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元ザ・ミュージックのロブ・ハーヴェイが語る、新プロジェクトThe D.O.T.

2013-04-30
2000年代のUK音楽シーンを代表するザ・ミュージックのフロントマン、ロブ・ハーヴェイと、ザ・ストリーツことマイク・スキナーが、それぞれのバンド/プロジェクトを終了させて始動した新たなプロジェクト、The D.O.T.。昨年の「FUJI ROCK FESTIVAL '12」では、アルバム発売前にして7000人の音楽ファンを盛り上げた彼らが、ついに今月(4月24日)フル・デビュー・アルバム『Diary』をリリースした。MTV Newsは先日プロモーション来日したThe D.O.T.のロブ・ハーヴェイにインタビュー。ザ・ミュージック脱退の理由からThe D.O.T.の結成秘話、マイクとのコラボレーションについてなど、じっくり語ってもらった。



—お久しぶりです。今回で来日は何回目ですか?

ロブ・ハーヴェイ(以下、ロブ): 多分15回目くらいだと思うな。日本は大好きなんだ!今朝もホテルの窓から東京の街を眺めて、すごく良い気分になった。前回は2012年のフジロックだったよ。

—ザ・ミュージックでもフジロックは常連でしたよね。

ロブ: 全部で6回くらい出たんじゃないかな(笑)

—前回のフジロックからはザ・ストリーツのマイク・スキナーと新ユニット、The D.O.T.として来日したわけですが、どのような経緯でスタートしたプロジェクトなのですか?ザ・ストリーツの最後のアルバム『Computers and Blues』(2011)にゲスト参加されていましたが、そのことがきっかけになったのでしょうか?

ロブ: 僕らは10年間くらい、マネージャーが同じだったんだ。だからいろんな場所で顔を合わせていたし、お互いの作品もチェックしていた。それでマイクがザ・ストリーツの最後のアルバムに誘ってくれて、僕はチャンスに飛びついたんだ。彼の作品を長年に渡ってリスペクトしていたからね。

—その時に初めて一緒に作業したんですか?

ロブ: うん、初めて一緒にスタジオ入りした。それをきっかけに、とても自然に始まったプロジェクトなんだよ。僕らはどんどん音を作り始めて、スタジオで一緒にプレイしているうちにできた最初の曲がすごくエキサイティングだったから、そのまま続けることにした。

—その曲は昨年のプレ・デビュー・アルバム『And That』に収録されているのですか?

ロブ: 実は新作に収録されているよ。「Most of My Time」っていう曲さ。

—あの曲なんですね!既にザ・ミュージックとして成功を収めていて、マイクもザ・ストリーツとして活躍していたわけですが、なぜその全てを辞めて、新たなプロジェクトを始めようと思ったのですか?ザ・ミュージックは日本でも大人気だったので、解散には多くのファンが驚いていました。

ロブ: 僕らはパーソナルな決断をしなければならなかった。正直に言うと、ザ・ミュージックで長く活動してきて、その時点で僕らはあまりハッピーではなかったんだ。バンドを始めた時はとても親しくて、いつも一緒に遊んでいた。でも成功と共に、それぞれがバラバラになっていったんだ。家を買ったり、彼女ができた者もいれば、別の友人グループと遊ぶようになったりもして。人生が変わるにつれて、責任も増えてきて…人はそうやって変わっていくものだよね。僕らも成長するにつれて、少しずつ離れていったんだと思う。だからバンドは辞めたんだよ。

よりポジティブな視点で考えると、僕にはチャレンジが必要だった。あの頃の僕は、自分が音楽活動を続けたいかどうかも分からなかったからね。でもマイクと音楽を作ることで、僕に自由が与えられたんだ。プレッシャーなしに音楽活動に戻ることができたんだよ。壁もなしに…過去もなしにね。ザ・ミュージックだと、曲を作る度に「どうして「Getaway」のようなサウンドじゃないんだ」と言われたりしていた。僕は曲を書いた当時と同じではないのにね。そんなプレッシャーを振り払うことができたのも良かったよ。それにマイクとの音楽作りは最高なんだ。彼はとてもクリエイティブな人だからね。

