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The xx 待望のニュー・アルバム『Coexist』を語る

2012-09-07
サウス・ロンドン出身の3人の幼なじみからなる男女混合バンド、The xx(ザ・エックス・エックス)。2009年リリースのデビュー・アルバム『XX』が各メディアで高い評価を受け、1作目にしてイギリス最高峰の音楽賞「マーキュリー・プライズ」を受賞するなど、音楽シーンに一躍その名を知らしめた彼らが、9月5日に世界待望のニュー・アルバム『Coexist』を発表した。デビュー作での大きな成功にもかかわらず、3人はいたってメロウで、マイペースに自分たちの好きな音楽を探究し続けている様子。7月に来日したバンドから、ロミーとジェイミーがMTV Newsに新作について語ってくれた。


左から=ロミー、オリヴァー、ジェイミー

—久しぶりの来日いかがですか?

ロミー(Vo./G): とてもうれしいわ。今回が3度目の来日なのだけど、毎回あまり探検する時間はないの。それでもやっぱり来日はうれしいな。

—東京は好きですか?

ロミー: うん、3人とも大好き。あまり自由時間がないとはいえ、3度も来日していると少しずついろいろ観ることができて、毎回戻ってくるたびに親しみがわくの。いろんな国に行くけれど、なかなか同じ場所には戻れないんだ。だから、こうして何度も来日できるのはうれしいことよ。

—オリヴァーがステージで、初来日ライヴがとても良い思い出だと言っていましたね。

ロミー: うん、良い体験だった。ずっと日本でライヴするのを楽しみにしていたの。私たちのライヴは日本のオーディエンスに合っていると思う。自分たちがプレイする音楽を、観客が静かに聴いてくれるのがうれしいの。私たちはオーディエンスに常に踊りまくったり、叫びまくったりしてほしいタイプのバンドではないから。だから、日本のオーディエンスがとても静かに聴いてくれるのがぴったりなの。最後の方ではみんな踊り始めるんだけどね。

—そうですね。昨夜の東京公演では女の子たちが黄色い歓声を上げていましたね。

ジェイミー(Keys./Programming): (笑)

ロミー: みんなジェイミーのために叫んでいたよね(笑)

—「私の方が好き!」とか、ジェイミーの取り合いになっていましたね。

ジェイミー: 楽しかったな。

ロミー: (笑)

—前回の来日後、ジェイミーはソロ・プロジェクトやリミックスなどで忙しそうでしたが。

ジェイミー: うん、いつもどおりちょっと忙しかった。でもバンドとしてはツアーと新作の制作の間に1年ほど休みを取ったから、古い友だちと再会できたりしてうれしかった。

—休暇中もメンバー同士で会うことはあったのですか?

ロミー: バンドで常に一緒にいると、少し距離を置きたいと思われがちだけど、私たちは一緒に遊んでいたわ。友だちとして長いし、共通の友だちもたくさんいるしね。

—良いですね。幼なじみなんですよね?

ロミー: そうなの。オリヴァーと私は3歳の時に保育園で出会ったんだ。

—まるできょうだいみたいですね。

ロミー: まさに。それで11歳の時にジェイミーと出会ったから、3人とも一緒に育ったようなものなの。家族同然よ。家も近いしね。

—ロミーは休暇中はどのように過ごしていたのですか?

ロミー: えーと…どうしていたんだろう?普通に生活していたわ。落ち着いた生活をしていた。3人共とても穏やかな性格だから、世界中をツアーしてまわるのは私たちらしいことではなくて、時に圧倒されてしまうの。だから、時にはただリラックスして、友だちと会って、普通に生活できることがうれしいのよ。ツアーも楽しいんだけどね。



—ジェイミーはレディオヘッドのリミックスも手掛けていましたね。

ジェイミー: うれしかったよ。レディオヘッドのような伝説的な人たちと仕事ができてうれしかった。昔から少しは聴いていたのだけど、自分たちの音楽の幅が広がって、レーベルの人と会ってからの方が聴くようになったバンドだよ。

—前回の来日後、デビュー・アルバムでイギリスにおける最高峰の音楽賞「マーキュリー・プライズ」を受賞されていましたね。キャリアのこんなに早い段階であのような賞を受賞すると思っていましたか?

