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トミー・ゲレロ 来日ロング・インタビュー Part 2

2012-11-09
前回に引き続き、米サンフランシスコを拠点に活躍するストリート・カルチャーのアイコン、トミー・ゲレロの来日ロング・インタビューをお届け。Part 2では、10月に全国6都市で開催されたジャパン・ツアーを、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにて開催された東京公演の写真と共に振り返る。また、トミーがかつて所属していた伝説のスケートボード・チームについてのドキュメンタリー映画『ボーンズ・ブリゲード』(12月1日公開)について、当時の思い出も交えて話してくれた。

インタビュー Part 1はこちら>>



―今回の来日ではニュー・アルバム『No Mans Land』を引っさげてジャパン・ツアーをまわられて、今夜が最終日ですが…

トミー・ゲレロ(以下、TG): 今夜が最終日だ(ため息)

―名古屋、金沢、静岡、京都、大阪、さらには朝霧ジャムとプレイしてきて、各地の日本のファンからの新曲への反応はいかがでしたか?

TG: 素晴らしいよ。すごくポジティヴな反応を得られている。新作を全曲最初から最後まで演奏しているからね。確か12曲かな。13曲かも。それから昔の楽曲を再訪しているんだ。15年間の年月に及ぶ楽曲陣だよ。『Loose Grooves and Bastard Blues』は1997年に発表したから、ちょうど今年で15年になるんだ。

―15年間を振り返ってみて、どんな気分ですか?

TG: いまだにあの作品が1番気に入っている気がするよ(笑)ナイーブな作品だし、販売しようと思って作ったわけでもないし、作品集としてCDにしようと思っていたわけでもないからね。自分が作ったスケートビデオとか、いろんなビデオのために作った音楽だったんだ。ただ好きだからやっていただけで、まさか15年後にここで君と話すことになるとは思っていなかったよ(笑)



―新曲をライヴで披露してみて、いかがですか?

TG: 楽しいよ。レコードと全く同じにすることは絶対に不可能だから、ライヴでは楽曲に新たな命が吹き込まれるんだ。一部の楽曲ではギターを4、5本使っていたりするしね。だから、どのパートが楽曲にとって不可欠で、バンドの誰がどのように演奏するべきか、考える必要がある。ギタリストのビン・ジ・リンはニューヨーク在住だから、来日前にサンフランシスコまで来てもらって、リハーサルをする必要があった。全ての新曲を練習するのに、丸1日しかなかったんだよ。だから正直ちょっと怖いよ(笑)今のところは良い感じで演奏できていると思う。でも、毎晩少しずつ変わるんだ。俺はいろいろ試したいタチで、即興をしがちだからね。今夜のライヴもこれまでのショーとは何かが違うと思うよ。

―そこがライヴの魅力ですよね。

TG: ああ、俺にとってはエキサイティングだけど、他のメンバーは気が狂いそうになるんじゃないかな(笑)



―今回のツアーのハイライトは?

TG: 朝霧ジャムだね。ウォー!あれはクレイジーだった。1万2000人も観客がいたんだ。ステージに立って、「一体何が起きているんだ?」って見渡したよ。素晴らしかった。俺たちの演奏も良かったし、観客の反応も良かった。みんな超はまってくれたし。天気も素晴らしくて、夕暮れ時に演奏を始めて、ライヴ中に夜になっていったんだ。本当にマジカルな状況だったよ。山の中のああいった環境で、すごく遠くまでテントがたくさん張られているのが見えて、とても非現実的な景色だった。

―いま聞いただけで鳥肌が立ちました。

TG: ああ、俺も(笑)素晴らしかったよ!







―また、12月1日には映画『ボーンズ・ブリゲード』が公開されますが、今作はどのような経緯で実現したのですか?

TG: 俺が80年代に所属していたスケート・チームについての作品なんだ。主軸となっているのはチームのマネージャーであり、パウエル・ペラルタ(スケートボードブランド)のオーナーでもあるステイシー・ペラルタ。メンバーの1人、ランス・マウンテンが、チームについてのドキュメンタリーを作るべきだとステイシーに持ちかけたんだ。でも、あまりにも大切で私的な題材なだけに、当初ステイシーは映画を製作したがらなかった。

そしてまた1年が経過し、ランスはどうにかしてステイシーに作らせようと説得を続けていた。そこでステイシーが俺たち残りのメンバーに連絡してきて、意見を求めたんだ。俺たちはみんなランスと同意見で、「作るべきだ」と言ったよ。それで俺たちはロサンゼルスでミーティングをして、全員が同じ気持ちで今作に参加することに同意し、そこから全てが始まったんだ。思い出の品々や映像、歴史や情報量の膨大さを考えると、映画の製作は極めてスピーディーに進んだ。かなり大急ぎで全てをまとめてくれたんだ。

―世界各地の映画祭や試写会等で上映してきて、観客の反応はいかがですか?

