MTV BLOG

リトル・ブーツが帰ってきた!4年ぶりのニュー・アルバムを語る

2013-05-30
デビュー前から「BBC Sound of 2009」で第1位に選出され、2009年にアルバム『Hands』でデビューするやいなや、瞬く間にスターダムに駆け上がったリトル・ブーツこと、ヴィクトリア・ヘスケス。その妖精のようなルックスでここ日本でも注目を集めた彼女が、実に4年ぶりとなるニュー・アルバム『Nocturnes』をリリースした。MTV Newsでは、先日プロモーション来日したヴィクトリアをインタビュー。今回初めて自身のレーベルから発表するアルバムに込めた想いを聞いた。



—久しぶりの来日ですね。

実は昨年もDJしに来日していたのよ。でも短い滞在だったの。今回はニュー・アルバムを引っさげて来日できてうれしいわ。前作からしばらく経つし、以前から日本には良い絆を感じていたの。

—あなたがアルバムを発表するというニュースに、日本のファンも喜んでいるようです。

それはうれしいわね!時間が経ってしまったから、忘れられてしまったのではないかと心配していたの。日本のキッズは最新の流行に敏感でしょう?私なんか忘れて、新しいJ-POPバンドに夢中になっているのかも、って心配したわ(笑)でも来日してからツイッターでつぶやいていたら、日本語でたくさんのリアクションがあったの。うれしかったわ。

—ファースト・アルバムから4年が経ちましたが、その間はどのように過ごされていたのですか?

興味深い日々だったわ。目まぐるしいほどに忙しかった、ファースト・アルバムをリリースした頃とは違った意味でね。ここ数年もツアーは続けていたし、DJとしても活動していたの。それに曲作りをして、ニュー・アルバムをレコーディングしていた。だから私にとっては忙しい日々だったけど、世間の人からしたらおとなしいと思われていたのかもね。アルバムは思ったよりも時間がかかってしまったの。新たな方向性に関してレーベルと意見が合わなかったりして、もどかしかったこともあるし、辛い時もあったわ。でも、前作よりも良い作品を作ることができたし、とても私的で素直なアルバムなのよ。

—時間を費やした価値があったわけですね。

ええ、そう思うわ。半分の時間で完成できたら良かったと思うけど、でも同じような作品にはならなかったと思う。それに最近の音楽はものすごい速さで作られているものも多くて、聴いていて十分な時間をかけなかったんじゃないかなと感じるの。ベッドルームでパソコンを使って、パパッと作ったんじゃないかなって。だから、きちんと音楽を作ることが重要だったわ。私たちは本当に素晴らしいスタジオで、全ての音や曲に時間をたっぷりとかけてレコーディングしたの。それが聴く人にも伝わると思うわ。

—あなたは幼い頃はクラシック音楽を学び、その後、ロック・バンドにいたこともあるそうですね。

クラシック・ピアノは5歳から習っていたわ。ロック・バンドにもいたし、ジャズ・バンドにもいたし…とにかく音楽が大好きだったの。10代の頃は、自分にとって何がいいのか見つけるのに時間がかかったわ。特にエレクトロニック・ミュージックに関しては、何も知らなかったしね。16歳で初めてシンセサイザーを買った時は、電源の入れ方も分からなかったのよ(笑)でも、全ては良い勉強だったし、さまざまな音楽を知ることも良かったと思う。私はとにかく良い曲が好き。良い曲はどんなジャンルでも通用すると思うの。

—デビュー前から「BBCサウンド・オブ・2009」に選ばれるなど、“話題の新人”でしたね。デビュー・アルバム『Hands』をリリースした頃のことを、どのように覚えていますか?

すごいプレッシャーだったわ。たくさんの人から期待を寄せられていて、それに答えなければならなかったの。自分が望むように作品を仕上げるための十分な時間もなかった。あのアルバムを誇りに思っているし、良い作品だと思うけど、アーティストがさまざまな方向に引っ張られているのが聴き取れると思うの。だからこそ、今作はまとまりのある作品にしたかったし、明確なビジョンや方向性を決めて、同じスタジオでレコーディングしたのよ。

—ちょうどデビュー当時は、レディー・ガガやラ・ルーなど、たくさんの女性アーティストが出てきた頃ですよね。

ええ、みんなは私にレディー・ガガになってほしかったんじゃないかな(笑)当時の私は否定的で、女の子でエレクトロニック・ミュージックをやっているからってひとくくりにしてほしくなかった。私たちはみんなユニークなんだから、って。でも振り返ると、あれはポップ・シーンにおけるエキサイティングな時期だったのかもね。少なくとも今のUKは、とても保守的でつまらないもの。早くもっと面白いシーンに戻るといいんだけど。

—そんなデビュー・アルバムでの経験を経て、ニュー・アルバムを作るにあたって最も大切にしたことは何でしたか?

