返さないとならなかったわ!世間一般、特に女の子たちは、女性DJの登場を喜んでくれたの。自分たちが聴きたい音楽をプレイしてくれる私のことを、本当に喜んでくれた。でも、男性DJたちはそうは行かなかったわ。私の登場にビビったみたい(笑)男たちには私のようにはできないからね!それは冗談だけど、でも、女性DJの登場を最も受け入れたくなかったのは男性DJだと思うわ。

—ハヴァナ・ブラウンというDJネームの由来を教えてください。

ハヴァナ: DJを始めた頃に、DJネームが欲しいなって思ったの。本名はアンジェリークっていうんだけど、キュートでスウィート過ぎるかなって思って。フランス語で「天使のような」っていう意味なのよ。自分の名前は大好きだけど、パワフルさが足りないなって思った。もっと強くてセクシーで、女性的だけど強い名前がいいって思った。それで、いろんな種類の猫を調べてみたの。私は昔から猫が大好きなのよ。猫は強くて自立していて、自分が求めているものがはっきりしていて、それをどうやって手に入れるかも分かっている。かわいい声で泣いて「食べ物をちょうだい」って寄ってくるけど、もしあげなかったら「シャー!」って感じでしょ?私は自分のキャリアに、そんな猫のような個性を取り入れたいと考えたの。強くて自立した存在でいたいし、私には自分の求めているものが分かっている。そしてそれを手に入れる、私がしたいのはそれだけだった。

—そして猫のように、他人に指図されない、ということですね。

ハヴァナ: そういうこと!それで猫の種類を調べて、すぐに「ハヴァナ・ブラウン」が目に留まったの。珍しい種類の猫で、あまりいないのよ。女性DJも珍しいし、多くないわ。それにハヴァナ・ブラウンは私と同じように、茶色くて目が青いの。これに賭けてみようって決めて、自分のDJネームをハヴァナ・ブラウンに決めたのよ。

—実際にハヴァナ・ブラウンを見たことはありますか?

ハヴァナ: インターネットで写真を見たことはあるけど、実際にはまだ見たことがないの。すごく飼いたいんだけどね!でも、オーストラリアでさえ、私が知る限り1匹もいないのよ。アメリカにはブリーダーがいるみたいだけど、私は常にツアーしているから、ペットを飼うことができないのよね。犬や猫を飼いたくてしかたないんだけど、いつも留守だからかわいそうだなって思って。

—先ほどもおっしゃっていたように、ブリトニーやリアーナなどビッグネームとツアーしてきたそうですが、どのような経験でしたか?

ハヴァナ: とっても楽しかった!良い経験だったし、一緒にツアーさせていただいて光栄だった。今の私には理解できるのだけど、彼らはツアーをたくさんするから、バックステージが自分の家のようなものなのよね。彼らが自分たちの家に入れてくれて、ショーに参加させてくれるということは、本当に名誉なことよ。彼らとのツアーはいつでもすごく楽しいものだったわ。

—何か面白いエピソードはありますか?

ハヴァナ: アーティストに敬意を表して、ツアーでの出来事はツアーに留めておくべきよね(笑)だからあまり多くは語れないけど、良い経験をたくさんしたわ。初めて参加したのはプッシーキャット・ドールズのツアーで、彼女たちのマネージャーが私をブリトニー・スピアーズのツアーに推薦してくれたの。そのマネージャーのおかげで、ブリトニーのツアーに参加できたわけ。彼らがライヴをチェックしてくれて、自分のミックステープを送ったら、「OK、やってみよう!」って。それで朝の5時に私のマネージャーが電話してきて、「フランスに行くよ!ブリトニーとツアーするんだ!」って言うじゃない。「いま何て言った!?」って言ったら、「今日だよ!行かなきゃ!」って(笑)最初に考えたのは、「何を着たらいいんだろう?」ってことだった(笑)大興奮だったわ。その時、初めてレオタードとブーツを合わせようと思いついたの。

—それはセクシーですね(笑)

ハヴァナ: マネージャーには「レオタードの上に何か着た方がいいんじゃない?」って言われたわ。私は「多分そうよね、でも着ないから」って答えたの。私はこれを着るんだ!って決めていたからね。そしたらママから電話がかかってきて、パパがママを通して、パンツを履くようにって伝えてきたのよ(笑)「パンツは履かないわ。私は遥かフランスにいるのよ。パパには何もできないわ」って感じだった。しばらくの間、どこへ行くにもレオタードを着て、トレードマークみたいになっていたわ。

—「URBAN GROOVE」では何を着るんですか?

