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ダイナソーJr. 再結成後3枚目のアルバムを語る

2012-11-20
ニルヴァーナらと共に米オルタナ・シーンを牽引し、1997年のアルバム『Hand It Over』を最後に解散。しかし、2005年にオリジナル・メンバーで奇跡の再結成を果たしたダイナソーJr.。多くのファンにとって信じ難い再結成だったが、今年9月にリリースされた最新アルバム『I Bet on Sky』は、すでに再結成後3枚目の作品となる。MTV Newsは11月に来日したバンドのベーシスト、ルー・バーロウ(写真右)をインタビュー。ライヴ前のバックステージで、新作や再結成、メンバーへの思いなどを語ってもらった。11月3日に開催されたライヴ・イベント「Hostess Club Weekender」のライヴ写真と一緒にお楽しみください。



—これまでに何度も来日されていると思いますが、久々の日本はいかがですか?

ルー・バーロウ(以下、ルー): 日本に来るのは大好きなんだ。セバドーやソロ・プロジェクトでも来日しているしね。

—初来日は覚えていますか?

ルー: 覚えているよ。セバドーで初来日したんだ。確か1994年だったかな。ちゃんと今でも記憶にあるよ(笑)

—特に印象に残っている来日の思い出は?

ルー: 2010年にマイク・ワットとジャパン・ツアーをまわったこと。俺はソロでプレイしたんだ。とても長いジャパン・ツアーだったんだよ。20公演以上を行って、初めてヴァンに乗って日本中をまわったんだ。小さい町でも演奏したし、北海道にも行った。あれは楽しかったよ!これまでに行ったことのない土地にも行くことができたしね。普段は東京・名古屋・大阪とか、高層ビルの立ち並ぶ大都市が多いから、日本の小さな町を訪れることができて良かったよ。美しい景色だった。それぞれの町においしい名物があるしね。すごく良い経験だったよ。

—今回はニュー・アルバム『I Bet on Sky』を引っさげての来日ですね。ルーさんは脱退前にダイナソーJr.で3枚のアルバムを発表して、今作は再加入してから3枚目のアルバムになりますね。

ルー: 最高だよ。正直こんなに長く続くとは思っていなかった。

—多くのファンも驚いていると思います(笑)

ルー: 俺も驚いているよ(笑)再加入して1枚目のアルバムの時点で、すでに驚いていたんだ。ダイナソーJr.のような定評のあるバンドにとって、再びアルバムを作ることはリスキーだからね。ある意味、勇気を要することだと思う。J(・マスシス、Vo/G)がリーダーとして新作のために曲作りを始めたときは、とても感心したよ。

—Jの方からアプローチがあったのですか?

ルー: いや、再結成における活動の全ては、ある意味ダイナソーJr.のマネージャーが仕切っているんだ。

—それは昔のマネージャーと同じ人?

ルー: 最初に俺がバンドに居た頃は、マネージャーはいなかった。Jがバンドのマネージャーだったのさ(笑)最初の3枚はマネージャーなしで作ったんだよ。再結成してからは、こんな風にインタビューもちゃんと受けたりして、以前よりもプロフェッショナルになってきたんじゃないかな。マネージャーがバンドの全てのステップを仕切っているんだ。

—では、マネージャーが予定を組んで、締切りが決まって…という感じですか?

ルー: その通り(笑)ダイナソーJr.にとって、締切りを設けるのは重要なことだよ。締切りが決まって、ようやくそのゴールに向けてがんばれるというか。とてもうまく行っているよ。



—新作の制作はいかがでしたか?

ルー: 再結成後のアルバムは、3枚とも非常によく似た方法で制作した。どれもマサチューセッツ州アムハーストにあるJの自宅でレコーディングしたんだ。彼は今も実家の近くに住んでいてね。多分生まれた場所から1マイルも離れていない場所に住んでいるんじゃないかな(笑)

—あなたはマサチューセッツを離れたんですよね。

ルー: カリフォルニアに住んで13年になるよ。

—では、レコーディングのためにマサチューセッツに飛んだのですか?

ルー: ああ、まだ両親はマサチューセッツに住んでいるから、まるで過去に帰るような気分なんだよ(笑)レコーディング中は実家に泊まって、親の車を借りてJの家まで行っていた。慣れ親しんだ環境だから、レコーディング期間はとても興味深い時間なんだ。

—里帰りみたいですね。マーフ(Dr)にとってもそうなんですか?

ルー: マーフもマサチューセッツ出身で、向こうにずっと住んでいたんだけど、最近はロスの俺の家を出たり入ったりしている。うちのゲストルームに住んでいるんだ。

—アルバムの制作にはどれくらいかかりましたか?

