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ブラッド・ピットが語る『マネーボール』の魅力

2011-11-11
いよいよ本日11月11日に公開を迎えた話題の映画『マネーボール』を引っさげて、主演・製作のブラッド・ピットが来日した。早くもアカデミー賞の呼び声が高い今作だけに、10日に都内で開かれた記者会見には400名以上の報道陣が集結。米メジャーリーグ、オークランド・アスレチックスの実在のゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーンを好演したピットは、映画の魅力や家族への想いなど、記者からの質問に一つ一つ丁寧に答えた。ここでは会見の一問一答をノーカットでお届け。映画『マネーボール』は11月11日(金)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー。





















—まずは一言ご挨拶をお願いします。

ブラッド・ピット(以下、BP): お招きありがとう、来日できてワクワクしています。これは非常に誇りに思っている作品です。僕と同じように楽しんでくれる人も何人かいるんじゃないかな。公開できてとてもハッピーです、ありがとう。

—プレミアを観た観客の多くが、「野球に興味がなかったけど面白かった」という感想を述べていました。そのコメントについてどう思いますか?

BP: 最初に告白しなければならないのは、今作の製作に入るまで、恥ずかしいことに僕もあまり野球を知らなかったんだ。野球は確かにこの映画の背景ではあるけれど、今作はそれよりももっと大きな物語。正義の話であり、負け犬というレッテルを貼られること、そして何よりも重要なことに、僕らが持っている失敗や成功といった価値観は正しいのかどうかを探る物語だと思う。

—周囲の反対を押し切って信念を貫く主人公のビリー・ビーンと、あなたを含む今作の製作陣には共通するものがあるように思えます。オリンピックで野球が外されるなど逆風が吹く中で、正しいアプローチをすれば成功するのだと証明なさったと思うのですが、信念を貫く上で一番大事なことは何でしたか?

BP: 野球には人々を魅了する魔法があるし、人生そのものと類似する点がたくさんある。だからこそ、野球は過去1世紀半にわたって僕らの娯楽であり、時代精神となったのだと思うんだ。ケン・バーンズの野球に関するドキュメンタリーをご覧になることをお勧めするよ。

—ビリー・ビーンには試合を見ないというジンクスがありますが、何かジンクスをお持ちですか?

BP: 野球には確かにたくさんのジンクスがあって、面白いよね。ビリーが試合を観ないのはジンクスというよりも、感情的になり過ぎて的確な判断が出来なくなると考えたからだ。科学的な決断が下せるように、あえて試合を観なかったんだよ。自分が自らの仕事において足を引っぱりかねないとわかっていたのさ。僕自身?唯一のジンクスは、自分1人で飛行機に乗るときに家族の何かしらを持って乗るようにしていることかな。飛行機の安全を願ったおかしなジンクスだよ。お守りみたいなものだね。


前夜に開催されたジャパンプレミアにはパートナーのアンジェリーナ・ジョリーと揃って登場!































—今の世界はお金が支配していますが、ビリーはメジャーリーグの世界で絶対的な力を持つお金に人の力で勝つことができました。それはなぜだと思いますか?

BP: ビリーはただの勝ちにこだわっているというより、同じ土俵で公平に戦うことで試合を勝ち取りたいんだと思う。本来のスポーツはアスリートとアスリートが戦い、最も強いチームが勝つ、という公平なものであるべきだ。でも、財源力がスポーツを支配していたらどうなるんだろう?相手チームの4分の1、もしくは6分の1しか人件費がなかったら?金のあるチームが才能ある選手を買い占めてしまったら、他のチームはどうやって競争心を保てるというのだろう?それは不公平なのではないだろうか?ビリーたちはそういった失敗に気づいたんだ。相手チームのように戦おうとして、毎回負けていたんだよ。

そこで、「なぜ自分たちはこのやり方を選んでいるのか?」と自問し始めた。150年前に決められたルールが、現代でも通用するのかを疑問視し、真の成功とは何か、敗北とは何で決まるのかを突き詰めていった。そしてそれを通して、数字によって効率性を見出していった。彼らの戦略の長所は、すでに価値がないとして追いやられた選手が試合に戻され、別の方法で自身たちの価値を証明することができること。つまりそれは「価値観」という今作の大きなテーマで、僕らが生きる社会における成功や失敗とは何なのか、それが個人の価値観にどれだけ影響を与えるか、ということなんだ。そのような価値観から、自分は何を見出すのか、ということだよ。

