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デス・キャブ・フォー・キューティーのベンジャミン・ギバードがソロ・アルバムを語る

2012-10-17
全米チャートで首位を獲得し、グラミー賞受賞経験もある、米ワシントン州出身の人気ロック・バンド、デス・キャブ・フォー・キューティー。そのフロントマン、ベンジャミン・ギバードが、自身初となるソロ・アルバム『Former Lives』を完成した。過去8年間に書きためてきた楽曲を収録したという今作には、曲を書いたその時々のベンの視点が詰め込まれており、デス・キャブとは違った独自の世界観が楽しめる。

ここではアメリカ・ロサンゼルス在住のベンがMTV Newsのために答えてくれた、貴重な電話インタビューをご紹介。ソロ・アルバムの制作秘話から、日本盤ボーナス・トラックとして収録された「イチローのテーマ」まで、じっくりと語ってくれた。



—まずはソロ・アルバムの完成おめでとうございます。今作に収録されたのは過去8年間に書きためてきた作品だそうですが、バンドとしての楽曲よりも私的な作品のように感じました。このタイミングでソロ・アルバムとしてリリースしようと決めた理由は?また、楽曲を書いた時点で、いつか発表しようと考えていたのでしょうか?

ベンジャミン・ギバード(以下、ベン): 別に(ソロ・アルバムのリリースを)計画していたわけじゃないんだ。気付くとレコード1枚出せるくらいの曲が溜まっていて。で、レコーディングしようって決めて、そこからアルバム1枚作れれば、と思ったんだよ。

—デス・キャブ・フォー・キューティーとして15年前から活動してきたわけですが、他のメンバーは『Former Lives』を聴いて、どのような感想を言っていましたか?あなたのソロ活動について応援してくれていますか?

ベン: みんな応援してくれているよ。誰かが何か気に入らないと、大抵はしばらく避けられたりするもんだけど、今のところ周りはみんなこのレコードの話をしているし、楽しんでくれていると思う。だから、気に入ってくれているんじゃないかな。

—8年という長い月日の間に書かれた楽曲ということで、特定のコンセプトやテーマが感じられるバンドのアルバムとは異なり、それぞれの楽曲に異なる世界観を感じました。それぞれの曲に書きたい想いを込めるという作業はいかがでしたか?バンドのアルバム用の曲作りと比較して、自由に取り組めましたか?

ベン: (バンドとソロの)ソングライティングのプロセス自体はあんまり変わらないな。僕はソングライターだから、常にプレイして、曲を書いてる。いつでも曲を思いついたら、それを形にする、っていう。だからどんな場合でも、ソングライティング自体はほとんど同じなんだ。実際、今回のアルバムの曲は、その当時作っていたデス・キャブのアルバムにはうまくはまらなかった曲なんだよ。曲として良くなかったっていうんじゃなく、デス・キャブのアルバムにはまらなかった曲だね。



—アルバムタイトル『Former Lives』に込められた意味は?あなたにとって、このソロ・アルバムはどのような存在なのでしょうか?

ベン: デス・キャブのアルバムとは違って、このレコードはもっと長いスパンから生まれてきたレコードだから、このタイトルを付けることで、それぞれの曲世界を一つにくくれるような気がしたんだ。それぞれの曲は僕の人生の違う時期の視点を提示しているからね。その時に辿り着いた場所、その時に歩いていた道、その時に出会った人たち。だから…それを説明するようなタイトルじゃなく、全体を暗示するようなタイトルにしたかった。それと、やっぱり全体を繋ぐような感じが気に入ったんだ。

—過去の日記を読むといろいろな感情がわいてくるものですが、過去に書いた楽曲をアルバムとして発表するにあたって、当時のことを振り返ったりしましたか?ハードディスクにはもっと私的な発表したくない楽曲も詰まっているのでしょうか?