ロミー: 全く思っていなかったわ。ファースト・アルバムにまつわる一連のキャンペーンにおける、最高のエンディングになったと思う。受賞するちょうど1年くらい前にアルバムをリリースしたの。最後のツアーに出てから休みに入ろうというタイミングであの賞を受賞できて、本当に素晴らしかったし、とても光栄だった。

ジェイミー: うん、エキサイティングだったよ。音楽で生活できるなんて想像する前から観ていた授賞式だからね。だからあの夜、自分たちが登壇して賞を受け取っているのが、まるで夢のようだった。

ロミー: そうね。

—若くしてデビューして、既に大きな成功を収めているわけですが、これまでのキャリアで最も驚いたことは?

ロミー: 全てにびっくり(笑)いつも言っているんだけど、本当に非現実的なの。デビュー・アルバムを作った時は何の期待もしていなくて、レーベルも何も期待していなかった。だから何でもちょっとしたことがエキサイティングで、アルバムをリリースできるだけでエキサイティングだったの。できあがったCDを手にした時もエキサイティングだったし、以前はいろんなバンドの前座を務めていたのに、自分たちのショーでツアーができたのもエキサイティングだった。全てのことに、とても感謝しているんだ。

—そしてこの度はセカンド・アルバムの完成おめでとうございます。ようやく完成した気分は?

ロミー: とても良い音楽ができたと思っているから、早くみんなに聴いてもらうのが楽しみだわ。

—一足早く聴かせていただきましたが、音楽的にも詩の世界もとても美しかったです。アルバムの多くの曲が愛、特に失われた愛について歌った曲ですが、全てここ1年の休暇の間に誕生したのですか?

ロミー: 基本的にはそうね。大半のアーティストのファースト・アルバムもきっとそうであるように、私たちの1作目もそれまでの全ての経験を反映した作品だったの。今作は休暇の間、去年の夏に集中して書いたわ。そうね、確かにたくさんの感情が詰まっていると思う。高揚したハッピーな楽曲よりも、沈んだダークな楽曲の方が多いわね。

—いくつかの曲は本当に悲しくて、「休暇中にロミーに何があったんだろう…」と考えてしまいました(笑)

ロミー: オリヴァーも「サイアクな1年を過ごしたと思われたくないんだけど」って話していたわ(笑)でも、決してそういうわけじゃないのよ。

—3人はどのように曲作りするのですか?

ロミー: 多くの場合、歌詞から始めるの。普段は私が何か書いて、オリヴァーが何か書いて、お互いにメールし合って、そこから紡いでいく。今作では初めて同じ部屋で一緒に書いて、コラボレートすることができて、とても良かったわ。ジェイミーもオリヴァーとかなり早い段階から一緒に曲を作り始めていたし。これは3人のコラボレーションよ。

—いくつかの楽曲はまるで男女間の会話のようですよね。聴いていると元恋人からの手紙を読んでいるような気分になりそうな。

ロミー: そうだよね(笑)オリヴァーと私がお互いに宛てて書いたわけではないのだけど、まるでお互いに宛てて書いたかのように聴こえるところが気に入っているの。私たちについての曲ではないのに、ある意味、私たちについての曲に聴こえるところが。



—昨夜のライヴでは冒頭から「Angels」を披露されていましたが、オーディエンスもすごく気に入っていたようですね。

ロミー: それは良かった。「Angels」は私が書いて、いつもどおりオリヴァーに送ってみたの。そしたらオリヴァーが、この曲は私だけが歌った方が良いんじゃないか、って。私は自分だけで歌うのは嫌だったの。それで長い時間をかけて、オリヴァーがどのように参加して、楽曲をどのように完成するかを話し合ったわ。とても美しい曲が完成したと思うし、ドラムとベースが加わることでステキな瞬間が生まれて、すごく満足しているの。私たちが曲作りにおいていかに話し合いを大切にしているかという、良い例だと思う。個人的には、恋に落ちることの幸せについての曲が書けたことを幸せに思うわ。アルバムには少しだけでも高揚感が必要でしょ?(笑)

—あの曲はあなた自身の感情に基づいているのですか?

