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ガールズ来日インタビュー 『Father, Son, Holy Ghost』

2011-11-08
2009年、『Album』というあまりにもシンプルなタイトルのデビュー・アルバムと共に、USインディ・シーンに登場したサンフランシスコ出身のインディー・ギター・バンド、ガールズ。メンバーのクリストファー・オウエンスとチェット・JR・ホワイトが、共に暮らすアパートのベッドルームで録音した、カリフォルニア・ポップのテンプレートにローファイ色を被せたサウンドと、どこか浮世離れした純粋さの漂うリリックやセンチメンタルなヴォーカルが印象的な同作は、各音楽メディアから高い評価を得た。

そんなガールズが待望のセカンド・アルバム『Father, Son, Holy Ghost』を引っさげて、10月に一夜限りの来日公演を実現。MTVはライヴの前日にフロントマンのクリストファーに話を聞くことができた。前夜に到着したばかりだったが、「全然疲れていないから大丈夫だよ」と笑顔で登場し、水色のネイルポリッシュが塗られたツメをいじりながら、新作について、来日について、今後の展望について語ってくれた。





















—1年振りの来日、ありがとうございます。

クリストファー・オウエンス(以下、CO): こちらこそ。前回は去年の8月の「SUMMER SONIC」だったんだけど、その後は元気に忙しくしていたよ。もう1年ちょっと経つんだね。サマソニでは大阪にも行けたから良かった。

—ニュー・アルバム『Father, Son, Holy Ghost』の完成おめでとうございます。ようやくリリースする気分は?

CO: 最高だよ。アルバムを制作している間、ずっと良い予感がしていたんだ。制作してからリリースまでに数ヶ月かかるから、店に並ぶまで待たないとならないんだけど、すごく気に入っている作品だから、発売が待ち遠しかった。レコーディング中から、とても良いサウンドだと思っていたし、完成してすぐにインターネットで流したいくらいだった。リリースまでの数ヶ月はワクワクして、同時にちょっと気がかりだった。

—曲作りから完成まで、どれくらいの期間を要したのですか?

CO: 僕は常に曲を書いているから、特にアルバムのために曲作りをすることはしないんだ。スタジオでの作業は1ヶ月くらい。3週間でレコーディングをして、残りの1週間でミキシングとマスタリングを行って、音質を調整した。でもレコーディング自体は3週間だけだよ。だから、最初から最後までトータルで1ヶ月くらい。悪くないよね(笑)

—常に曲を書いているということは、アルバムを制作するにあたって特にコンセプトのようなものは決めないのですか?

CO: 決めたことはないよ。今後のアルバムでは決めたりもするかもね。でも今のところは、常にいろんなアイディアが頭に浮かぶから、その都度曲を書いて、しまっておくんだ。のちに時間ができて、レコーディングする機会が得られたときに、自分のコンピュータの中にしまってあるデモに目を通す。その中から最もエキサイティングな曲を選ぶんだ。もしかしたら将来的には、アルバムのために曲作りをすることもあるかもしれない。でも今は、1曲ずつその都度書くことにしているんだ。

—今回のアルバムに収録された楽曲は、いつ頃に書かれたものですか?

CO: いくつかの曲は2008年にまで遡る。あとは2009年~2010年かな。

—2年前に書いた楽曲について、いま歌ってみると違った感情を持つことはありますか?

CO: それが、みんなが思うよりも違わないものなんだよ(笑) 僕は曲を書いたらしまっちゃうから、ライヴで演奏することもないし、古く感じないんだ。もっと最近に書いた曲と同じくらい新鮮に感じる。今でもライヴでは、ファースト・アルバム(『Album』)と今作とEP(『Broken Dreams Club』)からの楽曲しか演奏しないからね。数年前に書いた楽曲も、1週間前に書いた楽曲も、僕にとっては同じくらいエキサイティングなんだ。古いからといって、ライヴで演奏したことも、バンドに聴かせたこともない曲たちなわけだから。メンバーにとっては、完全に真新しい楽曲だよ(笑)

—普段はどんなところからインスピレーションを得ていますか?

CO: 日々の生活だよ。毎日の暮らしの中で起こる出来事。僕は他の音楽や特定のテーマからインスパイアされることは、ほとんどない。それよりも、毎日の生活で起こる出来事から曲が生まれるんだ。

—ファースト・アルバムでは『Album』というあまりにもシンプルなタイトルに驚かされましたが、今作は『Father, Son, Holy Ghost』という聖書からのフレーズ(三位一体)をタイトルに選ばれていますね。

CO: “Father, Son, Holy Ghost”は、僕に言わせれば何かのタイトルにするのにうってつけのフレーズなんだ。たまたま今回はアルバムだったけど、どんなものにも合う、良いタイトルだと思う。特に聖書から引用したわけではないんだよ。“Father, Son, Holy Ghost”というフレーズは、僕にとってはそれぞれ「起源(Origin)、個々のアイデンティティ(Indivisual Identity)、精神的な特質(Spiritual Quality)」を意味する。このフレーズを選んだのは本当に偶然なんだ。僕はこういった、よく使われるフレーズを使うのが好きなんだ。すでに誰もが耳にしたことのあるフレーズだから、1度聞いたら覚えてもらえるしね。

