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ローカル・ネイティヴス、待望のセカンド・アルバム『Hummingbird』を語る

2013-01-23
2010年にデビュー・アルバム『Gorilla Manor』で注目を集め、ここ日本でも日本盤発売前という異例のタイミングで「FUJI ROCK FESTIVAL '10」に出演し、多くの音楽ファンを魅了した、ロサンゼルス出身のローカル・ネイティヴス。4ピースとして新たに出発した彼らが、プロデューサーにザ・ナショナルのアーロン・デスナーを迎えて完成したセカンド・アルバム『Hummingbird』が、本日(1月23日)リリースされた(日本オフィシャルサイトにて全曲試聴実施中)。

ベーシストの脱退やケルシーの母親の死など、さまざまな経験を通じて深みを増したローカル・ネイティヴスの新たなサウンドについて、昨年11月に開催されたライブイベント「Hostess Club Weekender」で来日したバンドのメンバー、ケルシー・エアー(Vo, Key)とマット・フレージャー(Dr)が、MTV Newsに語ってくれた。



—今回は待望のセカンド・アルバム『Hummingbird』のリリースを控えての来日ですね。大ブレイクしたデビュー・アルバム『Gorilla Manor』に続く作品で、ファンの期待も大きいかと思います。

マット(写真左から2番目):  どんなバンドでも、セカンド・アルバムには大きなプレッシャーがつきものなんじゃないかな。

ケルシー(写真左): 僕らの場合、どちらかというと自ら課したプレッシャーだったかも。自分たちも気に入ることができて、誇りに思えるような良い作品を作りたいと強く思っていたから。結果がどうなるかは神のみぞ知るってところだよね(笑)僕らは全力を尽くしたから、それがどのように受け止められようが構わないんだ。成功するために曲作りをしているわけではないから、どれだけヒットするかは心配していないよ。

—デビュー・アルバムでの成功はどのように受け止めましたか?

マット: もちろん自分たちの音楽を信じてはいたけど、まさか複数の大陸をツアーするようになるとは想像していなかったよね。

ケルシー: うん。

マット: クレイジーなことだよ!

ケルシー: かといって圧倒されたかといえば、そうでもない。僕らはいつも自分たちの世界にいるようなものなんだ。前作も今作も変わらず、1つの部屋で一緒にアルバム制作をしたし、いつもみんなでいろんなことを考えて決めている。成功したところで気持ちの変化はないんだけど、人から「日本へ行ったの!?」とか言われるとハッとするんだ(笑)

マット: え?って思うよね。

ケルシー: でも街を歩けないほど有名になったわけじゃないし、超リッチになったわけでもない。今までどおり活動しているだけさ。ただ、こうやって日本に来られたりすることはとてもうれしいから、そういった意味では成功に感謝しているよ。

—新作『Hummingbird』は、前作と変わらぬ美しいハーモニーが健在でありながら、より深みのある、少し影のあるサウンドも感じられました。

ケルシー: メンバー全員、ここ数年で大きく成長したと思う。それがサウンドや曲作りに表れたんじゃないかな。自分たちが経験してきたことも、間違いなく曲に反映されているしね。とても自然な方向性だった。

マット: 僕らにとって、ごく自然な次なるステップだったよね。何かフレッシュなことにトライして、ミュージシャンとしての自分たちを駆り立てたかったんだ。

—ベースのアンディが脱退して、4ピース・バンドとしてのアルバム制作はいかがでしたか?

マット: 4人になったこともサウンドの変化に影響していると思う。全てをライブ収録することができなくなり、もっと実験的なことも試さざるをえなかった。でも、その状況が確実にポジティブな結果を生んだと思うよ。

ケルシー: 最初はとても難しかったんだ。僕らは何でもライブ演奏で収録することに慣れていたのに、もうそれができなかったから。4ピース・バンドなのに、5ピース向けの曲を書いていた。だから、まずはパーツを録音してみて、それをスピーカーを通して聴いてみてから、バンドとして演奏することにした。大きな調整が必要だったけど、慣れてきたら逆に良い作品を作る上で有効だった。



—アンディが脱退した理由を聞いてもいいですか?

ケルシー: 実は僕らの方がアンディと別れたんだ。ただ、方向性が違ってきたように感じてね。僕ら4人は同じページにいるのに、彼は別のページにいるという感じだった。だからお互いのために、別々の道に進むべきだと感じた。

マット: とても辛かったよ。

ケルシー: すごく残念だった。でも全員にとって、こうするべきだったんだと思う。

—4人になったローカル・ネイティヴスの曲作りのスタイルは?