ファースト・アルバムからはかなり時間が経っているし、私も成長したと思う。以前よりもずっと自分に自信があるし、さまざまな決断をする上で、自信を持つことは大切なの。間違った判断をしたら、自分を責めるしかないから。自分で全てをコントロールして、本当に作りたいアルバムを作ることができるのは素晴らしいことだし、今回は全く妥協しなかったわ。これだけ時間が経っているだけに、ファンが4年待つ価値のある良い作品を期待していることは分かっていたしね(笑)それは新しい形のプレッシャーだった。だからこそ、名作と思われるような作品を作りたかったの。

—今作ではDFAレコードの創設者、ティム・ゴールズワーシーをプロデューサーに迎えたそうですね。

そうなの!彼はたくさんの名作をプロデュースしてきた人だし、DFAも大好きだったから、一緒に仕事ができて最高だった。

—どのようなきっかけで彼がプロデュースすることになったのですか?

私はヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアのアンディ・バトラーと一緒に曲を作ったことがあって、ティムはアンディの最初のアルバムをプロデュースしたの。アンディの最初のアルバムが大好きだったし、ぜひ一緒にやりたいと思った。マネージャーがティムのことを知っていたから会うことになったんだけど、緊張したわ。私のことなんて相手にしてくれないんじゃないか、ただのおバカなポップ・シンガーだと思われているんじゃないか、ってね。でもラッキーなことに、彼は私がミュージシャンであり、ソングライターで、ちゃんとしたアイデアを持っているということを理解してくれた。私をはねつけずに、とても興奮してくれたのよ。これまでにクレイジーなオルタナティブのダンス・レコードもたくさん手掛けてきた人から、彼にとってもエキサイティングな機会となったみたい。お互いが新たな領域に押し出されて、その中間地点で会ったという感じよ。

—ティムとの仕事はいかがでしたか?実際に会ってみてどのような人でしたか?

興味深い人よ(笑)たくさんのアイデアを持っていて、UKのブリストルでマッシヴ・アタックと素晴らしいスタジオをシェアしているの。彼はクレイジーな昔ながらのアナログの機材やシンセサイザーをたくさん持っていて、そこら中にワイヤーが張り巡らされていて、まるで音楽のマッド・サイエンティストっていう感じ。常にそこら中からクレイジーなサウンドが飛び出してきたわ。既に曲は全て書き終えていたから、スタジオ入りしてサウンドやレコーディングだけに集中できたのも良かった。

—すごく楽しそうですね。

ものすごく楽しかったわ。私たちは1ヶ所で6週間かけて、他の人は立ち入り禁止にしてレコーディングしたの。集中するためにね。私にとっては初めてのことだったから、とても良い経験になったわ。ティムがいなければ、こんなに良いアルバムはできなかったと思う。

—『Nocturnes』というタイトルからは夜のイメージが浮かびますが、今作のテーマやコンセプトはありますか?

「Shake」を書いた時に、他のダンス・レコードとは違ったダンス・レコードを作ってみようって思った。ダンス・ミュージックは夜の音楽だと思うし、できあがった曲を聴いたら、どの曲も夜のいろんな瞬間を歌っているなって感じたの。出かけている時だったり、遊びに行く準備をしている時だったり、眠りに落ちている時だったり、踊り狂っている時だったり。とても夜っぽい作品だと感じた。私はここのところDJをたくさんやってきて、夜型人間になっていたしね(笑)それに“ノクターン”はクラシック・ピアノの曲でしょ?子どもの頃ピアノをやっていた私にとっては、ぴったりなタイトルになったわ。

—オープニング・トラックの「Motorway」はまさに夜のイメージですね。街に向かって車を走らせているような。

ええ、その通りよ。10代の頃、イングランド北部のブラックプールっていう小さな街に住んでいたの。
すごく奇妙な雰囲気の街で、イングランドのラスベガスって言われているのよ(笑)私はいつもそこを出て、ロンドンに行きたいと思っていた。ライブを観に行ったり、遊びに行ったり、いつも街へ向かって運転していたの。イギリスの空っぽの道路をね。だから、あの曲は逃避をイメージしているのよ。ロマンティックな逃避ね。