TG: 試写会では毎回、上映後に質疑応答を行っているんだけど、圧倒的な反応を得ているよ。しかもスケーターだけじゃないんだ。興味深いことに、あの映画は多くの母親たちに影響を与えているんだよ。スケートだったり、音楽だったり、絵を描くことだったり、夢中なことしかやりたがらない子どもの母親たちさ。親は子育てにおいて、「一体どうしたらいいんだ?」と頭を抱えていたわけだけど、今作を観て、自分の子どもが何を考えていたのか理解することができたんだ。母親たちが涙を流しながら俺のところにやってきて、映画のお礼を言われたよ。「いやいや、俺はただスケボーしてただけで、影響を与えようとか、世の中を変えようとかはしていたわけじゃないから」って感じだった(笑)興味深いよね。

―良い話ですね。

TG: ああ、とてもね。



―トミーのお母さんは映画をご覧になりましたか?

TG: つい最近観てくれたよ。とても楽しかったって言ってくれた。母は昔から超協力的だったからね。

―本編を観る前にトレーラーを観ただけで、うるっと来てしまいました。

TG: 実際にたくさんの人が泣いていたよ。大の男でさえ、え~んって(笑)俺は泣いてないよ。泣きそうにはなったけどね(笑)

―メンバーとはずっと連絡を取り合っていたのですか?

TG: スティーヴ・キャバレロとランス・マウンテンには時々会っていたけど、マイク(・マクギル)やトニー(・ホーク)には、あまり会っていなかった。でも最近は今作のプロモーションで頻繁に会っている。あいつらと再びつながることができて、良い感じだよ。

―再結成みたいですね。

TG: ああ、間違いない。バンドが再結成したって感じだ。

―2005年に、ステイシー・ペラルタをはじめとするZ-BOYSとドッグタウンを題材にした映画『ロード・オブ・ドッグタウン』が公開されましたよね。あの映画を観た世代は今作を観て、「これがあのステイシーか!」と思うかもしれません。

TG: 実は俺はあの映画は観たことないんだ。ドキュメンタリー(註:ペラルタの1作目『DOGTOWN & Z-BOYS』)の方が好きでね。今後の懸念事項は、きっと誰かがボーンズ・ブリゲードをハリウッドで映画化したいって言ってくるんじゃないかということ(笑)


ライヴにもボードを持参、来日中もオフはスケートパークへ行くなど、今でもスケートは生活の一部。

―トミーはボーンズ・ブリゲードに何歳の時に加入したのですか?

TG: 確か…17歳?17歳くらいだと思う。

―チームを取り巻く環境を映画で拝見すると、ティーンエイジャーにとってチームに所属することは、かなりエキサイティングだったのではないかと思うのですが、実際にはいかがでしたか?

TG: そうだね、その時は夢中で楽しかったし、ある程度はのぼせ上がっていたかもしれない。でも俺たちのほとんどは、あのような名声の中に居ても地に足が着いていたよ。幸いにも、みんなとてもしっかりしていたしね。(映画は)まるで他人の人生を観ているかのようだった。あまりに昔のことだし、映画で昔の映像をいっぱい観て、「うわ、あんなことが実際に起こったなんてクレイジーだな!」って思ったよ。

―ボーンズ・ブリゲード時代の心に残っている思い出は?

TG: 選ぶのは難しいけど、とにかく友だちとみんなでスケートすることが楽しかった。それと同時に、チームの知名度のおかげでクレイジーなことが起こったこともあった。想像もしていなかったような状況や立場に置かれるようなことがね。たとえば、ザ・ビートルズのジョージ・ハリソンの城に行って、彼と過ごしたこととか。ジョージ・ハリソンの庭の芝生に転がって、彼とビールを飲むことになるなんてね!または、ニューオーリンズのマルディグラのパレードで、他のメンバーと一緒にフロート(山車)に乗ってビーズを投げていたり。「俺たち一体何やってんだ!?」って感じでさ。そういった、かなり奇妙な出来事がたくさんあったよ。

―日本の若い世代のファンの中には、ミュージシャンとしてのトミーは知っていても、あんな風にスケートする姿を見たことはない人もいると思います。そんな世代にとっても、今作はエキサイティングかもしれないですね。

TG: うん、そうかもね!音楽活動を通じて俺を知った若いファンが日本にいるということは、俺にとってはすごく嬉しいことなんだ。普段は逆(スケーターとして知られている)だからさ。

―息子さんには映画を見せましたか?

