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ヴァンパイア・ウィークエンド、新作『Modern Vampires Of The City』を語る

2013-05-15
ヴァンパイア・ウィークエンドが、約3年ぶりとなる待望のニュー・アルバム『Modern Vampires Of The City』をついにリリースした。全米1位、全英3位を獲得し、2作連続で全世界累計100万枚以上のセールスを記録した前作『Contra』に続く通算3作目の今作で、彼らは初めて外部プロデューサーを迎え、ニューヨークを飛び出して西海岸でレコーディングを行った。MTV Newsでは、2月に開催されたライブ・イベント「Hostess Club Weekender」で来日したバンドから、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)とクリス・バイオ(B)にインタビュー。よりオーガニックでシンプルなサウンドが印象的な新作について、2月の時点で語れることを語ってもらった。夏にはアルバムを引っさげて、「FUJI ROCK FESTIVAL '13」で再び来日する予定だ。



—今回は2010年の単独公演以来の来日ですね。日本のファンは今回のライブも楽しみにしていると思います。

ロスタム: また来日できてうれしいよ。

クリス: ニュー・アルバムも既に完成しているから、良い気分だね。

ロスタム: 今回のステージ(註:2月に開催されたHostess Club Weekender)では、新曲を1曲か2曲披露する予定なんだ。でも、みんなにはライブよりも先にレコードを聴いてもらいたいんだよね。それは重要なことなんだよ。特別なサプライズやワクワク感を保ちたいから。

—新作から4曲のサンプラーを聴かせていただきました。前作『Contra』から3年が経っていますが、ニュー・アルバムを制作するまでは、どのように過ごしていたのですか?

ロスタム: アルバム以外に、いくつか他のプロジェクトも手掛けていたんだ。でもここ1年はアルバムに集中していたよ。

クリス: 2011年2月に南アメリカに行って、『Contra』を引っさげたツアーが終わった。長いツアーだったよ。ツアー後はファースト・アルバムの時よりも息抜きすることができて、それは良かったと思う。ファースト・アルバムのツアーの後は、すぐにセカンド・アルバムの制作を始めたからね。今回はもっと休む時間を取った方がいいと思ったんだ。

ロスタム: ツアーが終わって少し息抜きしたけど、新作のソングライティングは『Contra』が完成するよりも前から始めていた。僕らはいつもいろんなアイデアを考えていて、それらを集めて、さらにそこから派生するアイデアを考えて…そういった作業は常に行っているんだ。アルバムはゴールではあったけれど、特に締切りがあったわけではない。“いつぐらいまでに作りたい”という、ざっくりとした考えはあったけど、最終的にはそれよりも時間をかけることになったんだ。でもそれが重要だった。今作では、最終的に収録されなかった曲もたくさん書いたよ。大体50曲くらいから始めたんだ。

—すごいですね。毎回アルバムを作る時はそんなにたくさん書くんですか?

ロスタム: 今作はこれまでよりも多かったね。過去の作品では、途中まで書いてしっくりこないから止めた曲はあったけど、数曲だけだった。今回は自分たちにより厳しく進めたんだ。十分に良い曲だと感じられなければボツにしたし、良い曲だけど、自分たちが決めたサウンドやテーマに合わないという理由でボツにしたものもある。自分たちの作り上げていた世界観に合うかどうか、厳しく判断することにしたんだ。

—コンセプトやテーマは先に決めてあったのですか?

ロスタム: 最初はある程度幅を持たせて、制作が進むにつれて焦点を定めていった。アルバム全体を聴いてもらうと、各曲にコネクションを感じられると思うよ。

—今作を制作するにあたって、マサチューセッツ州のマーサズ・ビニヤード島へ曲作りの旅に行ったそうですね。

ロスタム: 僕らはいろんな形で集まっていたし、バンドとしても曲を書いていたし、さまざまなインスピレーションからアイデアを得ていた。そして昨年4月、僕とエズラ(・クーニグ、Vo/G)は楽器やレコーディング機材をヴァンに積み込み、マーサズ・ビニヤード島まで行ってみたんだ。

—ニューヨークから飛び出して、曲作りに集中しようと?

