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アイルランド出身の実力派バンド、ヴィレジャーズ来日インタビュー

2013-04-01


アイルランド・ダブリン出身のシンガーソングライター、コナー・J・オブライアンが中心となって結成したヴィレジャーズ。デビュー・アルバムがアイルランド・チャートやUKインディ・チャートを制覇し、英国で最も栄誉あるミュージック・アワードの「マーキュリー・プライズ」にノミネート、さらには権威ある英国音楽賞「アイヴァー・ノヴェロ賞」を受賞するなど、本国では既に話題のバンドだ。

そんな彼らが今月、セカンド・アルバム『{Awayland}』をリリースし、満を持して日本デビューを果たした。2月に開催されたイベント「Hostess Club Weekender」で初来日を果たし、ライブで日本の音楽ファンを魅了したヴィレジャーズから、コナー・J・オブライアンに話を聞いた。



—日本へようこそ!

こちらこそ、来日できてうれしいよ!アリガト。

—初来日はいかがですか?

最高だよ。日本ではみんなとても礼儀正しいっていうのが第一印象。オーディエンスも礼儀正しくて、僕らにとって初の“カルチャー・クラッシュ”だったよ。観客が英語を完全に理解していない状況でのライブは、たぶん今回が初めてだったんだ。それによって、僕は普段よりもフィジカルに表現しようとしたし、言葉が伝わらない分、音楽で伝えようと努力することができた。素晴らしいチャレンジとなったよ。

—その試みは完全に成功していたようですね。最高のライブでした。

良かった!それはうれしいね。ありがとう。

—1番バッターで早い時間に始まったのに、たくさんの観客が集まっていて驚きました。

僕もだよ。あんなにたくさんの人が観に来てくれて、クールだった。日本のオーディエンスは素晴らしかったよ。僕らの曲にはたくさんの言葉が入っていて、伝わらないのではないかと少し心配していたんだ。でも、音楽が言葉を包んで、フィーリングを伝えてくれたのではないかと感じた。観客からはたくさんの温かみが返ってきたように感じたしね。ライブが進むにつれて、バンドとオーディエンスにコネクションが生まれた。最終的には一体感があって、本当に楽しかったよ。



—以前は他のバンドとして活動していたそうですね。ヴィレジャーズを始めることになったきっかけは?

僕はアイルランドのダブリン出身で、ジ・イミディエイトというバンドをやっていたんだけど、解散したんだ。今より若い頃、学生時代に組んだバンドで、それはそれで楽しかったんだけど終わる必要があった。あのバンドを解散して数日後、いや、数時間後に、僕はヴィレジャーズのドラマーに電話して「何かやろう」と伝えたんだよ。

—随分切り替えが早いですね!?

ある意味、ヴィレジャーズは“立ち直るためのバンド”だったんだけど、それがどういうわけか続いたんだよね(笑)前のバンドではエレキギターを弾いていて、どちらかというと初期のエルヴィス・コステロというか、ポップ/パンクな感じのサウンドだった。ライブ活動だけでリリースはなかったんだけど、曲を書いているうちに、エレキではなくアコースティック・ギターを使ったら、歌詞がより重要性を増して、もっとパワフルになるんじゃないかと考えるようになったんだ。それで少しずつ、フォーク・ミュージックをよく聴くようになった。結局ドラマーから始まり、少しずつ他のメンバーも誘っていって、ヴィレジャーズが完成したんだよ。ベースのダニーは子どもの頃からの友だちで、ギターのトニーは前のバンドのサウンド・エンジニア兼ドライバーだった。昇格したのさ(笑)コーマックは前のバンドが解散した後、女性シンガーのバンドで演奏していた時に一緒だった。そうやってみんなを誘って、いつの間にかここまで成長したんだ。

—それはいつ頃のことですか?

初めてのライブはダブリンで、2008年の年末だった。それから1年ほどツアーをまわって、そしてレコード契約をもらって、最初のアルバムは2010年にリリースしたんだ。

—ヴィレジャーズ(村人たち)というバンド名の由来は?

