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トミー・ゲレロ 来日ロング・インタビュー Part 1

2012-11-08
米サンフランシスコを拠点に活躍するストリート・カルチャーのアイコン、トミー・ゲレロが、10月に最新アルバム『No Mans Land』を引っさげ、約1年ぶりとなる来日を果たした。滞在中は全国6都市をまわる来日ツアーを敢行し、12月に公開される映画『ボーンズ・ブリゲード』のプロモーションもこなすなど、超過密な日々を過ごしたトミーが、ツアー最終日となった東京公演の直前に、MTVのインタビューに答えてくれた。

MTV NEWS BLOGでは、人気番組「MTVラボ」でオンエアされたインタビューをノーカットでお届けする。今回紹介するのはロング・インタビューのPart 1。9月にリリースされた約3年ぶり、7枚目のアルバムの制作秘話をたっぷりと語ってもらった。



―アルバム完成おめでとうございます。ようやくリリースした今の気分は?

トミー・ゲレロ(以下、TG): う~ん…さまざまな感情が入り乱れているんだ。ひとまず、ようやく完成して嬉しい。でも同時に、俺は常に音楽制作を続けたいんだよね。曲を構築し続け、変更を加え…といった感じで。だから、ある時点でストップして手放すのは辛いんだけど、そうせざるをえない。細かいところがちょこちょこ気になって、いつまででも楽曲を見直したい気分になるんだ。でも(発表できて)嬉しいよ。ようやくライヴで演奏できるのも嬉しいね。この作品のようなフォーマットはとてもユニークだから。

―制作にはどれくらいの時間を要したのですか?

TG: 6、7ヶ月かな。俺にとっては割と早い方なんだよね。いつもいろんなことをやっていて忙しいから。だから、今作はかなりの早さで完成したよ。

―前作から3年ぶりの今回のソロ・アルバムは、これまでよりダークでメランコリックなサウンドですね。アルバムを制作するにあたって、テーマやコンセプトはあったのですか?

TG: テーマはなかったけど、「The Gunslinger」を今作のために最初にレコーディングして、あの曲がアルバム全体のトーンを決めたんだ。アルバムのダークな部分は自然に生じた。だから、そのまま進んで行くことにした。

―そういったダークなサウンドは、何によって引き出されたのだと思いますか?

TG: 過去1年半の間に、自分の取り巻く環境に変化があったんだ。私生活でいろいろあったから、多分そういったことが自分のムードやアルバムへのアプローチに影響したんだと思う。俺にとって、音楽はすごくエモーショナルなもの。どんな感情であれ、自然に出てきてしまうんだ。それは俺の制作活動における素直な側面だよ。アルバムを制作するまでの6ヶ月間、俺はブルーな日々を送っていたんだ。

—アルバムのタイトル『No Mans Land』の意味は?

TG: 制作が進むにつれて、アルバムの正体や、それがどのような方向に進んでいるのかが明らかになってきた。終盤になって、今作はマカロニ・ウェスタンのようなスタイルの作品だと気づいたんだ。俺の楽曲は全てインストでリリックはないわけだし、タイトルに意味を与える代わりに、今作では初めて何か変わったことをしようと思った。ランダムなタイトルをつけようとね。だから、曲のタイトルはどれも西部劇風なんだけど、いずれも架空の西部劇のタイトルなんだよ。アルバムのタイトルも架空のマカロニ・ウェスタンのタイトルなんだ。最終的にはそれが俺のアプローチとなった。



―実際に今作はマカロニ・ウェスタンのサウンドトラックのようなサウンドでしたが、制作中にマカロニ・ウェスタンの映画をたくさん観るようなことはしていましたか?

TG: いいや、観てはいないんだ。とにかく自然にこうなったんだよ。そういった方向性に気づいてから、改めてマカロニ・ウェスタンの世界を再訪したり、ネットでいろんな映画のタイトルを調べたりしてみた。ああいう映画の音楽がどれだけ素晴らしかったかを再認識したよ。

―子どもの頃からマカロニ・ウェスタンを観ていましたか?