ロスタム: うん、まさに。オフシーズンで使われていなかった友だちの別荘を借りて、その場しのぎのスタジオを構え、新しいアイデアを作ることに集中した。僕らのメソッドとしては、まずエズラが散歩に出てリリックを書き、僕が家で音楽を作り始める。作った音楽をエズラに聴かせて、彼がそのサウンドに合わせて歌うんだ。ほとんどの場合、エズラは1度音楽を聴いただけで、それに合わせて歌っていたよ。ほぼ全ての場合、最初のテイクで生まれたメロディーが最終的に使用されているんだ。一部のリリックもね。向こうで6曲を作り始めたんだけど、その内の3曲はアルバムに収録されているよ。

クリス: 「Don't Lie」と「Hudson」と「Everlasting Arms」だよね?

ロスタム: そう、その3つ。それに、クリス・トムソン(Dr)とエズラが手掛けた別の曲の要素も取り入れたりした。だから、複数の曲を1つにしたという感じだよ。でも最終的には、ちゃんと1つの曲として聴こえるんだ。

—マーサズ・ビニヤード島にはどのくらい滞在したのですか?

ロスタム: 4、5日だよ。その間に6曲を作り始めたんだ。

—ニューヨークとは違う島の環境は、今作のオーガニックなサウンドに影響していると思いますか?

ロスタム: ある意味、答えはイエスだ。でも僕らは、そもそもオーガニックなサウンドを今作の主軸にしようと思っていたんだよね。後から手を加えたパートがあったとしても、その源となる音は生でオーガニックなものにしたかった。テーマやコンセプト、アルバムのタイトルやアートワークが、まるで家が建つように少しずつ決まっていったんだ。

—先日はインターネットで偽物のアートワークが出回っていましたね。あっという間に広まって、本物だと思った人も多かったようです。

クリス: ニューヨークの大学院に通う学生が、いたずらで作ったらしいよ。偽物のアートワークは、アルバムが完成したことを僕らが発表する前に作られたらしいんだ。僕らがそれまでに発表したいくつかの曲のタイトルに、でっちあげたタイトルを追加してね(笑)

ロスタム: あのアートワークは好きになれなかったな。アートワークとしてもあまり良くないし、本物を見たら、あのジャケットがどれだけ奇妙なものか分かると思うよ。でも今回のことで、インターネットでは間違った情報でも、ものすごい速さで広まるということがよく分かったよね。

—そうですね。ある意味、ヴァンパイア・ウィークエンドの新作への期待の高さも感じました。話は戻りますが、マーサズ・ビニヤード島への旅を終えてから、どのくらいの期間で全ての曲を書き上げたのですか?

ロスタム: 実は、曲作りは旅の前に終わっていたんだ。あの旅は曲作りの最後に行ったんだよ。多くの曲はさっき言ったようなやり方で、エズラと僕が作り始めたんだけど、中にはエズラがリリックとメロディを書いて、それを元に音楽を作り上げたものもある。従来の方法で、コードやメロディを作ることから始めた曲もあるしね。そこからアレンジして、ハーモニーを追加したりして、いかにして面白い世界観を作るかを考えることもあるんだ。

—エズラは『Contra』リリース時のインタビューで、西海岸のカルチャーから影響を受けたと話していましたが、今作のリリックはどのようなことからインスピレーションを得ましたか?

ロスタム: かなり幅広く、あらゆることからインスピレーションを得ているよ。でも曲の内容に関しては、実際にアルバムを聴いてもらってから話したいと思う。先入観なしに新鮮なマインドで聴いてもらった方が、曲がより意味深くなると思うんだ。

—エズラが今作について、「よりダークな内容」と語っているインタビューを読みました。

ロスタム: うん、そうだね。たとえば「Diane Young」は、リリックをよく聴いてもらうと分かると思うけど、死について歌っている。サウンド的にはアップビートなんだけどね(笑)


写真左から=クリストファー・トムソン(Dr)、クリス・バイオ(B)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、エズラ・クーニグ(Vo/G)