よく間違われるんだけど、“ザ・ヴィレジャーズ”ではなく、ただの“ヴィレジャーズ”なんだ。そこ大事だよ(笑)とにかく匿名っぽい名前にしたかったんだよね。僕にとって大切なのは楽曲だから、プロジェクトだとかバンドだとかについては、“複数の人たち”という意味があればよかった。あくまでもフォーカスはサウンドにあって、名前は“ヴィレジャーズでいいよ”っていう感じ。当時まだMySpaceが流行っていて、曲をアップする時に何かしらの名前が必要だったんだ。だから適当に、“ヴィレジャーズでいいや”って。

—いつ頃からミュージシャンになりたいと思っていましたか?

僕はずっと音楽に夢中だったんだ。子どもの頃も、映画を観に行くと劇中の歌を歌いながら帰ってくるような子だった。だから、“ロックスターになりたい”とか意識的に思っていたわけではなく、ただずっと音楽に夢中であり続けて今に至るんだ。

—ギターを手にしたのはいつですか?それが初めての楽器?

いや、子どもの頃、親がピアノを習わせたんだ。14歳くらいで辞めちゃったんだけどね。兄が持っていたエレキギターの方がかっこいいと思って(笑)子どもの頃からロックは好きで、初めてはまったのはキンクス。9歳か10歳だったと思う。姉がカセット・ウォークマンを持っていて、いつもこっそり借りて聴いていたんだ。それから12、3歳でグリーン・デイにはまった。『Dookie』が出た頃だよ。ちょっとパンクに走ったんだ。

—パンクを演奏していたんですか?

うん、12、3歳の頃はグリーン・デイを弾いていた。それからセックス・ピストルズやザ・クラッシュを聴いて、“待てよ、グリーン・デイは彼らの真似をしていたのか…”って思って(笑)それからレディオヘッドにはまって、初めて行ったコンサートは14歳の時のレディオヘッドのダブリン公演だった。あのライブを観て、僕はレディオヘッドに夢中になった。

—今回の「Hostess Club Weekender」では、レディオヘッドの第6のメンバーとも呼ばれているナイジェル・ゴドリッチのウルトライスタが出ていましたが、ライブは観られましたか?

観ていないんだ!ちょうどインタビューを受けていたんだよ。ナイジェルに挨拶したかったんだけど、恥ずかしくてできなかった。

—ヴィレジャーズのデビュー・アルバム『Becoming a Jackal』は、アイルランド・チャートで1位、UKインディ・チャートでも1位を獲得したそうですね。

エキサイティングだったよ。でもツアー中はそういった状況に気づかないんだよね。あまりに忙しくて、自分の周りで起きていることに実感がないというか。毎日ライブをうまくやることだけを考えているんだ。だから大きなぼんやりとしたイメージなんだよ。でもライブに人が増えてきて、それで初めて実感した。ライブ中は観客が以前よりも静かになって、ちゃんと曲を聴いてくれるようになったしね。それくらいかな。別に億万長者になったわけではないしね(笑)でも、今まで行かれなかったような場所にツアーで行かれるようになった。

—そういった成功や状況の変化は期待していましたか?

こと音楽や曲作りに関して、僕はいつでもどこかで自分を信じているんだ。というか、自分への信頼感は全て音楽に注いでいるように思う。音楽以外には何も残らないのさ(笑)これが僕の人生なんだ。

—デビュー・アルバムではマーキュリー・プライズにもノミネートされて、さらにはアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞したわけですよね。

すごく奇妙な体験だったよ。僕はスピーチがかなり苦手なんだ。でもエルトン・ジョンやジミー・ペイジのようなすごい人たちの前で受賞スピーチをしなくてはならなくて、トロフィーを手に持って“…ありがとう”と言って、逃げるようにステージを降りたよ。確か謝ったんだと思う。何だかパーティーを台無しにしたような気分になってしまって、「ごめんなさい」って(笑)

—バンドのメンバーも喜んだのではないですか?

