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アニマル・コレクティヴ最新インタビュー 新作は“ムカデ・ヘルツ”?

2012-08-31
全世界の音楽ファンの間で絶大な人気を誇る不定形音楽集団、アニマル・コレクティヴ。ここ日本でも好評を得た前作『Merriweather Post Pavilion』以来、約3年ぶりとなるニュー・アルバム『Centipede Hz』が8月29日にリリースされた。

直訳すると“ムカデ・ヘルツ”という意味の新作は、ライヴ感満載のエネルギッシュなアルバム。前作には参加していなかったディーケン(ジョシュ・ディブ)が戻り、再び4人体制で制作された。ここでは6月に開催された「Taico Club 2012」のために来日したバンドから、エイヴィー・テア(デイヴ・ポートナー)とジオロジスト(ブライアン・ウェイツ)のインタビューをお届け。普段はとてもメロウな2人が、「エイリアンのラジオ局」をイメージしたという新作についてたっぷりと語ってくれた。



—ニュー・アルバムの完成おめでとうございます。初期の作品を思い起こさせるようなサウンドが印象的な、エナジー満載でエキサイティングでした。前作からは大きな変化ですが、今作との違いはどのように考えていますか?

ジオロジスト: 最も大きな違いとしては、サンプラーを多用するライヴから少し距離を置いて、よりフィジカルな演奏でライヴ感を楽しみたかった、ということ。特にノア(パンダ・ベア)は今作でドラムを叩いているし、デイヴ(エイヴィー・テア)も以前よりたくさんキーボードを演奏している。僕でさえ、キーボードを久しぶりに演奏しているんだ。僕に言わせれば、そこが主な違いかな。それがアルバムのサウンドのディテールに大きな影響を与えたように思う。特に君も言ったように、今作のハイ・エナジーな部分にね。

—アルバムのライヴ感にとてもワクワクしたのですが、意図的にそのようなサウンドを作られたのですか。

エイヴィー・テア: うん、そうなんだ。うまくライヴ感を出すことができて、僕らも興奮したよ。聴く空間によっても変わってくるから、いろんな場所で聴いて、その空間がどのようなサウンドを生み出すか新たな発見をするのも楽しいんだ。

—前作『Merriweather Post Pavilion』は日本のファンの間でもかなり高評価でしたが、期待に応えるべく、あのようなスペーシーなサウンドを再び作らなければならないような気分になったりはしませんでしたか?

エイヴィー・テア: 実はそうでもないよ。

ジオロジスト: 反対に、リヴァーブは絶対に使わないで、全くスペーシーじゃないサウンドにしようって話したかも。

—前作とは大きく違ったので、良い意味でショッキングでした。大きく違うけれど、別のベクトルでスペーシーな印象です。

エイヴィー・テア: うん、なんかスペーシーだよね(笑)

ジオロジスト: どちらかっていうとSFっぽい、宇宙船的な“スペース”だよね。宇宙で迷子になったようなサウンドかな。

—制作するにあたって、そういった特定のテーマやイメージはあったのですか?

エイヴィー・テア: 多少はあったかも。僕らはかねてからエイリアン・バンドになって演奏するようなイメージについて話していたんだ。

—『スター・ウォーズ』みたいな?

エイヴィー・テア: そうそう(笑)

—『スター・ウォーズ』のファンですか?

エイヴィー・テア: もちろん!それは間違いないよ。

—タイトル『Centipede Hz』の由来は?

エイヴィー・テア: いくつか理由があるんだ。最初は自分たちの目指している音の視覚的なイメージとして“ムカデ(Centipede)”が浮かんだ。たくさんの部位や足があって、いろんな方向にクネクネと動いて。僕らは複雑でたくさんの要素を含む音楽を奏でることで、自分たち自身に挑戦したかったんだ。特にライヴでね。ある意味、たくさんの部位は僕ら一人一人を表していて、みんなが一緒になってうまくいくというか。それに、ムカデって何だかエイリアンみたいな生き物だと思うんだ。だから、エイリアンっぽいヴァイブをアルバムに取り入れるためにも良かった。“Hz(ヘルツ)”は、ラジオやコミュニケーション、空間を旅するサウンドや、宇宙空間なんかを表していて、僕らが発信するエイリアンのラジオ局というイメージだよ。

—まさにティーザー映像のイメージですね。あれはご自分たちで作ったのですか?

