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『マリリン 7日間の恋』ミシェル・ウィリアムズ来日インタビュー

2012-03-23
魅惑的なセックスシンボルとして世界を虜にした世紀のスター、マリリン・モンローが、36歳という若さでこの世を去ってから今年で50年。彼女の知られざる素顔を描いた映画『マリリン 7日間の恋』がついに公開される。タイトルどおり、マリリンと名もなき青年の一週間のはかない恋を描いた今作で、マリリン役を美しく繊細に演じたミシェル・ウィリアムズが待望の初来日を果たした。

スクリーンで観るよりも小柄でブロンドのベリーショートがチャーミングな彼女は、いまやハリウッドを代表する女優の一人であるにもかかわらず、とても気さくで地に足の着いた聡明な女性だ。元恋人の故ヒース・レジャーとの間に誕生した6歳になる愛娘マティルダちゃんの話題になると、ふと優しい母親の顔を見せたのが印象的だった。マリリン・モンローについて、役作りについて、人生について—— 初めての日本に瞳を輝かせ、すっかり気に入ったという緑茶を手に、一つ一つの質問に言葉を選びながら丁寧に答えてくれた。



—まずは初来日してくださってありがとうございます。

ミシェル・ウィリアムズ(以下、MW): こちらこそ、ありがとう。

—マリリン・モンローというと「セクシーなブロンドの美女」という表面的なイメージしかなかったのですが、今作では感情豊かで繊細な一人の女性としての一面を見ることができて、彼女にもこんな7日間があったのだな、と微笑ましく思いました。同じ女優をお仕事にされている女性として、彼女のどんなところに最も共感されましたか?

MW:
今作では思いがけない偶然がいくつかあったの。私は30歳で今作を撮影したのだけれど、マリリンは30歳のときに『王子と踊り子』を撮影したのよ。私たちが撮影を行った場所の多くが、実際にマリリンが撮影を行った場所だったし、スタジオで私が使用した楽屋は、当時マリリンが使っていた楽屋だったの。だから私たちの間には、どこか魔法のような重要な共通点がいくつかあったわ。

女優としてマリリンに共感する部分は…演技の勉強不足なところかな(笑)それに彼女ほど深いものではないにしても、不安な気持ちや恐怖心、周りの助けを必要としているところとか…うん、そういったことには少し共感したけれど、私はマリリンほど極端ではないわね。

—この映画では、マリリン・モンローがスターとしての顔と素顔のギャップに苦しむことが1つのテーマだと感じたのですが、ミシェルさん自身がそう感じるときはありますか?もしあるとすれば、どのようにして乗り越えていらっしゃいますか?

MW: マリリンが女優として生きていた時代は、今の私が生きる恵まれた時代とは大きく違っていたと思うの。当時は制限の多いスタジオのシステムの下で、素顔の自分と演者としての自分の間にギャップを作り、スター的人格を育てるように仕向けられていた時代だったわ。私はそういったギャップが小さい時代に生きているの。今の私たちは人間らしくいることを許されているどころか、できる限りそうするように勧められているのよ。道化師のように振る舞ったり、極限までギラギラに飾り立てたりする必要はないの。

つまり、今あなたの目の前に座っている私と、友人たちと一緒にいる私は、さほど変わらないというわけ。もちろん、友だちと過ごす時よりは遠慮がちだし、インタビューでは言わないこともあるかもしれないけれどね(笑)でも、一人の人としての私の目標は、自分自身をよく理解して、自分らしく表現することなの。それはこうしてあなたの前に座っている、女優としての私の目標でもあるわ。だから私の場合は、自分の中に明確な境界線を感じていないの。

そこにもっと大きなギャップがあればいいのに、って思うこともあるわ。素顔の一部を伏せておけば、たとえ人が私のことを噂していても、本当の自分は知られずに済むものね。でもそれは私の生き方ではないし、私はそうするつもりはないの。とはいえ時々、芸名があったらいいのにな、って思う。そうすればプライベートから距離を感じられるもの。特に私のことを好きではない人から意地悪を言われたときにね(笑)でも、とにかく私はマリリンとは全然違うわ。



—劇中でマリリンと7日間を過ごすコリン・クラークについて、ミシェルさんはマリリンがなぜ彼にひかれたのだとお考えですか?また、ミシェルさん自身は彼のような人をどう思いますか?

