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アイスランドを代表するポップ・バンド、ムームが4年ぶりの新作を語る

2013-09-13
ビョークやシガー・ロスと並ぶアイスランドの代表的バンド、ムームが、今週約4年ぶりとなるニュー・アルバム『Smilewound』をリリースした。グンネルとオルヴァルを中心にセルフ・プロデュースで制作された今作では、2002年に脱退したオリジナル・メンバーのギーザが復活。どこか初期の作品を思い出させる、キャリア最高傑作と呼べる作品が完成している。MTV Newsでは、6月に開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」で来日したムームから、グンネルとオルヴァルをインタビュー。待望のアルバムについて語ってもらった。



—久々の来日、ファンも楽しみにしていたと思います。今回はニュー・アルバムを引っさげての来日ですね。

オルヴァル: うん。前作からこれまで、いろんなプロジェクトをやっていたんだ。昔の楽曲を集めたコンピレーションも作ったし、あれはとても楽しかったな。それに僕はFMベルファーストっていう別バンドでも活動していたんだよ。

グンニ(グンネル): 僕はいくつかのアルバムをプロデュースした。5、6作かな。

オルヴァル: それに僕は大学にも通ったんだ。4年間ね。

—何の勉強をしていたんですか?

オルヴァル: 映画の勉強だよ。とても楽しかったよ。趣味として勉強したんだ。映画を制作する方ではなく、映画について考える方ね。

グンニ: (笑)

—新作にはいつ頃から取りかかっていたんですか?

グンニ: ずっと音楽制作を行ってはいたんだよね。

オルヴァル: 収録曲には、前作のレコーディングで生まれたものもあるんだよ。「Sweet Impressions」がそれだ。前作に収録しようと思って作ったんだけど、うまくフィットしなくて、今回はしっくりきた。

グンニ: 真剣にアルバムを完成させようと考え始めたのは、昨年の10月か11月くらい。でも僕らはいつでも音楽を手掛けているんだ。それより前に、フィンランドにドラムのレコーディングに行っていたしね。

オルヴァル: うん、ドラムは楽曲ができるよりも前から、かなり早い段階でレコーディングしていたんだ。

—ムームは常に編成が変化していますが、今作には何人のメンバーが参加したのですか?

オルヴァル: アルバムに参加したのは全部で15人くらいかな。ほとんどは僕ら2人で手掛けたけど、いろんな人が出入りしていた。

グンニ: 大体はこの2人と、もちろんドラマーのサムリ。あとヒルダもね。でも、赤ちゃんがいるから今回のツアーには参加できないんだ。今夜のステージは5人で行うよ。その5人全員がアルバムにも参加している。

—また、今作ではギーザがバンドに戻ってきたことも話題です。彼女と再び活動してみていかがですか?

オルヴァル: すごく楽しいよ!

グンニ: うん、彼女は楽しい人なんだ。

—ギーザがバンドを去った後も、ずっと連絡は取りあっていたのですか?

グンニ: うん。彼女はしばらくロシアに住んで、それからスイスに行って、イタリアに行って…僕らは常に連絡を取っているわけではなかったけど、古い友だちだから、久しぶりに会っても時間を感じないんだよね。

オルヴァル: 去った後も、アルバムでチェロを演奏しに来てくれたしね。

—今回は本格的にバンドに復帰したわけですが、ギーザが今までと変わったところはありましたか?

オルヴァル: うん、彼女は確か2002年に辞めたんだけど、その時点では、音楽をどう楽しんでいいのか分からなかったようなんだ。でも今はとてもオープンで、どのように楽しむべきかを理解している。それに彼女は本当にアメイジングなパフォーマーでもあるんだ。今はものすごくオープンで、以前の彼女は自分にそうすることを許していなかった。

グンニ: そうだね。彼女はクラシック音楽を勉強していたから、もしかしたら音楽を真面目に考え過ぎていたのかもしれない。今の彼女は前よりもオープンで、ずっと楽しいんだよ。

—再びギーザの声を聴くことができてうれしかったです。

オルヴァル: そうだね!

グンニ: 最高だよね。

—たくさんのメンバーが参加するムームの作品ですが、曲作りはどのように行うのですか?

グンニ: それぞれが持っているアイデアを共有するんだ。

オルヴァル: 時には何ヶ月も会わないこともあるんだけど、集まったらお互いのアイデアを聴いてみる。そしてお互いのアイデアを少しずつ取り入れたりする。それが1つの方法かな。

グンニ: うん、実際にどうやっているかはよく分からないんだ。

—その場のノリで?

オルヴァル: うん、計画はなしでね。

グンニ: 特定のメソッドはないんだ。そこに決まりがあるとすれば、自由にやるということだね。お互いのアイデアを少しずつ良くするということも。

オルヴァル: ボーカルに関しては、泳ぎに行くといい。泳ぐ前に最後に聴いた曲を、泳いでいる間に仕上げるんだ。それも1つの方法だね。オススメだよ。

—以前、アイスランドの灯台でレコーディングしたという話を聞きました。

グンニ: 友人が所有する灯台なんだ。今回はボーカルを2曲だけレコーディングしたよ。

オルヴァル: グンニは今でも毎年訪れているよね。去年の夏も行ったんだろ?