—レコーディングでは、今作で初めて外部のプロデューサーを迎えたそうですね。

ロスタム: 理由の1つとしては、僕らは長いこと曲作りに集中していたから、レコーディングをする段階になって、第3者の意見が欲しくなったんだ。アリエル(・レヒトシェイド)はもともと僕の友だちで、過去にも一緒に仕事をしたことがあった。既にとても仲が良かったし、アルバム完成後の今でも仲良いよ。だから、決して最初から外部プロデューサーを迎える予定ではなかったんだけど、結果的にこうなって良かったと思っている。曲作りを経て、僕らにはプロデューサーが必要だったんだろうね。

—彼はアッシャーやメジャー・レイザー、ウィー・アー・サイエンティスツなど、幅広いアーティストと仕事をした経験があるそうですね。

ロスタム: アリエルは、全てを生演奏でテープに録音するという手法でアルバムを制作したことがあるんだ。僕らが今作のサウンドに求めていたことの1つがテープだった。ほぼ全てのドラム演奏やベースの一部分は、テープに録音したんだよ。僕らはその音源をコンピューターに取り込んで、さらに手を加えたというわけ。

—実際に外部プロデューサーを迎えてのレコーディングはいかがでしたか?

クリス: とても楽しかったよ。新しい環境に入ると、おじけづいたり、ギクシャクしたりすることもある。それに僕は他のメンバーほどアリエルのことは知らなかったんだけど、今回はとても楽しかった。彼は一緒に仕事しやすい人で、最高だったよ。

ロスタム: アリエルはカリフォルニア出身で、20年ほど音楽制作をしているんだ。15歳の頃はバンドをやっていて、ヒット曲もあったんだよ。

クリス: ザ・ヒッポズ(The Hippos)っていうバンドなんだ…これ言ったら怒られるかな(笑)

ロスタム: 僕は高校の頃、彼のバンドのレコードを持っていて、いつも聴いていたんだ。14歳の頃にアルバムを持っていた人と一緒に仕事するなんて、不思議な気分だったよ。

クリス: 高校生の頃にバンドをやっていて、解散後に音楽制作を始めたんだよね。

ロスタム: 僕が初めてアリエルに会ったのは、『Contra』を完成した直後だった。共通の友だちを通じてね。その時、アリエルに『Contra』を聴いてもらって、「良くできたかどうか自信がないんだ」と言ったら、「冗談だろ、すごく良いよ」って言ってくれた(笑)それで連絡を取るようになって、どんどん仲良くなって、好きな音楽のこととか、いろいろ話すようになったんだ。

—また、今作はニューヨークではなくロサンゼルスでレコーディングしたそうですが、西海岸でのレコーディングはいかがでしたか?

ロスタム: 最高だよ。LAは大好きだし、ニューヨークを出ることができたのも良かった。さっきも言ったように、曲作りに長い時間をかけたからね。その多くは冬のニューヨークで書いたから、そこから飛び出すのは悪くなかったよ。とはいえ、アルバムには自分の家でレコーディングしたピアノのパートもあれば、マーサズ・ビニヤード島でレコーディングしたギターのパートも入っている。ある意味、レコーディング・セッションが僕らと一緒に旅をしていたようなものなんだ。ロサンゼルスでテープにレコーディングしたものもあるしね。

そういったさまざまな音を積み重ねて、レイヤーを増やしていくうちに、サウンドにより多くの色彩やテクスチャーが加えられた。より深みのある音を作ることは、僕らにとってとても重要なんだ。それはファースト・アルバムの頃から変わらないよ。クリス・トムソンの家で、「Cape Cod Kwassa Kwassa」や「Oxford Comma」の一部をレコーディングした頃からね。

—なるほど。いろいろな場所で生まれたアイデアやレコーディングした音が、1つに合わさって曲が生まれるわけですね。

ロスタム: そういうこと。僕らは2週間スタジオ入りしてアルバムを完成させるようなバンドには、絶対になれないと思うよ。そんなの無理だと思う(笑)いつか試してみるべきかもね。

—サウンド面では、今作で新たにトライしたことはありますか?

