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2013年注目のUKロック・バンド、パーマ・ヴァイオレッツ来日インタビュー

2013-03-08


英ロンドン出身の4ピース・バンド、パーマ・ヴァイオレッツが、今週ついにデビュー・アルバム『180』を日本リリースした。ザ・スミス、ザ・ストロークス、ザ・リバティーンズを見出したラフ・トレードの創始者、ジェフ・トラヴィスが、たった1曲聴いただけで即契約したという話題のバンドは、アルバムのリリース前から英「NME」誌の表紙を2度も飾り、シングル「Best of Friends」が同誌のトラック・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど、大きな注目を集めている。

MTV Newsでは、2月に「Hostess Club Weekender」出演のために来日したバンドからサム・フライヤー(Vo/G)とピート・メイヒュー(Key)にインタビュー。イギリスのキャンディをバンド名の由来に持つ彼らに、バンド結成までの経緯やニック・ケイヴとの対面について聞いた。

—日本にはたくさんのUKロック・ファンがいて、パーマ・ヴァイオレッツも既に大きな話題となっています。まずはバンド結成までの経緯を教えていただけますか?

サム・フライヤー(以下、サム): レディング・フェスティバルに行った時に、キャンプファイアを囲んで俺がギターを弾いていたんだ。チリ(・ジェッション、Vo/B)のことは知らなかったんだけど、突然俺のところにやって来た。「ヘイ、お前のギター気に入ったよ。俺がマネージャーになって、マネージメントしてやる」ってね。俺には曲もバンドもなかったんだけど、まいっかって思って、それから何度かミーティングしたんだ。何かしら音楽活動をしたいということ以外、2人とも何がしたいのか分かっていなかったよ。そして最終的にスタジオ180を発見した。ロンドンの中心部、ビッグベンの川向こうにあって、ものすごくかっこいい場所だよ。画家とかダンサーとか、いろんなアーティストがいろんな活動をしているんだ。

—ミュージシャンだけではないんですね。

サム: うん、ミュージシャンは俺たちと韓国版ジョージ・マイケルだけだよな(笑)

ピート・メイヒュー(以下、ピート): ああ(笑)

サム: スタジオ180を発見してすぐに、俺はウィル(・ドイル、Dr)とピートに連絡したんだ。ウィルは俺の知る1番のドラマーだし、ピートは俺の知る1番のミュージシャンだったから。昔から友だちだったんだけど、一緒にバンドをやったことはなくて、急いで彼らをつかまえなければと思っていた。

—それはいつ頃の話ですか?

サム: 1年半前くらいかな。それで4人で集まって、一緒に曲作りを始めた。スタジオ180で5曲作って、地下で友人向けにライブを始めたんだ。あまり上手くなかったけど、自分たちがやりたいからやっていた。最初は仲間内でやっていて、次第にラフ・トレードを含む業界人たちが噂を聞きつけたんだ。

—すごい速さですね。バンド活動はみんな初めてだったんですか?

サム: そうだよ。

—バンドを始める前は何をしていたんですか?

サム: バイトしてた。俺は美術館で働いたり。洋服屋で働いていたヤツもいたし、ピートはいつもダラダラしてたな(笑)

—それで突然チリがマネージャーになると言ったわけですか。じゃあ、別にロックスターになりたいと思っていたわけではなく?

サム: 俺は思っていたよ。いつも学校では上の空で、ロックやりたいと思っていた。ギターでザ・リバティーンズやザ・スミスの曲を弾いたりしてさ。チリはミュージシャンになるつもりはなかったんだ。楽器の弾き方も知らなかったしね。でも音楽が大好きだったから、マネージャーになろうとしていた。

—では、チリはバンドを始めてからベースを覚えたんですか?

サム: うん。最初はピートとウィルと俺がミュージシャンだった。ピートはベースもキーボードもギターも弾けるんだ。それで、なんか適当にピートはキーボード担当ってことになったんだよね。キーボードはすごく音がいいから。

ピート: ギターとかも弾けるんだけど、飽きちゃってね。

サム: それにお前はステージで立っているのが嫌なんだよな?