グンニ: うん。何もない場所で、とにかく美しい景色なんだ。街からもすごく遠くて、ボートに乗らないと辿り着けないんだよ。

オルヴァル: 山を歩いて越えるしかないんだ。

グンニ: 電気も電話も何もない。病気になったらボートに乗って戻らないとならない。

オルヴァル: 骨折しても、山を歩いて越えなければならないんだ(笑)

—隔離された場所なんですね。ものづくりには最適かもしれないですね。

オルヴァル: そうなんだよ。

グンニ: それに、活力が沸くような場所なんだよね。たとえ一晩だけでもデトックスできる。夏は太陽が沈むことがないし、時間についての概念が変わって良いもんだよ。全てが遠くて、食料の買い出しもボートに乗らなければならない。すごく苦労して買い物するくらいだから、そこで時を過ごした後は、怖いものなしになるんだ。

オルヴァル: 初めての時はヘリコプターを用意したんだ(笑)ネットをくくり付けて、その中に楽器を入れた。ネットに入った楽器をぶらさげたヘリコプターが飛んでいたんだよ。あれはもうやりたくないな(笑)

—それ以外はどこでレコーディングしたのですか?

オルヴァル: レイキャビクにリハーサル・スペースを持っているから、全てはそこでレコーディングしたんだ。あとはドラムをフィンランドで、「Sweet Impressions」はエストニアでレコーディングした。

—ギーザが復帰したこともあるのかもしれないですが、今作は初期の作品を思い出させるアルバムでした。昔からのファンもきっと気に入ると思います。2人は完成したアルバムを聴いて、どのような感想を持たれましたか?

オルヴァル: そうだね。昔の作品に近いかもしれない。でもそれと同時に、今作は完全に新しいサウンドの詰まった、完全に新しい作品でもあると思う。

—ムームの作品は、聴くまで予測不可能なところも魅力ですよね。中には特定のサウンドがあって、どのような楽曲か予想がつくバンドもいますが、ムームの作品に関しては何を予測すべきかも分からなくて、それがとてもエキサイティングです。

オルヴァル: そうだね(笑)僕らもそう感じるよ。予想外のことをやって、自分たち自身を驚かせるのが好きなんだ。退屈しちゃうからさ。

グンニ: ああ、僕らはすぐに退屈しちゃうんだ(笑)

—アルバムのタイトル『Smilewound』の意味は?

オルヴァル: うーん…良い質問だね!

—そういえば、ツイッターでタイトルを募集していましたよね?

オルヴァル: ああ…あれは良くなかった(笑)届いたのはジョークばかりでさ。まあ、冗談でやったんだけど。何十ものおかしなタイトルが届いたよ。今となっては1つも思い出せないけど!

オルヴァル: 最終的には、仲の良い友人たちにいくつかの候補をメールして決めたんだ。あれは良いアイデアだったよ。いつもはもっと初期の段階でタイトルが決まるんだけどね。

グンニ: うん、大体の楽曲ができたら、フィーリングが決まるからね。

オルヴァル: 今作は制作段階では「Time to Scream and Shout」っていうタイトルだったんだ。

—アルバムの最後の曲のタイトルですね。

オルヴァル: うん。でもアルバムが完成してみたら、なぜかしっくりこなかった。それに、ブリトニー・スピアーズの曲のタイトルと一緒だと気づいて。

グンニ: (笑)

—「Scream & Shout」ですね(笑)

オルヴァル: そうそう、それ(笑)

—オーガニックな音とエレクトロニックな要素のミックスによって、今作ではカラフルなサウンドが生まれています。私は特に「Candlestick」が好きなのですが、2人はそれぞれどの楽曲が気に入っていますか?

オルヴァル: いいね!「Candlestick」には特別なサウンドがあると思うんだ。

グンニ: 今夜ライブで初披露するよ!さっきサウンドチェックで試していたところだ。







—あれだけたくさんのサウンドが含まれていると、ライブでどのように演奏されるのか興味深いですね。

グンニ: 僕らはいつもアルバムを作ってから、さて、どうやって演奏しようかと考えるんだ(笑)でもそれが楽しいんだよ。ライブで披露する上で、自由に変化を加えるようにしている。個人的には、ライブとレコードが全く同じというのは好きではないんだ。それではちょっとつまらないからね。

オルヴァル: 僕らはどちらにしても無理だよね(笑)不可能だよ。

グンニ: お気に入りの楽曲は…分からないな…ベビーたちの中から1つ選ぶのは難しいよ!

