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リトル・バーリー、ニュー・アルバム『Shadow』を語る

2013-12-25
ここ日本でも多くのファンを持つ英ロック・バンド、リトル・バーリーが、約3年ぶりとなるニュー・アルバム『Shadow』をリリースした。前作に引き続き、プロデューサーにエドウィン・コリンズを迎えて制作された新作は、これまでよりもダークでムーディなサウンドが印象的だ。MTV Newsでは、先日プライマル・スクリームのギタリストとして来日した、フロントマンのバーリー・バドガンにインタビュー。待望の新作の制作秘話をじっくりと語ってもらった。



—3年ぶりのニュー・アルバムの完成おめでとうございます。日本のファンも楽しみにしていたと思います。

今年は僕がプライマル・スクリームのツアーで忙しかったから、曲作りやレコーディングの時間を設ける必要があった。ライブの合間の時間をできる限り使って曲を書いていたよ。

—別のバンドで演奏しながら自分のバンドの曲を作るというのは、簡単なことではないですよね。

でもプライマル・スクリームでは曲を書いているわけではないからね。プライマルではギターの演奏だけに集中しているけど、リトル・バーリーでは曲作りからアートワークまで、あらゆる側面を考える必要がある。どのように自分たちの作品を表現するかを考えるんだよ。

今回はレコーディングの時間が限られていたから、スタジオ入りするまでに全て準備が整っているよう、リハーサルを入念に行った。16曲のレコーディングとミックスを18日間で行ったんだ。

—すごいですね。実際の曲作りはいつから始めていたのですか?

2年くらい前かな。ボビー(・ギレスピー)たちとプライマルのツアーをまわっていて、とても忙しかったんだ。だから少しでも時間があったら曲を書いていた。友人がスタジオを持っていて、毎日使っているわけではないからって、ライブルームの鍵を貸してくれたんだ。僕はそこに古いカセットマシンを持参して通っていた。

—カセットマシンを使っていたのですか?

4トラックのレコーダーを使っているんだ。音が良いからね。スタジオに行ってデモを作っていた。ドアを閉めれば外界から遮断されて、集中できてよかったよ。

—ロンドンのスタジオですか?

うん、家から近くて便利だよ。キャスター付きの小さなスーツケースにカセットマシンと紙とマイクとヘッドフォンを詰めて、ギターを背負って、スタジオに歩いて行くんだ。家から15分か20分くらい、スーツケースを転がして歩くのさ。そこで1日中作業して、終わったら家に歩いて帰っていた。曲作りの大半はそんな感じだったよ。

—曲は全て自分で書いているのですか?

僕が始めることが多いね。デモを作って、ボーカルを入れて、それをヴァージルとルイスに聴かせるんだ。そこから3人で作業を開始する。曲作りの時間が限られている時は、リハーサルの時点で何かしら形になったアイデアがあった方がいい。説明していたら時間がかかってしまうから、デモを聴かせた方が早いんだよね。僕がアイデアを用意して、彼らと一緒にアレンジを変えてみたり、他のアイデアを試してみたりするんだ。

—そして今作は、ヴァージルを迎えて2作目のアルバムとなりますね。

ああ、ヴァージルは2枚のアルバムに参加した初めてのドラマーなんだ。バンドを結成して10年以上が経つ…というか、最初はルイスもいなくてバンドではなかったんだ。ファースト・シングルは自分だけで作ったんだよ。当時の姉の彼氏がドラムを演奏してくれて、ベースは自分で弾いた。それから1人目のドラマーのウェインと出会って、ロンドンに引越してルイスと出会った。それでようやくバンドになったんだ。だからヴァージルは2枚のアルバムに参加した最初のドラマーなんだ!ある意味、画期的な出来事だよ。呪いを解いてくれた(笑)

—今のラインアップはライブでの息もぴったりですよね。

ヴァージルが加入してから、バンドのアイデンティティが安定したように思う。ライブもそれまでよりたくさんやっているし、リハーサルもたくさんやっている。ヴァージルのおかげで落ち着いたよ。ようやくバンドがあるべき姿になれたっていうか。

—ヴァージルのお父さん(註:イエスのギタリスト、スティーヴ・ハウ)の正体を最初は知らなかったって本当ですか?

