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アニマル・コレクティヴ最新インタビュー 新作は“ムカデ・ヘルツ”?

2012-08-31
全世界の音楽ファンの間で絶大な人気を誇る不定形音楽集団、アニマル・コレクティヴ。ここ日本でも好評を得た前作『Merriweather Post Pavilion』以来、約3年ぶりとなるニュー・アルバム『Centipede Hz』が8月29日にリリースされた。

直訳すると“ムカデ・ヘルツ”という意味の新作は、ライヴ感満載のエネルギッシュなアルバム。前作には参加していなかったディーケン(ジョシュ・ディブ)が戻り、再び4人体制で制作された。ここでは6月に開催された「Taico Club 2012」のために来日したバンドから、エイヴィー・テア(デイヴ・ポートナー)とジオロジスト(ブライアン・ウェイツ)のインタビューをお届け。普段はとてもメロウな2人が、「エイリアンのラジオ局」をイメージしたという新作についてたっぷりと語ってくれた。



—ニュー・アルバムの完成おめでとうございます。初期の作品を思い起こさせるようなサウンドが印象的な、エナジー満載でエキサイティングでした。前作からは大きな変化ですが、今作との違いはどのように考えていますか?

ジオロジスト: 最も大きな違いとしては、サンプラーを多用するライヴから少し距離を置いて、よりフィジカルな演奏でライヴ感を楽しみたかった、ということ。特にノア(パンダ・ベア)は今作でドラムを叩いているし、デイヴ(エイヴィー・テア)も以前よりたくさんキーボードを演奏している。僕でさえ、キーボードを久しぶりに演奏しているんだ。僕に言わせれば、そこが主な違いかな。それがアルバムのサウンドのディテールに大きな影響を与えたように思う。特に君も言ったように、今作のハイ・エナジーな部分にね。

—アルバムのライヴ感にとてもワクワクしたのですが、意図的にそのようなサウンドを作られたのですか。

エイヴィー・テア: うん、そうなんだ。うまくライヴ感を出すことができて、僕らも興奮したよ。聴く空間によっても変わってくるから、いろんな場所で聴いて、その空間がどのようなサウンドを生み出すか新たな発見をするのも楽しいんだ。

—前作『Merriweather Post Pavilion』は日本のファンの間でもかなり高評価でしたが、期待に応えるべく、あのようなスペーシーなサウンドを再び作らなければならないような気分になったりはしませんでしたか?

エイヴィー・テア: 実はそうでもないよ。

ジオロジスト: 反対に、リヴァーブは絶対に使わないで、全くスペーシーじゃないサウンドにしようって話したかも。

—前作とは大きく違ったので、良い意味でショッキングでした。大きく違うけれど、別のベクトルでスペーシーな印象です。

エイヴィー・テア: うん、なんかスペーシーだよね(笑)

ジオロジスト: どちらかっていうとSFっぽい、宇宙船的な“スペース”だよね。宇宙で迷子になったようなサウンドかな。

—制作するにあたって、そういった特定のテーマやイメージはあったのですか?

エイヴィー・テア: 多少はあったかも。僕らはかねてからエイリアン・バンドになって演奏するようなイメージについて話していたんだ。

—『スター・ウォーズ』みたいな?

エイヴィー・テア: そうそう(笑)

—『スター・ウォーズ』のファンですか?

エイヴィー・テア: もちろん!それは間違いないよ。

—タイトル『Centipede Hz』の由来は?

エイヴィー・テア: いくつか理由があるんだ。最初は自分たちの目指している音の視覚的なイメージとして“ムカデ(Centipede)”が浮かんだ。たくさんの部位や足があって、いろんな方向にクネクネと動いて。僕らは複雑でたくさんの要素を含む音楽を奏でることで、自分たち自身に挑戦したかったんだ。特にライヴでね。ある意味、たくさんの部位は僕ら一人一人を表していて、みんなが一緒になってうまくいくというか。それに、ムカデって何だかエイリアンみたいな生き物だと思うんだ。だから、エイリアンっぽいヴァイブをアルバムに取り入れるためにも良かった。“Hz(ヘルツ)”は、ラジオやコミュニケーション、空間を旅するサウンドや、宇宙空間なんかを表していて、僕らが発信するエイリアンのラジオ局というイメージだよ。

—まさにティーザー映像のイメージですね。あれはご自分たちで作ったのですか?