ケルシー: いつもテイラー(Vo, G)と僕が作曲するんだ。それで4人がそれぞれアイデアを持ち寄って、2人とか3人とかに別れて書いてみて、マットと一緒にジャム・セッションを始める。1人から始まって、4人で育てるという感じかな。

マット: ときどき、みんなの同意を得るのが大変なんだよね。

ケルシー: 好きだからやれる作業さ。

マット: うん、だからこそ良い曲が生まれる。

—そしてローカル・ネイティヴスといえば、ハーモニーが本当に素晴らしいですが。

ケルシー: ありがとう!今作ではただハーモニーを入れるのではなく、本当に意味がある場合に入れることにしたんだ。いつも通り、いろいろ曲をいじっていく上でアレンジを変えていった。メインのメロディーを主軸に追加していく作業なんだよ。



—アルバムのタイトル『Hummingbird』の意味は?

ケルシー: タイトルはアルバム制作の最後に決めたんだ。収録曲「Colombia」のリリックから取った。アルバム全体を表現する上で適していると思ってね。あの曲の中での“ハミングバード(ハチドリ)”は、もっと特定のものを意味しているんだけどね。

—特定のものとは?

ケルシー: 2011年に亡くなった僕の母へのオマージュなんだ。でもアルバムのタイトルとしての“ハミングバード”は、落ち込んでいた僕らがその状態から反対側に抜け出し、その状況をより良い、強いものにしようとしていた時の気持ちに由来しているんだ。

—プロデューサーにザ・ナショナルのアーロン・デスナーを迎えた経緯は?ローカル・ネイティヴスはザ・ナショナルとツアーしていたんですよね?

マット: ザ・ナショナルのメンバーはみんな良い人たちなんだけど、僕らはツアー中、特にアーロンと一緒に過ごした。彼はこれまでにもプロデューサー業をしているし、協調的なマインドの持ち主だから、一緒に仕事をしたらどうだろう、と話していた。他にも何人かのプロデューサーと話したんだけど、アーロンも僕らもお互いに興味があったし、うまくいくと思ったんだ。

ケルシー: デビュー作にもプロデューサーはいたんだけど、全て自分たちで書いてアレンジした。だから、第3者が僕らのプロジェクトに加入して、クリエイティブな面でアイデアを追加するという経験は今回が初めてだったんだ。僕らにとって、クリエイティブ面でのコントロールを手放すのは難しかったけど、アーロンのおかげで楽にできた。マットも言ったようにとても協調的な人だし、過去にも他のアーティストと仕事した経験があるからね。かなりの速さで、とてもうまくいったんだ。

—レコーディングはブルックリンにあるアーロンのスタジオで行ったそうですね。ロサンゼルスからニューヨークへ行って、いかがでしたか?

マット: おかしいんだけど、僕らは「気が散らないようにLAを出よう!」と言ってニューヨークへ向かったんだ。でもニューヨークに着いたら、気が散るような楽しいことだらけだった。

ケルシー: (笑)

マット: でも良かったよ。ほとんどの時間はアーロンの家に住まわせてもらった。アーロンはビクトリア様式の古い家に住んでいて、僕らは最上階に滞在したんだ。

—じゃあ、前作に続いて共同生活をしながらアルバムを作ったんですね。

ケルシー: LAでレコーディングしていたら、共同生活は実現しなかっただろうね。

マット: 今作ではこれまでの安全地帯から少し抜け出すことを念頭に置いていたから、全く違う街に2、3ヶ月住んで、自分たちの慣れ親しんだ環境から離れるのは良い経験だった。

—何かニューヨークでの面白いエピソードはありますか?

ケルシー: ニューヨークの僕らは制作に没頭していて、ある時点ではみんな行き詰まって、自分の髪の毛を引っこ抜いているような状況だった。全員思い描いているゴールは同じなのに、そこまでどう辿り着くかという点で、なかなか同意できなかったんだ。間違いなく大変な作業だったけど、面白いエピソードと言われると、追って連絡させてもらうよ(笑)とにかくアルバムを完成させようと必死で、常にパニクっていたんだ!



—アーロンをプロデューサーに迎えたこと以外に、今作で何か新しいことにトライしましたか?

ケルシー: 今作は5ピースから4ピースへの過渡期だったから、全てをライブ収録するというアイデアは窓から投げ捨てて、とにかくいろいろ試して、曲に加えていくことにした。それはアーロンが提案してくれた大きなことだったと思う。「心配しないで、とにかくトライしてみよう」ってね。それにより、決してやり過ぎることはなく、シンセやフェイクドラムを取り入れてみた。それに、1作目では僕もマットと一緒にリズムを演奏していたんだけど、今作ではメロディーやキーボードに集中して、マットにリズムを任せたんだ。

—リード・シングル「Breakers」についてお聞かせください。

ケルシー: あの曲には、僕らがこのアルバムでやろうとした全ての要素が少しずつ詰まっていると思う。僕らの新たなサウンドへの良いイントロになると思って、リード・シングルに選んだ。

マット: 新たなサウンドへの緩やかな足がかり的な曲だよね。アルバムにはこれまでのサウンドともっと大きく違った曲もあるけど、この曲は僕らの成長が反映されていながら、かつての僕ら的な要素も含まれているように思う。

—アルバムの中で、ご自身にとって特に大切な曲はありますか?