ルー: かなり速かったよ。確か2月に始めて、5月には完成していた。Jが何曲か書いて、俺も3曲書いた。2曲(「Rude」「Recognition」)はアルバムに収録されて、もう1曲は限定の7インチ盤に収録されるんだ。今回は俺も前よりたくさんの曲を書こうと試みたのさ。



—ダイナソーJr.の曲を書くのと、セバドーやソロ・プロジェクトの曲を書くのでは、どう違いますか?

ルー: ダイナソーJr.の場合、Jやマーフに何を求めるか、明確にする必要があるんだ。自分の求めているものを、はっきりとさせる必要がある。さもないと自分の求めているものが得られないからね(笑)今回のアルバムはちょっとユニークだったよ。前作『Farm』では…完成した作品については誇りに思っているけれど、曲作りはものすごく大変だったんだ。本当に大変だった。今回は友人でメルヴィンズのメンバー、デイル・クローヴァーに来てもらって、俺が思いついた楽曲のデモ制作を手伝ってもらった。自分のサウンドが非常に明確に分かるデモを作ったんだ。それは初めての試みだった。

—そのデモを持って、Jのところへ?

ルー: ああ、「これが俺の曲だ!」とね。そこから、デモでデイルが叩いたドラム・パートをマーフが演奏して、Jは俺がプレイしたギターを再現した。

—今ではメンバー同士の仲も良いようですが、こんなに長い間一緒に活動してきて…まあ、間にブレイクもありましたけど…

ルー: かなり長いブレイクがね(笑)とても長いブレイクだったから、個人的にはその間にかなり成長することができた。

—ブレイクは必要な時間だったんですね。

ルー: 間違いなく必要な時間だった。再加入した時は、脱退してから長い時間が経っていたけれど、とても親しみのあるサウンドだったから違和感はなかった。

—その間、メンバーとは全く連絡をとっていなかったんですか?

ルー: Jと俺の間には、あまり良いケミストリーがあるとは言えなくてね(笑)

—ステージ上のケミストリーはすごいですけどね(笑)

ルー: ステージではね(笑)音楽的には相性抜群だよ。俺はJのソングライティングをすごく信じているし、彼のヴィジョンも信じている。それは昔からだよ。だから、お互いに最高のコミュニケーションはとっていないけど、彼の活動は信じているんだ。俺にとっては、それで十分さ。バンド活動において、最も重要なのは音楽だからね。

—再結成した時は、日本でも大きな話題でした。

ルー: 特に俺たちの間には、かなりのネガティヴなエナジーが蔓延していたからね(笑)それは置いておいても、再結成は俺にとって個人的に良いことだったし、俺たちの音楽を好きだった人たちにとっても、再結成を目にすることができて…ポジティヴなメッセージになったんじゃないかな。決してポジティヴなメッセージを伝えてきたバンドではないがね(笑)



—新作のタイトル『I Bet on Sky』の意味は?

ルー: Jが書いた曲の中に出てくるリリックの一節なんだ。あの曲は…タイトルが思い出せねえな(笑)Jはいつもタイトルを変えるんだよ。リリースする頃には、制作中のタイトルとは全く関係ないものになっているんだ。とにかくペースの速い曲だよ。

—その曲のリリックの一部というわけですか。

ルー: ああ、すごく可笑しいリリックなんだ。“I want/I buy/I bet on sky”(欲しい/買おう/天に賭けよう)っていうんだよ(笑)Jの嫁さんはドイツ人なんだけど、俺たちがレコーディング中に、嫁さんが子どもを連れて里帰りしていた期間があったんだ。妻子の留守中に、Jは狂ったように買い物をしていた(笑)ありとあらゆるものを買っていてね。毎日Jの家には大きな箱がどんどん届くんだ。とにかく常に買い物をしていたよ。あのリリックは、Jがこれまでに書いた中で最も正直なリリックだと思うよ。“I want/I buy/I bet on sky”だなんてね(笑)

—自分の感情を文字通り切り取ったんですね(笑)

ルー: まさに切り取ったんだよ!俺はすごく嬉しかった(笑)

—2人は高校時代から一緒にプレイしているんですよね。

ルー: Jと俺は高校の頃からバンドをやっていた。1982年からね。

—そんな長くやっているのに何ですが、今作で何か新しくトライしたことはありますか?

ルー: うん、あると思うよ。俺は毎回アルバムを作る際に、頭の中にヴィジョンを描くようにしているんだ。最後に俺が書いたダイナソーJr.の曲では、コードを2つしか使わなかった。

—2つ!?

ルー: 選択の余地はなかったよ(笑)2人に複雑な曲を教えることは不可能だったから、できる限りシンプルな曲を書いた。「コード2つだから、よろしく!」って。今作では、音楽的にもっと意欲的に取り組もうと決めた。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジとエリオット・スミスを足して2で割ったようなサウンドにしたい、というアイデアもあったし(笑)別の曲では、ラモーンズをカントリー調にしたようなものを目指した。そういったアイデアを思いついて、Jがソロを弾いている光景が想像つけば、ダイナソーJr.の曲として成立するって分かるんだ。

—なるほど。

ルー: 作詞の面でも、俺はコンセプトを考えて進めるんだよ。それに、自分がバンドに対して抱いている悩みを書くことも多い。個人的な不満を楽曲の中で解決するのさ(笑)



—今回のレコーディングでは揉めたりしなかったんですか?

