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リトル・ブーツが帰ってきた!4年ぶりのニュー・アルバムを語る

2013-05-30
デビュー前から「BBC Sound of 2009」で第1位に選出され、2009年にアルバム『Hands』でデビューするやいなや、瞬く間にスターダムに駆け上がったリトル・ブーツこと、ヴィクトリア・ヘスケス。その妖精のようなルックスでここ日本でも注目を集めた彼女が、実に4年ぶりとなるニュー・アルバム『Nocturnes』をリリースした。MTV Newsでは、先日プロモーション来日したヴィクトリアをインタビュー。今回初めて自身のレーベルから発表するアルバムに込めた想いを聞いた。



—久しぶりの来日ですね。

実は昨年もDJしに来日していたのよ。でも短い滞在だったの。今回はニュー・アルバムを引っさげて来日できてうれしいわ。前作からしばらく経つし、以前から日本には良い絆を感じていたの。

—あなたがアルバムを発表するというニュースに、日本のファンも喜んでいるようです。

それはうれしいわね!時間が経ってしまったから、忘れられてしまったのではないかと心配していたの。日本のキッズは最新の流行に敏感でしょう?私なんか忘れて、新しいJ-POPバンドに夢中になっているのかも、って心配したわ(笑)でも来日してからツイッターでつぶやいていたら、日本語でたくさんのリアクションがあったの。うれしかったわ。

—ファースト・アルバムから4年が経ちましたが、その間はどのように過ごされていたのですか?

興味深い日々だったわ。目まぐるしいほどに忙しかった、ファースト・アルバムをリリースした頃とは違った意味でね。ここ数年もツアーは続けていたし、DJとしても活動していたの。それに曲作りをして、ニュー・アルバムをレコーディングしていた。だから私にとっては忙しい日々だったけど、世間の人からしたらおとなしいと思われていたのかもね。アルバムは思ったよりも時間がかかってしまったの。新たな方向性に関してレーベルと意見が合わなかったりして、もどかしかったこともあるし、辛い時もあったわ。でも、前作よりも良い作品を作ることができたし、とても私的で素直なアルバムなのよ。

—時間を費やした価値があったわけですね。

ええ、そう思うわ。半分の時間で完成できたら良かったと思うけど、でも同じような作品にはならなかったと思う。それに最近の音楽はものすごい速さで作られているものも多くて、聴いていて十分な時間をかけなかったんじゃないかなと感じるの。ベッドルームでパソコンを使って、パパッと作ったんじゃないかなって。だから、きちんと音楽を作ることが重要だったわ。私たちは本当に素晴らしいスタジオで、全ての音や曲に時間をたっぷりとかけてレコーディングしたの。それが聴く人にも伝わると思うわ。

—あなたは幼い頃はクラシック音楽を学び、その後、ロック・バンドにいたこともあるそうですね。

クラシック・ピアノは5歳から習っていたわ。ロック・バンドにもいたし、ジャズ・バンドにもいたし…とにかく音楽が大好きだったの。10代の頃は、自分にとって何がいいのか見つけるのに時間がかかったわ。特にエレクトロニック・ミュージックに関しては、何も知らなかったしね。16歳で初めてシンセサイザーを買った時は、電源の入れ方も分からなかったのよ(笑)でも、全ては良い勉強だったし、さまざまな音楽を知ることも良かったと思う。私はとにかく良い曲が好き。良い曲はどんなジャンルでも通用すると思うの。

—デビュー前から「BBCサウンド・オブ・2009」に選ばれるなど、“話題の新人”でしたね。デビュー・アルバム『Hands』をリリースした頃のことを、どのように覚えていますか?

すごいプレッシャーだったわ。たくさんの人から期待を寄せられていて、それに答えなければならなかったの。自分が望むように作品を仕上げるための十分な時間もなかった。あのアルバムを誇りに思っているし、良い作品だと思うけど、アーティストがさまざまな方向に引っ張られているのが聴き取れると思うの。だからこそ、今作はまとまりのある作品にしたかったし、明確なビジョンや方向性を決めて、同じスタジオでレコーディングしたのよ。

—ちょうどデビュー当時は、レディー・ガガやラ・ルーなど、たくさんの女性アーティストが出てきた頃ですよね。

ええ、みんなは私にレディー・ガガになってほしかったんじゃないかな(笑)当時の私は否定的で、女の子でエレクトロニック・ミュージックをやっているからってひとくくりにしてほしくなかった。私たちはみんなユニークなんだから、って。でも振り返ると、あれはポップ・シーンにおけるエキサイティングな時期だったのかもね。少なくとも今のUKは、とても保守的でつまらないもの。早くもっと面白いシーンに戻るといいんだけど。

—そんなデビュー・アルバムでの経験を経て、ニュー・アルバムを作るにあたって最も大切にしたことは何でしたか?