ピート: ああ、キーボードは座っていられる。

サム: こいつは座っていたいんだ(笑)

ピート: 俺たちがバンドを始めた頃、ちょうどザ・ヴァクシーンズの人気が出てきたというのもある。2人のギタリストがフロントっていうスタイルを、少しは意識したよな。彼らのように、リード・ギターがなんか変なことをしたりするのはやりたくなかった。

サム: 俺たちのスタイルではなかったんだ。作曲をする時に、ボーカルの美しいメロディをキーボードで作ると、とても興味深くて、想像をかき立てるものができるしね。まあとにかく、俺たちはチリに強制的にベースを覚えさせた(笑)まずはジミ・ヘンドリックスの「Hey Joe」を教えたよ。あの曲さえ弾ければベーシストになれるから。

—先ほどザ・リバティーンズの名前が挙がりましたが、多くのメディアはあなたたちの音楽をザ・リバティーンズと比較していますね。そのことについてはどう思いますか?

サム: 俺はザ・クラッシュとかザ・リバティーンズとかザ・キンクスとか、クラシック・ロックのバンドを聴いて育った。ザ・リバティーンズは大好きなバンドだし、比較されてうれしいけど、俺たちのサウンドとは全然違うと思う。2人のリード・シンガーがいるから、ステージでは似たようなエナジーが感じられるかもしれないけど、サウンド的にはあまり似ていると思わないな。自然にこういうスタイルになったし、俺たちのサウンドはキーボードが主軸になっている部分が大きいんだよ。



—スタジオ180はどんな雰囲気の場所ですか?

サム: 大きな家だよ。たくさん部屋があって、それぞれの部屋をいろんなアーティストが借りている。俺たちは地下を借りているんだ。普通のバンドが借りるリハーサル・スタジオよりも全然安いんだよ。スタジオ180を見つけたことは天の恵みのようだった。パートタイムでバイトさえすれば借りられる場所だったからね。ときどき泊まったりもしているし、いい感じだ。

—地下でのライブは「Best of Friends」のミュージックビデオのような感じですか?

サム: 初期は特にあんな感じだった。初めてのライブは10人しか観に来なかったんだ。すごく優しい友だちだけ(笑)「お前らのやっていること良いよ、応援するよ」ってさ。でもだんだんマジになってきて、口コミで人も増えた。最近はやっていないけど、今だったら「チャーリーとチョコレート工場」のウィリー・ウォンカみたいに、ゴールデン・チケット方式じゃないとできないだろうね。人が殺到して大変なことになっちゃうよ。

ピート: 裏に交番もあるし、ヤバいよね(笑)

—最初にライブをやった時は、何曲くらいあったのですか?

サム: オリジナルは5曲。あとはカバーを演奏した。初めてのライブではラモーンズがカバーしたことで有名なザ・リヴィエラスの「California Sun」をカバーして、自分たちの5曲を演奏して、最後は「Hey Jo」の20分バージョンをやったんだ。5曲終わったら、「え、それだけ?」って言われてさ。だから「Hey Jo」を20分間演奏した(笑)でもその後にもっと曲を作って、そしたらみんながちゃんと興味を持ってくれた。

—その5曲はデビュー・アルバム『180』に収録されていますか?

サム: うん、全部入っているよ。

ピート: 作った曲でアルバムに入っていない曲はないよね。

サム: 作った曲は全部入れたよ。最初に書いたのは「14」で、「Rattlesnake Highway」と「All the Garden Birds」、「Tom the Drum」、「Last of the Summer Wine」が最初の5曲。他の曲はもう少し後に書いた。

—アルバムは日本でも3月にリリースされますが、今の気持ちは?

サム: ようやく聴いてもらえてエキサイティングだよ。最初はかなりナーバスだったけど、今は早く聴いてもらいたい。ネットで噂話をするのはやめて、とにかく聴いてから意見を教えてほしい。

—ザ・スミスやザ・ストロークス、ザ・リバティーンズを見出したラフ・トレードの共同オーナー、ジェフ・トラヴィスが、1曲聴いただけで即契約を結んだという話は日本でも話題になっています。

サム: 実は1曲も聴いてなかったんだ。レコーディングした曲はなかったからさ(笑)だからスタジオまで来てもらって、ジェフとジャネット(・リー、共同オーナー)と数人のためにライブを行ったんだ。

ピート: その時もあの5曲を演奏した。

サム: 「Hey Jo」の20分バージョンはやめておいた(笑)でも「California Sun」は演奏して、ジェフも気に入ってくれた。あの曲を聴いたら、俺たちの通ってきた方向性が分かったって。それでジェフが俺たちを座らせて、「オーライ、お前らと契約したい」って。「マジ?」って感じだったよ。

—ライブのその日に?