ロミー: そうよ。

—楽曲に加わったドラムの生演奏も良かったです。

ジェイミー: 今回、僕らはライヴの経験を積んでいたから、自分たちの技量に以前よりも自信が持てたんだ。成長を感じられた。それで楽曲をよりダイナミックにすべく、ライヴのドラムを加えることにしたんだ。とてもシンプルで繊細な曲だから、曲の繊細さにドラムのオーガニックなサウンドが合うと感じた。

—ステージでもライヴのドラム・サウンドが素晴らしかったです。

ロミー: 良かった。ありがとう。

—アルバムのタイトル『Coexist』の由来は?

ロミー: アルバムのアートワークを決めている時に浮かんだ言葉なの。最初は「Together」という言葉を考えていたのよ。3人ともそれぞれ個性が違うし、ジェイミーがソロ作品を作ったように、それぞれが作品を作ったら全く違ったものができるはず。でも3人が揃って共存(Coexist)すると、それぞれの個性が溶け合わさって、ザ・エックス・エックスになるの。それが由来の1つ。それに私はあの言葉が好きなの。オープンな言葉だし、私たちにとっての意味は今言ったとおりだけど、さまざまな解釈ができると思うから。アルバム制作の中盤に決めたのよ。

—アートワークも自分たちで?

ロミー: うん。アートワークにはこだわりがあるの。自分たちで手掛けることができてラッキーだと思う。全てのバンドがそうできるわけじゃないし、私たちはある意味、コントロール・フリークかも(笑)自分たちで何でも決めないと気が済まないのよ。



—「X」の文字が今回も良い感じですね。そもそもなぜザ・エックス・エックスというバンド名なのですか?

ロミー: ただ「X」という文字が好きだから。私たち、やっていること全てに意味があるのだけど、バンド名だけは意味がないのよ(笑)芸術的にもとてもかっこいいと思って。

—アルバムの最後の曲「Our Song」は、一連の悲しい曲が続いた後で、少し希望の光が感じられる曲ですね。

ロミー: あの曲はオリヴァーと私が初めてお互いに宛てて書いた曲なの。友情についての曲で、今回アルバムに収録されてとてもうれしいんだ。

—アルバムで最も気に入っている曲を教えてください。

ジェイミー: 僕が気に入っているのは「Unfold」。とても自然にできた曲なんだ。すごくシンプルな曲だよ。もう1つのお気に入りは「Swept Away」で、あの曲は逆に何度も変更を重ねて完成したんだ。

ロミー: 私は「Angels」が大好き。それに「Chained」もすごく気に入っているわ。共同作業によって生まれた曲で、オリヴァーと1つの部屋で一緒にキーボードとベースを使って書いたの。それは新たな手法だったし、一緒に編集しながら作詞するのは良い経験だった。そしてジェイミーに見せたら、私には想像できないような楽曲に仕上げてくれた。この曲で私たちに新たな方向性が見出せたように思う。

—音楽的には、前作を意識したり、逆に新たに刺激を受けたことを意識的に取り入れてみたりしましたか?

ジェイミー: たくさんの刺激を受けたよ。前作からこれまでにいろんな音楽を聴くようになったからね。経験も増えたし。前作からのプレッシャーはうまく避けられたように思う。1年間休暇を取って、普通の生活に戻ることができたからじゃないかな。ようやく今になってプレッシャーを感じ始めているよ。

—3人ともとても若いのに落ち着いていますが、世界中からこんなにも注目されてどんな気分ですか?

ロミー: うれしいわ。とにかく自分たちの音楽を人々が楽しんでくれることが幸せ。こんなことになるとは全く想像していなかったけど、自信が持てるようになったと思う。前作の時の私たちは、もっと大人しかったから(笑)でもたくさんの人に会って、たくさんの褒め言葉をいただくと、前よりも自分の殻を破ることができるんだと思う。

—大勢の人の前でパフォーマンスするのは?

ロミー: 間違いなく、少しずつ楽しめるようになってきたわ。たくさんのフェスにも出演して、ものすごく大勢の観客の前でもパフォーマンスしたし…あれは何人だっけ?