ファースト・アルバムからはかなり時間が経っているし、私も成長したと思う。以前よりもずっと自分に自信があるし、さまざまな決断をする上で、自信を持つことは大切なの。間違った判断をしたら、自分を責めるしかないから。自分で全てをコントロールして、本当に作りたいアルバムを作ることができるのは素晴らしいことだし、今回は全く妥協しなかったわ。これだけ時間が経っているだけに、ファンが4年待つ価値のある良い作品を期待していることは分かっていたしね(笑)それは新しい形のプレッシャーだった。だからこそ、名作と思われるような作品を作りたかったの。

—今作ではDFAレコードの創設者、ティム・ゴールズワーシーをプロデューサーに迎えたそうですね。

そうなの!彼はたくさんの名作をプロデュースしてきた人だし、DFAも大好きだったから、一緒に仕事ができて最高だった。

—どのようなきっかけで彼がプロデュースすることになったのですか?

私はヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアのアンディ・バトラーと一緒に曲を作ったことがあって、ティムはアンディの最初のアルバムをプロデュースしたの。アンディの最初のアルバムが大好きだったし、ぜひ一緒にやりたいと思った。マネージャーがティムのことを知っていたから会うことになったんだけど、緊張したわ。私のことなんて相手にしてくれないんじゃないか、ただのおバカなポップ・シンガーだと思われているんじゃないか、ってね。でもラッキーなことに、彼は私がミュージシャンであり、ソングライターで、ちゃんとしたアイデアを持っているということを理解してくれた。私をはねつけずに、とても興奮してくれたのよ。これまでにクレイジーなオルタナティブのダンス・レコードもたくさん手掛けてきた人から、彼にとってもエキサイティングな機会となったみたい。お互いが新たな領域に押し出されて、その中間地点で会ったという感じよ。

—ティムとの仕事はいかがでしたか?実際に会ってみてどのような人でしたか?

興味深い人よ(笑)たくさんのアイデアを持っていて、UKのブリストルでマッシヴ・アタックと素晴らしいスタジオをシェアしているの。彼はクレイジーな昔ながらのアナログの機材やシンセサイザーをたくさん持っていて、そこら中にワイヤーが張り巡らされていて、まるで音楽のマッド・サイエンティストっていう感じ。常にそこら中からクレイジーなサウンドが飛び出してきたわ。既に曲は全て書き終えていたから、スタジオ入りしてサウンドやレコーディングだけに集中できたのも良かった。

—すごく楽しそうですね。

ものすごく楽しかったわ。私たちは1ヶ所で6週間かけて、他の人は立ち入り禁止にしてレコーディングしたの。集中するためにね。私にとっては初めてのことだったから、とても良い経験になったわ。ティムがいなければ、こんなに良いアルバムはできなかったと思う。

—『Nocturnes』というタイトルからは夜のイメージが浮かびますが、今作のテーマやコンセプトはありますか?

「Shake」を書いた時に、他のダンス・レコードとは違ったダンス・レコードを作ってみようって思った。ダンス・ミュージックは夜の音楽だと思うし、できあがった曲を聴いたら、どの曲も夜のいろんな瞬間を歌っているなって感じたの。出かけている時だったり、遊びに行く準備をしている時だったり、眠りに落ちている時だったり、踊り狂っている時だったり。とても夜っぽい作品だと感じた。私はここのところDJをたくさんやってきて、夜型人間になっていたしね(笑)それに“ノクターン”はクラシック・ピアノの曲でしょ?子どもの頃ピアノをやっていた私にとっては、ぴったりなタイトルになったわ。

—オープニング・トラックの「Motorway」はまさに夜のイメージですね。街に向かって車を走らせているような。

ええ、その通りよ。10代の頃、イングランド北部のブラックプールっていう小さな街に住んでいたの。
すごく奇妙な雰囲気の街で、イングランドのラスベガスって言われているのよ(笑)私はいつもそこを出て、ロンドンに行きたいと思っていた。ライブを観に行ったり、遊びに行ったり、いつも街へ向かって運転していたの。イギリスの空っぽの道路をね。だから、あの曲は逃避をイメージしているのよ。ロマンティックな逃避ね。

—2曲目の「Confusion」は、レディー・ガガの「Born This Way」を書いたライターと共作したそうですね。

ヤッパ・ローアセンはジュニアシニアのメンバーで、クラシックスの曲も手掛けたことがあって、とにかくクールな人。レディー・ガガのヒット曲を手掛けたといっても、よくいるようなLAの業界人っていう感じではないのよ。音楽に精通しているし、ロックにも詳しいわ。

—アルバムの中で、あなたにとって特別な1曲はありますか?