—2曲目の「Confusion」は、レディー・ガガの「Born This Way」を書いたライターと共作したそうですね。

ヤッパ・ローアセンはジュニアシニアのメンバーで、クラシックスの曲も手掛けたことがあって、とにかくクールな人。レディー・ガガのヒット曲を手掛けたといっても、よくいるようなLAの業界人っていう感じではないのよ。音楽に精通しているし、ロックにも詳しいわ。

—アルバムの中で、あなたにとって特別な1曲はありますか?

「Broken Record」は「Stuck on Repeat」(ファースト・アルバム収録曲)の続編というイメージだから、ファースト・シングルにして良かったと思っているわ。ダークでディスコっぽい感じが気に入っているの。次のシングルは多分「Crescendo」になると思うわ。

—夏にピッタリの曲ですよね。

うん、その通りよ。フェスティバルとかで披露するのにいいんじゃないかなって思っているの。私は「Strangers」も大好き。サウンドを作るのにたくさんの時間を費やした曲だし、アバっぽいところもあるよね(笑)

—ライブで新曲を聴くのも楽しみです。以前はステージでテノリオンを使用していましたね。

実は今、都内の大学の学生と一緒に新しい楽器を作っているところなの。ポコポコっていうんだけど、テノリオンと似たようなプログラミングで、でももっと3Dなの。いろんな色のライトがついて、動きもあって、サウンドとシンクロするのよ。プログラミングすると、全ての曲で違った色のライトがつくの。視覚的にとてもかっこいいのよ。

—どのように日本の大学の学生を見つけたのですか?

誰かがネットで見つけて情報を送ってくれたの。テノリオンを使っていたから、そういうものに興味があると思われているみたいでね。それで彼らに連絡を取って、メールでやりとりしながら作っていったの。まだ未完成なんだけど、完成させるにはもっと費用が必要なのよね。もし都内でライブをすることがあれば、もしかしたら一緒にコラボレーションできるかもしれないわ。いまだかつてない音と視覚の融合を観てもらえると思う。誰か実現することに興味を持ってくれる人がいればね(笑)

—話は変わりますが、先日「ローリング・ストーン」誌で、ダフト・パンクが「現在のエレクトロニック・ミュージックは安全地帯にあって、1インチも動かない」と語っているのを読みました。「曲を聴いても“誰の曲だ?”という感じで、特徴がない」ので、「アイデンティティ・クライシス」だと。最近のダンス・シーンについて、あなたはどう思いますか?

完全に同意だわ。クレイジーよね。個性が全くないんだもの。ダンス・ミュージックにだって、個性はありえるのよ。ダフト・パンクはニュー・アルバムでたくさんのアーティストとコラボレートしたって聞いたわ。特定のサウンドを得るために、世界中のスタジオを回ったそうよ。奇妙な音を得るためだけに、3本もマイクを用意したりね。彼らは曲を作る上でデジタルで済ますことはせず、時間をかけているの。サウンドを作ることで個性が生まれるんだと思うわ。ユニークさを生み出すことで、差別化できるの。デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスの素晴らしい曲が1曲ずつあったとしても、そこには10〜20曲の悪質なコピーが存在するのよ。そのせいでダンス・ミュージックの評価が落ちるんだと思う。

—最近はラップトップで作られる音楽が多いので、あなたの今回のアルバムは新鮮ですね。

誰もが同じソフトを使って音楽を作っているから、エレクトロニック・ミュージックがどれも似たように聴こえてしまうんだと思うの。私たちは全ての曲を古いアナログのシンセサイザーを使ってレコーディングして、ユニークなサウンドを生み出したわ。デジタルのシンセサイザーでは無理なのよね。みんなが新鮮に感じてくれたらうれしいな。

—日本ではファッション・アイコンとしても人気ですが、今回の来日中にチェックしたいものはありますか?

ちょっとだけ買い物したけれど、時間があまりないの。朝早起きして原宿に行こうかと思っているわ。裏道に入るとお店がたくさんあったりして、楽しいわよね。全てが自分のサイズだということも気に入っているわ。靴もぴったりよ!でも買い物する時間がなくて良かったかも。きっと何千倍も買い物してしまったと思うわ。いつも日本に来ると、原宿ガールみたいな格好で帰国するのよ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ドウモアリガトゴザイマス。日本にいると、みんなから理解されるように感じるし、強い絆を感じているわ。だからみんなの応援にはとても感謝しているの。何度でも来日したいわ!