ジェイミー: 4万人。

ロミー: そう、ベルギーで4万人の前でパフォーマンスしたの!怖かったわ。おびえちゃった。でも状況を受け入れてしまえば、とても楽しくなるの。昨夜もみんなの前でパフォーマンスできて楽しかったわ。今はライヴが大好きなの。

—幼なじみとのことですが、ケンカすることはあるのですか?

ジェイミー: 僕らはきょうだいみたいだけど、ケンカはしないよ。自分たちが作りたいものに対して描いているビジョンが似ているんだ。だから自然に物事が進んで、もめることはないんだよ。

ロミー: 3人とも音楽に夢中だし、友情があるからこそ、お互いに素直になれるんだと思うの。曲を作る時、何かしっくりこなければ何度でも話し合うのよ。3人で話し合うからこそ、3人の音楽だと感じられる。

—今作は自分たち専用のスタジオで作ったそうですね。

ジェイミー: どちらかというとアパートといった感じ。とてもシンプルだけど3人の家からも近いし、快適に過ごせたよ。

—新しいスタジオでのレコーディングはいかがでしたか?

ロミー: 今回もたくさん話し合ったわ。楽曲はライヴで演奏して、最初はiPhoneで録音してみるの。それを聴き返して、「ここを変えよう」とか何度も何度も繰り返すわけ。たくさんの会話によって生まれるのよ。

—まだニュー・アルバムを聴いていない人のために、どんな作品か説明してくれますか?

ロミー: そうね…今作はさまざまな感情の詰まった、ちょっとした旅だと思う。とても悲しい曲もあれば、幸せな曲もある。たくさんのフィーリングが詰まった、内省的な作品よ。でもサウンド的には、私に言わせれば以前より明るくて、より多くのムーヴメントが存在するわ。

ジェイミー: 確かな作品ができたと思う。アルバムとして聴いても良いし、曲ごとに聴いても良いし。それにファースト・アルバムを聴いた人が今作を聴けば、僕らに何があったかを理解してもらえるんじゃないかな。自信を得られたことに気づいてもらえると思うし…微かな違いだけどね。



—昨夜のオーディエンスはとても興奮していましたが、2人はライヴを楽しめましたか?

ロミー: とても楽しかったわ。良いライヴをやりたいと思っていたの。たくさんのライヴを経験してきたことで、自信もついたと思うし。前回の来日よりも、ライヴが良くなったと思いたいわ(笑)それに今回は照明の演出もあって、ワクワクしちゃった。

ジェイミー: 楽しかったよ。前回のツアーの終盤では、同じ曲を何度も何度も演奏することで、自信もついたし、心地良かった。それはそれで良い気分なんだけど、今回は何をすべきかちゃんと分かっている中で、新曲をみんなに披露することでアドレナリンがわいてきた。より大きなステージで、お客さんからの反応も感じられたしね。ライヴで演奏することに再び興奮できてうれしかった。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ロミー: いつもありがとう。みんなが新作を気に入ってくれるといいな。

ジェイミー: 僕も(笑)僕らは来日するのが大好きなんだ。地元とは全然違うし、エキサイティングだからね。また戻ってきたいよ。

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida


ザ・エックス・エックス
2008年初めの英「NME」誌による「今年の注目新人」特集で、いきなり破格の大きな紹介をうけたサウス・ロンドン出身のドラムレスな男女混合3人組。学校で作ったデモをXL傘下のヤング・タークスが気に入り即契約。レーベル内のスタジオにこもり、自分たちでプロデュースをしたエレクトロニカ要素の高いロック・アルバム『XX』を2009年にリリースすると、アンニュイな雰囲気がたちまち大きな話題となり、同年の「NME」誌や「GUARDIAN」紙といった海外主要メディアの年間ベストアルバムに多数選出、さらに翌年には英国最高峰音楽賞マーキュリー・プライズを受賞するなど、最も注目されるバンドの一つとなる。2010年に行われた一夜限りの来日公演はソールドアウトし、フジロックフェスティバル’10では満員の観客を前に圧倒的なパフォーマンスを披露するなど、ここ日本でも高い人気を獲得する。7月に行われた新作お披露目の来日公演も早々とソールドアウトとなり、その人気の高さを見せつけた。9月5日に世界待望の2ndアルバム『Coexist』をリリース。


ザ・エックス・エックス日本公式サイト>>

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