TG: もちろん、クリント・イーストウッドの映画は全て観ていたよ。他の作品もね。『続・夕陽のガンマン』は、マカロニ・ウェスタン史上最高の傑作の1つだと思う。あの口笛なんかも含めて、全てが素晴らしいよ。

―他にもお気に入りの作品はありますか?音楽的な面も含めて。

TG: 『荒野の用心棒』とか、クリントの作品は全て名作だよ。それにイタリア映画にも、とても風変わりな作品がたくさんある。最近もいくつか観たけど、とにかく奇妙なんだ。リー・ヴァン・クリーフが出演している作品もたくさんあるよね。クリントをはじめ、いろんな役者が活躍していた。

―先ほど『荒野の用心棒』(原題:A Fistfull of Dollars)を挙げていましたが、収録曲の「Handfull of
Hell」はそこからインスパイアされているのですか?

TG: その通り!正解だよ(笑)

―自分がつけた架空の西部劇風のタイトルの中で、特にお気に入りは?

TG: 「Sticks of Fury」は気に入っている。ボンゴのリムをスティックで叩いたからね。それに、ブルース・リー『ドラゴン怒りの鉄拳』(原題:Fist of Fury)を連想させるだろ?ガキの頃、ブルース・リーの大ファンだったんだ。その2つの要素を合わせた感じかな。それにあの曲のスティックを使った打楽器的な一面が気に入っていてね。

―それってカンフー映画ですよね(笑)

TG: ああ、カンフー・マカロニ・ウェスタンだよ(笑)



―今作には制作までの6ヶ月間の日々が反映されているとのことですが、多くのバンドはインスピレーションをリリックに書くものですよね。インストの場合はどのようにインスピレーションを注ぎ込むのですか?

TG: 俺は音楽に自分のソウルを注ぎ込むんだ。感情的に、自分が抱いている全てを注ぎ込む。そういったものが曲を聴いた人の心に響くんだと思う。リリックというのは時にうまく通じないこともある。誰もが同じ言葉で話しているわけではないからね。それだけでなく、ポップ・ミュージックが伝えようとしていることなんて、俺にとってはどうでもいい。全くどうでもいいんだ。型にはまった陳腐な筆運びで、つまらなく感じるよ。ああいったものは俺には必要ないんだ。良い作詞家であると同時に、良いシンガーでもある人は、とてもレアなんじゃないかな。

―言語の壁がないことも、日本のファンがトミーの音楽を気に入る理由の1つかもしれないですね。

TG: ああ、世界中の人から言われるよ。ヴォーカルがないからこそ、誰もが理解できるんだ。問題は感情的なインパクトだからね。

―ご自身の人生が今作の主なインスピレーションとなったようですが、他にもインスパイアされることはありますか?

TG: もちろん。全てのことにインスパイアされるよ。音楽家だろうが、アーティストだろうが、ライターだろうが、他の人からもね。それに色だとか、アートだとか、どんなことでも。でも、芸術作品を観て楽曲を書くというような直接的なことではなく、創造性をかき立てられるんだよ。俺は超クリエイティヴな、世界に何か特別なものをもたらしてくれる人たちに感心している。アーティストは俺たちみんなのために、世界をずっと良い場所にしてくれていると思う。彼らの存在によって、俺もインスパイアされて良いものを作りたいと思うんだ。

―いつも一人でアルバムを作っていると思うのですが、今回もそうでしたか?

TG: ああ、唯一1曲だけ、マット・ロドリゲスがコンゴを演奏した曲があるんだ。「Hombre Sin Nombre」だよ。

―全てを自分一人でやる理由は?