うん、ヴァージルは何も言っていなくて、だいぶ経ってから言われた。ルイスがヴァージルの演奏をライブで観て、「良いドラマーを見つけた」って言ったのがきっかけで出会ったんだ。それからヴァージルが僕らのライブを観に来て、僕らのファンで、レコードも持っているって言われて友だちになった。ある時、ライブでドラマーが必要だったからヴァージルにお願いして、それからずっと一緒にやっているんだよ。ある意味、運命的だった。お父さんにも2度ほど会ったけど、とても良い人だったよ。

—アルバムに話が戻りますが、リトル・バーリーは作品毎に新たな一面を見せてくれますね。今作はこれまでよりもダークで、ストレートなロックサウンドという印象を受けました。

今作ではもっとムードを出したかったんだ。インスピレーションの1つは映画音楽なんだよ。いつか映画音楽を作ることができたらいいなと思っていて、でも映画がないから(笑)、だったら映像に合うような音楽を作ってみようと思った。それが1つのアイデアだった。

—何か特定の映画や映像をイメージしていましたか?

特にはないんだけど、いろんなサウンドトラックにインスパイアされたよ。マカロニウェスタンでさえ、サントラにはクールなギターサウンドが入っていたりするよね。あとはずっと前からファンだったカン(ドイツのロック・バンド)について話したこともインスピレーションになった。前作は50年代のロックンロールっていう感じだったけど、今作はもう少しダークで、ちょっとサイケデリックな作品にしたかったんだ。とはいえ、これまで通りギターありきでね。ギターでさまざまなサウンドを試してみたかった。それが今作のアイデアだよ。

—ファズペダルを使用した「Fuzz Bomb」もそうですよね。

そうそう。あの曲のアイデアはかなり前から温めていた。それは非常にシンプルな、まるでシンプルなヒップホップのビートに、ストゥージズ風のギターサウンドを加えたようなアイデアだったんだ。友だちがあのサウンドのためにペダルを作ってくれた。

—ファズを使用した感想は?

基本的にはファズとワウワウを同時に使ったんだ。友だちでザ・ダットサンズのメンバーでもあるクリスチャンが、2つのペダルをボックスに組み立ててくれたんだよ。アイデアはかなり前からあって、ヴァージルとデモを作ってあったんだけど、歌詞がなかったんだ。ようやく歌詞ができて、この曲がアルバムで最初にデモを作った曲になった。

—アルバムをよりダークなサウンドにしたいというのは、意識的なものだったのですか?

今年の1月にブライアン・ジョーンズタウン・マサカー(註:米サンフランシスコ出身のサイケデリック・ロック・バンド)のアントン・ニューコムとセッションしたんだ。彼はベルリンにスタジオを所有していて、フランスのバンドとのセッションに僕を招待してくれた。僕らは面白いインストの音楽をいくらか作ったんだよ。ダークでムーディなサウンドで、彼らとのセッションにとても刺激を受けた。

プライマル・スクリームも含め、他のバンドと一緒に仕事をすることで学ぶことは多いですか?

うん、すごく多いよ。バンドごとに異なるアプローチがあるし、曲作りの方法も違うからね。プライマル・スクリームからはたくさんの影響を受けた。サウンドが違っても学ぶことは多いんだ。他のバンドと関わることで、自分のバンドを新鮮な角度から見ることができる。物の見方を変えるって、健全なことだよ。

—アルバムのタイトルに『Shadow』を選んだ理由は?ダークなサウンドにも関係していますか?

面白いことに、アルバムのタイトルの多くはルイスが思いつくんだ。ジャケットにした時のバランスやロゴを考えて、『Shadow』がいいんじゃないかって。僕も良いタイトルだと思った。それに収録曲「Shadow」は、今作をよく表しているユニークなサウンドだしね。あの曲だけ別のスタジオでレコーディングしたんだ。あのユニークなサウンドは、大きな部屋でレコーディングした結果なんだよ。部屋の四隅にマイクを設置して録音して、あのような雰囲気のあるサウンドが生まれたんだ。

—レコーディングの時期は?