サム: うん、その日に。他のメジャーレーベルのA&Rは、ビールとかお土産持ってきたり、ディナーに連れて行ってくれたりしたんだ。ラフ・トレードはそういうのが全くなくて、代わりに彼らのレガシーとアイデアを持ってきてくれた。「契約したい」って言われて、断ることなんてできなかったよ。

—ラフ・トレードは突然連絡してきたのですか?

ピート: その頃には、いろんなところで俺たちのことが噂になっていたんだ。たくさんのレーベルが会いにきたけど、話が通じたのはラフ・トレードだけだった。他のレーベルはもっと大きな話をするんだけど、彼らは良いレコードを作りたいと話してくれた。

サム: ああ、ラフ・トレードは良いレコードを作ることだけが目的だった。他はみんな「たくさん売ってやる」とか。

ピート: 「お前らをビッグにしてやる」とかね。

サム: うん。でもラフ・トレードは、自分たちのレガシーの一部として、ずっと大切にしたいと思える音楽を作ることが目的だった。彼らにはとても豊かで興味深いロックンロールのレガシーがあるからね。その一員になれるって、本当に素晴らしいことだよ。

—レコーディング・スタジオでの作業はあまり好きじゃないそうですが、初めてのレコーディングはいかがでしたか?パルプのベーシスト、スティーヴ・マッキーがプロデューサーを務めたそうですね。

サム: スティーヴと出会って良かったよ。俺たちがスタジオに居たくないっていうことを理解してくれて、とても心地良く作業を進めてくれたんだ。いつかはレコードを作らなければ、誰にも聴いてもらえないということは分かっていたんだけどね。スティーヴは失敗もさせてくれた。「これがロックンロールの最高なところだ」って、不完全なところを認めてくれた。

—ずっとスタジオ180で活動してきて、初めてレコーディングしたわけですが、完成したアルバムを聴いてみてどう思いましたか?

サム: 最初は「クソ!もっと上手くできたはずだ」って思ったんだけど、今はこれ以上ないほど良い作品だと思っている。レコーディング・スタジオ嫌いの俺たちにしては、かなり上出来だ(笑)

—このアルバムを一言で表現するとしたら?

ピート: 「若々しい」アルバムだと思う。



—アルバムをリリースする前から大注目を集めていますが、ニック・ケイヴがライブを観に来たという噂は本当ですか?

サム: うん、ブライトンでやったライブに来たんだ。人生で最高に緊張した出来事だったよ。「こんにちは、サムです。大ファンです」って言うのが精一杯だった。俺は自分にとってヒーローのような存在の人と、あまり関わりたくないんだ。だって、もし嫌われたら人生台無しになっちゃうからさ(笑)

ピート: でも良い人だったよね。

サム: とても良い人だった。チリは楽しそうに話していたよ。あいつはそういうことができるんだけど、俺には無理だ。

ピート: 俺も「こんにちは、大ファンです」って言って、逃げたよ。

—パーマ・ヴァイオレッツのサウンドについては何と言っていましたか?

サム: 実は最近言われたんだけど、俺たちに注目が集まっていてうれしいって。ライブの直後には「最高のライブだったな」って言われたから、「めちゃくちゃだった」って言ったんだ。俺はステージでギターを壊しちゃったし。そしたら、「いや、めちゃくちゃじゃなかったよ」って。俺にはそれで十分だった。自分のライブがニック・ケイヴに「めちゃくちゃじゃなかった」と言ってもらえれば十分だ。彼にとってうれしい驚きだったみたいで、あのニック・ケイヴが楽屋まで来てくれんだ。「正直言って、ちょっとだけのぞいて帰ろうと思っていたんだ」って。「でも実際には楽しかった」って言ってくれた。最高だったよ。

—バンドを結成してから1年半の間で、最もクレイジーな出来事は何でしたか?ニック・ケイヴ以外で。

サム: ニック・ケイヴは相当ヤバかった(笑)最高にうれしかったのはジュールズ・ホランドのBBCの番組に出たことかな。あれはかなりアメイジングな経験だった。「フ○ック、マジかよ?」っていうような経験だったね。「場違いなところに来ちゃったよ」っていうようなさ。