—そうだったんですね。そんなマイクと結成したThe D.O.T.では、1年で60曲も書いたそうですね。

ロブ: 70曲以上だよ。たったの1年半でね!その多くはかなり狂っていたんだけど(笑)、その中で最高なものをアルバムに収録したんだ。

—ザ・ミュージックやザ・ストリーツのファンは、そのどちらとも違ったThe D.O.T.のサウンドに良くも悪くも驚くかもしれません。そういったことを理解した上で、新たな方向に進むのはどんなお気持ちでしたか?興奮しましたか?それとも怖かったですか?

ロブ: その両方の感情が同じくらいあったように思うよ。個人的にはとてもエキサイティングだった。作品を人に聴かせると考えると、ちょっと怖かったけどね。でも僕はこのプロジェクトに心を注いでいるんだ。これはザ・ミュージックでもザ・ストリーツでもないけれど、僕の心が注がれたプロジェクトなんだよ。

—実際にザ・ミュージックのファンからの反応はいかがでしたか?

ロブ: 日本とイングランドでは少し違うんだよね。日本のファンは忠誠心が強いように思うから、とてもうれしいよ。イングランドでは気に入ってくれた人もいるけど、「ノー、こんなの嫌だ」っていう人もいるよ(笑)でも、それはフェアな意見だよね。僕らは他の人を喜ばせるためでなく、自分たちに作る必要があって作っているわけだから。音楽は僕にとって唯一の自己表現の手段なんだ。僕はシンガーになることを選んだわけではない。ただ歌うことしかできなかったんだよ。歌うことでしか自己表現できないんだ。

—シンガーになることを夢見ていたわけではないんですか?

ロブ: 違うんだ。尊敬しているシンガーはいたけれど、サッカー選手にも憧れていたし、でもそこまでうまくないからさ(笑)サッカーではちゃんと自己表現できないから。

—なるほど。今回のアルバムについて、ツイッターでは日本語で発表していましたね。

ロブ: 僕は日本語が話せないけど、日本のファンのために、できる限りのことはしたいと思って。ツイートなら簡単にできるからね。

—ファンは喜んでいたと思います。日本のファンがたくさんリツイートしたんじゃないですか?

ロブ: うん、そうだったらいいな。でも僕はフォロワーが少ないから、60リツイートくらいかな。マイクは20万人くらいフォロワーがいるんだよ。僕は5000人くらい(笑)



—前作『And That』はよりダンス色が強かったですが、今回リリースする『Diary』にはオーガニックなサウンドの楽曲が多いですね。

ロブ: 意識的にそうしたというのもあるし、一部の曲は書いたタイミングによってそうなったんだ。書いた時に感じていたことや聴いていたもの、夢中になっていたものによって、サウンドは変わってくるからね。『And That』に収録したエレクトロニックな楽曲は、より実験的でペースも速いし、意識的な考えも少ない。僕らは今回の『Diary』でジャッジされると分かっていたから、より強い楽曲を作りたいと考えたんだと思う。

—あなたもマイクもそれぞれ素晴らしいソングライターですが、2人はどのように楽曲を作るのですか?

ロブ: 「Make It Your Own」はマイクが音楽を作って、僕がボーカルをやった。他の2人のミュージシャンが作った曲もあるし、マイクがひとりで作った曲もあるし、「Makers Mark」はマイクと僕ともう1人で作った。「Left at the Lights」は僕が家で書き始めて、それをマイクに送ったら彼がビートを作って、コーラスは2人で作った。「Left Alone」も他の2人のミュージシャンと一緒に、最初のセッションで作った曲。「What Am I Supposed to Do?」はマイクが書いた…そんな感じで、いろんな形で作ったんだよ。作曲はコラボレーションが多いね。作詞は僕が書いたものか、マイクが書いたものか、まあ2人で書いたものもあるけど。

—2人で作詞ってどのような作業なんですか?