—1つのコンセプトに基づいていない、様々なインスピレーションから作られた楽曲を集めたアルバムにはぴったりのタイトルですね。それに、もう『Album』っていうタイトルも使っちゃったし。

CO: うん、ほんとにそうだよね(笑) 実は『Album 2』っていうタイトルも考えたんだけど、でも、それもどうかなあと思ってさ。

—あなたのバックグラウンド(註:クリストファーは俳優の故リヴァー・フェニックスなども所属していたカルト教団、チルドレン・オブ・ゴッドのヒッピーの子として生まれ育った)を知っている人は、今作のタイトルに何か深い意味があると考えそうですが。

CO: そうなんだよね。よく訊かれるんだけど、本当に深い意味はないんだ。みんな、いろいろ考えるみたいなんだけどね(笑)でも、とにかく深い意味はない。僕は気にしないよ、みんながそう考えてしまうことは、僕にだって理解できるし。でも僕が書いた楽曲を聴けば、まったく宗教的ではないだろ?(笑)

—確かにそうですね。幅広い時期に書かれた収録曲の中で、1番気に入っている楽曲は?

CO: うーん、新作だったら「Just A Song」が個人的に1番気に入っているかな。全部を気に入っているから選ぶのは難しいけど、もし1曲だけ選ぶとしたら、いくつかの理由であの曲を選ぶよ。あの曲は比較的最近書いた曲で、自分が普段書く曲とは構成がちょっと違うんだ。いつもはヴァースがあってコーラスがあって、セカンド・ヴァースがあって、またコーラスがあって…といった調子なんだけど、この曲はそのような構成は取り払って、少し実験的なものにしてみた。よくわからないけど、まあとにかく個人的に気に入っているんだよ(笑)





















—デビュー作『Album』と比較して、サウンド面では明らかに大きな変化が感じられます。特にギターの存在感が増していましたが、今回は新しいメンバーを迎えて制作したそうですね。

CO: ファースト・アルバムではベース以外、ほとんどすべての楽器を僕が自分で演奏した。とにかく非常にシンプルに制作したんだ。今作を聴いたら、あらゆる部分が良くなっていることがわかってもらえるはずだよ。それぞれの楽器を演奏してくれるミュージシャンがいたからね。

—ドラマー(ダレン・ワイス)とギタリスト(ジョン・アンダーソン)が参加したんですよね?

CO: うん。今回も一緒に来日しているよ。アルバムに参加したギタリストは旅をしたくないというから、同行したのは新しいギタリストだけどね(笑)2人とも友だちの友だちだったんだ。以前に一緒にツアーをしたバンドから、今回のドラマー、ダレンを紹介してもらった。ジョンは何年も前にも一緒に演奏していたんだけど、入ったり辞めたりする奴なんだ(笑)

—『Album』はベッドルームで録音した作品でしたが、今作はスタジオ入りしたそうですね。

CO: スタジオはとても快適だった。宅録よりずっと速く作業が進むし、クオリティも高いから、すごく気に入ったよ。今回はプロデューサー(ダク・ボーム)もいたしね。プロデューサーを迎えるのはJRのアイディアだったんだ。スタジオ作業は僕ではなくJRの担当だからね。JRが誰かサポートしてくれる人を望んでいて、実現したんだ。

—レコーディングはサンフランシスコで?現在もサンフランシスコに住んでいるのですか?

CO: そうだよ。もうJRとは一緒に住んでいないけど、今でも僕らは同じ町に住んでいるんだ。スタジオはダウンタウンにある、とあるビルの地下にあった。僕たちの自宅からも近くて、バスで15分くらいだったから、通うのも楽で良かった。

—サンフランシスコのどういうところが一番好きですか?

CO: 街そのもの。風景も好きだし、サイズも良いし。特に人に興味があるとか、特定の何かというわけじゃなく、あの街の在り方が好きなんだ。建築も良いし、海に面しているし、気候も良い。小さな街だけど、どこへ行くにもアクセスが良くて、それでいて歴史やカルチャーがあるんだ。

—サンフランシスコの音楽シーンはどんな感じですか?

CO: バンドが多いんだけど、あらゆる種類のバンドがいるんだ。特定のシーンはない。ガレージロックとかインディーロックが多いかな。でも、とてもユニークなシーンだよ。今は特定のムーヴメントというよりも、幅広い種類の音楽が流行っている。

—アルバムに話を戻しますが、ファースト・アルバムは各方面で大絶賛され、ここ日本の音楽ファンの間でも非常に評価が高かったのですが、セカンド・アルバムを制作するにおいてプレッシャーは感じましたか?

CO: 全然。僕にとっては、むしろファースト・アルバムよりも楽しんで作れた。プレッシャーや不安もさほど感じなかったよ。とにかくワクワクしていた。ツアーでずっとライヴをやってきたから、ようやく再びレコーディングする機会ができて嬉しかったんだ。レコーディングに向けて十分に計画していたし、すでに曲も書いてあって、良い出来だとわかっていたから、ただただエキサイティングだった。

—スタジオでレコーディングしたこと以外に、ファースト・アルバムからセカンド・アルバムに至る間に変わったことは?