オルヴァル: 僕も全部すごく気に入っているよ。昔の楽曲を思い出させるし、「Time to Scream and Shout」は特別な1曲かな。以前に演劇のための音楽を作ったことがあって、原作の「青い惑星のはなし」っていう本は日本語にも訳されていると思うんだけど。この曲はなぜかあの演劇のために作った音楽を思い出させるんだ。実は同じ演劇が今度ポーランドで上演されるから、今はそのためのサウンドトラックを手掛けているんだよ。

グンニ: 僕は…難しいな(笑)1番気に入っている曲というわけではないかもしれないけど、「Underwater Snow」はたくさんの時間を費やした曲なんだ。最初はなぜかしっくりこないサウンドがあって、それでものすごい時間をかけて完成したんだ。

オルヴァル: それは「Slow Down」だろ。

グンニ: 「Slow Down」か。いつも制作中は違うタイトルで呼んでいるから、最終的に決めたタイトルにまだ慣れてないんだよね(笑)

オルヴァル: あの曲ではシンセをレコーディングするのに丸2日もかかったよね。

グンニ: でも間違いなく時間をかけた価値はあった。あと、「The Colorful Stabwound」のドラムもすごく気に入っているよ。

—アルバムのアートワークについて解説していただけますか?

グンニ: サラ・リール(Sara Riel)という友人が手掛けた作品なんだ。アイスランド出身のアーティストだよ。僕らは過去3作のアルバムで、それぞれ異なるビジュアルアーティストとコラボレートしてきた。それで今作では彼女の番かなって思って(笑)

オルヴァル: 歯が描かれているよ(笑)10パターンほどの絵を描いてくれたんだけど、僕らは複雑なものが好きなんだ。でも最終的に、彼女が最初に描いたこの作品を採用することにした。シンプルなスケッチだったんだけど、それを使うことにしたんだよ。アルバムのジャケットは、時にシンプルな方がいいと思うんだよね。

グンニ: 他の絵もブックレットの中にプリントしようと思っているよ。

—日本のファンもニュー・アルバムをとても楽しみにしていると思います。

オルヴァル: 今作はぜひアナログ盤でも楽しんでほしいな。

グンニ: 僕らは全てのアルバムで必ずアナログ盤も作るんだ。特にここ5年はアナログ盤が人気だよね。ダウンロードが主流だからCDのセールスは減少しているかもしれないけれど、アナログ盤には違った魅力がある。

—来日で特に楽しみにしていることはありますか?

オルヴァル: 来るたびに美味しいご飯を食べるのを楽しみにしているよ。日本食は大好きなんだ。

グンニ: できるだけたくさんの美味しいものを食べたいと思っている。アイスランドの料理はつまらないからね。

オルヴァル: 魚は美味しいんだけど、調理法がつまらないんだ。というか、アイスランドのフードカルチャーは移民のおかげで成り立っている。アイスランドの伝統的な料理は魚やポテトをゆでただけで、ちょっとだけバターが付いている程度だ。

グンニ: 何でもゆでるんだ。ジョークではなく、本当にバカげているんだよ。どんなに美味しい食材もゆでるだけ。今は変わってきているけど、僕らが子どもの頃は何でもゆでるだけだった。幸運なことに、アイスランドに移住した人たちが、僕らに食べ方を教えてくれたわけだ。

オルヴァル: ミュージシャンとして最高なことの1つは、世界中を旅して美味しい料理を食べられること。

グンニ: 特にアジア・ツアーは最高だね。台湾もご飯が美味しいし、シンガポールもいいね。

オルヴァル: 香港は行ったことがないんだけど、ご飯情報をググってあるよ。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

オルヴァル: 呼んでくれてありがとう、また来週も来ていい?(笑)

グンニ: 少なくとも1年に2回は来日したいね。美味しいものがあれば、バースデーパーティーや結婚式の仕事でも引き受けるよ(笑)


Interview + Text: Nao Machida
Live Photo: Kokei Kazumichi




ムーム

アイスランドの首都レイキャビークで結成された、オルヴァル・スマラソンとグンネル・ティーネスを中心とする不定形ドリーミー・ポップ・バンド。2000年に『Yesterday Was Dramatic – Today Is OK』でデビュー。エレクトロニクスとアコースティック楽器によるオーガニックなサウンドを融合させた音楽性が高い評価を受け、イギリスだけで40以上の媒体から年間トップ10に選出される。以来、現在までに5枚のスタジオ・アルバムをリリース。日本でも根強い人気を誇り、単独公演はもちろん「SUMMER SONIC」や「FUJI ROCK FESTIVAL」、「Taico Club」といったフェスティバルにも数々出演。6月に開催された「HostessClub Weekender」では、1日目のヘッドライナーを務めた。



『Smilewound』
1. Toothwheels
2. Underwater Snow
3. When Girls Collide
4. Slow Down
5. Candlestick
6. One Smile
7. Eternity Is The Wait Between Breaths
8. The Colorful Stabwound
9. Sweet Impressions
10. Time To Scream And Shout
11. Whistle (with kylie) *(★カイリー・ミノーグ参加)
12. Cranes Like Ship*
*ボーナストラック

日本オフィシャルサイト>>
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17:00

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