ロブ: 時に相手を信用する必要があるんだ。リリックにおいて、僕はマイクを信用している。彼はとても良い作詞家だ。だから作詞をする時、彼に何か提案されると、信用しているからトライしてみようと思える。それが時に功を奏するんだよ。マイクに提案されると、ほとんどの場合は僕のリリックがより良いものになる。それはメロディでも同じことだ。逆に僕の方が、マイクが思いつかなかったようなメロディを考えることもある。共同作業では信用と柔軟性が大切なんだ。それにお互いをクリエイティブにさせることがね。マイクはプロデューサーで僕はシンガーだから、僕らの役割分担はうまくいっていると思う。2人とも曲を書くけど、難しかったことはない。自然にできるんだ。

—ライターという仕事柄、誰かと一緒に書くってとても興味深いです。

ロブ: 僕らだって何か一緒に書けると思うよ!一緒に書く相手次第だと思うんだ。柔軟性があればあるほど、よりパワーがあるということで、柔軟性のある人が2人いれば、それは相当パワフルになる。

—視点が増えるわけですね。

ロブ: そういうこと!僕が1つ文章を書いて、相手が1つ文章を書いて、相手の文章によって、また次の文章を考えて…ってそんな感じにね。とてもシンプルなんだよ。時にはトラックが先にあって、歌いながら言葉を入れていく場合もある。とにかくお互いを信用することが大切なんだ。

—アルバムのタイトル『Diary』の由来は?

ロブ: 僕らのオフィシャルサイトに「Diary」って動画コンテンツがあるだろう?ぴったりだと思ったんだ。今作は僕らの人生に置けるこの時期を集めたアルバムだったから。

—そもそもなぜユニット名はThe D.O.T.なのですか?

ロブ: それは秘密なんだ。どんなに検索しても、理由は出て来ないはずだよ。誰にも言ったことがないんだ。みんなに聞かれるんだけど、絶対に言わないんだよ。

—すごく気になります!

ロブ: (笑)

—セッションで生まれた楽曲を1枚のアルバムに集める上で、こだわったことはありますか?

ロブ: ユニークな作品にしたかったんだ。マイクはザ・ストリーツでコンセプトを決めて作品を作っていた。だから、僕らは逆に、意識的にあまりコンセプトを決めないで作品を作ることにした。より自由に感じられるようにね。物語を決めるのではなく、楽曲それぞれに語らせるようにしたかった。

—「How We All Lie」をリード・シングルに選んだ理由は?

ロブ: マイクの歌も入っているし、バンドのイントロダクションとしてとても良い曲だと感じた。

—マイクの歌を聴くことができたのは、うれしい驚きでした。

ロブ: だよね!

—「Under the Ladder」はマイクですよね。

ロブ: ああ、「Under the Ladder」は素晴らしい楽曲だ。「What Am I Supposed to Do?」や「Wherever You May Be」もマイク。それに「How We All Lie」などでバックボーカルを歌っているよ。

—マイクはThe D.O.T.でもラップすると思っていた人もきっと多いですよね。

ロブ: うん。でも、それではザ・ストリーツ過ぎるからね。

—それにロブのボーカルも、ザ・ミュージックの時とはまた違った側面が感じられて新鮮でした。特に「Most of My Time」とか。意図的に新しい歌い方に挑戦したのですか?