エイヴィー・テア: うちの妹が作ったんだ。それを僕が監修して、ブライアン(ジオロジスト)がサウンドを作って、ちょっとしたコラボレーションが完成した。自分たちが抱いていた視覚的なアイデアを具現化して、アルバムのイメージに合う映像を作ろうと試みたんだよ。

—タイトルはアルバム完成後に決めたのですか?

エイヴィー・テア: そうだよ。というか、ミックス作業中に決めたんだ。

—というのも、曲ごとに全く異なる世界観を感じたので。

エイヴィー・テア: うん、今作はかなり幅広い方向に及んでいるよね。

—曲名を見ているだけでも、本当に違った世界が広がっていますよね。

ジオロジスト: 最初は学生時代の友人の名前を曲のタイトルにしていたんだ。なぜそれが良いアイデアだって思ったのかは謎なんだけどね(笑)少なくとも1つはその時のタイトルが残っているよ。あとは何でだったかな…ああ、曲の内容から決めたんだった。

エイヴィー・テア: そうそう。特に「Moonjock」はこのアルバムの指標となる曲だと思う。僕に言わせれば、“宇宙からのDJ”というイメージだよ。“ムーンジョッキー”ってこと。

—あの曲で一気にアルバムの世界観に引き込まれますよね。

エイヴィー・テア: それは良かった!

—あの曲から書き始めたのですか?

エイヴィー・テア: いや、実は最後の方に書いた曲なんだ。曲作りの面から行くと、アルバムに収録された中では「Today’s Supernatural」が最初の方に書いた曲だよ。あとはジョシュ(ディーケン)が書いた「Wide Eyed」かな。いくつかの曲はボルティモアでみんなで曲作りをしているときに、ジャム・セッションから生まれた。最初はコラボレーションから始めて、それから1人か2人で固めていったんだ。

ジオロジスト: 「Mercury Man」もわりと最初にできたよね。

—「Father Time」は、やはりメンバーが家庭を築き始めたことにインスパイアされたのですか?

エイヴィー・テア: あの曲は変化についての曲だよ。常に状況が変わっているっていうことさ。



—先ほどもおっしゃっていたように、今作ではボルティモアに戻って曲作りをしたそうですが、なぜそうしたのですか?

ジオロジスト: とにかくみんなが快適に、音楽に集中できる場所が必要だったんだ。メンバー全員、私生活でいろんなことがあった時期だったから、それは意外に簡単なことではなかったんだよね。デイヴはニューヨークから引っ越すところだったしね。

エイヴィー・テア: ああ、ニューヨークを出てボルティモアに1年半ほど滞在した。そして最近、ロサンゼルスに引っ越したんだよ。かねてから西海岸が大好きだったんだけど、長期滞在する機会がなかったからね。まだ少ししか暮らしていないけど、今のところ良い感じだよ。天気も最高だしね。友だちや親戚もいるし。初めて暮らすわりには親しみがあるんだ。

—あなたはどこを拠点にしているのですか?

ジオロジスト: ワシントンDCだよ。ボルティモアから近いんだ。

エイヴィー・テア: 僕らは3ヶ月間、ボルティモアで曲作りをしたんだ。あれは良かったよね。広いスペースでジャム・セッションして、練習スペースで自分たちだけで演奏できて。ほぼ毎日、3ヶ月間セッションしていたんだ。

ジオロジスト: パーティーしながらね。

エイヴィー・テア: それからテキサス州エル・パソでレコーディングした。

—なぜテキサスへ?

ジオロジスト: 実はスタジオ側から突然メールしてきたんだ。僕らのことが好きなインターンが居たらしくて、メールに書いてあったリンクをクリックしたら、なかなか良かった。僕らはボルティモアでバンドのビーチ・ハウスと仲良いんだけど、デイヴが「確か彼らもエル・パソのスタジオに行くって言っていた」って思い出して。そしたら偶然、同じスタジオだったんだ。彼らに聞いたら素晴らしいスタジオだって言うし、他のバンドからも好評だった。それに僕らが求めていた機材も揃っていたんだ。ちょうど僕らがスタジオを決める週に、運良く偶然に彼らがメールしてきたのさ。

—テキサスにはどれくらい滞在したのですか?