レコーディングは8月に行った。プライマル・スクリームのフェス出演があったから忙しくて、レコーディングが可能で、スタジオが空いているのが、その時期だけだったんだ。だからとにかくその時期にやる必要があった。そしたらプライマル・スクリームの追加公演が決まって、スタジオ入りが数日遅れてしまった。実際のレコーディングでは、ルイスとヴァージルはそれぞれのパートを2日間で終わらせたんだよ。ギターに2日、ボーカルに2日、パーカッションに1日を費やして、それからミックスを始めた。

—前作に続き、今作でもエドウィン・コリンズを共同プロデューサーとして迎えていますね。

レコーディングにかけられる時間が限られていたし、素晴らしいスタジオだということも分かっていたし、エドウィンとエンジニアのセンスも信用していたし、彼らは素晴らしい機材を持っているからね。それに、以前にも一緒に仕事をしていたから、そこまで細かく説明しなくても理解してもらえるんだ。ラフなデモを聴いてもらって、「こういうサウンドを考えている」って伝えるだけで、彼らはすぐに理解してくれるんだよ。

—エドウィン・コリンズはベテラン・ミュージシャンでもありますが、プロデューサーとして一緒に仕事をするとどのような人なのですか?

とても楽しい人だよ!スタジオでは笑いが絶えないんだ。エドウィン自身もすごく面白いし、エンジニアのセスも同じくらい面白くてね。2人揃うとさらに面白くて、まるでお笑いコンビみたいだよ(笑)あの2人がいると、僕らはいつも爆笑さ。いつもバカなことばかり言っているよ。

でも、楽しいだけではなくて、彼らは素晴らしい耳の持ち主なんだ。彼らはあのスタジオを20年くらい使っているから、何から何まで完璧に理解しているしね。素晴らしいプロデューサーとエンジニアだよ。エドウィンは僕らのために本当によくしてくれて、彼がいなかったら今の僕はいないよ。

—18日という短期間で行ったレコーディングとのことですが、振り返ってみていかがでしたか?

前作『King of the Waves』を作った時は、細かいところまで全てを完璧にしようと思っていた。でも気づいたんだ。もしそこに良いスピリットがあれば、それはそのままにして、次に進んだ方がいいんだよね。人は常に「もっと良く出来るはず」と思いがちで、1つのことに1日を費やすこともある。でも今作では、そのような贅沢はできなかった。だから、今作の大半は1テイク目か2テイク目の録音なんだよ。

—確かにものすごくライブ感のある作品ですよね。

そうだね。それに前作はヴァージルが参加した初めてのアルバムだったけど、前作から今作までに一緒に演奏して、レコーディングして、お互いをよく知ることができた。それによって、バンドのコアがより力強くなったように思う。だからこそ、今作には僕らのパフォーマンスを詰め込むことができたんだ。曲作りの段階でライブのことを考えることができたから、サウンドにより深みが生まれたように思う。

—実際に完成したアルバムを聴いてみて、どう感じましたか?

満足だよ。常に「もっとこうすればよかった」とか考えるものだけど、前に進まなければならないとね。さもなければ、いつまでも完成しなかったガンズ・アンド・ローゼスの『Chinese Democracy』のようなことになってしまうよ。僕らはアルバムに1700万ドルとか費やす余裕はないからさ(笑)スピリットとサウンド、それに曲のメッセージに確信があれば、それでいいんだ。今作はこれまでにない早さで完成したよ。その瞬間のエナジーやスピリットを大切にしたんだ。それが今作から学んだことでもあり、今後もそのようなアプローチを取り入れたいと思っている。

—日本のファンにおすすめしたい、特に気に入っている曲はありますか?