ロスタム: 「Obvious Bicycle」では、エズラが歌うコーラスのメロディがあって、そこに僕が歌う別のメロディが入ってくるんだ。ボーカルのメロディが曲の中で絡み合うのは、僕らにとって初めての試みじゃないかな。あれはいろんな要素を追加したり削ったりと、納得するまでに長い時間をかけた曲で、僕にとっては新鮮に聴こえるし…まあ、どの曲も全部そうなんだけどね(笑)

クリス: 僕にとっては、テープにドラムをレコーディングしたことが新鮮な試みだったな。それによってリズム・セクションにもっと温かみが生まれて、同時に特有の歪みも感じられる。最初の2作よりもディープなレコーディングだったと思うし、極端なサウンドを押し広げるのは良いことだと思うんだ。今作ではそれが達成できたように思うよ。

ロスタム: 僕らの音楽では、ある意味、パーソナルで親密な体験ができると思うんだ。僕らの演奏には、一生懸命保とうとしたたくさんの人間的なクオリティが詰まっていると思う。

クリス: 今作はよりディープなサウンドのアルバムになったよね。

—ファースト・アルバムでいきなり大きな注目を集めて、セカンド・アルバムではさらにメインストリームになった印象でしたが、サード・アルバムを制作するにあたって、特に何か意識したことはありましたか?

ロスタム: アルバムを制作してライブで披露できることを、僕はとてもうれしく思っているんだ。だから今作を制作する上でも、自分たちに再びチャレンジを与えることができるな、と思った。

クリス: 僕らは有名になる前から自分たちに厳しかったんだ。いろんな角度から考えることができるけど、自分が作っているものをたくさんの人が聴いてくれるということは、ポジティブなことだと思っているよ。

—アルバムを聴くのを楽しみにしています。今後の予定は?

ロスタム: アルバムをリリースしたらツアーに出るよ。日本にも夏に戻ってきたいと思っているんだ。

クリス: 日本のフェスは楽しい思い出だよ。2008年にサマソニ、2010年にフジロックに出演して、どちらも本当に素晴らしかった。だから、またフェスに出演できたらいいね(註:その後、FUJI ROCK FESTIVAL '13への出演が決定)。

—最後に恒例のメッセージをお願いします。

ロスタム: みんな大好きだよ!

クリス: 日本では必ずメッセージを聞かれるよね(笑)僕らは日本のファンが大好きだよ!

ロスタム: 僕はツナおにぎりも大好きだよ(笑)

Interview + Text: Nao Machida
Photo: Alex John Beck




ヴァンパイア・ウィークエンド:
米ニューヨークのコロンビア大学在学中に知り合ったエズラ・クーニグ(Vo/G)、ロスタム・バトマングリ(Kb/Vo)、クリス・バイオ(B)そしてクリストファー・トムソン(Dr)によって、2006年春に結成。直球で、スマートで、ダンサブルでちょっとアフロっぽい実験的ポップ・サウンドが売り。楽曲のクオリティーとライブの評判の良さが話題を呼び、争奪戦の末XLレコーディングスと契約。2008年ファースト・アルバム『Vampire Weekend』で一気に全世界的なブレイクを果たし、2010年1月に待望のセカンド・アルバム『Contra』をリリースすると、全米1位、全英3位を記録。UKのインディペンデント・レーベル所属のアーティストとしては初の快挙を成し遂げ、今や現在のロック・シーンを代表するバンドとして注目を浴びている。




『Modern Vampires Of The City』
01 Obvious Bicycle
02 Unbelievers
03 Step
04 Diane Young
05 Don't Lie
06 Hannah Hunt
07 Everlasting Arms
08 Finger Back
09 Worship You
10 Ya Hey
11 Hudson
12 Young Lion
13. YA HEY ('PARANOID STYLES' MIX)※
14. UNBELIEVERS ('SEEBURG DRUM MACHINE' MIX)※
※日本盤ボーナストラック

日本オフィシャルサイト>>
『Modern Vampires Of The City』全曲試聴実施中!

12:55

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