エイヴィー・テア: 6週間だよ。間に4日ほど休みを取ってボルティモアに帰ったけどね。レコーディングは1ヶ月くらいかな。

ジオロジスト: エル・パソはかなり隔絶しているから、ちょっと非現実的な体験だった。ビーチ・ハウスのメンバーも言っていたけど、映画『恋はデジャ・ブ』のような気分になったよ(笑)何も変化がなくて、毎日全く同じルーティンを繰り返すのさ。レコーディングが終わる頃には、帰る準備万端だった。でも、楽しくなかったわけではないよ。

エイヴィー・テア: とてもエイリアン的な体験だったよね。

—じゃあ結果的にばっちりですね(笑)

2人: (笑)

エイヴィー・テア: すごくクールな環境だったよ。ピーカン(ナッツ)農園にスタジオがあるんだ。3000エーカーにわたって花盛りでもないピーカンの木が、ただただ広がっている。そこにスタジオが建っているんだ。

ジオロジスト: ピーカン農園を相続したスタジオのオーナーが大の音楽好きで、ミュージシャンに自分の敷地内をうろついて欲しかったみたい(笑)

—今作ではジョシュが戻ってきたわけですが、彼と再び一緒に制作してみていかがでしたか?

エイヴィー・テア: 最高。

ジオロジスト: とても良かった。『Merriweather Post Pavilion』には参加していなかったけど、アルバムと同時に作った『ODDSAC』というDVDは4人全員で手掛けたんだよ。グッゲンハイム美術館での作品も一緒にやったし、ジョシュはデイヴのソロ・アルバムもサポートしていたんだ。だから、ジョシュと3年間全く一緒にやっていなかったというわけではないんだよ。

—そうなんですね。アルバムを再び一緒に制作してどうでしたか?

ジオロジスト: 良かったよ。みんなで良い曲を作れたし、彼のパートも良かったし。特に彼は生楽器を演奏する上でとても力強いミュージシャンだから、今作のライヴ感のあるエナジーには不可欠だった。

—再びプロデューサーのベン・アレンと一緒に仕事をすることになった経緯は?

エイヴィー・テア: ある意味、思いがけなく同じようなヴィジョンを抱いていたんだ。ライヴ感のある、エネルギッシュな作品を作りたいというね。僕らはライヴでは曲と曲をブレンドして間を空けずに演奏していたから、レコーディングもそういった形で試してみようと話していたんだ。彼は僕らのアトランタ公演を観て、これは自分がかつて一緒に『Merriweather Post Pavilion』をレコーディングしたバンドではない、と感じたらしい(笑)それで手紙をくれて、「もっとライヴ感のあるレコードを制作したい」って言ってくれた。僕らはその偶然に興奮したよ。それに、前回も彼とのレコーディングはやりやすかったし、明らかに優秀なプロデューサーだからね。それでまた一緒にやることになったんだ。

—アルバム発表前にはシングル「Honeycomb」をリリースされていましたが、アルバムに収録しなかったのはなぜですか?

エイヴィー・テア: あの曲はアルバムとは別の場所からできたように感じたんだ。アルバムをつなぎ合わせる作業は僕らにとって極めて重要なことだよ、全体的な流れだとかね。他の曲と並べてみて、あの曲は流れに合っていないように感じた。それに、1曲だけ収録した45回転のレコードをリリースしていた60年代のバンドみたいに、1曲だけ出すのもちょっと良いなって思ってね。

—他にも今回のレコーディング・セッションで生まれた曲で、収録されなかった曲はあるのですか?

ジオロジスト: あと1曲しか残っていないんだ。ボーナストラックにはしないけど、いつか何らかの形で聴かせられるかもね。

—さまざまな要素が含まれていて、非常にエネルギッシュなアルバムですが、まだ聴いていない人に対して、このアルバムを言葉でどのように表現しますか?