MW: その質問は何度も自問したわ。「この男の子のどこかそんなに特別だったのかしら?彼のどんなところがマリリンの心を動かしたのかしら?」ってね。私がたどり着いた答えはこうよ。もしマリリンが女王様だとしたら、敵側にスパイが必要なはず。あの状況に置かれた彼女は、自分の支持者として彼を見つけたんだと思う。

それから、私は『王子と踊り子』を観ていた時に気づいたの。劇中でマリリンが演じたキャラクターは若い王様と恋に落ちるでしょ?マリリンは女優として真実味を探求する人だったのよね。もしかしたら、彼女は年下の男性と恋愛をした経験がなかったのではないかしら。年下の男性との恋愛がどのようなものなのかを、役のために知る必要があったのかもしれないわね。

もう1つ考えたのは、目の前に居る、天真爛漫でオープンで目がキラキラしたコリンとの駆け引きを純粋に楽しんでいたのかもしれないっていうこと。マリリンは本質的に好奇心が強くて子どものような一面を持っていた女性だから、コリンほど無邪気な人を前にして、もて遊んでいたのかもしれない。彼ほど高潔で親切で優しくて寛大な人と一緒にいると、とっても良い気分になるものだしね。当時のマリリンは夫や演技コーチ、ビジネス・パートナーやローレンス・オリヴィエに見放されたと信じ込んでいて、わらにもすがりたい気分だったはず。それにコリンは特別な青年だったんだと思うの。人当たりが良くて、賢くて、騎士道精神あふれた紳士だから、彼女の寂しさを紛らわしてくれたのかもしれないわ。

でも、全ては彼というよりもマリリンの問題だったんじゃないかな。私は今作をラブストーリーとして考えたことはないの。マリリンは彼との時間を恋愛として楽しんでいたわけではないと思うわ…ちょっと答えが長かったかな(笑)



—今作でゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞されましたが、受賞スピーチで娘のマティルダちゃんに、「6ヶ月間、ベッドタイムストーリーのお姫様をマリリンの声で読んだのに耐えてくれてありがとう」と言っていたのが印象的でした。マティルダちゃんはどのような反応をしましたか?他にも私生活でマリリンを引きずってしまうことはありましたか?

MW: 娘はマリリンの声に気づいたのよ(笑)今作に限らず映画の撮影中は、絵本の読み聞かせをする時に役の影響が出てしまうの。イギリス人の役を演じているときは、娘のベッドタイムストーリーに登場するキャラクターがみんなイギリス英語に、南部出身の役を演じている場合は南部なまりに…といった具合にね。私はどんな作品を撮影している時でも、自然に感じられるように役を自分の日常に取り入れようとするの。ベッドタイムストーリーにはいろんなキャラクターが登場して、いろんな声を出す必要があるから、最適なチャンスなのよね。だから娘のための読み聞かせの時間は、私にとって楽しい実験の時間なの。娘も今ではいろんなアクセントを上手に話せるのよ(笑)

たとえそれがどんな役であれ、撮影中は自分が演じている役のカラーが私生活にもにじみ出てくるもの。境界線が曖昧になってくるのだけれど、そのことで怖じ気づいたり心配したりすることはなくなったわ。そこから抜け出られないなんていうことはないって、今はもう分かっているから。それは仕事をする上で必然的かつ有益でもある、一時的な状況に過ぎないのよ。

—今作や『ブルーバレンタイン』など、女性の共感度が高い役が多い印象ですが、出演作はどのように選んでいるのですか?