ピート: 子どもの頃から「NME」誌を読んでいたし、ジュールズ・ホランドの番組を観ていた。ああいうのに出るってどんな感じだろうと思っていたんだ。その2年後には「NME」誌に載って、同じ年にジュールズ・ホランドに会っているなんてね。

サム: もう真剣じゃないとは言えなくなっちまったな(笑)今はいろんなことがすごい速さで起こっていて、常に次々と進んでいるけど、20年後に振り返ったら、自分たちがどんなことを成し遂げたのか分かるんじゃないかな。

—もしレコード契約を得ていなかったら、今頃何をしていたと思いますか?

サム: ダラダラしてただろうね(笑)仕事をするよりはダラダラしていたい。

ピート: 俺も仕事は大嫌いだった。多分契約なくても同じことしていたんじゃないかな。スタジオ180にたむろしてさ。今と変わらず音楽を演奏していたと思うよ。

サム: 音楽を演奏はしていただろうけど、誰も聴いていなかっただろうね(笑)

—EDMが大人気の最近の音楽シーンで、パーマ・ヴァイオレッツのようなロック・バンドの登場は新鮮でした。今後はどのようなバンドに成長していきたいと思いますか?

ピート: これまで通り流れに任せて、自然に行き着く先に行きたいね。

サム: ああ、俺たちはあまり先のことは考えていないんだ。考えずに自然にここまで辿り着いたからね。次もまた一緒にスタジオに集まって、どんなアイデアが浮かぶかによって、自然に音楽を作っていきたい。


2月2日に開催された「Hostess Club Weekender」にて初の来日ライブを敢行。

—今回が初来日だそうですが、滞在中にトライしたいことはありますか?

サム: 犬が買いたいんだ。

—犬!?

サム: うん、ペットショップに行きたい。ショーウィンドウからかわいい犬が見えるだろ?ああいう犬が買いたい(笑)

ピート: 髪が伸びてきたから、散髪に行きたい。日本の美容院で日本的なヘアカットをしたいね。美容師におまかせして、どうなるか試してみたいよ。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ピート: アリガト。

サム: アリガトウ!

Studio Photos: Owen Richards
Live Photo: Kazumichi Kokei
Interview + Text: Nao Machida



パーマ・ヴァイオレッツ:
ロンドン出身のサム・フライヤー(Vo/G)、チリ・ ジェッソン(Vo/B)、ピート・メイヒュー(Key)、ウィル・ドイル(Dr)からなる4ピース。英老舗レーベル<Rough Trade>の創始者でありザ・スミス、ザ・ストロークス、ザ・リバティーンズを見出したジェフ・トラヴィスが1曲だけを聴いて即契約をした期待の新人バンド。デビュー前から英「NME」誌の表紙に抜擢されるなど、既に熱い注目を浴びる中、彼らのライヴを観に、あのニック・ケイヴやバーナード・バトラー(元スウェード)等大物ミュージシャンも足を運んだという。


『180』
1. Best of Friends
2. Step Up for the Cool Cats
3. All the Garden Birds
4. Rattlesnake Highway
5. Chicken Dippers
6. Last of the Summer Wine
7. Tom the Drum
8. Johnny Bagga' Donuts
9. I Found Love
10. Three Stars
11. 14

日本盤ボーナストラック
 (Hostess Club Weekender Live / Feb 2nd 2013)
12. Johnny Bagga Donuts
13. All the Garden Birds
14. Tom the Drum
15. Best of Friends
16. Step Up for the Cool Cats
17. Last of the Summer Wine
18. 14 / Brand New Song

日本公式サイト>>
『180』全曲試聴実施中!

<MTVオンエア情報>
LIVE in JAPAN:Hostess Club Weekender 2013.Feb
3/23(土)19:00 - 20:00(初回放送)
3/25(月)21:00 - 22:00(リピート放送)

<来日情報>
SUMMER SONIC 2013
日程:2013年8月10日(土)11日(日)
東京会場:QVCマリンフィールド&幕張メッセ
大阪会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場
INFO: http://www.summersonic.com/2013

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