ケルシー: 僕にとっては「Bowery」かな。アルバム制作の初期に書いた曲で、いろんなレベルでうまくいかなくて、すごく苦労したんだ。でも、みんなで一緒に完成できるだろうという希望が常にあった。だから、完成した楽曲にとても満足しているんだ。

マット: 僕にとっては「Black Spot」も今作のハイライトだな。苦労する曲もあれば、自然にできる曲もあるんだけど、「Black Spot」は後者だったんだ。僕らはジョシュア・ツリー(カリフォルニア州の国立公園)に行って、奇妙なドームハウスを借り、5日間ぶっ通しで曲作りをした。ケルシーがキーボードで書いたメロディーがあって、それを元にすごい早さで完成したんだよ。僕らにとっては珍しいことなんだ。すごく良い気分だったよ。

—日本のファンにアルバムの聴きどころを教えてください。

マット: 今作について「ダーク」とか「ヘヴィー」っていう言葉がよく出てくるけど、勘違いはしてほしくない。ただ、これまでにはなかったような重みがある作品なんだ。デビュー作は明るくてスウィートで、夏っぽいハッピーな作品だと言われていた。今作の音楽にもオプティミズムは健在で、聴けば気分が上がることには変わりないと思うんだ。ただ、今作には…

ケルシー: 今作の方が、確実によりパーソナルな作品だよ。パーソナルな作品であるだけに、そうでない作品よりもヘヴィーな部分があるんだと思う。

マット: 確かにリリックが楽曲の感情を左右するかもしれないけど、シンセによって新たなサウンドが生まれたし、ハーモニーも健在だ。とにかく今作はユニークな作品だよ。



—「Hostess Club Weekender」(2012年11月3日に東京・Zepp DiverCity Tokyoにて開催)でのステージは、今作を引っさげての初ライブだったんですよね?

ケルシー: ちょっと緊張したけど、新曲を演奏するのはエキサイティングだし、リフレッシングだよ。今回が新作を引っさげての初めての本格的なライブだけど、ニューヨークとLAでも小さなライブをやったんだ。新曲を披露して、前作の曲と続けて演奏した時、自分たちの成長や進化が感じられて興味深かったよ。本当にたくさんのことを注ぎ込んで作った作品だからね。

マット: 興奮したよ。リハーサルしていても、新曲と古い曲をやると、良い意味ですごく違いを感じられるんだ。自分たちがこのような進化を遂げたことを実感できて、ワクワクしたよ。今後も進化し続けたいし、次に何が僕らを待ち受けているのか楽しみだよ。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ケルシー: ぜひまた来日したいよ!

マット: フジロックは楽しかったな。いつも応援してくれてどうもありがとう。もっと頻繁に来日したいよ!

ケルシー: できるだけたくさん来日するよ!

マット: 新作も気に入ってくれるといいな!僕らはとても気に入っているんだ。



Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida




『Hummingbird』
1. You & I
2. Heavy Feet
3. Ceilings
4. Black Spot
5. Breakers
6. Three Months
7. Black Balloons
8. Wooly Mammoth
9. Mt. Washington
10. Colombia
11. Bowery
12. Palms ※
13. 11 : 11 ※
14. Ingrid ※
15. Breakers (J£ZUS MILLION Remix) ※
※は日本盤ボーナストラック



ローカル・ネイティヴス
ロサンゼルスのシルヴァー・レイクを拠点に活動する現在は4人組のインディ・バンド。2010年初めにアルバム『Gorilla Manor』でデビュー。SXSWでのパフォーマンスが音楽業界で注目を集め、アルバム発売直後から「NME」や「ピッチフォーク」など各方面のメディアで"2010年大注目のバンド"として取り上げられ話題となった。日本ではアルバム国内盤発売前という異例のタイミングで「FUJI ROCK FESTIVAL '10」に出演。森に囲まれた昼下がりのホワイト・ステージでの彼らのパフォーマンスは、幻想的な世界を作り出し多くの観客を魅了した。さらに2011年、東京/大阪のジャパン・ツアーを開催。2012年11月にはニュー・アルバム『Hummingbird』のリリースを控え、「Hostess Club Weekender」でパフォーマンスを行った。

日本オフィシャルサイト>>
『Hummingbird』全曲試聴配信中!

13:30

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