Interview + Text: Nao Machida

リトル・ブーツ
英ランカシャー出身の女性エレクトロポップ・シンガーソングライター。デビュー前から「BBC SOUND of 2009」で第1位に選出され、YouTubeで公開した名立たるアーティストのカバーが話題となる中、09年にアルバム・デビュー。全英5位(ゴールドディスク獲得)、オーストラリア4位など、世界中で大ヒットし瞬く間にスターダムに駆け上がる。サマソニ'09、単独公演で来日している。



『Nocturnes』
Motorway
Confusion
Broken Record
Shake
Beat Beat
Every Night I Say A Prayer
Crescendo
Strangers
All For You
Satellite

オフィシャルサイト>>

12:00

ヴァンパイア・ウィークエンド、新作『Modern Vampires Of The City』を語る

2013-05-15
ヴァンパイア・ウィークエンドが、約3年ぶりとなる待望のニュー・アルバム『Modern Vampires Of The City』をついにリリースした。全米1位、全英3位を獲得し、2作連続で全世界累計100万枚以上のセールスを記録した前作『Contra』に続く通算3作目の今作で、彼らは初めて外部プロデューサーを迎え、ニューヨークを飛び出して西海岸でレコーディングを行った。MTV Newsでは、2月に開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」で来日したバンドから、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)とクリス・バイオ(B)にインタビュー。よりオーガニックでシンプルなサウンドが印象的な新作について、2月の時点で語れることを語ってもらった。夏にはアルバムを引っさげて、「FUJI ROCK FESTIVAL '13」で再び来日する予定だ。



—今回は2010年の単独公演以来の来日ですね。日本のファンは今回のライブも楽しみにしていると思います。

ロスタム: また来日できてうれしいよ。

クリス: ニュー・アルバムも既に完成しているから、良い気分だね。

ロスタム: 今回のステージ(註:2月に開催されたHostess Club Weekender)では、新曲を1曲か2曲披露する予定なんだ。でも、みんなにはライブよりも先にレコードを聴いてもらいたいんだよね。それは重要なことなんだよ。特別なサプライズやワクワク感を保ちたいから。

—新作から4曲のサンプラーを聴かせていただきました。前作『Contra』から3年が経っていますが、ニュー・アルバムを制作するまでは、どのように過ごしていたのですか?

ロスタム: アルバム以外に、いくつか他のプロジェクトも手掛けていたんだ。でもここ1年はアルバムに集中していたよ。

クリス: 2011年2月に南アメリカに行って、『Contra』を引っさげたツアーが終わった。長いツアーだったよ。ツアー後はファースト・アルバムの時よりも息抜きすることができて、それは良かったと思う。ファースト・アルバムのツアーの後は、すぐにセカンド・アルバムの制作を始めたからね。今回はもっと休む時間を取った方がいいと思ったんだ。

ロスタム: ツアーが終わって少し息抜きしたけど、新作のソングライティングは『Contra』が完成するよりも前から始めていた。僕らはいつもいろんなアイデアを考えていて、それらを集めて、さらにそこから派生するアイデアを考えて…そういった作業は常に行っているんだ。アルバムはゴールではあったけれど、特に締切りがあったわけではない。“いつぐらいまでに作りたい”という、ざっくりとした考えはあったけど、最終的にはそれよりも時間をかけることになったんだ。でもそれが重要だった。今作では、最終的に収録されなかった曲もたくさん書いたよ。大体50曲くらいから始めたんだ。

—すごいですね。毎回アルバムを作る時はそんなにたくさん書くんですか?

ロスタム: 今作はこれまでよりも多かったね。過去の作品では、途中まで書いてしっくりこないから止めた曲はあったけど、数曲だけだった。今回は自分たちにより厳しく進めたんだ。十分に良い曲だと感じられなければボツにしたし、良い曲だけど、自分たちが決めたサウンドやテーマに合わないという理由でボツにしたものもある。自分たちの作り上げていた世界観に合うかどうか、厳しく判断することにしたんだ。

—コンセプトやテーマは先に決めてあったのですか?