ロブ: 「Most of My Time」は、これまでよりソウルフルに歌っている。これまでも同じように歌ってはいたんだけど…ある意味、ジャケットのようなものなんだ。すごく痩せていても大きなジャケットを着れば、自分を大きく見せることができる。ザ・ミュージックはある意味、大きなジャケットだったんだと思う。誰もジャケットの下に何があるか見ていなかった。でも今は、ちゃんとサイズの合ったジャケットを着ている…すごい変な説明だね(笑)僕は昔からモータウンとかが大好きだったんだ。個人的にはそういう曲が好きだったんだよ。でも実際にそれを試すことができたのは、今回が初めてなんだ。

—特に気に入っている楽曲は?

ロブ: 「Blood, Sweat and Tears」。この曲を歌うとものすごい満足感を得られるんだ。

—エレクトロニックな前作から、よりソウル/ロックな今作まで、The D.O.T.にはさまざまなエレメントが含まれていますが、マイクとのコラボレーションで得た最大の発見は何だと思いますか?

ロブ: マイクの仕事のやり方は僕とは大幅に違うから、根気を持つことや作品を再考することといった意味で、学ぶことは多かった。昔の僕は何かを作ると、「もうこれでいい」っていう感じだった。でもマイクは「いや、もっと改善の余地があるはずだ」って。だからリリックをひねったり、メロディをもっと深く考えたり、これまでとは違うことを試したりすることを学んだ。それに曲の何かが違うと思ったら、全てを捨てて最初からやり直したりね。僕はどちらかというとパフォーマーなんだ。ライターというよりも、ライブ・シンガーなんだよ。でもマイクとの仕事によって、これまでよりもライターとして成長できたように思う。

—アルバムを聴く限り、とても楽しんで制作されたのだろうなと思いました。

ロブ: なかなかうまくいかない時もたくさんあったし、壁にぶち当たることもあった。でも、それを再考して、新鮮な目で見つめることができた。たとえば曲を書いて、それからフジロックに行って、7000人の前でライブして帰ってくると、ものの見方が変わるんだ。そういった経験が視点を変えることもあるんだよ。とにかくいろんな側面があるから、ここで1日中でも話していられるよ(笑)

—フジロックのレッド・マーキーに7000人集まったときは、どんな気分でした?

ロブ: ビビったよ(笑)完全に圧倒されたね。ぶったまげた。

—6月にはアルバムを引っさげて、単独来日公演を行うそうですね。

ロブ: フジロックのようなライブになるけれど、もっと自信もあるし、集中して、よりエネルギッシュなステージを届けられると思う。

—来日ツアーで最も楽しみにしていることは?

ロブ: 1曲目が始まる瞬間。とにかく僕らの音楽が好きな人のためにプレイできることを楽しみにしているんだ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ロブ: フジロックで盛り上がってくれてありがとう。ニュー・アルバムを気に入ってくれることを願っているよ。6月のライブに来てね。応援ありがとう!


Interview + Text: Nao Machida




The D.O.T.

ザ・ミュージックのフロントマン、ロブ・ハーヴェイと、ザ・ストリーツことマイク・スキナーによる、ニュー・プロジェクト。2012年7月に出演したフジロックのレッドマーキーでのステージは、アルバム発売前にも関わらず7000人を越える超満員の観客を熱狂させた。同年10月に世界初リリースとなる、プレ・デビュー・アルバム『And That』を発売(CDは日本国内のみの発売)。そして2013年4月、遂にThe D.O.T.としてのフル・デビュー・アルバム『Diary』をリリースした。




『Diary』

1. Make It Your Own
2. Don't Look at the Road
3. Blood, Sweat and Tears
4. How We All Lie
5. Under a Ladder
6. Makers Mark
7. Left at the Lights
8. Left Alone
9. Wherever You May Be
10. Most of My Time
11. What Am I Supposed to Do?
12. How Hard Can It Be?

日本オフィシャルサイト>>
☆5月8日までの期間限定でアルバム『Diary』の全曲試聴を実施中!

The D.O.T. JAPAN TOUR 2013
6月11日(火)大阪 Club Quattro
6月12日(水)名古屋 Club Quattro
6月13日(木)東京 Liquidroom

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