うん、喜んでくれたよ。あの日、他のメンバーはイングランドの別の場所で待っていたんだ。僕はアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞してすぐ、バッグにトロフィーを突っ込んで、電車でバンドの元へ行かなくてはならなかった。ライブをするためにね。特にその日の会場は規模が小さくて、派手な場所から一気に現実に戻されたよ。



—3月には待望のセカンド・アルバムがリリースされますが、日本でアルバムを出すことについてはどう思いますか?

アメイジングだよ。僕にとって、世界の反対側に暮らす、他のカルチャーや言語を持つ人たちにも伝わるかどうかは、音楽を作る上でのテストなんだ。新作が日本でも受け入れられるといいな。また日本に戻ってきたいよ。日本のフェスでもプレイしてみたいんだ。

—タイトル『{Awayland}』に込められた意味を教えてください。

アルバムにコンセプトがあったわけではなかったから、タイトルは全ての曲を書き終えた後に決めたんだ。特定のテーマを表すものよりも、楽曲のフィーリングを表現できるようなタイトルにしたかった。それに、ちょっと子どもっぽい音がする言葉を求めていたんだ。“Awayland”は“Homeland(故郷)”の反対語として、子どもが思いつきそうな言葉だと思って。どの曲も、国民性だとか、文化の相違によって生まれる考えだとかいうことではなく、もっと自由な内容を歌っているからね。個人的には、今作はもっと普遍的なところから生まれた音楽のように思っている。だからタイトルでもそういったことを表現したかった。それに“Awayland”という字面も気に入っているよ。

—今作の曲作りはどのように進めましたか?

少し大変だったよ。ファースト・アルバムが評価されて、当然のことながらプレッシャーもあったしね。僕は忙しくなると自分で自分にプレッシャーを与えるようになって、でも逆に助けられるんだ。自分の批評家はあくまでも自分で、妄想上のジャーナリストによるプレッシャーに苦しむわけではないからね。僕はいつもアートに関して、自分を痛めつけてしまいがち。今回は自分を忙しくするためにシンセサイザーとドラムマシンを買って、エレクトロニック・ミュージックを作り始めた。

—確かに、アルバムのサウンドはとても新鮮でした。

曲は書かず、エレクトロニック・ミュージックをたくさん作ったんだ。そしたらゆっくりと曲がやって来て、それでアコースティック・ギターを手にして、言葉を書き始めた。

—面白い曲作りのプロセスですね。

しばらくの間は、そういった要素をどうやってまとめるべきか全く分からなかったよ。最終的に完成したアルバムは、自分が考えていたよりもファースト・アルバムに近いものになった。「The Waves」以外は特にエレクトロニックな曲ではなく、かすかに音が取り入れられているんだ。

—ギターが前面に出ていながら、さまざまなエレメントが聴こえてきて、とても興味深いです。レディオヘッドのようなバンドを聴いて育ったことも影響していると思いますか?

たぶんね。レディオヘッドは永遠に僕のソウルに植え付けられていると思うから(笑)14歳の頃に好きになったバンドって、自分にとっての全てになるんだよね。まるで世界を救いにきたエイリアンのようなイメージで(笑)僕はそういったフィーリングを今でも覚えているんだよ。それに、いつまでも変化し続ける彼らの姿勢にもインスパイアされる。同じことは繰り返さないんだ。方程式を見つけて、それをずっと使うバンドは多いけど、それはちょっとつまらないよね。

—今作で他にインスピレーションを受けたバンドはいますか?

エレクトロニックな部分では、初期のテクノ・ミュージックにインスピレーションを受けた。PlastikmanやDrexciyaのような、初期のデトロイト・テクノとかを聴いていたんだ。一方で、カーティス・メイフィールドやアラン・トゥーサンのようなファンキーな音楽も聴いていた。1970年代前半のニューオーリンズの音楽をね。グルーヴィーな音楽が好きなんだ。でもハリー・ニルソンやジョージ・ハリソンとかも聴いていたし。そういったいろんな音楽を聴いていたんだよ。

—リリック面でのインスピレーションやテーマは?