ベン: 書いた曲のことはあまり考えないようにしているんだ。もうかなり前に、自分がどれだけ曲をストックしているかも考えなくなった(笑)

—アルバムの資料を読んだ時には、さまざまな時期に書かれた楽曲集で、“カウポークをベースにマリアチバンドの1人として歌った曲”もあるなど、全く異なるサウンドのミックスになるかと想像していました。でも、全体を通して聴くと不思議な統一感が感じられたのですが、アルバムを制作するにあたって、過去に書いた曲に手を加えたりしたのですか?

ベン: 今回サウンド的に比較的統一感があるのは、やっぱりほとんどが同じスタジオでレコーディングされたからだろうな。同じプロデューサーでね。だから曲としてはいろんな時期に書かれていて、ある数ヶ月間に集中して書かれたわけじゃなくても、レコーディングが同時期だったから統一感がある。それぞれの曲を、それぞれが書かれた時期にレコーディングしていたら、たぶんアルバムとしてはうまくいかなかったと思う。中にはかなり古い曲もあるし…でも同時期にレコーディングしたことで、サウンド的に同じパワーがあるものとして提示されていると思う。



—アーリマートのアーロン・エスピノーザとのレコーディングはいかがでしたか?全ての楽器を演奏したそうですが、バンドの作品を制作するのと違った苦労や楽しさはありましたか?

ベン: アーロンとは90年代からの知り合いだから。もちろん今回のレコーディングでもっと親しくなって、ほんとに楽しかった。彼のスタジオでレコーディングしたんだけど、本当に素晴らしいスタジオなんだ。完全に設備が整っているんだけど、普通の生活スペース風で、プロフェッショナルなレコーディング・スタジオっていう雰囲気じゃないんだよね。だから、リラックスしてクリエイティヴになれると同時に、ちゃんとレコーディング・スタジオにいる気持ちになれる。僕はそういう場所が好きなんだ。

—リード・トラックに「Teardrop Window」を選んだ理由は?この曲はロサンゼルスに移ってから書かれた、シアトルをインスピレーションにした曲だと思いますが、どのような想いを綴ったのですか?

ベン: シアトルにはスミス・タワーっていう建物があって。1914年に建てられて、30年代までは西海岸で一番高い建造物だった。ニューヨーク・シティ以外では唯一の高層建築だったんだ。建物としても本当に美しいんだよ。堂々としていて威厳があって、スペース・ニードルができるまでは、シアトルのスカイラインにおける宝石的な存在だった。今はシアトルと言えばスペース・ニードルで、映画でシアトルが出てくる時は絶対にスペース・ニードルが映されるんだけど。みんなが『シアトルと言えばスペース・ニードル』と思っている。もちろん、あれもいいんだけど、僕としては個人的にずっと愛してきたスミス・タワーについて曲が書きたかった。見過ごされてきた素晴らしいものについてね。

—エイミー・マンとのデュエット「Bigger Than Love」はとても素敵なラブソングですが、この曲のインスピレーションは?エイミーとデュエットすることになった経緯も教えてください。実際に一緒に歌ってみていかがでしたか?

ベン: エイミーとは友だちなんだ。あの曲は最初からデュエットだったんだけど、それを誰と一緒に歌えるか考えた時に、最初に浮かんだのがエイミーだった。で、彼女が来てくれて。本当に素晴らしかったよ。自分がずっと昔から聴いていた彼女の声が、僕が書いた曲を歌っているんだから。スピーカーからそれが聞こえてきて…ほんとクレイジーだったな。素晴らしい仕事をしてくれた。



—「Something’s Rattling (Cowpoke)」はマリアチバンドの一員として歌ったと読みましたが、カウポークをベースに楽曲を作るというアイディアはどのようにして生まれたのですか?