ところで質問は何だっけ?(笑)世界は確かに金に支配されているし、成功や失敗も金で決められがちだ。ビリーが提言しているのは、瞬間瞬間の成功に過度の強調がなされているということ。その瞬間だけで忘れてしまいがちなんだ。僕からすれば、成功は敗北なしには存在しないもの。成功すれば、それは恐らく次の敗北への第一歩だろうし、その敗北から学んで、次の成功に繋がる。どちらかだけでは存在しえないものだし、1つのことですべてを結論付けようとするのは、僕らの価値体系における完全な欠点だと思う。もっと長い目で考えるべきだ。ビリー自身はトロフィーや優勝リング、新聞の見出しに価値を見出していない。それよりも私的な勝利を求めている。僕は彼のそのような静かで謙虚な部分に魅了され、非常に尊敬しているんだ。

—ビリーが娘を見る眼差しがとても優しくて印象的でした。家族を持ったことは、この役に少なからず影響を与えましたか?父親として大切にしていることは?

BP: 日々直面する答えの出ない数々の問題や、仕事での戦い、挑戦などから、ほっと一息させてくれるのが家族だ。僕にとっては新鮮な空気のような存在で、家に帰ると家族が僕を一日の仕事から解放してくれる。とても大切な存在だよ。


今回は一家8人で来日。




























—失業率が上がる今、若い世代にGMとして何を伝えたいですか?

BP: 今作を観て、常識とされていること、たとえば選挙の投票システムが今のままでいいのかなど、疑問を持つことが大事だと思う。もし今、車を発明するとしたら、環境破壊になるから石油を燃料にするのは止めようと考えるだろう。そうやって疑問を持つことが大切なんだ。現在のアメリカのシステムは、僕らにとってあまり良いものとは言えない。企業の利益ばかりが優先されている。でも、そのフラストレーションを一瞬だけ発散するのではなく、詳細をよく理解して、システムの問題を見出し、決してそこで諦めず、解決策を模索することが最も重要だと思う。忘れがちだけど大切なことだと思う。

—日本のファンにメッセージを。

BP: 今日はシリアスなテーマについてばかり話してしまったけど、今作は実は笑える楽しい映画なんだ。僕自身、本当に心から楽しめたし、同じように感じる人も数人はいるんじゃないかな。とにかく、そんなに重い作品ではないからね(笑)野球ファンの皆さんには、ベネット・ミラー監督のおかげで、かつてないほど美しい野球の映像をご覧いただけるよ。

そして最後に、3月11日に日本の皆さんが体験した大災害について、僕たち国際社会は痛いほどよく認識しています。今でも被災された方々のことを想っていますし、元の生活を取り戻すべく皆さんが復興に取り組む姿にはとても価値があり、インスパイアされます。僕は世界のいろいろな場所に旅をしていますが、世界中で日本の皆さんの粘り強さについて話を聞いて、大きなインスピレーションとなっています。皆さんは決して忘れられていません。皆さんの生きる力、復興にかける想いに、世界中が影響を受けています。皆さんに拍手を送ります。


会見に駆けつけた女優の吹石一恵




















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『マネーボール』
『ソーシャル・ネットワーク』の製作陣が、ブラッド・ピットを主演に迎え、米メジャーリーグを舞台に描く感動の実話。米メジャーリーグの貧乏球団オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーン(ピット)は、名門大学経済学部卒のピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)と出会い、限られた予算でチームを常勝軍団にすべく、後に「マネーボール理論」と呼ばれるデータ重視の戦略を実践していく。周囲に反対されながらもビリーが貫いた信念は徐々にチームに勝利をもたらし、誰も想像しなかった奇跡をもたらす…。

監督:ベネット・ミラー
脚色:スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン
原作:マイケル・ルイス
キャスト:ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマン、ほか
11月11日(金)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
オフィシャルサイト:http://www.moneyball.jp

Text: Nao Machida

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