ハヴァナ: もうレオタードは終わったの。あれは何年も前のこと。でもすごく楽だったのよ。レオタードを着ると、何だか自由に感じるのよね。今はアリーヤに夢中だった日々に戻っている感じ。ちょっとヒップホップっぽく、バギーパンツを履いたり、バンダナをしたりしているわ。最近またアリーヤの音楽もよく聴いているのよね。

—日本のファッションについてはどう思いますか?

ハヴァナ: 大好き!昨日の夜は渋谷に行ったんだけど、ショッピングをして、歩き回った後、人間観察もかねて一杯飲みに行ったの。とにかくファッションが最高だったわ!女の子たちが本当に愛らしいし、みんな個性的なスタイルで。世界中のどことも違うユニークなものだと思う。日本のファッションは大好きよ!

—モールに行かないとね。

ハヴァナ: 間違いないわ!日本ではルールもないし、みんな好きな格好をしているように思うの。外から見ているからかもしれないけど、みんなが個性的なスタイルを自由に楽しんでいるように見えるわ。女の子たちを見ていてすごく楽しかった!ていうか、男の子もね!女の子のハンドバッグを持った男の子を見たんだけど、「ワォ!かっこいい!」って思ったわ。他の国だったら、ちょっとどうかなって思うかもしれないけど、日本ではかっこいい帽子や服に女物のハンドバッグを合わせた男の子を見て、「ワーォ!かっこいい!」って叫んじゃった。うちのマネージャーが「俺もやろうかな」っていうから、「ないない」って言ったんだけどね(笑)

—ピットブルをフィーチャーした「We Run the Night」は、ここ日本でも大人気です。DJをする時にピットブルの曲もプレイしていると思いますが、そういうアーティストと一緒に仕事をしてみていかがでしたか?

ハヴァナ: 信じられなかったわ。ピットブルの曲はDJを始めた初期の頃からプレイしていたの。当時はレゲトンの曲を出していて、彼を知らなくても曲を聴くとそのヴァイブで踊り出したくなるような曲ばかりだったわ。だから彼の曲はしょっちゅうかけていたの。当時、彼は今ほど有名ではなかったのだけれど、私はプレイしていたから知っていたわ。今ではあんなに成功して、そんな彼が「We Run the Night」に参加してくれて、一緒に楽曲を作って、ツアーをまわることができて…本当に信じられない!彼は素晴らしい人よ。一緒にいると最高のエナジーを感じられるの。

—ミュージックビデオも良かったです。

ハヴァナ: ありがとう!あのビデオのピットブルは、すごくハンサムだよね!ジャケットがとっても似合っていて、「私のビデオでそれを着てくれて、ありがとう」って言っちゃったわ(笑)

—日本では夏に配信限定EPをリリースされて、大ヒットしていますが、現在はアルバムを制作中だそうですね?

ハヴァナ: ええ。EPはアルバムの方向性を示す、良いプレゼンテーションになったんじゃないかな。楽しくて、セクシーで、ガーリーで、ポジティブで、とにかく世界に明るいエナジーを発しているの。自分の音楽を聴いて、みんなにはハッピーに感じてもらいたい。アルバムは私がクラブでプレイするような音楽になる予定よ。聴いた人が踊りたくなるような音楽を作りたいの。ハッピーになるようなね。それが今の私。ツアーをして、夢のような日々を送って、ものすごく幸せよ。

自分が聴きたいような音楽が、自分が作りたい音楽でもあるの。でも、ちょこちょこひねりも効かせているんだ。試してみたいような音楽もあるし、UKっぽいドラムンベースもちょっと取り入れているしね。Rehabやアフロジャックとも一緒に作っているし、それに忘れちゃいけないのは、レッドワンがその全てを見てくれているの!

—レッドワンのレーベルと契約しているんですよね。

ハヴァナ: レッドワンは本当に素晴らしいプロデューサーで、私にとって最大の出来事だったわ。最近のヒット曲の多くを手掛けている人だもの。ジェニファー・ロペスのように、長いキャリアを築いたアーティストを再び高めているしね。それに、レディー・ガガの伝説的なファースト・アルバムも手掛けたのよ。彼は私にとって、家族のような存在。本当に才能のある人だわ。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ハヴァナ: EPを買ってくれて、私の音楽をサポートしてくれてありがとう。早くみんなに会いたいわ!日本中のクラブをまわりたいな!