エイヴィー・テア: うちの妹が作ったんだ。それを僕が監修して、ブライアン(ジオロジスト)がサウンドを作って、ちょっとしたコラボレーションが完成した。自分たちが抱いていた視覚的なアイデアを具現化して、アルバムのイメージに合う映像を作ろうと試みたんだよ。

—タイトルはアルバム完成後に決めたのですか?

エイヴィー・テア: そうだよ。というか、ミックス作業中に決めたんだ。

—というのも、曲ごとに全く異なる世界観を感じたので。

エイヴィー・テア: うん、今作はかなり幅広い方向に及んでいるよね。

—曲名を見ているだけでも、本当に違った世界が広がっていますよね。

ジオロジスト: 最初は学生時代の友人の名前を曲のタイトルにしていたんだ。なぜそれが良いアイデアだって思ったのかは謎なんだけどね(笑)少なくとも1つはその時のタイトルが残っているよ。あとは何でだったかな…ああ、曲の内容から決めたんだった。

エイヴィー・テア: そうそう。特に「Moonjock」はこのアルバムの指標となる曲だと思う。僕に言わせれば、“宇宙からのDJ”というイメージだよ。“ムーンジョッキー”ってこと。

—あの曲で一気にアルバムの世界観に引き込まれますよね。

エイヴィー・テア: それは良かった!

—あの曲から書き始めたのですか?

エイヴィー・テア: いや、実は最後の方に書いた曲なんだ。曲作りの面から行くと、アルバムに収録された中では「Today’s Supernatural」が最初の方に書いた曲だよ。あとはジョシュ(ディーケン)が書いた「Wide Eyed」かな。いくつかの曲はボルティモアでみんなで曲作りをしているときに、ジャム・セッションから生まれた。最初はコラボレーションから始めて、それから1人か2人で固めていったんだ。

ジオロジスト: 「Mercury Man」もわりと最初にできたよね。

—「Father Time」は、やはりメンバーが家庭を築き始めたことにインスパイアされたのですか?

エイヴィー・テア: あの曲は変化についての曲だよ。常に状況が変わっているっていうことさ。



—先ほどもおっしゃっていたように、今作ではボルティモアに戻って曲作りをしたそうですが、なぜそうしたのですか?

ジオロジスト: とにかくみんなが快適に、音楽に集中できる場所が必要だったんだ。メンバー全員、私生活でいろんなことがあった時期だったから、それは意外に簡単なことではなかったんだよね。デイヴはニューヨークから引っ越すところだったしね。

エイヴィー・テア: ああ、ニューヨークを出てボルティモアに1年半ほど滞在した。そして最近、ロサンゼルスに引っ越したんだよ。かねてから西海岸が大好きだったんだけど、長期滞在する機会がなかったからね。まだ少ししか暮らしていないけど、今のところ良い感じだよ。天気も最高だしね。友だちや親戚もいるし。初めて暮らすわりには親しみがあるんだ。

—あなたはどこを拠点にしているのですか?

ジオロジスト: ワシントンDCだよ。ボルティモアから近いんだ。

エイヴィー・テア: 僕らは3ヶ月間、ボルティモアで曲作りをしたんだ。あれは良かったよね。広いスペースでジャム・セッションして、練習スペースで自分たちだけで演奏できて。ほぼ毎日、3ヶ月間セッションしていたんだ。

ジオロジスト: パーティーしながらね。

エイヴィー・テア: それからテキサス州エル・パソでレコーディングした。

—なぜテキサスへ?