それぞれの曲を違った理由で気に入っているけれど、「Eyes Were Young」が特に好きかな。1番ライブ感を収めることができたように感じるから。「Shadow」も大切な曲だよ。あの曲でのルイスとヴァージルの演奏は最高だと思う。でもどの曲も気に入っているよ。

—日本にもリトル・バーリーのファンはたくさんいますが、日本の印象は?

みんな優しいし、ご飯も美味しいよね。もう13回か14回は来日していると思う。音楽を仕事にしていなかったら来日できなかったと思うから、とてもうれしいよ。ストーン・ローゼスが初来日した時の話を読んで、ずっと来てみたかったんだ。いつかはもっと日本の文化や歴史を知りたいと思っているよ。

—日本での1番の思い出は?

東日本大震災の1ヶ月後に来日した時のことは忘れられないよ。不安だったし、来日するかどうか迷ったけど、来て良かった。日本のファンを少しでも元気づけたかったんだ。オーディエンスのスピリットも感じられたし、パワフルな体験だった。日本には良い思い出がいっぱいあるよ。

—今回はプライマル・スクリームとしての来日ですね。バンドのメンバーと日本で遊びに行ったりしますか?

メンバーが多いから、同じ時間にみんなが起きているとは限らないんだよね(笑)でもギターショップに行ったり、レコードを買いに行ったりするよ。

—これまでにポール・ウェラーやモリッシーなど、多くのアーティストと共演していますね。

みんなからモリッシーの印象を聞かれるんだけど、彼は内に秘めたタイプの人だから、あまり知らないんだ(笑)クールな物静かな人だよ。でもとても良い人で、彼のおかげで大きな会場で初めて演奏することができた。

—個人的に人生で最も影響を受けたアルバムは?

ストーン・ローゼスのファースト・アルバムかな。僕には音楽好きな姉がいて、姉の持っていたあのアルバムを聴いて、サッカーではなくてギターがやりたいって思ったんだ。サッカーは得意じゃなかったしね。それで15歳くらいでギターを始めて、人生が変わったんだ。今でもあのアルバムはよく聴くよ。

今年はパリでストーン・ローゼスのサポートをすることができたんだ。音楽を始めたきっかけとなったバンドだから、僕にとっては大事件だった。さらにその1週間後にプライマル・スクリームのグラスゴー公演があって、姉が観に来たんだ。そこで姉をストーン・ローゼスに会わせることができた。姉はレニと奥さんと楽しそうに話していて、それが僕にとってのハイライトにもなった。姉がいなかったら、あのレコードには出会っていないし、僕は今ここにいないからね。

—1番好きなギタリストは?

僕の中で“ビッグ4”と呼んでいるんだけど、ジョン・スクワイア、ジョニー・マー、J・マスシス、ジミ・ヘンドリックス。全員イニシャルがJなんだよ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

今作を引っさげて、必ず日本でライブをしたいと思っているよ。長年応援してくれて本当にありがとう。ニュー・アルバムを楽しんでね。クリスマス・プレゼントにも最適だよ(笑)


Interview + Text: Nao Machida


リトル・バーリー:
バーリー・カドガン(Vo,G)、ルイス・ワートン(B)、ヴァージル・ハウ(Dr)の3人組英ロックバンド。2005年、デビュー・アルバム『We Are Little Barrie』で無名の新人から一躍有力アーティストにまで一気に上り詰め、翌年のセカンド・アルバム『Stand Your Grund』、10年のサード・アルバム『King of the Waves』でその地位を確固たるものにした。「SUMMER SONIC 06」ではビーチ&アクア・ステージでトリを務めた。バーリーはプライマル・スクリームやモリッシーのバックギタリストとしても活躍し、ポール・ウェラーやケミカル・ブラザーズのレコーディングにも参加するなど人気ギタリストとしての顔を持つ。


『Shadow』
1. Bonneville
2. Fuzzbomb
3. Sworn In
4. Stop or Die
5. Deselekt
6. Pauline
7. It Don't Count
8. Everything You Want
9. Realise
10. Eyes Were Young
11. Black Mind *
12. Shadow
13. Clone 24 *
14. Fuzz No 6 *
* ボーナストラック

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