ルー: 今回はスムーズだったよ。1作前の時はあまりスムーズじゃなかったけどね。今回はスムーズだった。

—「Watch The Corner」のミュージックビデオについてお聞かせください。

ルー: あのビデオには、俺たちの意見は入っていないんだよ。ディレクターが持ってきたコンセプトで、俺たちはそのコンセプトの中でもかなり小さな存在だ(笑)恐らく80年代のバンドっていう設定だよね。まあ、確かに80年代のバンドなんだけどさ。撮影では丸1日費やして、あの曲を何度も何度も演奏したんだ。でも、最終的には5秒くらいしか使われなかった!しかも顔にはモザイクをかけられている始末だ。「きっと俺たちがどれだけ老けたかを、誰にも見せたくないんだな」って思ったよ(笑)顔を隠されるなんて残念だ。俺たちが演奏しているだけでも、面白いビデオになったと思うんだがな。

—再結成してサウンドが変わってしまうバンドもいますが、ダイナソーJr.の曲は聴けばすぐ分かりますよね。

ルー: ああ、俺たちは変わらないんだ。俺はガキの頃と全く同じように演奏している。マーフと演奏すると、俺たち特有のリズム上でのコネクションが感じられる。そうやってリズム・セクションができて、俺たちだと認識しやすい勢いが生まれる。すごく面白いよ。ある意味、ミステリアスなんだよね。俺たちは、自分たちのベーシックな演奏にあまり多くを加えないようにしていて、だからこそ、俺たちならではの個性が出るんじゃないかな。自分が好きなバンドも、みんなそうだと思う。ラモーンズにはラモーンズらしいサウンドを求めるだろう?

—昨夜は大阪でサーストン・ムーアと公演を行ったんですよね。

ルー: 楽しかったよ。サーストンとはつきあいが長いんだ。ソニック・ユースがダイナソーJr.を発見してくれたようなものだからね。実はサーストンはJの近所に住んでいるんだ。キムとサーストンは俺たちの地元に近いノース・ハンプトンに引越してね。あそこは俺たちがバンドを始めた場所さ。キムとサーストンの家はスミス・カレッジの近くで、まるでキャンパス内に住んでいるくらいの距離なんだ。俺の妻はスミス・カレッジ出身で、俺が昔、こっそり居候していた寮の目の前に、キムとサーストンが買った家があるんだよ。Jと嫁さんはキムとサーストンと仲良いんだ。昨日もサーストンと話したけど、とても面白い、賢い男さ。

—日本のオーディエンスはどうでしたか?

ルー: 素晴らしいよ。日本のオーディエンスの良いところは、メンバー全員を観てくれるということ。他の国でダイナソーのライヴをやると、全員Jだけを観ているからね。それは俺にとって、エゴが傷つくというだけでなく、あまり興味ないのかなって思ってしまう。俺は全体を見渡して、いろいろ興味を持ってくれるオーディエンスが好きなんだ。全員を観てくれるオーディエンスと、ただひたすらJをガン見するオーディエンスがいるから、興味深いよね。俺がライヴを観るときは、ステージにいる全てのメンバーを観るようにしている。日本のオーディエンスは本当に全てを観ているよね!最高だと思うよ。1つの側面だけでなく、隅々まで体験してくれるんだよね。



—今後の予定は?

ルー: 長いツアーが待っているよ。ヨーロッパやオーストラリアにも行かないとね。2週間後には南アフリカに行くよ。来年はツアー三昧さ。

—長年にわたって一緒に活動している原動力は何だと思いますか?

ルー: 音楽は俺たちが唯一知っていることだから(笑)

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ルー: ありがとう!


Interview + Text: Nao Machida




『I Bet on Sky』

1. Don't Pretend You Didn't Know
2. Watch The Corners
3. Almost Fare
4. Stick A Toe In
5. Rude
6. I Know It Oh So Well
7. Pierce The Morning Rain
8. What Was That
9. Recognition
10. See It On Your Side
11. Black Betty (Bonus Track)




ダイナソーJr.

米マサチューセッツ州出身、J・マスキス(G,Vo)、ルー・バーロウ(B)、マーフ(Dr)の3人組バンド。1985年にデビュー。89年『バグ』 発表後ルーが脱退。91年の『Green Mind』が世界的に大ヒットしニルヴァーナらと共にシーンを牽引。その後、マーフが脱退。バンド解散の97年までに通算7枚のアルバムを発表。07年に再結成アルバム『Beyond』を発表、09年には9作目『Farm』を発表し話題となる。

公式サイト(英語サイト)>>

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