ジオロジスト: 実はスタジオ側から突然メールしてきたんだ。僕らのことが好きなインターンが居たらしくて、メールに書いてあったリンクをクリックしたら、なかなか良かった。僕らはボルティモアでバンドのビーチ・ハウスと仲良いんだけど、デイヴが「確か彼らもエル・パソのスタジオに行くって言っていた」って思い出して。そしたら偶然、同じスタジオだったんだ。彼らに聞いたら素晴らしいスタジオだって言うし、他のバンドからも好評だった。それに僕らが求めていた機材も揃っていたんだ。ちょうど僕らがスタジオを決める週に、運良く偶然に彼らがメールしてきたのさ。

—テキサスにはどれくらい滞在したのですか?

エイヴィー・テア: 6週間だよ。間に4日ほど休みを取ってボルティモアに帰ったけどね。レコーディングは1ヶ月くらいかな。

ジオロジスト: エル・パソはかなり隔絶しているから、ちょっと非現実的な体験だった。ビーチ・ハウスのメンバーも言っていたけど、映画『恋はデジャ・ブ』のような気分になったよ(笑)何も変化がなくて、毎日全く同じルーティンを繰り返すのさ。レコーディングが終わる頃には、帰る準備万端だった。でも、楽しくなかったわけではないよ。

エイヴィー・テア: とてもエイリアン的な体験だったよね。

—じゃあ結果的にばっちりですね(笑)

2人: (笑)

エイヴィー・テア: すごくクールな環境だったよ。ピーカン(ナッツ)農園にスタジオがあるんだ。3000エーカーにわたって花盛りでもないピーカンの木が、ただただ広がっている。そこにスタジオが建っているんだ。

ジオロジスト: ピーカン農園を相続したスタジオのオーナーが大の音楽好きで、ミュージシャンに自分の敷地内をうろついて欲しかったみたい(笑)

—今作ではジョシュが戻ってきたわけですが、彼と再び一緒に制作してみていかがでしたか?

エイヴィー・テア: 最高。

ジオロジスト: とても良かった。『Merriweather Post Pavilion』には参加していなかったけど、アルバムと同時に作った『ODDSAC』というDVDは4人全員で手掛けたんだよ。グッゲンハイム美術館での作品も一緒にやったし、ジョシュはデイヴのソロ・アルバムもサポートしていたんだ。だから、ジョシュと3年間全く一緒にやっていなかったというわけではないんだよ。

—そうなんですね。アルバムを再び一緒に制作してどうでしたか?

ジオロジスト: 良かったよ。みんなで良い曲を作れたし、彼のパートも良かったし。特に彼は生楽器を演奏する上でとても力強いミュージシャンだから、今作のライヴ感のあるエナジーには不可欠だった。

—再びプロデューサーのベン・アレンと一緒に仕事をすることになった経緯は?

エイヴィー・テア: ある意味、思いがけなく同じようなヴィジョンを抱いていたんだ。ライヴ感のある、エネルギッシュな作品を作りたいというね。僕らはライヴでは曲と曲をブレンドして間を空けずに演奏していたから、レコーディングもそういった形で試してみようと話していたんだ。彼は僕らのアトランタ公演を観て、これは自分がかつて一緒に『Merriweather Post Pavilion』をレコーディングしたバンドではない、と感じたらしい(笑)それで手紙をくれて、「もっとライヴ感のあるレコードを制作したい」って言ってくれた。僕らはその偶然に興奮したよ。それに、前回も彼とのレコーディングはやりやすかったし、明らかに優秀なプロデューサーだからね。それでまた一緒にやることになったんだ。

—アルバム発表前にはシングル「Honeycomb」をリリースされていましたが、アルバムに収録しなかったのはなぜですか?

エイヴィー・テア: あの曲はアルバムとは別の場所からできたように感じたんだ。アルバムをつなぎ合わせる作業は僕らにとって極めて重要なことだよ、全体的な流れだとかね。他の曲と並べてみて、あの曲は流れに合っていないように感じた。それに、1曲だけ収録した45回転のレコードをリリースしていた60年代のバンドみたいに、1曲だけ出すのもちょっと良いなって思ってね。

—他にも今回のレコーディング・セッションで生まれた曲で、収録されなかった曲はあるのですか?