ロスタム: 最初はある程度幅を持たせて、制作が進むにつれて焦点を定めていった。アルバム全体を聴いてもらうと、各曲にコネクションを感じられると思うよ。

—今作を制作するにあたって、マサチューセッツ州のマーサズ・ビニヤード島へ曲作りの旅に行ったそうですね。

ロスタム: 僕らはいろんな形で集まっていたし、バンドとしても曲を書いていたし、さまざまなインスピレーションからアイデアを得ていた。そして昨年4月、僕とエズラ(・クーニグ、Vo/G)は楽器やレコーディング機材をヴァンに積み込み、マーサズ・ビニヤード島まで行ってみたんだ。

—ニューヨークから飛び出して、曲作りに集中しようと?

ロスタム: うん、まさに。オフシーズンで使われていなかった友だちの別荘を借りて、その場しのぎのスタジオを構え、新しいアイデアを作ることに集中した。僕らのメソッドとしては、まずエズラが散歩に出てリリックを書き、僕が家で音楽を作り始める。作った音楽をエズラに聴かせて、彼がそのサウンドに合わせて歌うんだ。ほとんどの場合、エズラは1度音楽を聴いただけで、それに合わせて歌っていたよ。ほぼ全ての場合、最初のテイクで生まれたメロディーが最終的に使用されているんだ。一部のリリックもね。向こうで6曲を作り始めたんだけど、その内の3曲はアルバムに収録されているよ。

クリス: 「Don't Lie」と「Hudson」と「Everlasting Arms」だよね?

ロスタム: そう、その3つ。それに、クリス・トムソン(Dr)とエズラが手掛けた別の曲の要素も取り入れたりした。だから、複数の曲を1つにしたという感じだよ。でも最終的には、ちゃんと1つの曲として聴こえるんだ。

—マーサズ・ビニヤード島にはどのくらい滞在したのですか?

ロスタム: 4、5日だよ。その間に6曲を作り始めたんだ。

—ニューヨークとは違う島の環境は、今作のオーガニックなサウンドに影響していると思いますか?

ロスタム: ある意味、答えはイエスだ。でも僕らは、そもそもオーガニックなサウンドを今作の主軸にしようと思っていたんだよね。後から手を加えたパートがあったとしても、その源となる音は生でオーガニックなものにしたかった。テーマやコンセプト、アルバムのタイトルやアートワークが、まるで家が建つように少しずつ決まっていったんだ。

—先日はインターネットで偽物のアートワークが出回っていましたね。あっという間に広まって、本物だと思った人も多かったようです。

クリス: ニューヨークの大学院に通う学生が、いたずらで作ったらしいよ。偽物のアートワークは、アルバムが完成したことを僕らが発表する前に作られたらしいんだ。僕らがそれまでに発表したいくつかの曲のタイトルに、でっちあげたタイトルを追加してね(笑)

ロスタム: あのアートワークは好きになれなかったな。アートワークとしてもあまり良くないし、本物を見たら、あのジャケットがどれだけ奇妙なものか分かると思うよ。でも今回のことで、インターネットでは間違った情報でも、ものすごい速さで広まるということがよく分かったよね。

—そうですね。ある意味、ヴァンパイア・ウィークエンドの新作への期待の高さも感じました。話は戻りますが、マーサズ・ビニヤード島への旅を終えてから、どのくらいの期間で全ての曲を書き上げたのですか?

ロスタム: 実は、曲作りは旅の前に終わっていたんだ。あの旅は曲作りの最後に行ったんだよ。多くの曲はさっき言ったようなやり方で、エズラと僕が作り始めたんだけど、中にはエズラがリリックとメロディを書いて、それを元に音楽を作り上げたものもある。従来の方法で、コードやメロディを作ることから始めた曲もあるしね。そこからアレンジして、ハーモニーを追加したりして、いかにして面白い世界観を作るかを考えることもあるんだ。

—エズラは『Contra』リリース時のインタビューで、西海岸のカルチャーから影響を受けたと話していましたが、今作のリリックはどのようなことからインスピレーションを得ましたか?