ベン: あれはLAに住んでいた時に作った曲なんだ。スタン・ジョーンズが書いた“カウポーク”っていう曲、カウボーイのヨーデルの曲が気に入って、それに僕が新しい歌詞を付けたんだけど。実は書いた後に著作権をクリアしなきゃいけなくて…馬鹿な話なんだけど、それをしなきゃいけないって気付いたのが結構遅くて。著作権を持っている人を追跡して、許可をもらうのにしばらくかかって、ちょっと緊張したんだよね(笑)で、あのコーラスはトリオ・エラスっていう女性三人のマリアッチ・バンドに頼んだんだ。僕が彼女たちの前でギターで歌って、「君たちのライヴでこれをやるとしたらどんな感じ?」ってやってもらったら、もうすぐにあのコーラスになった。ほんと、すごくいい仕事をしてくれたよ。

—アルバムの中で特に思い入れのある楽曲はありますか?また、常に曲作りをしているとのことですが、今後も(たとえばまた8年後に)、楽曲が集まった時点でこのようなソロ・アルバムを発表することを考えていますか?

ベン: 特に好きな曲っていうのは…ないかな。その時々によって違うし。それぞれが自分の人生のある時期から生まれた曲だしね。今はソロ・アルバムをまた作ろうとか、そういう気持ちはないけど、これからもずっと曲を書いていくだろうし、いい曲をたくさん作りたいとも思っている。だから、そこから例えば8年後にはまたソロ・アルバムとして何枚かリリースできていればいいな、っていう感じかな。それを目指すっていうよりは。

—ボーナス・トラックとして元シアトル・マリナーズのイチロー選手に捧げた「Ichiro’s Theme(イチローのテーマ)」が収録されていて、日本のファンは大喜びすると思います。この楽曲は彼がマリナーズ在籍中に書かれたのですか?
 
ベン: うん、2年ほど前に書いた曲なんだ。彼がまだマリナーズにいた頃に。僕はLAに住んでいて、ちょっとシアトルに対してホームシックみたいな気持ちになっていて。それで彼のテーマ曲を書いたんだけど、今は彼もヤンキースだからね。ニューヨークでの活躍を願っているよ。

—このアルバムを引っさげてツアーをまわるそうですが、ソロのステージはどのようなものになりますか?

ベン: ソロのアコースティック・ライヴは前にもやったことがあるからね。ギターとピアノとかで。今回もそうなると思う。

—日本にもたくさんのデス・キャブ・ファンがいるのですが、ソロとして来日する予定はありますか?今後の予定は?

ベン: 日本にも(ソロのライヴで)行きたいよ、もちろん!スケジュール的にうまくいけば。日本でプレイするのはいつだって楽しいからね。

—日本のファンにメッセージをお願いします。

ベン: 日本のファンのサポートには、長年本当に感謝してる。僕らみんな、日本に行くのはいつも楽しみにしているんだよ。僕にはものすごく親しみが感じられる場所なんだ。第二の故郷って言えるくらい。だから、日本に行くチャンスがあるたびにほんと感謝しているし、楽しみにしているよ。



ベンジャミン・ギバード

1976年生まれ。米ワシントン州べリンガムで結成された4人組のロック・バンド、デス・キャブ・フォー・キューティーのフロントマン&ソングライター。デス・キャブ・フォー・キューティーは現在まで7枚のアルバムをリリース。メジャー移籍後の3枚のアルバムは全てグラミー賞にノミネートされ、6枚目のアルバム『ナロー・ステアーズ』は全米アルバム・チャートの1位を獲得している。また、ジミー・タンボレロとのデュオ、ザ・ポスタル・サーヴィスでも知られ、2003年にリリースされたアルバム『ギヴ・アップ』は全米でゴールド・ディスクを獲得している。『Former Lives』は、ベンがここ8年の間に書いた楽曲からなるアルバムで、長年の友人でもあるアーリマートのアーロン・エスピノーザによってレコーディングされた自身初のソロ・アルバムとなる。ゲストとして、エイミー・マンやスーパーチャンクのジョン・ウースター他が参加。

日本オフィシャルサイト>>
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17:01

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