ジオロジスト: あと1曲しか残っていないんだ。ボーナストラックにはしないけど、いつか何らかの形で聴かせられるかもね。

—さまざまな要素が含まれていて、非常にエネルギッシュなアルバムですが、まだ聴いていない人に対して、このアルバムを言葉でどのように表現しますか?

ジオロジスト: 君が既に言ってくれたよ。エネルギッシュで、アップビートで、よりライヴ感があって。それにエイリアンっぽいサウンドで。僕らがイメージしていたのは、エイリアンのバンドが地球から発信されるものを聴いて、それをコピーしようとしたらどんなサウンドになるか、っていうこと。でも同時に、より人間的な要素も維持して、この惑星のリスナーにも共感してもらえる作品にしたかった。



—今作を引っさげて出演した「Taico Club」はいかがでしたか?

ジオロジスト: 楽しかったよ。良いバンドもたくさん観られたしね。ボアダムスは最高だったし、アフリカ・ハイテックもすごく良かった。

エイヴィー・テア: セパルキュアやマシンドラムもね。

ジオロジスト: リカルド・ヴィラロボスも良かった。

—かなり楽しめたようですね。日本のファンの前でのライヴはいかがでしたか?

ジオロジスト: 楽しいライヴだったよ。僕らにとって、ほぼ1年ぶりのショーだったんだ。ちょっと緊張したんだけど、うまく行ったと思う。フェスとクラブではオーディエンスがちょっと違うみたいだね。クラブのオーディエンスはもっと大人しい感じだけど、フェスではみんな興奮している。2年前にフジロックも体験したけど、フェスではみんなクレイジーになるよね(笑)

—日本のファンの作品への反応は、他国のファンと違ったりしますか?あなたたちの日本のファンはかなり熱狂的な印象ですが。

エイヴィー・テア: うん、良い意味でかなり熱狂的なファンが世界中にいるよ(笑)僕らは自分たちが子どもの頃に音楽に対して抱いていた気持ちを、音にしたいと思っているんだ。みんなが参加できるような、スペシャルなクラブを作るっていう感じかな。日本にもそんなファンがたくさん待っていてくれると感じているよ。

—日本で好きな場所はありますか?

ジオロジスト: 初来日の時に京都に行ったんだけど、すごく気に入ったよ。それに下北沢が好き。気に入っているレコード屋があるから、毎回あのエリアを散歩するんだ。高層ビルが立ち並ぶエリアよりも、低い建物や古い建物がある細いストリートの方が好きだな。

エイヴィー・テア: 僕は屋久島に行ったことがあって、あれは素晴らしい体験だった。巨大な杉の木も見られたし、本当に美しかった。

ジオロジスト: まだツアーの予定は決まっていないけど、アルバムが出たらツアーで戻ってきて、いろんな都市を訪れたいと思っているよ。

—最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

エイヴィー・テア: いつも僕らの音楽を聴いて、はまってくれてありがとう。

ジオロジスト: 新作も楽しんでね!


Interview + Text: Nao Machida




アニマル・コレクティヴ
2000年に米ボルティモアの友人同士で自然発生的に結成。同年にデビュー・アルバムとなる『Spirit They're Gone, Spirit They're Vanished』を自主レーベル<Animal>からリリース。アルバム毎に参加メンバーが異なる不定形コレクティヴとして数枚のアルバムを発表、アンダーグラウンド・シーンで注目を浴びる。<FatCat>より『Sung Tongs』(04年)、続いて『Feels』(05年)を発表すると世界的な絶賛を浴びる。その後UK人気レーベル<Domino>と世界契約を結び、07年に『Strawberry Jam』、09年に『Merriweather Post Pavilion』をリリース。どちらもその年を代表する傑作として高い評価を受け、数々の年間ベストに選出される。いまやアメリカ音楽界を牽引するバンドとして、世界中の音楽ファンから絶大なる指示を得ている。




『Centipede Hz』

01. Moonjock
02. Today's Supernatural
03. Rosie Oh
04. Applesauce
05. Wide Eyed
06. Father Time
07. New Town Burnout
08. Monkey Riches
09. Mercury Man
10. Pulleys
11. Amanita
12. Honeycomb(Bonus Track)
13. Gotham(Bonus Track)

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