ジオロジスト: 君が既に言ってくれたよ。エネルギッシュで、アップビートで、よりライヴ感があって。それにエイリアンっぽいサウンドで。僕らがイメージしていたのは、エイリアンのバンドが地球から発信されるものを聴いて、それをコピーしようとしたらどんなサウンドになるか、っていうこと。でも同時に、より人間的な要素も維持して、この惑星のリスナーにも共感してもらえる作品にしたかった。



—今作を引っさげて出演した「Taico Club」はいかがでしたか?

ジオロジスト: 楽しかったよ。良いバンドもたくさん観られたしね。ボアダムスは最高だったし、アフリカ・ハイテックもすごく良かった。

エイヴィー・テア: セパルキュアやマシンドラムもね。

ジオロジスト: リカルド・ヴィラロボスも良かった。

—かなり楽しめたようですね。日本のファンの前でのライヴはいかがでしたか?

ジオロジスト: 楽しいライヴだったよ。僕らにとって、ほぼ1年ぶりのショーだったんだ。ちょっと緊張したんだけど、うまく行ったと思う。フェスとクラブではオーディエンスがちょっと違うみたいだね。クラブのオーディエンスはもっと大人しい感じだけど、フェスではみんな興奮している。2年前にフジロックも体験したけど、フェスではみんなクレイジーになるよね(笑)

—日本のファンの作品への反応は、他国のファンと違ったりしますか?あなたたちの日本のファンはかなり熱狂的な印象ですが。

エイヴィー・テア: うん、良い意味でかなり熱狂的なファンが世界中にいるよ(笑)僕らは自分たちが子どもの頃に音楽に対して抱いていた気持ちを、音にしたいと思っているんだ。みんなが参加できるような、スペシャルなクラブを作るっていう感じかな。日本にもそんなファンがたくさん待っていてくれると感じているよ。

—日本で好きな場所はありますか?

ジオロジスト: 初来日の時に京都に行ったんだけど、すごく気に入ったよ。それに下北沢が好き。気に入っているレコード屋があるから、毎回あのエリアを散歩するんだ。高層ビルが立ち並ぶエリアよりも、低い建物や古い建物がある細いストリートの方が好きだな。

エイヴィー・テア: 僕は屋久島に行ったことがあって、あれは素晴らしい体験だった。巨大な杉の木も見られたし、本当に美しかった。

ジオロジスト: まだツアーの予定は決まっていないけど、アルバムが出たらツアーで戻ってきて、いろんな都市を訪れたいと思っているよ。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

エイヴィー・テア: いつも僕らの音楽を聴いて、はまってくれてありがとう。

ジオロジスト: 新作も楽しんでね!


Interview + Text: Nao Machida




アニマル・コレクティヴ
2000年に米ボルティモアの友人同士で自然発生的に結成。同年にデビュー・アルバムとなる『Spirit They're Gone, Spirit They're Vanished』を自主レーベル<Animal>からリリース。アルバム毎に参加メンバーが異なる不定形コレクティヴとして数枚のアルバムを発表、アンダーグラウンド・シーンで注目を浴びる。<FatCat>より『Sung Tongs』(04年)、続いて『Feels』(05年)を発表すると世界的な絶賛を浴びる。その後UK人気レーベル<Domino>と世界契約を結び、07年に『Strawberry Jam』、09年に『Merriweather Post Pavilion』をリリース。どちらもその年を代表する傑作として高い評価を受け、数々の年間ベストに選出される。いまやアメリカ音楽界を牽引するバンドとして、世界中の音楽ファンから絶大なる指示を得ている。




『Centipede Hz』

01. Moonjock
02. Today's Supernatural
03. Rosie Oh
04. Applesauce
05. Wide Eyed
06. Father Time
07. New Town Burnout
08. Monkey Riches
09. Mercury Man
10. Pulleys
11. Amanita
12. Honeycomb(Bonus Track)
13. Gotham(Bonus Track)

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ブロック・パーティーがついに再始動!新作『Four』を語る