TG: 必要に迫られて(笑)一緒に演奏するバンドを探すのは難しいし、スタジオを探すのも難しい。俺はレコーディングの機材や必要な楽器を全て持っているんだ。みんな忙しいから、演奏しに来てもらうのも大変だしね。だったら自分でやろうかな、と。もちろん、本当は自分よりずっと上手いキーボード奏者やベーシストに演奏してもらうことだってできるけど。でも、ソロで制作する上で良いことの1つは、最終的に自分の名前が記される時に、ほぼ全てを自分で成し遂げたんだと感じられること。作品を聴いた人には、俺の人となりや音楽へのアプローチが、かなり明確にわかってもらえると思う。



―どちらかというと一人で作るのが好きなのかと思っていました。スケートも一人でやるものだし。

TG: 成り行きでこうなったんだ(笑)俺はいつも一人だし、旅をしているし、バンドを組むことはできない。スケートも同じこと。常に一人なんだ。音楽も同じで、どうせなら一人でやろうかな、と。他の人に頼るのは難しいからね。

―アルバムのジャケットも完璧に音と合っていますね。

TG: ジャケットはデイヴ・キンジーというアーティストの作品なんだ。彼もスケーターで、シェパード・フェアリーとかと仲が良くて、彼らは以前、「ブラック・マーケット」というチームで活動していたんだよ。そのデイヴが4ヶ月ほど前にサンフランシスコで個展を開いたんだ。彼の作品についてはずっと前から知っていたけど、当時はもっとグラフィティをベースにした具体的な作品だった。でもこの個展を見たら、もっと抽象的で、すごく気に入った。俺は観たままの具体的すぎるアートは好きではないんだ。その時の個展は素晴らしくて、彼にとっても新たなステップで、新たな方向性を示していた。それでいろいろ考えて、彼に相談したんだよ。作品自体はキャンバスに描かれた完成していたもので、俺のためにテキスト等を加えて、グラフィックデザインをしてくれた。

―彼が音楽を聴いてから描いた作品かと思いました。

TG: 違うんだ。俺もあの作品を見て、「これはうまく行くかも!」と思ったよ。今作の音楽を反響していると思うんだよね。

―前回のソロ作品から3年が経過していますが、今作で何か新しいアプローチはしましたか?

TG: 主にやったことは、自分のリハーサルスペースでギターのアンプを通じて爆音で演奏すること。かなりボリュームを上げてね。アンプを通じて爆音で演奏することでしか得られないテクスチャーが大好きなんだ。60年代半ばの古いアンプを使ったんだよ。とてもユニークなサウンドや個性のあるアンプで、ものすごくユニークなトレモロがついているんだ。とにかく素晴らしいトーンが出せる。あのアンプのトーンもアルバムの方向性を決めた要因の1つだと思う。

―使ったギターもこれまでとは違うんですか?

TG: 大半ではフェンダーのテレキャスターを使った。今夜使うやつと似ているものだよ。うん、ほとんどテレキャスターだね。



―日本にはたくさんのファンがいますが、今作をどのように楽しんでほしいですか?

TG: ファンには超感謝しているよ。今作は長いドライブとか長い電車の旅で聴くと、どこか他の場所に連れて行ってくれるような作品だ。それもまたインストの良いところで、リリックのように何か特定なアイデアや考え、テーマに聴く人を縛りつけることはしないからね。インスト音楽は聴く人を空想の世界に連れて行ってくれる。その人ならではの映画のような情景にね。

Part 2に続く)


Part 2では、来日ツアーや12月1日公開の映画『ボーンズ・ブリゲード』について語ります。

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida




『No Mans Land』
01. the loner
02. phantom rider
03. specter city
04. sticks of fury
05. hombre sin nombre
06. handful of hell
07. the last stand
08. the viper
09. loco's lament
10. the man from califas
11. el bandito
12. the gunslinger
13. duel in the dust
14. los dias del oro
15. the stranger



トミー・ゲレロ

ウェストコーストから世界のストリート、カルチャー、アートに影響を与える真のカリスマ・アーティスト。 1980年代に伝説のスケートボード・チームBones Brigade最年少メンバーとして活躍。 98年にトーマス・キャンベルが運営するgalaxiaより『Loose Grooves & Bastard Blues』をリリース。 その後も独自のポジションを築きながらミュージシャンとしてコンスタントにリリースを重ね、アルバム・リリースの度に来日公演を行っており、東日本震災後にはチャリティCDのリリースや日本を元気づけるためのツアーも行っている。

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