TG: ああ、息子も観に来てくれたよ。でもまだ8歳だから、幼な過ぎて、ちゃんと理解してないんじゃないかな(笑)

—以前の来日の際にインタビューした時に、息子さんにスケートを教えているのか聞いたら、「スケートは危なすぎるから、息子にはキックボードがお似合いだ」って言っていましたよね。

TG: 最近はいつも一緒にスケートしているよ!息子もすごくはまっているんだ。今日も電話で話したんだけど、スケートしているって言っていたよ。



―今年は震災チャリティ・アルバム『We Are You Are Us』をリリースされるなど、常に日本のファンを勇気づけてくださっていますが、トミーにとって日本とはどのような存在ですか?

TG: 日本は俺にとってのサポート・システムなんだ。これまでずっと、俺の全ての活動を非常に寛大にサポートしてくれている。だから、長年のサポートに対して「ありがとう」と言うために、何かしたかったんだ。チャリティ・アルバムは、たとえほんのわずかでも日本を支援するための、1つの方法だった。いまだに人々が俺の来日公演に足を運び続けてくれることに、びっくりしているよ。いつかは「もう彼は終わった!」なんて言われるんじゃないかな(笑)

―そんなことないですよ!毎回ライヴの度に観客が増えているような気がします。前回の来日公演なんて、インストなのにパンク・ロックのライヴのような盛り上がりでしたよね。

TG: 今夜も期待しててよ(笑)今回のツアーでも、確か金沢公演ではモッシュピットが起こっていたよ。最後の方は本当に激しく、ワーッ!って。すごかったよ!あれはものすごかった。最高だ(笑)

―今後の予定は?

TG: 帰国したら、『ボーンズ・ブリゲード』の全米公開まではプロモーションが続く予定。他にもいろんなことをやっているよ。また音楽制作も一から始めるつもりさ。

―新しい音楽ができたら、また来日してくれますか?

TG: ぜひそう願うよ。

―日本のファンにメッセージをお願いします。

TG: 長年にわたって応援し続けてくれて、どうもありがとう。みんなが俺の活動を信じていてくれることを、本当に感謝しているよ。ありがとう!

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida




『No Mans Land』
01. the loner
02. phantom rider
03. specter city
04. sticks of fury
05. hombre sin nombre
06. handful of hell
07. the last stand
08. the viper
09. loco's lament
10. the man from califas
11. el bandito
12. the gunslinger
13. duel in the dust
14. los dias del oro
15. the stranger




『ボーンズ・ブリゲード』

70年代にスケートボード界に革命を起こし、ストリートカルチャーの発信源ともなったチーム、Z-BOYSの一員でもあり、その後、映像作家として自伝的ドキュメンタリー『DOGTOWN & Z-BOYS』を発表、世界的な成功を収めたステイシー・ペラルタが、10年以上の時を経て、再びパーソナルな題材に挑んだ最新作。80年代、低迷期に入ったスケート業界を救った、ペラルタ自身が作り上げた伝説的チーム、BONES BRIGADEを主軸に、若い野心的な若者たちのスケートボードに対する情熱、スキル、友情、不可能を可能にする信念が、いかに現在では莫大な金額を動かす巨大産業へと発展し、スケートボード業界の礎を築いていったのか。当時のスケートキッズを熱狂の渦に巻き、現在でも世界的知名度を誇るBONES BRIGADEの主要メンバーたちのインタビューと貴重なアーカイヴ映像を織り交ぜ、輝きと刺激に満ち溢れた80年代のストリートカルチャーの真実を浮き彫りにするー。

監督:ステイシー・ペラルタ
出演:ロドニー・ミューレン、スティーヴ・キャバレロ、トミー・ゲレロ、マイク・マクギル、トニー・ホーク、ランス・マウンテン、ほか
シネマライズにて、12月1日(土)ロードショー!
(C)2012 UNION AVENUE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.

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トミー・ゲレロ
ウェストコーストから世界のストリート、カルチャー、アートに影響を与える真のカリスマ・アーティスト。 1980年代に伝説のスケートボード・チームBones Brigade最年少メンバーとして活躍。 98年にトーマス・キャンベルが運営するgalaxiaより『Loose Grooves & Bastard Blues』をリリース。 その後も独自のポジションを築きながらミュージシャンとしてコンスタントにリリースを重ね、アルバム・リリースの度に来日公演を行っており、東日本震災後にはチャリティCDのリリースや日本を元気づけるためのツアーも行っている。

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