ロスタム: かなり幅広く、あらゆることからインスピレーションを得ているよ。でも曲の内容に関しては、実際にアルバムを聴いてもらってから話したいと思う。先入観なしに新鮮なマインドで聴いてもらった方が、曲がより意味深くなると思うんだ。

—エズラが今作について、「よりダークな内容」と語っているインタビューを読みました。

ロスタム: うん、そうだね。たとえば「Diane Young」は、リリックをよく聴いてもらうと分かると思うけど、死について歌っている。サウンド的にはアップビートなんだけどね(笑)


写真左から=クリストファー・トムソン(Dr)、クリス・バイオ(B)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、エズラ・クーニグ(Vo/G)

—レコーディングでは、今作で初めて外部のプロデューサーを迎えたそうですね。

ロスタム: 理由の1つとしては、僕らは長いこと曲作りに集中していたから、レコーディングをする段階になって、第3者の意見が欲しくなったんだ。アリエル(・レヒトシェイド)はもともと僕の友だちで、過去にも一緒に仕事をしたことがあった。既にとても仲が良かったし、アルバム完成後の今でも仲良いよ。だから、決して最初から外部プロデューサーを迎える予定ではなかったんだけど、結果的にこうなって良かったと思っている。曲作りを経て、僕らにはプロデューサーが必要だったんだろうね。

—彼はアッシャーやメジャー・レイザー、ウィー・アー・サイエンティスツなど、幅広いアーティストと仕事をした経験があるそうですね。

ロスタム: アリエルは、全てを生演奏でテープに録音するという手法でアルバムを制作したことがあるんだ。僕らが今作のサウンドに求めていたことの1つがテープだった。ほぼ全てのドラム演奏やベースの一部分は、テープに録音したんだよ。僕らはその音源をコンピューターに取り込んで、さらに手を加えたというわけ。

—実際に外部プロデューサーを迎えてのレコーディングはいかがでしたか?

クリス: とても楽しかったよ。新しい環境に入ると、おじけづいたり、ギクシャクしたりすることもある。それに僕は他のメンバーほどアリエルのことは知らなかったんだけど、今回はとても楽しかった。彼は一緒に仕事しやすい人で、最高だったよ。

ロスタム: アリエルはカリフォルニア出身で、20年ほど音楽制作をしているんだ。15歳の頃はバンドをやっていて、ヒット曲もあったんだよ。

クリス: ザ・ヒッポズ(The Hippos)っていうバンドなんだ…これ言ったら怒られるかな(笑)

ロスタム: 僕は高校の頃、彼のバンドのレコードを持っていて、いつも聴いていたんだ。14歳の頃にアルバムを持っていた人と一緒に仕事するなんて、不思議な気分だったよ。

クリス: 高校生の頃にバンドをやっていて、解散後に音楽制作を始めたんだよね。

ロスタム: 僕が初めてアリエルに会ったのは、『Contra』を完成した直後だった。共通の友だちを通じてね。その時、アリエルに『Contra』を聴いてもらって、「良くできたかどうか自信がないんだ」と言ったら、「冗談だろ、すごく良いよ」って言ってくれた(笑)それで連絡を取るようになって、どんどん仲良くなって、好きな音楽のこととか、いろいろ話すようになったんだ。

—また、今作はニューヨークではなくロサンゼルスでレコーディングしたそうですが、西海岸でのレコーディングはいかがでしたか?

ロスタム: 最高だよ。LAは大好きだし、ニューヨークを出ることができたのも良かった。さっきも言ったように、曲作りに長い時間をかけたからね。その多くは冬のニューヨークで書いたから、そこから飛び出すのは悪くなかったよ。とはいえ、アルバムには自分の家でレコーディングしたピアノのパートもあれば、マーサズ・ビニヤード島でレコーディングしたギターのパートも入っている。ある意味、レコーディング・セッションが僕らと一緒に旅をしていたようなものなんだ。ロサンゼルスでテープにレコーディングしたものもあるしね。

そういったさまざまな音を積み重ねて、レイヤーを増やしていくうちに、サウンドにより多くの色彩やテクスチャーが加えられた。より深みのある音を作ることは、僕らにとってとても重要なんだ。それはファースト・アルバムの頃から変わらないよ。クリス・トムソンの家で、「Cape Cod Kwassa Kwassa」や「Oxford Comma」の一部をレコーディングした頃からね。

—なるほど。いろいろな場所で生まれたアイデアやレコーディングした音が、1つに合わさって曲が生まれるわけですね。

ロスタム: そういうこと。僕らは2週間スタジオ入りしてアルバムを完成させるようなバンドには、絶対になれないと思うよ。そんなの無理だと思う(笑)いつか試してみるべきかもね。

—サウンド面では、今作で新たにトライしたことはありますか?