MW: 私はかねてから身近に居そうな人物を演じることに興味があるの。地下鉄で隣に座っているような人や、高校の同級生のような人、時には自分自身のような人をね。グラマラスであったり、人より成功していたりといった、完璧に洗練された役にはもともとあまり興味がないの。観客との間に隔たりを持ちたくないのかもしれないわ。上手に説明できないけれど、観客と映画の間にガラスがあるのは嫌なの。それは条件というよりも、私のテイストの問題かもしれない。観に行く映画や読む詩集を選ぶときもそうだけれど、私は完璧に磨かれた作品ではない方が好きなの。

役選びでは自分の本来のテイストというものが自然に出てくるの。それ以外で特に条件はないわ。役選びをする上でのルールを記したリストがあるわけではなく、その瞬間に自分が魅力を感じた役、心に響くものがあった役を選ぶの。その作品を踏み台にして将来的に自分がどこへたどり着けるか、というようなことは、あまり考えないわ。ブロックを積み重ねるようには考えず、一日一日、その時に自分が感じたことを大切にしているの。

—ということは、監督や脚本ではなくキャラクター次第ということですか?

MW:
原則的には作品自体で選んでいるわ。自分自身と脚本の間に生じる反応が決め手よ。とても私的で孤独な枠の中で選んでいるの。他の要素が悪い場合もあるだろうし、それが最善の方法なのかはわからないけれどね。どのような人が参加しているかということにも、以前よりは注目するようにしているけど…でもやっぱり、そうでもないな(笑)ぜひ一緒に仕事をしてみたい監督もいるけれど、その役や作品に自分が反応しなければ引き受けられないの。少なくとも私にとっては、興味のあるものや挑戦してみたい作品に自分が本当に正直であり続ければ、ちょうど良いタイミングでしっくりくる役がいただけると信じているの。そういった作品は女優として向上させてくれると同時に、最終的に人としても私を成長させてくれる。そうね、どんな役かということは、もしかしたら私にとって最も重要な部分かもしれないわ。



—マリリン・モンローは「太く短く」生きたというイメージですが、ミシェルさんは人として、女優として、どのような生き方を目指していますか?

MW: こう言うとシンプルに聞こえるけれど、これが本音よ—— 私は幸せになりたいの。他の何よりも、自分自身のため、そして娘のために幸せな人生を歩むことに興味があるの。常にそれが頭のどこかにあるんだと思う。仕事も友情も自分自身のことも、「いかに私たちの人生を長く幸せなものにするか」という指針に基づいて決めているわ。平凡で退屈な答えに聞こえるかもしれないけれど、いつもそう考えて生きているの。本当につまらない答えよね(笑)でも本当に、私が欲しいのは普通の家庭と安全で幸せな人生だけなの!

—つまらなくないですよ!

MW: そうね、つまらなくはないわよね(笑)女優を始めてからしばらくの間は、何とかやって行けるようになることがゴールだった。そして何とかやって行けるようになると、今度は「幸せになりたい」って思うのよね。実際には複雑なことだと思うわ。「幸せ」という言葉には多くの要素が含まれるもの。でも、それが私の最大のゴールなのよ。

Photos: Tetsuro Sato
Interview + Text: Nao Machida


3月13日に開催されたジャパン・プレミアにはマリリン風の白いドレスで登場。


プレミアの翌日の記者会見は、赤いヴァレンチノのドレスにジュゼッペ・ザノッティのハイヒール。


会見の後は東京・代官山蔦屋書店で「“マリリン” ポスター回顧展」オープニングイベントに参加

『マリリン 7日間の恋』

1956年、ローレンス・オリヴィエ監督・主演の映画『王子と踊り子』の撮影のために、ハリウッドの大スター、マリリン・モンローがイギリスに降り立った。初のプロデュース作品に意気込むマリリンだったが、彼女の演技法を受け入れないオリヴィエと対立。慣れない環境でのプレッシャーから精神的に不安定になり、夫にも見放されてしまう。孤独を抱えたモンローは、いつしか映画の第3助監督コリン・クラークに心を許すようになっていく…。



監督: サイモン・カーティス
脚本: エイドリアン・ホッジス
原作: コリン・クラーク「マリリン・モンロー 7日間の恋」
キャスト: ミシェル・ウィリアムズ、ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ほか
3月24日(土)角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
© 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

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