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スパイク・ジョーンズ『her/世界でひとつの彼女』来日インタビュー後編

2014-06-27


ビースティ・ボーイズやファットボーイ・スリム、ビョークといった数々のアーティストの名作ミュージックビデオや、人気シリーズ「jackass」など、MTVでもすっかりおなじみの奇才スパイク・ジョーンズ。常に奇想天外なアイデアで観る者を驚かせる監督の最新映画『her/世界でひとつの彼女』が、6月28日(土)より全国で公開される。

映画は近未来のロサンゼルスを舞台に、AI(人工知能)型OSのサマンサと恋に落ちていく主人公セオドアの物語。これまでにない設定ながらも、普遍的な感情を繊細に描いたスパイクは、今作で第86回アカデミー賞脚本賞を受賞した。MTV Newsは4年半ぶりに来日したスパイクにインタビュー。映画の見どころや舞台裏について、たっぷりとうかがった。

インタビュー前編はこちら>>

──今作の衣装は1920年代〜30年代を参考にしたそうですが、近未来が舞台の作品で過去のファッションを採用しようと決めた理由は?

70年代に50年代のものがカムバックしたり、90年代に70年代のものがカムバックしたりするよね。でも20年代はまだカムバックしたことのない時代のように感じた。時代を決めることで、独特な世界観を作り上げることができたよ。

レトロにしようとしたわけではなく、その時代のアイデアを起用したんだ。主人公セオドアのハイウェスト・パンツにしても、当時とは違った暖かみのある赤や柔らかい素材と合わせてみた。ゴールは独自の世界観を作り上げることだったんだ。セオドアの口ひげも20年代っぽいし、赤ちゃんの名前にしたって、トレンドは繰り返すと思うんだよね。



──とても美しい今作の脚本は監督のオリジナルとのことですが、脚本家としては今後どのように活動していきたいですか?

これからも書き続けていきたい。でも、オープンな気持ちでいたいと思う。10年後に自分が何をしているかは分からないし、決めたくないんだ。未来に何が起こるかは分からないから、いつでもいろんなチャンスを発見できるようにしておきたい。

──これまで監督としてたくさんの作品を手掛けてこられましたが、脚本家としてアカデミー賞を受賞したことについてはどう感じられましたか?

僕は過去に短編を書いていたし、初めての仕事は雑誌のライターだった。ミュージックビデオやショートフィルムのトリートメントも自分で書いてきた。そういう意味では、今回の受賞は自然なことのように感じるよ。どんな賞でも受賞するって最高のことなんだけど、今回は脚本家として受賞できたことがとてもうれしかった。物書きとして、僕らはみんな、それがどれだけ大変な作業か分かっているだろう?

──孤独な仕事ですよね(笑)

うん、とてもね(笑)



──さらに監督は良い役者でもありますよね。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の出演シーンは本当に面白かったですし、今作でも主人公がプレイするゲームに登場する、宇宙人の子ども役として声の出演をされています。役者業はお好きですか?

好きだよ。監督として、他の監督の仕事ぶりを間近で見る機会は貴重なんだ。もちろん、役を作り上げて演じるのも楽しいしね。5作品でコラボレートしてきたマーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオが生み出した世界に入れてもらって、世界で最も尊敬する監督のひとりであるスコセッシの仕事を見学できるなんて、とても稀なことなんだ。

──スコセッシ監督からはどのような演技指導をされましたか?

撮影前日に衣装を着て、あの口ひげをつけて、監督に会いに行ったんだ。「僕からは何が必要ですか?」って聞いたら、(スコセッシの物まねで)「こういう感じもありだし、こういう感じでもいいし…」って話しだして、「うわ、スコセッシだ!」って思ったよ(笑)最高だった。僕よりもあの役を上手に演じていたんじゃないかな。

実は言われたことが脚本と全然違ったから、「脚本と違いますよね?」って聞いたら、「いいんだよ、脚本は気にするな」って言うんだ。「話の筋は分かっているだろう?あとは好きなこと言っていいよ」ってね。撮影当日は何テイクも撮ったんだけど、会話のほとんどがアドリブだった。毎回レオといろんな会話をして、スコセッシは側で見ていて、たまに「おばあちゃんの話をしてみたら?」とか言われたよ(笑)

──今回は4年ぶりの来日ですが、日本でインスパイアされる場所はありますか?

僕は街を歩き回るのが大好きなんだ。日本には何か独特な美学があるように思う。街のデザインやお店の在り方、ものづくりにおいても、そこには美しさがあるよね。

キャンディの包み紙でさえも、美しい贈り物のようにデザインされているだろう?今作に登場する携帯端末のデザインやインターフェイスも、そんな風に感じられるものにしたかったんだ。見た目というよりもフィーリングという意味で、日本のキャンディの包み紙とグーグル・アースの中間くらいのデザイン性を求めていたんだ。



この前も夜7時くらいに代官山を歩いていたら、とても美しかったよ。お店が並んでいて、仕事帰りに友だちと飲みに行く人々がいて、川沿いの風景があって…東京には六本木みたいなとても忙しそうなエリアもあるけど、あんな風に落ち着いたエリアもあるから興味深いね。

──ファットボーイ・スリムのミュージックビデオ「Weapon of Choice」で俳優クリストファー・ウォーケンを宙に舞わせてみたり、『マルコヴィッチの穴』でジョン・マルコヴィッチの頭の中に入ってみたりと、いつも奇想天外なアイデアを見事に映像化される監督ですが、最近お気に入りのクレイジーな妄想はありますか?

いつも妄想しているよ。今回のインタビューは楽しいけど、時にはあまり楽しめないインタビューもあるんだ。そんな時は、目の前のテーブルに火を点けて、燃え上がる炎を囲んで取材が続いて行く様子を妄想したりしてね(笑)妄想することで助けられる時もあるんだよ。

──作品毎に予想外のアイデアが炸裂しているので、『マルコヴィッチの穴』のように監督の頭に入ってみたい人は多いと思います。

いいよ。でも、きっとがっかりするんじゃないかな。「なーんだ、私と同じような不安を抱えているんだ」って思われると思う。何か面白いものが見つかったら、ぜひ教えてほしいよ(笑)



──MTVの人気シリーズ『jackass』のようないたずらにしてもそうですが、ユニークな発想はどのような時に浮かぶのですか?作品を手掛ける上で大事にしていることはありますか?

僕は自分の気持ちに誠実に、間違いは気にせず、本当に作りたいものを作ろうと思って作品を手掛けているだけなんだ。みんなと何ら変わらないと思うよ。

ちょっと恥ずかしいと思うことでも素直に表現すると、多くの場合は人とよりつながることができる。自分を見せるという勇気ある行為を通して、人はより親密になれるんじゃないかな。

Interview + Text: Nao Machida
Photos (Spike Jonze): Taro Mizutani




『her/世界でひとつの彼女』

監督・脚本・製作:スパイク・ジョーンズ
キャスト:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、スカーレット・ヨハンソン
6月28日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

オフィシャルサイト>>

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