Interview + Text: Nao Machida



ハヴァナ・ブラウン
オーストラリア出身、1985年2月14日生まれ、本名アンジェリーク・ムニエ。DJ、シンガー、ダンサー。2008年にIsland Records AustraliaとDJとして契約。『Crave』というミックス・コンピレーション・アルバムのシリーズをリリース。これがきっかけとなり、ブリトニー・スピアーズ、リアーナ、プッシーキャット・ドールズ、クリス・ブラウン、エンリケ・イグレシアスといった世界のスーパー・アーティストのツアーに参加し始める。レコーディング・アーティストとしては2011年に「ウィー・ラン・ザ・ナイト」でシングル・デビューをし、地元オーストラリアのARIAシングル・チャートで最高位5位を記録し、シングルのセールスもトリプル・プラチナムに認定。この曲はARIAミュージック・アワードで2部門にノミネートされる。この大成功を受け、この曲のプロデューサーでもあるレッドワンのレーベル"2101 Records"の下、全米ではUniversal Republicと契約が決まる。全米リリース時には、大人気ラッパー=ピットブルをフィーチャーした新バージョンが作られ、瞬く間にヒット、全米ビルボードのホット・ダンス・クラブ・ソングで1位に輝き、ビルボード・ホット100ではTOP30入りを果たす(最高位27位)。そして日本でも2012年5月23日に着うた、着うたフルを配信開始後、初週からレコチョク洋楽・うた週間ランキング(5月30日付)で1位を記録とスマッシュ・ヒットを記録している。

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13:46

『ホビット 思いがけない冒険』 ピーター・ジャクソン監督&キャスト来日記者会見レポート

2012-12-14
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』で、アカデミー賞史上最多となる11部門を獲得したピーター・ジャクソン監督が、「ロード・オブ・ザ・リング」で描かれた中つ国の60年前を舞台にした「ホビットの冒険」の映像化に挑んだ、世界中の映画ファンが待ち望む新作『ホビット 思いがけない冒険』。12月14日の公開を前に、監督とキャストのマーティン・フリーマン、アンディ・サーキス、リチャード・アーミティッジ、イライジャ・ウッドが来日した。ここでは、都内で行われた来日記者会見の模様をレポート。帰ってきた空前の世界観を舞台に繰り広げられる新たな冒険を映画館で目撃する前に、じっくりとお楽しみください。



—ご挨拶をお願いします。

ピーター・ジャクソン監督(以下、監督): 皆さん、こんにちは。ご来場どうもありがとう。(会見前の試写会では)1秒48フレームのHFR(ハイフレームレート)3D版でご覧いただけてうれしいです。皆さんからの素晴らしい歓迎に感謝します。今日はどんな質問でも答えるつもりだよ。

マーティン・フリーマン(ビルボ・バギンズ役、以下、マーティン): こんにちは。日本や東京は大好きなので、また来日できてうれしいです。皆さんが作品を気に入ってくれることを願っています。たくさんの愛情を注いだ今作を皆さんと共有できることをうれしく思っています。

アンディ・サーキス(ゴラム役/第2版監督、以下、アンディ): オハヨウゴザイマス!ゴラムだったら、こう言うだろうな…(ゴラムの声で)オハヨウゴザイマス!僕らは日本が大好きなので、また来日できてうれしいよ。『ロード・オブ・ザ・リング』三部作や『キングコング』の時も、日本ではとても楽しい時間を過ごしたんだ。この素晴らしい作品を皆さんと共有できて最高です。お招きいただいて、どうもありがとう。



リチャード・アーミティッジ(トーリン・オーケンシールド役、以下、リチャード): コンニチハ!僕は2000年に東京に来たことがあるのですが、2012年にこうやって素晴らしい人々と今作を携えて再来日できたことを、とても誇りに思います。今作は非常に忠誠心にあふれた作品で、自分にとっても大きな作品でしたが、日本の人にも大変気に入っていただけるのではないかと思います。アリガトウ。

イライジャ・ウッド(フロド役、以下、イライジャ): コンニチハ(笑)日本には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで来日した時の良い思い出があります。日本に来ることは、僕らにとって非常に特別なことなのです。日本や東京は大好きですし、今回は冒険の序章を日本の皆さんに観ていただけることに、とても興奮しています。

—J.R.R.トールキンの書いた原作を見事に映像化されていましたが、トールキンが作り上げた物語への想いをお聞かせください。

監督: 『ホビット』は『ロード・オブ・ザ・リング』の物語の60年前を舞台としているので、中には観客がすでに結果を知っている出来事も登場するんだ。最初に『ロード・オブ・ザ・リング』を撮影してから12年経って、『ホビット』でいろいろなことが説明されているということが興味深いと思う。

—監督がこの作品で1番目指していたことは?

