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スパイク・ジョーンズが語る『かいじゅうたちのいるところ』

2010-01-27
ハイチ大地震の緊急特別番組や、アーティストの来日ラッシュで、年明けから慌しく時間が過ぎている今月。
すっかりお待たせしてしまいましたが、話題の映画『かいじゅうたちのいるところ』から、
スパイク・ジョーンズ監督のインタビューをご紹介します。

ビースティ・ボーイズやビョークなど、数々の名作ミュージックビデオのディレクターとして、
さらにあの伝説の番組「jackass」のプロデューサーとして、MTVではすっかりおなじみのスパイクは、
主演のマックス・レコーズと、プロデューサーのヴィンセント・ランディと共に、昨年12月に来日。
意外にも映画のプロモーションでの来日は、今回が初めてだったそうです。

素顔はとてもシャイで、特に写真撮影は大の苦手。
この日の合同インタビューでも「写真は本当にニガテなんだ。だから早く終わらせてね」と、
叱られた少年のような顔で突っ立っていました。


貴重な笑顔☆

映画はモーリス・センダックによる同名の名作絵本が原作。
母親とケンカした少年マックスは狼の着ぐるみを着て家を飛び出し、かいじゅうたちのいる不思議な島に。
誰もが幸せになれる王国を作ろうと奮闘するマックスとかいじゅうたちとの交流が、
独特な世界観を通して感情豊かに描かれています。

原作の世界観を少しも壊すことなく、見事な映像化に成功したスパイクが語る、
作品の製作秘話をお楽しみください!






― フィルムメーカーとして、3作目の長編映画となる今作では、どれだけ表現したいと思っていることを実現できましたか?

SPIKE: 僕らの目的は、この男の子の人生における、この特定の時期をとらえること。自分が意図したことは、とらえることができたと思っているよ。

― かなり大きな着ぐるみですが、どうやって動かしていたのですか?

SPIKE: えーと…ちょっとスケッチブック借りていい?これがかいじゅうで…これが僕。



― 2台のトラックで動かすの?

SPIKE:
うん。

― ギャグじゃなくて?

SPIKE:
ああ、僕らが発明したんだ。著作権も取ったよ(ニヤリ)


―  『マルコヴィッチの穴』や『アダプテーション』など、監督のこれまでの作品は知性に訴えていましたが、今作は感情に訴えています。今作を作ったことで、今後の映画作りに変化を及ぼすような新たな発見や、映画作りに対する意識の変化はありましたか?

SPIKE: 僕の前2作はより概念的で知的で分析的。僕は常に登場人物の視点が感じられるように描くことを大切にしているんだけど、今作の主人公は9歳なんだ。そこに忠実な作品にしたかった。作品に大人のアイディアや大人の人間関係を加える度に、違和感を感じたよ。自分たちを押し付けている気分になったんだ。登場人物に作品をコントロールさせるという意味で、そこが大きな違いだと思う。

映画作りに対する意識に関しては、わからないな。間違いなく変わったと思うよ。全ての作品は作り手を変えると思うし、作り手は学び、成長するからね。でも、どう変わったかは後にならないとわからないな。

― 絵本にはかいじゅうたちの性格が描かれていませんでしたが、ご自分で考えたのですか?

SPIKE: うーん…原作に何かを加えることについては、とても不安だったんだ。でも、かいじゅうたちがどういうものかということについては、加えるというか、より深く探求できることだと思った。僕らが思いついたアイディアは、かいじゅうたち(ワイルド・シングス)をワイルドな感情(ワイルド・エモーション)に置き換えることだった。かいじゅうたちを、マックスが抱えているワイルドな感情を表す生命体としてみた。



― 声優を先に集めて演技させたそうですが、それは監督のアイディアなのですか?

SPIKE: 映画は巨大な着ぐるみを使って、顔の表情はアニメーションを駆使して作ったわけだけど、そのどちらもが、瞬発的な要素を求められないものなんだ。素晴らしいアートではあるけれど、僕は作品に危険で予測不可能な側面を加えたかった。だから、声優たちと2週間かけて、まるで演劇のようにスタジオで映画を撮影したんだ。音声を使うだけではなく、ビデオに収めたんだよ。複数の役者が集まることによって生まれる化学反応をとらえるためにね。最終的に、そのビデオが映画の精神面での土台になった。それによって生まれたキャラクターや人間関係を、着ぐるみでの撮影やアニメーション製作に活かしたんだ。

― 即興の演技を重視していたんですか?

SPIKE: ただ即興の演技が欲しかったわけではないんだ。2人の役者が台詞を読むときは、怒鳴りあったり、互いをさえぎったり、片方が大声を出すと、相手も大声を出したりするよね。相手が聞いてないときに気持ちを伝えようとする上で、話し方にどういう影響が与えられるか、声が大きくなるのか、より攻撃的になるのか、堪えるのか、話を続ける前に一度飲み込んでたじろぐのか。2人の人間が話すときは、そういった全てのことが起こる。1人で脚本に書かれた台詞を読む代わりにね。

― 9歳の視点で描かれたそうですが、大人でも共感できる内容でした。10代や20代の大人へのメッセージをお願いします。あと、昨日もピンクの靴下でしたが、ビビッドな色の靴下が好きなのですか?

SPIKE: 今日はパープルだよ。ああ、好きなんだ(笑) 大人へのメッセージ?大人にどんなメッセージを送るべきかわからないな。僕がメッセージを欲しいくらいだよ。そんなに賢いことは言えないよ。バカなことなら言えるよ。バカなことを言おうか?そうだな…バカなことか。メッセージ…メッセージ…。(記者のノートとペンを借りる)



SPIKE: これがメッセージだよ。

― 監督が9歳の頃は、世界はどのように見えていましたか?

SPIKE: うーん…多分それも、この映画で描こうとしたことだと思う。少なくとも、そのフィーリングをね。

― ご自身はマックスに似ていますか?

SPIKE: (映画のマックスには)僕やデイヴ・エッガース(脚本)、マックス(・レコーズ)など、僕らみんなが少しずつ入っていると思うよ。この映画は、みんなで協力して作ったんだ。もちろん、モーリス・センダックもね。

― デヴィッド・フィンチャー監督と友人だそうですが、あなたが今作を製作中、フィンチャーは『ベンジャミン・バトン 数奇の人生』を製作していましたよね。特殊効果を駆使した作品同士ということで、何かお話はされましたか?

SPIKE: ああ、たくさんね。スタジオが決まらない時期に、僕らには事務所がなくて、ホームレス状態だったときがあったんだ。そのときに彼が事務所を使わせてくれて、僕らは彼の事務所を間借りして作業した。僕はかいじゅうを着ぐるみとアニマトロニクスを使って表現すると決めていたんだけど、彼はそんな僕をバカだって。「あんな機械とか持ってジャングルに行ったら、2度と帰って来れないよ」って言っていた。「絶対に目的は果たせないはずだ」ってね。彼の作った『ベンジャミン・バトン』のテスト版を観て、圧倒されたよ。だから、僕らの作品作りには、彼からの影響も大きいんだ。着ぐるみを使うけど、ポスプロで表情を作るっていう点でね。■




『かいじゅうたちのいるところ』は東京・丸の内ルーブルほか全国で公開中。
公式サイト>>


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