2012-08-17

英ロンドン出身の4人組、ブロック・パーティーが、約3年間の活動休止期間を経て、ついにバンド活動を再始動!今週(8月15日)ファン待望のニュー・アルバム『Four』を日本先行リリースした。6月には彼らに再び会える日を4年間待っていた日本のファンのために、東京・恵比寿ガーデンホールにて開催されたライヴ・イベント「Hostess Club Weekender」にヘッドライナーとして出演。最高にロックな新曲も披露し、オーディエンスから大歓迎を受けた。ここで紹介するのは、来日時にMTV Newsが行ったインタビュー。ベースのゴードン・モークスとドラムのマット・トンが、再結成までの道のりやアルバム制作について、そして今後のブロック・パーティーについてなど、たっぷり話してくれた。

写真左から=ゴードン、ラッセル、マット、ケリー


―日本のファンはブロック・パーティーの来日を4年間待っていました。バンドとして再び来日した感想は?

 

マット: エキサイティングだよ。

 

ゴードン: 良い気分だ。

 

マット: 自分たちの国とは全然違うのだけれど、なぜか日本には親しみを感じるんだ。これまでに10回か11回来日しているけど…

 

ゴードン: そんなに?

 

マット: うん、1度数えてみたんだ。どういうわけか日本に来ると、長いこと会っていなかった古い友人に会うような気分になるよ。

 

―ヴォーカルのケリーは再始動を発表するブログの中で、あなたたちと一緒に活動した日々が恋しくなったと書いていました。約3年間の活動休止期間を経て、2人はどのように感じていましたか?

 

マット: 活動を再始動するというアイデアに慣れるには、少し時間がかかったよ。僕らはある意味、4人バラバラになりたくて活動休止期間を始めたわけで…。

 

―『Intimacy』をリリースした後、何があったのですか?バンド活動に疲れてしまったのですか?

 

2人: …うん(笑)

 

ゴードン: ツアー生活に疲れていたし…何だか変なところまできていたんだ。将来的な展望をみんなで話すことがなくなって。お互いやりたいことを話し合わずに、それぞれが別のことを考えていた。だから、意見がバラバラでまとまらなくなってしまった。4人が全員バラバラの場所に居て、異なる意見を抱えている感じだったよ。あまりにもまとまりがなくなってしまったから、まずは1度距離を置こうということになった。それぞれが作りたいと考えていた音楽を作って、とにかくこれまでとは違ったことをしてみよう、と。


―活動休止中は連絡を取り合っていたのですか?

 

2人: (笑)

 

マット: ケリーが何度も電話をかけてきたけど、僕は最終的に電話をトイレに置いていたよ(笑)

 

ゴードン: 僕は活動休止中に2番目の子どもが生まれたから、全く遊びに行かなくなったんだ。

 

―家庭に集中していたんですね。

 

ゴードン: ああ、疲れ切っていたよ(笑)だからメンバーと遊びに行くこともなかった。マットはニューヨークに住んでいて、ケリーも向こうに居たしね。

 

マット: ケリーは昨年の半分くらいをニューヨークで過ごしていた。ケリーはツアーをしていたし、ゴードンもツアーしたり、自分のバンドをやったりして、ラッセルもアッシュとツアーしていた。だから、お互いに連絡を取らなくても特に変な感じではなかったんだよね。しばらく距離を置いて、自分の時間を持てたことは良かったんじゃないかな。常にバンドと一緒に居ると、時に自分を見失ってしまうんだ。バンドだけではなく、クルーやレコード・レーベルのスタッフも居るんだからね。たまにメンバー間でメールを送り合ったりしたことはあったけど、ほとんど会うことはなかった。ゴードンには1年くらい会わなかったよ。

 

―マットは活動休止期間はどのように過ごしたのですか?

 

マット: ニューヨークに引っ越したから、自宅やスタジオを整えていた。地下にスタジオを作って、自分の好きなように音楽作りをしていたよ。


―新作を聴く限り、活動休止は効果的だったようですね。昨年はあなたたちがケリーをバンドから追い出したという噂が流れていて心配しましたが。

 

ゴードン: 冗談が誤って解釈されてしまったんだ。

 

マット: 実際に何があったんだっけ?