「Broken Record」は「Stuck on Repeat」(ファースト・アルバム収録曲)の続編というイメージだから、ファースト・シングルにして良かったと思っているわ。ダークでディスコっぽい感じが気に入っているの。次のシングルは多分「Crescendo」になると思うわ。

—夏にピッタリの曲ですよね。

うん、その通りよ。フェスティバルとかで披露するのにいいんじゃないかなって思っているの。私は「Strangers」も大好き。サウンドを作るのにたくさんの時間を費やした曲だし、アバっぽいところもあるよね(笑)

—ライブで新曲を聴くのも楽しみです。以前はステージでテノリオンを使用していましたね。

実は今、都内の大学の学生と一緒に新しい楽器を作っているところなの。ポコポコっていうんだけど、テノリオンと似たようなプログラミングで、でももっと3Dなの。いろんな色のライトがついて、動きもあって、サウンドとシンクロするのよ。プログラミングすると、全ての曲で違った色のライトがつくの。視覚的にとてもかっこいいのよ。

—どのように日本の大学の学生を見つけたのですか?

誰かがネットで見つけて情報を送ってくれたの。テノリオンを使っていたから、そういうものに興味があると思われているみたいでね。それで彼らに連絡を取って、メールでやりとりしながら作っていったの。まだ未完成なんだけど、完成させるにはもっと費用が必要なのよね。もし都内でライブをすることがあれば、もしかしたら一緒にコラボレーションできるかもしれないわ。いまだかつてない音と視覚の融合を観てもらえると思う。誰か実現することに興味を持ってくれる人がいればね(笑)

—話は変わりますが、先日「ローリング・ストーン」誌で、ダフト・パンクが「現在のエレクトロニック・ミュージックは安全地帯にあって、1インチも動かない」と語っているのを読みました。「曲を聴いても“誰の曲だ?”という感じで、特徴がない」ので、「アイデンティティ・クライシス」だと。最近のダンス・シーンについて、あなたはどう思いますか?

完全に同意だわ。クレイジーよね。個性が全くないんだもの。ダンス・ミュージックにだって、個性はありえるのよ。ダフト・パンクはニュー・アルバムでたくさんのアーティストとコラボレートしたって聞いたわ。特定のサウンドを得るために、世界中のスタジオを回ったそうよ。奇妙な音を得るためだけに、3本もマイクを用意したりね。彼らは曲を作る上でデジタルで済ますことはせず、時間をかけているの。サウンドを作ることで個性が生まれるんだと思うわ。ユニークさを生み出すことで、差別化できるの。デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスの素晴らしい曲が1曲ずつあったとしても、そこには10〜20曲の悪質なコピーが存在するのよ。そのせいでダンス・ミュージックの評価が落ちるんだと思う。

—最近はラップトップで作られる音楽が多いので、あなたの今回のアルバムは新鮮ですね。

誰もが同じソフトを使って音楽を作っているから、エレクトロニック・ミュージックがどれも似たように聴こえてしまうんだと思うの。私たちは全ての曲を古いアナログのシンセサイザーを使ってレコーディングして、ユニークなサウンドを生み出したわ。デジタルのシンセサイザーでは無理なのよね。みんなが新鮮に感じてくれたらうれしいな。

—日本ではファッション・アイコンとしても人気ですが、今回の来日中にチェックしたいものはありますか?

ちょっとだけ買い物したけれど、時間があまりないの。朝早起きして原宿に行こうかと思っているわ。裏道に入るとお店がたくさんあったりして、楽しいわよね。全てが自分のサイズだということも気に入っているわ。靴もぴったりよ!でも買い物する時間がなくて良かったかも。きっと何千倍も買い物してしまったと思うわ。いつも日本に来ると、原宿ガールみたいな格好で帰国するのよ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ドウモアリガトゴザイマス。日本にいると、みんなから理解されるように感じるし、強い絆を感じているわ。だからみんなの応援にはとても感謝しているの。何度でも来日したいわ!

Interview + Text: Nao Machida

リトル・ブーツ
英ランカシャー出身の女性エレクトロポップ・シンガーソングライター。デビュー前から「BBC SOUND of 2009」で第1位に選出され、YouTubeで公開した名立たるアーティストのカバーが話題となる中、09年にアルバム・デビュー。全英5位(ゴールドディスク獲得)、オーストラリア4位など、世界中で大ヒットし瞬く間にスターダムに駆け上がる。サマソニ'09、単独公演で来日している。



『Nocturnes』
Motorway
Confusion
Broken Record
Shake
Beat Beat
Every Night I Say A Prayer
Crescendo
Strangers
All For You
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