ロスタム: 「Obvious Bicycle」では、エズラが歌うコーラスのメロディがあって、そこに僕が歌う別のメロディが入ってくるんだ。ボーカルのメロディが曲の中で絡み合うのは、僕らにとって初めての試みじゃないかな。あれはいろんな要素を追加したり削ったりと、納得するまでに長い時間をかけた曲で、僕にとっては新鮮に聴こえるし…まあ、どの曲も全部そうなんだけどね(笑)

クリス: 僕にとっては、テープにドラムをレコーディングしたことが新鮮な試みだったな。それによってリズム・セクションにもっと温かみが生まれて、同時に特有の歪みも感じられる。最初の2作よりもディープなレコーディングだったと思うし、極端なサウンドを押し広げるのは良いことだと思うんだ。今作ではそれが達成できたように思うよ。

ロスタム: 僕らの音楽では、ある意味、パーソナルで親密な体験ができると思うんだ。僕らの演奏には、一生懸命保とうとしたたくさんの人間的なクオリティが詰まっていると思う。

クリス: 今作はよりディープなサウンドのアルバムになったよね。

—ファースト・アルバムでいきなり大きな注目を集めて、セカンド・アルバムではさらにメインストリームになった印象でしたが、サード・アルバムを制作するにあたって、特に何か意識したことはありましたか?

ロスタム: アルバムを制作してライブで披露できることを、僕はとてもうれしく思っているんだ。だから今作を制作する上でも、自分たちに再びチャレンジを与えることができるな、と思った。

クリス: 僕らは有名になる前から自分たちに厳しかったんだ。いろんな角度から考えることができるけど、自分が作っているものをたくさんの人が聴いてくれるということは、ポジティブなことだと思っているよ。

—アルバムを聴くのを楽しみにしています。今後の予定は?

ロスタム: アルバムをリリースしたらツアーに出るよ。日本にも夏に戻ってきたいと思っているんだ。

クリス: 日本のフェスは楽しい思い出だよ。2008年にサマソニ、2010年にフジロックに出演して、どちらも本当に素晴らしかった。だから、またフェスに出演できたらいいね(註:その後、FUJI ROCK FESTIVAL '13への出演が決定)。

—最後に恒例のメッセージをお願いします。

ロスタム: みんな大好きだよ!

クリス: 日本では必ずメッセージを聞かれるよね(笑)僕らは日本のファンが大好きだよ!

ロスタム: 僕はツナおにぎりも大好きだよ(笑)

Interview + Text: Nao Machida
Photo: Alex John Beck




ヴァンパイア・ウィークエンド:
米ニューヨークのコロンビア大学在学中に知り合ったエズラ・クーニグ(Vo/G)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、クリス・バイオ(B)そしてクリストファー・トムソン(Dr)によって、2006年春に結成。直球で、スマートで、ダンサブルでちょっとアフロっぽい実験的ポップ・サウンドが売り。楽曲のクオリティーとライブの評判の良さが話題を呼び、争奪戦の末XLレコーディングスと契約。2008年ファースト・アルバム『Vampire Weekend』で一気に全世界的なブレイクを果たし、2010年1月に待望のセカンド・アルバム『Contra』をリリースすると、全米1位、全英3位を記録。UKのインディペンデント・レーベル所属のアーティストとしては初の快挙を成し遂げ、今や現在のロック・シーンを代表するバンドとして注目を浴びている。




『Modern Vampires Of The City』
01 Obvious Bicycle
02 Unbelievers
03 Step
04 Diane Young
05 Don't Lie
06 Hannah Hunt
07 Everlasting Arms
08 Finger Back
09 Worship You
10 Ya Hey
11 Hudson
12 Young Lion
13. YA HEY ('PARANOID STYLES' MIX)※
14. UNBELIEVERS ('SEEBURG DRUM MACHINE' MIX)※
※日本盤ボーナストラック

日本オフィシャルサイト>>
『Modern Vampires Of The City』全曲試聴実施中!

12:55

BLOG SEARCH

PROFILE

  • ブログの説明
    MTV NEWSのニュースプレゼンター&スタッフが、現場から最新ニュースや取材の裏話をレポート!
  • ライタープロフィール
    最新の音楽や映画情報を毎日お届けするMTV NEWSの制作スタッフです。

ENTRIES

CATEGORIES

ARCHIVES

FEEDS