 

ゴードン: 一部のイギリスの新聞やWEBサイトは、時にでっちあげた記事を掲載するんだ。僕らから言わせれば、ケリーがインタビューで発したふざけたコメントが真に受けられてしまっただけ。あまりにばかげていたから、僕たちはあえて否定しないことにしたんだ。そしたら収拾つかなくなってしまった。

 

マット: そもそもケリーが何であんなインタビューをやったかも分からないよ。でも次の瞬間、みんなから『君のバンドに何があったの?』って聞かれるようになって、『知らねえよ』って感じだった。でも、あれはありえないくらいばかげているよ。僕らとラッセルが偶然ニューヨークに居て、3人で次のアルバムの話をしているときにケリーが通りかかるなんてさ。

 

ゴードン: 本当にばかみたいだ。これはまさにイギリスの音楽メディアの現状を表している。彼らは自分たちで好き勝手なことを書いて、それがUKの音楽シーンのアジェンダを決めてしまうんだ。

 

マット: イギリス人は皮肉なジョークを言うのが得意だって分かっているのだから、メディアが勘違いするわけないのにね。それを真に受けたふりをしたところで、何も生み出さないのに。

 

―あの報道があった時点で、既に新作の曲作りは始まっていたのですか?

 

ゴードン: ああ、既にたくさんの曲を書いていたよ。

 

マット: レコーディングを始める直前だった。去年の秋くらいかな。

―なぜ新作を作ろうと決めたのですか?誰が言い出したの?

 

ゴードン: ケリーだよね?ケリーがみんなで集まって話そうと連絡してきた。苦渋の決断だったと思うよ。全員がエゴを飲み込んで、集まって、自分たちがいかに多くのことを乗り越えてきた4人組だって気づくということは、簡単なことではなかった。水に流して振り返りたくないこともたくさんあったよ。

 

―ケリーから連絡を受けたときの反応は?すぐに同意しましたか?

 

ゴードン: 僕は家庭があって幼い子どももいるし、正直言って、生活の安定を懸念したよ。みんなで集まる前にマットと話したんだんだよね。そのときのマットは…(笑)

 

マット: ああ、僕は絶対にやりたくないと決めていたんだ。みんなに断るつもりで会いに行った。

 

―そうなんですか!? なぜ考えを変えたのですか?

 

マット: なぜ考えを変えたかは分からないな。

 

ゴードン: 薬を飲まされて殴られたのさ。ドラムスティックを手に縛り付けられてね(笑)

 

マット: ああ、6ヶ月後に目覚めたら、手にドラムスティックが植えつけられていた(笑)それは冗談だけど、いざミーティングに行ってみたらね。僕はそれまでずっと、『絶対にやらない』って傲慢な態度だったんだけど、実際にメンバーに会ったら、やらないなんてばかげていると感じた。グループとして全力投球して、何か誇りに思える作品ができるかもしれない、とね。何年後かに振り返って後悔したくなかった。これは僕らに与えられた素晴らしいチャンスで、誰もが得られるものではないと気づいた。

 

ゴードン: 僕らはそれまで、それぞれが自分のことをバンドよりも偉大だと考えているところがあった。でも4人でしか成し遂げられないことがあるんだと気づいたんだと思う。そういう考えが急によみがえってきたんだ。

―新作を作ると決めてくださって良かったです。『Four』をさっそく聴かせていただきましたが、素晴らしい作品ですね。ようやく完成してリリースする気分は?

 

ゴードン: ありがとう!ここへ来て、少しずつ新曲を聴いてもらったり、ライヴで演奏し始めたりしていて、とても楽しいよ。誰かに指図されることなく、自分たちの思うように作ったんだ。これからもそうやって続けていきたい。良い気分だよ。

 

マット: この作品ができるまでのプロセスは長かったけど、その大半はスムーズに進んだよ。通常はミックスの段階にがっかりしたりすることもあるんだけど、プロデューサーのアレックス・ニューポートは僕らがやりたかったことを見事に実現してくれたように思う。アレックスは指導しすぎることもなくて、それも良かった。本当に楽しかったよ。

 

―アレックス・ニューポートをプロデューサーに抜擢した理由は?