監督: それがどんな作品であれ、僕は逃避のために映画を作るんだ。映画にはミステリーやロマンスを求めている。子どもの頃から映画が大好きで、さまざまな種類の作品があるけれど、僕が好きな映画、作りたい映画は、全く違う世界に連れて行ってくれるような作品や、キャラクターに感情移入できる作品なんだ。皆さんにも逃避できるような体験をしてほしくて、だからこそ、ファンタジー作品が最もふさわしいと思っている。トールキンの物語は最もふさわしい作品なんだ。僕らが知っているようでいて、実はとてもエキゾチックな世界観が広がっている作品だと思う。トロールのようなクリーチャーがたくさん出てきて、まさにおとぎ話のような世界観がとても好きなんだ。

—8年ぶりの壮大なプロジェクトに出演できる喜びをお聞かせください。

アンディ: 再びニュージーランドに戻って『ホビット』を撮影するのは、素晴らしい体験だった。当時の友人たちやクルーには子どもが増えていたよ(笑)それに新たなキャストはみんな驚異的に努力家で楽しい人たちで、本当に参加できて良かった。今作では再びゴラム役を演じる機会に恵まれただけでなく、ピーターが僕が興味を持っていた演出にも参加させてくれて、第2班の監督を任せてくれたんだ。1年半、新しいファミリー、新しい冒険を楽しんだと同時に、非常にチャレンジングで学びの多いときを過ごすことができた。みんなが150パーセント出し切って、本当に楽しい映画を作ることができたと思う。

イライジャ: アンディが今言ったように、本当に素晴らしい体験だったよ。今作での彼らの冒険は、『ロード・オブ・ザ・リング』で旅の仲間が経験したことの写し鏡のようなものなんだ。再び撮影現場に戻ると、愛情を持ったスタッフが集結して作っていて、その様子を再び見ることができただけでも、とても美しい体験だった。『ホビット』はさらにスケールが大きくなっているけれど、現場の雰囲気はいっそう親密なものだったんだ。関わっている人々の心がつながっているということが感じられたし、再びフロドとして作品に参加できたことは、僕にとって贈り物のような経験だったよ。もちろん、イアン・マッケラン演じるガンダルフや、イアン・ホルムに再会できたり、他の旧友や家族に再会できたこともうれしかった。さらに新しいキャストに会えたこと、彼らを通じてホビットの冒険を体験できるということを、とてもうれしく思っているんだ。

リチャード: 『ロード・オブ・ザ・リング』の大ファンだし、ピーター・ジャクソン監督の作るような作品は今後リメイクされる可能性はないだろうから、僕が演じたトーリンは唯一のトーリンになると思う。そういったことを考えて、責任の重さ、少し怖い気持ち、多くの期待を持って、ニュージーランドに行ったということは、僕の人生の中で最も思い出深い経験になるだろう。とても貴重な18ヶ月をみんなと一緒に過ごすことができたんだ。

マーティン: まさにみんなが言ったとおりだよ。とても親密な、ファミリーのような現場だったんだ。世界で1番大掛かりな映画の現場であるにもかかわらず、まるで学生が映画制作をしているかのような、和気あいあいとした雰囲気だった。もちろん、18ヶ月を費やした作品が皆さんに気に入ってもらえることを願っているけれど、演じるということの根本にあるのは、自分たちが演じることを愛していて、楽しんでいるからなんだ。自分自身、出演して良かったと感じられる作品ができたと思っているよ。



—マーティンとリチャードをキャスティングした理由は?

監督: キャスティングで大切なのは真実味と正直さ。マーティンはフリをするのではなく、真実味を感じさせるのがとても上手い。これは特にファンタジーにおいて大切なことなんだ。人間ではないホビットやドワーフを演じているので、観客が共感できなければ話にならない。マーティンはドラマティック・アクターで、本当に真剣な演技をする人なのだけれど、ビルボ役に不可欠なハートとユーモアも持ち合わせているんだ。ビルボはヒーローになりたくないのにこんな状況に置かれ、ドワーフとつきあいたくないのに一緒に過ごさなければならないからね。マーティンはそういった状況から生まれるコメディを出すのがとても上手いし、ドラマティック・アクターでユーモアも出せるというのは、とても稀に見る才能なんだ。監督としてすごくありがたいのは、6、7回のテイクを撮ると、彼は毎回違うことをしてくれて、毎回新鮮で、その全てが素晴らしい。どれをとっても良いので、編集室では悩まされたよ。