書き始めた時はテーマはなかったから、自分が何について書きたいのか分からなかった。でも少しずつ、この惑星における自分が過ごす短い時間や、地球全体における自分がいる場所の小ささを考えるようになった。そういった大きなことを考え出すと、自分の頑迷な考えやささいな悩みなどどうでもよくなってくる。自分がこの世界において、どれだけちっぽけな存在なのかに気づくんだ。子どもはみんなそういったイメージを持っているのだけど、大人は人生経験に毒されて、時に忘れてしまう。僕もそうなりつつあるように感じているから、音楽を使ってそういった考えを撃退して、また自由になりたかった(笑)



—ファースト・シングル「Nothing Arrived」は、あなたにとってどのような曲ですか?

あの曲は初めて、朝目覚めたら頭の中にコーラスが浮かんで書いた曲なんだ。僕にはそんなこと初めてだったから、驚いたよ。それで横にあったコンピューターで急いで録音して、それからヴァースを書いた。何か難しい状況をくぐり抜ける時の気持ちや、そういう時に抱く空虚感、全てに無意味さを感じてしまうこと—それは誰もが感じることだと思うんだ。でも中には、そういった空虚感を他人への嫌悪感や宗教なんかで埋めようとする人もいる。それはそれでいいと思うんだけど、僕はそういったことを避けて、ある意味、空虚感に圧倒されてしまおうと思った。そういった感情こそが、人間をひとつにするんだと気づいたからね。僕らはみんなでこれに直面しているんだ、と。だから、あの曲は人類へのラブソングみたいなものなんだよ(笑)とにかく、書いている時はそう感じたんだ。

—ミュージックビデオも良かったです。

アルデン・ヴォルニーというフランス人のディレクターが作ったんだ。曲を送ったら、あの主人公が出てくるアイデアが返ってきた。曲のリリックを非常に隠喩的に表現していて気に入ったよ。同じような日々を送る主人公は毎日宝くじを買っていて、ある日ついに当たるんだよね。ビデオには、自分の外のことから充実感や幸福を得るのは不可能だというメッセージが込められているんだ。だから、彼はくじが当たったという事実を無視して、日々の生活を続ける。物質的な世界よりも、自分の内面からしか充実感は得られないのだと気づいたんだ。

—当選番号が出てくるところはドキドキして、最後の1つで外れるのかと思いました。当たってびっくりしたけれど、結局何も起こらないんですよね(笑)

そういうこと。♪Nothing Arrived♪ってことさ(笑)

—今後ヴィレジャーズはどのように進んで行くのですか?

これからもバンドとして探検を続け、成長していきたい。じっと止まっているのではなくね。こちらに向かう飛行機の機内では、次のアルバムについてたくさん話し合ったんだ。僕は曲を書くペースが遅いから、早く始めなくては。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

今回のとても短い来日で、素晴らしい時間を過ごすことができた。次回はもっと長く滞在したいな。みんながアルバムを気に入ってくれることを願っているよ!


Interview + Text: Nao Machida
Photos: Rich Gilligan
Live Photos: Kazumichi Kokei



ヴィレジャーズ

アイルランドはダブリン出身のシンガーソングライター、コナー・J・オブライアンを中心としたバンド。2010年のデビュー作『Becoming a Jackal』がUKインディー・チャート1位、アイルランド1位を獲得。英国最高峰音楽賞マーキュリー・プライズにノミネート、さらには過去にアデル、レディオヘッド、オアシスらが受賞した権威ある英国音楽賞アイヴァー・ノヴェロ賞を受賞。2013年2月、Hostess Club Weekenderにて初来日を果たす。


『{Awayland}』
1. My Lighthouse
2. Earthly Pleasure
3. The Waves
4. Judgement Call
5. Nothing Arrived
6. The Bell
7. {Awayland}
8. Passing a Message
9. Grateful Song
10. In a Newfound Land You Are Free
11. Rhythm Composer

オフィシャルサイト(英語サイト)>>

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