 

ゴードン: 僕らは自分たちのアイデアに共感してくれるロック系のプロデューサーを探していたんだ。過去にはプロデューサーがアイデアを持ち込んで、それと戦った結果が作品になったりしたこともある。でも、今回は自分のアイデアを押し付けるのではなく、バンド側に立ってくれる人を求めていたんだ。アレックスに会った段階では、実際に彼が適任かは分かっていなかった。でも、僕たちが求めていることを彼なら理解してくれるのではないかと感じたんだ。それで2曲ほど一緒にやってみて、それが実際にアルバムの両極になった。とてもヘヴィな曲ときれいな曲でね。彼がそれらの楽曲をどのように手がけてくれるか試してみて、結果的にすごく満足したんだ。そのプロセスを経て、残りのアルバムもアレックスと一緒にやろうと決めたんだよ。

 

―曲作りは活動休止期間中に始めていたのですか?それとも今作のために新たに書いたものですか?

 

ゴードン: 全員書いていたとは思うけど、僕はアイデアを持ち込むことはしなかったよ。

 

マット: ラッセルは少し書いていたんじゃないかな。ケリーは突然浮かんだりするんだよ。ラッセルとケリーとゴードンは、昨年から曲作りのために集まったりしていた。それから1度分かれて、そしてラッセルが浮かんだアイデアをデモにしたCDを聴かせてくれた。ケリーがどのように関わっていたかは分からないけど、とにかくそこから始めたんだ。

 

ゴードン: ある日、ケリーがデフトーンズの「My Own Summer (Shove It)」みたいな曲を書きたいって言い出したことは覚えている。ああいうビートが使いたいって。それがどの曲になったかは言えないけど、ラッセルは家に持ち帰って、俺たちのためにリフを用意してくれたんだ。彼が1人でやる作品はもっとダンス系だからね。とにかくその曲がきっかけとなり、アルバムの残りのペースが定まったように思う。ケリーもロックをたくさん聴いていたらしく、『ロックなレコードにしよう』っていうことになったんだ。

 

マット: 僕が最初にそのCDに入っていたデモで聴いたのは、のちに「So He Begins to Lie」になったリフだった。初めて聴いたその曲がアルバムの1曲目になってうれしいよ。

―4人で作った4年ぶり4枚目のアルバムということ以外に、タイトル『Four』に込めたメッセージはありますか?

 

ゴードン: 特にないかも(笑)俺たちはできる限りメッセージをミニマムに留めたいんだ。

 

マット: “メッセージ派”のバンドではないんだよね(笑)

 

ゴードン: アルバムのプロモーションをする上で重要なことだよ。メッセージをシンプルでプレーンなものにしておかないと、インタビューで長々と説明しなくちゃならないからね(笑)

 

―アルバムのジャケット・デザインについてお聞かせください。

 

ゴードン: ジャケット用に僕が20パターンほどのアイデアを出したんだ。『Four』というタイトルと、メンバー4人とを念頭にね。テキストを入れたりもしてみたし、いろいろ考えたんだけど、最終的にこれが選ばれたわけ。

 

―20パターンも作ったんですか。

 

ゴードン: そんなに作るつもりはなかったんだけどね。でもみんなに送って選んでもらう必要があったから、ある程度の数がないと良いデザインが目立たないと思ってさ。中にはそっくりなものもあれば、クソみたいなものもあったよ。4つの電話のデザインとか。

 

マット: 僕は気に入っていたよ(笑)

 

ゴードン: 各メンバーが住んでいた地域の時間に設定した4つの時計をデザインしたものとかね。「ないよね」って感じだった(笑)俺はトランプのジャックとキングとクイーンとエースのやつが気に入っていたんだけど…

 

マット: あれはとても良かったよ。

 

ゴードン: でも、最終的に良いデザインは明らかだったよ。このデザインのコンセプトは、僕たち4人を4色で表現したんだ(ケリー=赤、ゴードン=青、ラッセル=黄色、マット=緑)。WEBサイトやCDのスリーヴもメンバーそれぞれの色を統一してね。とてもシンプルなアイデアだよ。

 

―活動休止期間は、このアルバムにどのように影響したと思われますか?