今作でビルボがハートの部分を担っているとすれば、トーリンはソウルの部分を担っている。トーリン役のオーディションでは多くの役者に会ったが、リチャードは王としての高貴な姿や、大変な戦いに自分は挑めるのだろうかという葛藤が表せる人だと思った。そして、とても静かな姿勢で観る者を引きつける才能に長けている。画面に出ていると、なぜか彼を見たくなる、そういう要素を持った人だと思う。

—『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を作り終えた後で、『ホビット』を作ろうと決めたきっかけを教えてください。

監督: 正直言って、他の人に作ってほしくなかったことが理由だよ。『ロード・オブ・ザ・リング』を撮り終えて、再び中つ国に行くチャンス、ニュージーランドを舞台にするチャンスは、やはり『ホビット』だと思った。ただ、2つのスタジオが権利を持っていたので、なかなか制作できないという状況があった。でも彼らが作る気になったら、我々はそれに関わりたいと思っていたし、今作は本当に楽しい経験だったんだ。今までの映画作りの中で1番楽しかったと思う。



—ビルボとトーリンの友情が少しずつ深まっていく様子が見どころだと思ったのですが、マーティンさんとリチャードさんは共演してみていかがでしたか?

マーティン: リチャードは一緒に仕事をしていて、とてもやりやすい人。すごく静かな人でありながら、とても強い決断力を持っている。自分を含め、他の人の仕事の進め方にも敬意を表してくれて、芯の強い人でありながら、とても謙虚なんだ。毎日シーンを撮影していると、彼の方から何かをもたらしてくれるような人だよ。数人でジムに行った時、トレーナーにしごかれて僕は失神寸前だったのに、彼は冷静だった。恐らく大変だったとは思うのだけれど、それをあまり見せずに静かにトレーニングに耐えていた。どちらかというとストイックな人だと思う。毎日大変なこともあれば、ホームシックになることもあったけれど、その積み重ねがこの18ヶ月だったんだ。リチャードはほとんど最初からそういった姿勢だったし、それはトーリン役ととても合っていたと思う。人間としても素晴らしくて、一緒に居て楽しい人だったよ。

リチャード: 自分は酒を飲むと翌日の撮影に影響が出ると分かっていたので、撮影中はあまり人付き合いの良い人間ではなくて、申し訳ない気持ちもあったよ。マーティンは素晴らしい役者。そしてすごく面白い人なんだ。僕の撮影の初日に、マーティンは既に2週間ほど撮影していたんだけど、まるでジャズのミュージシャンのように、自分の役を通じてさまざまなことを試している姿を見た。それは本当に見事で、僕はそんな彼を称賛する気持ちを抱いて撮影に入ったんだ。

—1秒48コマのHFRで撮影した理由は?

監督: 1927年、それまでの無声映画にサウンドがついた。無声映画時代は手回しだったので、フレームのスピードは回す人によって異なっていたんだ。サウンドが入ることによって、一定のスピードにしないと音が安定しないという状況が生まれた。ただ、35ミリフィルムは非常に高価だったので、音を安定させるために45フレームに決まって、それがスタンダードになってしまったんだ。何千台ものプロジェクターやカメラが作られてしまったからね。近年デジタルシネマということになって、映写機やカメラも変わり、フレームレートを変えることができた。変えることで、映像にリアリティが増して、本物の世界により近づくことができるんだ。3Dとハイフレームは非常に良いコンビネーションで、魔法の世界観をそのまま見せられる。

もう1つの理由は、最近はなかなか映画館に足を運んでもらえないということ。iPhoneやiPadでも映画は観られるからね。だから、『ホビット』のような大作に新しいテクノロジーを取り入れることで、人々を映画館に呼び戻せれば、という気持ちもあって作ったんだ。



『ホビット 思いがけない冒険』
ホビット族のビルボ・バギンズは魔法使いのガンダルフに誘われ、13人のドワーフたちと共に、恐るべきドラゴン“スマウグ”に奪われたドワーフの王国を取り戻すという危険な冒険に加わる。彼らは凶暴はアクマイヌ、そして謎の魔術師たちがうごめく危険な荒野や、ゴブリンが潜むトンネルを抜けて行かなければならない。ビルボはそこで、彼の人生を変えてしまう生き物ゴラムと出会い、彼には知る由もない中つ国の運命を握る<指輪>を手に入れる…。

監督:ピーター・ジャクソン
出演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ケイト・ブランシェット、イライジャ・ウッド、アンディ・サーキス、ほか
12月14日(金)3D/2D同時公開
© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

オフィシャルサイト>>

Text: Nao Machida

15:34

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