日英混戦! BRITISH ANTHEMSをフォトグラファー久保憲司氏がレポート!
UKロックの注目アーティストをいち早く紹介してきたロック・フェスというよりは<パーティー>といった趣の楽しいイベント、BRITISH ANTHEMSに行ってきました。6回目ということで、そろそろネタ切れなんじゃないのと思ったりしていたのですが、まだまだどうして、色んな新しいバンドが観られて非常に楽しめました。

オープニングを飾ったのは日本未契約のUK新人アーティストBRIGADE(ブリゲード)、英国大使館が企画する『British Music 08』より選ばれたアーティストで、メンバーに日本人の人もいて、なんかフィーダーみたいで、思わず、頑張れと応援したくなりました。音の方もどことなくフィーダーぽい、ヘビーでメロディアスなUKサウンド。契約が決まればいいですね。

イギリスのブライトンで毎年行なわれるロック・フェス『ザ・グレイト・エスケイプ・フェスティバル』に今年出演したVOLA&THE ORIENTAL MACHINE。9月にメンバー・チェンジがあったのに、これまで以上に力強いライブを見せてくれました。ぼく的にはポスト・ニュー・ウェイブ・バンドというより、ギャング・オブ・フォーなファンキーで骨のあるロック・バンドだなと思ってます。

ポール・ウェラーに「最高のメロディー」という素晴らしい勲章を頂いているTHE
TROUBADOURSが今回のBRITISH ANTHEMSで一番注目されていたバンドだったような気がします。彼らはルックスまでラーズそっくりと言われているけど、サイケデリック前夜なザ・ビートルズというか、あの時代ならではの哀愁あふれるメロディを今の空気感で完全に自分たちのものにしていました。期待大のバンドです。

UKのバンドは本当にサイケが好き。ニュー・レイブの先駆け的バンドだった元TEST ICICLESのLIGHTSPEED CHAMPIONももろサイケ、こちらはちょっと壊れた感じだけど。でもどこかポップに聞かせる所にLIGHTSPEED CHAMPIONの趣味のよさがうかがえます。YMOのカバーも最高だった。ドラムとベースの人が女の子というのも可愛く、全体的に暖かい感じもグッド、ぼく的には一番のバンドでした。

病欠THE METROSの変わりに、急遽出演したSELFISH CUNT、何と日本に着いて2時間後のライブ、そのせいか、とってもエキセントリックなライブをしてくれました。てっ、ことはないか(笑)、いつもエキセントリックなんだろうな。ベビシャンのピートに馬糞を投げつける人だから。バウハウスを思い出すような、ゴスなライブでした。しかも、ベースは、何と、ゴスを代表する偉大なバンド、セックス・ギャング・チルドレンの元メンバー、イギリスではゴスが再評価されだしているのでしょうか、不思議だ。

おなじみのテーマ・ソング、 XTCの「がんばれナイジェル」と共に現れたBASE BALL BEAR、いつもどおりなポップで楽しいライブ、いや、いつもよりロックな感じがしました。外国のバンドとやるということで、力が入っていたのでしょうか? でも今回一番完璧なライブをしていたのは彼らだったような気がします。VOLAもそうですが、外国のバンドも日本のバンドもレベルに違いはもうないですね。それなのに、お客さんがちょっと“日本のバンドか”と退きぎみな人がちょっと多いのが、残念な気がしました。でも、まっ、そんなお客さんをどう持っていくかが、ロック・バンドの力の見せ所であり、おもしろさなんですけどね。

ロンドンの老舗ジャズ・クラブ、ロニー・スコッツを根城にするG.LOVEなんかにも通じるロッキンな3人組BIG STRIDES、ブルースやR&Bを完全にやれる若いバンドがちゃんといるのもイギリスのいい所ですよね。サマーソニック06、LITTLE BARRIEのサポート・ツアーと3回目の来日、何か日本語のMCも上手かったです。VOXのアンプとジャズマスターで本当にいいギターの音出してました。ウッドベースというのもよかった。

そして、こんな色んなバンドが出た第6回BRITISH ANTHEMSのオオトリを努めるのは今回で10回目の来日のTHE CHARLATANS。ティム相変わらず可愛かった。41歳にして、ディオール・オムなファッションが着こなせるのはティムだけでしょう。ニュー・アルバム『You Cross My Path』でニュー・オーダー、ジョイ・ディウ゛ィジョンな80年代インディーズ・サウンドに大変身したのに、THE CHARLATANS節は一切失わさてないなど、ティムは本当にセンスがいいんだよな。ライブ自体も新旧の曲を上手く織り交ぜていて、UKロック・ファンは絶対見ておくべきな良いライブでしたよ。
う~ん、今回も本当によかったBRITISH ANTHEMS。8バンドも見れて6500円は安くないかい?
第7弾が待ち遠しい。
(text:久保憲司)
久保憲司 PROFILE
『NME』『MELODY MAKER』ほか、国内外の有名音楽誌でスミス、ストーン・ローゼズなど伝説的アーティストを撮影してきたロックフォトグラファー。さらに、音楽文筆家としての顔も。