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SOUL CAMP 2016 LINE UP COLUMN #2 JILL SCOTT

2016-09-02


 95年にアルバム・デビューしたディアンジェロが20年の歳月を経て初の日本公演を行なったのが去年の夏。96年にアルバム・デビューしたマックスウェルがやはり20年の歳月を経て初の日本公演を行なったのが、つい先頃の8月19日。その興奮と感動がまだ残るなか、今度はデビュー16年目となるジル・スコットの日本初ステージを遂に観ることができるのだから僕たちは幸せだ。ディアンジェロもマックスウェルも長く待った甲斐のある、それはもう最上級と言っていいライブを見せてくれたわけだが、ジル・スコットもまさに“ライブ命”で活動を続けてきた人であり、パフォーマンスの凄さは折り紙付き。因みにディアンジェロもマックスウェルもデビュー盤の次に出したのはライブ盤だったが、ジルもそう。しかも彼女の場合はセールス面でリスクを伴う2枚組のライブ盤であり、その時点で“ステージが全て”という彼女の心意気と自信が伝わってきたものだ。そのライブ盤『experience:jill scott 826+』(2001年)は彼女の圧倒的な歌唱表現力と生々しい臨場感が味わえる傑作。ナマのライブを想像しながらそれを繰り返し聴いたという人は多いだろう(因みに2008年にもジルは『Live In Paris+』と題されたライブ作品を出していて、それも素晴らしい)。

2作目がライブ盤だったソロ歌手といえば、エリカ・バドゥもそのひとり。そして表現の仕方はもちろん異なれど、ディアンジェロもマックスウェルもエリカ・バドゥもジル・スコットも、ざっくりとネオソウルと呼ばれるジャンル名で括られてきた。但し芸術家肌で神秘性も有している3人に比べると、ジルは庶民の感覚も忘れることなく表現を続けてきた正統派。アート性が高い故に、いいときもあれば難しいときもある、そういうスリルもライブの魅力のひとつと言える3人に比べると、ジルには絶対的な安定感がある。彼女のライブがよくなかったという話など、僕は今まで聞いたことがない。だから今回の日本初ステージも間違いなく素晴らしいものになるという確信がある。それはもう絶対だ。

 ここでざっくり辿っておくと、ジル・スコットは1972年4月、米ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。大学卒業後、高校教師を勤めながら音楽活動をし、ブロードウェイ・ミュージカル『レント』の巡業メンバーとして各地を廻ったこともある。スポークン・ワード・アーティストとして頭角を現し、ザ・ルーツのクエストラブに才能を認められたことから、エリカ・バドゥをフィーチャーしたザ・ルーツ「You Got Me」のソングライティングを担当。この曲がグラミーにも輝いたことで評価され、2000年に『WHO IS JILL SCOTT?』という純度の高いソウル盤でデビューした。それは「ネオ・フィリー」と呼ばれたフィラデルフィア発の新しいソウル・ムーブメントの一翼として絶賛され、グラミーで最優秀新人賞を含んだ3部門にノミネートされることに。続く2004年のスタジオ盤2作目『Beautifully Human』では、収録曲「Cross My Mind」によって初のグラミーを獲得(最優秀アーバン/オルタナティブ・パフォーマンス)。2007年のスタジオ盤3作目『The Real Thing』もグラミーで3部門にノミネートされた。自主レーベルを設立して発表した2011年のスタジオ盤4作目『The Light Of The Sun』では自身初の全米チャート1位も獲得。さらに昨年発表の最新作『Woman』もまた全米1位を獲得しており、日本で話題になることはなかなかないものの、このように彼女のキャリアは実に輝かしいものなのだ。また女優としての活動も順調で、比較的最近では去年日本公開された『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』でJ.B.の2番目の妻を好演。RZAが監督した『Coco』(主演はアジーリア・バンクス)の公開も控えている。

 さて今回の初来日公演だが、何を楽しみにすればいいかと訊かれれば、それはもう彼女の歌そのものとしか答えようがない。凛とした強さと美しさがあり、酸いも甘いも知る者ならではの深みがあって、剛柔自在。演出がどうこうではなく、その歌唱表現そのものに心揺さぶられることとなるのは間違いないのだ。因みに昨年発表の最新作『Womam』は、J.B.映画出演の影響を思わせる60年代的なジャンプ・ナンバーがあったり、パワフルなゴスペル風があったりと、「ネオ」から踏み出してよりソウルの王道を進んでいかんとする様が見て取れた。それこそアレサ・フランクリンへと続く道を堂々と歩きだしたという、そんな印象の作品だ。そのようなタイミングで彼女のライブを観ることができるという幸福。それを噛みしめながら当日を待ちたい。



Text by 内本順一:
エンタメ情報誌の編集を経たのち、90年代半ばから音楽ライターとして活動。
一般誌や音楽ウェブサイトでレビュー、インタビュー記事を担当し、シンガー・ソングライター系を中心にライナーノーツも多く手掛けている。




MTV presents SOUL CAMP 2016

日時:2016年9月18日(日) 12:00 OPEN/13:00 START (20:00 END予定)
会場:横浜赤レンガ野外特設ステージ
主催・企画制作:SOUL CAMP実行委員会
オフィシャルメディア:MTV JAPAN
お問合せ:CREATIVEMAN 03-3499-6669
オフィシャルサイト:http://soul-camp.jp/



18:00

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