 

マット: それぞれが自分を見つめる時間を設けたことで、バンドに与えられることが増えたように思う。過去の僕らはバンドにどのように貢献すべきか理解するのに苦労していたと思うんだ。サウンドがあまりにも劇的に変わったこともあってね。自分たちが何をするべきか見失っていた。今回は、楽曲はスタジオ入りする前に形づくられていたし、以前よりもシンプルに、4人で演奏するということに集中できたと思う。

 

ゴードン: ああ、僕らは最も得意とする楽器を演奏して、自分たちの立ち位置を守って、僕がベース、ラッセルがギター、ケリーがヴォーカル、マットがドラムに集中した。ある意味、それは境界線になりかねないのだけど、クリエイティヴな作業においては良い境界線で、自分が正しいと思うことができる自由が与えられたんだ。

 

―ライヴを観て、再びメンバー間に良いケミストリーが生じているのが分かりました。時を経て一緒に演奏するのはどんな気分ですか?

 

マット: 良い感じだよ。ゴードンはヤング・レジョネアでの活動を経て、演奏がシャープになったように思うな。ブロック・パーティーよりも音楽的レベルが高いバンドだからね(笑)少なくとも、より集中力を要する音楽だから。

 

ゴードン: あの音楽ではあまり踊れないよね(笑)

 

マット: 僕らはレコーディングの前に十分に準備をしていたから、以前よりもライヴ・バンドとしてのレベルが上がったように思うんだ。今では強い基盤ができたし、過去の僕らよりも演奏が上手くなったんじゃないかな。

 

ゴードン: 4公演やった時点で既に実感しているよ。あと3週間もツアーを回っていれば、演奏がもっとタイトになると思う。


―新曲も演奏していましたが、日本のファンはまるでもう曲を知っていたかのようなリアクションで驚きました。

 

マット: そうなんだよ!イギリスでやったライヴをファンが撮影した動画でもチェックしていたんじゃないかな。

 

―というよりも、とにかくあなたたちのライヴを再び観ることができてうれしかったんだと思います。

 

マット: ああ、そうだよね。本当に良い気分だったよ(笑)

 

―ところで私が間違っていなければ、ライヴの最後にリアーナの「We Found Love」をカヴァーしていましたよね?

 

マット: ケリーがリアーナにはまっていてね…(笑)

 

―今後、日本でツアーをやる予定はありますか?

 

マット: ああ、香港やインドネシアなど、アジアのほかの国からもリクエストがあるんだ。だからより大規模なアジア・ツアーの一環として来日できたらいいね。

 

―ようやく活動を再開したブロック・パーティーですが、今後は長く活動を続けてくれますか?

 

マット: ああ(笑)既にこの先1年はツアーが決まっているし、大丈夫だよ!

 

―日本のファンにメッセージを。

 

マット: こんなに長い間待っていてくれてありがとう。再び来日してオーディエンスが居てくれたことに感謝しているよ。またツアーをやって新作の楽曲を演奏したいし、『Intimacy』の後も来日していないから、あのアルバムの曲も披露したいな。楽しみにしているよ。

 

ゴードン: 日本は大好きだよ。時差ぼけがなければもっといいんだけど(笑)それに日本のベッドはちょっと固いな。それ以外は完璧!


Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida  



ブロック・パーティー:

2004年にミニ・アルバム『Bloc Party』でデビューしたロンドン出身の4人組バンド。05年、デビュー・アルバム『Silent Alarm』が英アルバム・チャート第3位、またヨーロッパ9カ国でトップ10にランク・インし、一気に世界的ロック・シーンの第一線へと躍り出る。この作品は世界中のメディアから高い評価を得ると同時に、全世界で100万枚を超えるセールスを叩き出した。さらに07年のセカンド・アルバム『A Weekend in the City』も、あらゆるメディアから軒並み大絶賛を獲得。世界的セールス100万枚を超える大ヒットとなり、名実共にイギリスの音楽シーンの新時代を代表するバンドとなる。08年のサード・アルバム『Intimacy』リリース後、09年以降バンドとしての活動を休止し、メンバーはそれぞれ個々のプロジェクトに専念していた。本作は約4年ぶり、活動再開後初めて発表するアルバムとなる。

日本オフィシャルサイト>> 
ブロック・パーティーにまつわるトリビア・クイズに答えて、メンバーからの直筆の手紙やサイン入りポラロイドなど豪華お宝グッズが当たるキャンペーン実施中!

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