CO: 一緒に演奏する人が増えたこと。プロデューサーやエンジニアが手伝ってくれたこと。でもそれって、本来なら普通のことだと思う。それ以外はあまり変わっていないよ。曲やアイディアなどは全く変わっていない。ただ、より多くの才能がある人たちと、以前よりも良い環境や良い機材で制作したということだけさ。すべてはスムースに進んだし、それが唯一、僕らが実現したかったことだった。ケンカとかも一切なかったよ(笑)

—新作から「Vomit」と「Honey Bunny」のミュージックビデオを拝見しましたが、どちらもまったく雰囲気の違う作品ですね。ミュージックビデオにはどれくらいアイディアを出すのですか?

CO: 「Vomit」では僕もアイディアを出したけど、普段はノータッチなんだ。いつもは他の人が考えてくれて、自分は出演するだけの方がいい。ビデオについてはあまりこだわりがないから(笑)

—「Honey Bunny」は「Lust for Life」のミュージックビデオを思い出させるイメージでした。背中にGirlsと書いてある、あのデニムのジャケットも登場していたし。

CO: 日本に持って来てはいないけど、あのジャケットは今も持っているよ。実は僕のジャケットなんだ(笑) あの曲は愛する人を探し求める気持ちを歌った曲。もしかしたら僕自身のことかもね(笑)

—「Vomit」は?

CO
: あれはアルバムで一番古い曲なんじゃないかな。自分が感じていた孤独について書いた。「Vomit」もまた、誰かを探し求める気持ちを書いた曲だけど、「Honey Bunny」とは違って、特定の人のことを書いているんだ。あの頃、僕はとある人ともっと一緒にいたいと思っていたのだけど、うまく行かなくて…どうにかうまく行くように努力していたんだけど、それは良いアイディアではなかった…あれはマジでダメだったな(笑) とにかくあの曲は、誰かと一緒にいたいという気持ちを書いた曲なんだ。

—新作のアートワークについてお聞かせください。

CO: バンドのアートワークはすべて僕が手掛けているんだ。今回僕たちは何か新しいイメージを求めていたから、収録曲のリリックを並べてみた。見た感じも良いし、アルバムを聴きながらジャケットを眺めれば、歌詞が読めるようになっている。






















—今回はこの新作を引っさげての来日公演ですね。

CO: うん。演奏する曲が増えて嬉しいよ(笑) ニュー・アルバムを制作すると、ライヴがエキサイティングになるんだ。古い曲ばかり演奏していると飽きちゃうからね(笑) 日本でのライヴは好きだよ。いつも盛り上がってくれる。今回でまだ3回目だけど、どれも楽しい思い出だ。まだ全国ツアーをやったことがないから、日本のオーディエンスについては多くを語れないけどね。いつかツアーして全国をまわれたらいいな。

—滞在中にやりたいことはありますか?

CO
: 特に計画はしていないけど、空き時間に東京周辺を散歩したい。さっきは本屋に行って、日本のアーティストの小さなアートブックを買ったんだ。HOKUSAI(葛飾北斎)って、わかる?とても小さな本なんだけど、小さなイラストがたくさん載っていて気に入ったんだ。

—ガールズの今後の予定は?

CO: 新作をリリースしたから、これからは再びツアーの日々だよ。それが終わったら、またレコーディングする。ツアーはせいぜい来年の夏までにしたいね。少なくとも1年に1回はレコーディングしたいんだ。僕は今後も音楽作りやツアーを続けて行きたい。何としてでも続けたいよ。ライヴよりもレコーディングがしたいんだ。僕は常にたくさんの曲を書いているから、リリースできないものがいっぱいあって、しばらくライヴをしていると書きためたものを吐き出したくなる。だから、将来的にはライヴをたくさんする代わりに、1年に2回以上レコーディングできるようにしたい。そうなったら嬉しいよ」

—日本のファンにメッセージをお願いします。

CO
: ものすごくたくさんの人に同時にメッセージを送るって難しいよね(笑)でも、僕は来日することができて本当に嬉しいと思っている。バンドを初めて以来、毎年来日できているから幸せだよ。将来的にはもっと来日したいな。とにかく、日本でライヴをするチャンスに恵まれて嬉しいということを伝えたい。日本のみんなが僕らの音楽を気に入ってくれてハッピーだよ。近い将来、日本中をまわるツアーができることを願っている。みんなの地元を訪問したいんだ。それが日本での僕のゴール。楽しみにしていてね。

***

インタビューの翌日、ガールズは東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにてライヴを開催した。セットリストは以下のとおり:

Laura
Heartbreaker
Love Like A River
Alex
Darling
My Ma
Die
Honey Bunny
Saying I Love You
Broken Dreams Club
Lust For Life
Vomit
Morning Light
- encore -
Summertime
Jamie Marie
Magic
Hellhole Ratrace
























Photo (Christopher Owens): Kenta Terunuma
Live Photos: TEPPEI
Interview + Text: Nao Machida

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